育成・教育体系構築コンサルティング
考え方やおさえておきたいポイントについて解説



多くの方が、企業にとって最大・最強の資源は人材であると感じられているのではないでしょうか。人材資源に備わるアイデア、モチベーション、ホスピタリティなどのソフト力が企業の命運を握る時代が到来しています。人材の獲得能力と活用能力が真の競争優位性を築いていくでしょう。企業は従業員の能力を引き出し、伸ばすための仕組みを作ることが求められます。そこで、本ページでは、育成・教育体系構築の考え方、ポイントについてご紹介していきたいと思います。

教育体系構築とは?

人材育成の基本は、自社のビジョンや理念戦略に沿って目指すべき人材の育成です。今後の事業戦略推進を担える人材像を明確に設定し、教育体系を構築していく必要があります。本記事では、教育体系構築に関わる環境変化などの背景から、教育体系構築時のポイントについてご紹介しています。


教育体系を構築すべき背景


外部環境の変化(商品市場と労働市場)

企業の持続的な成長のためには、商品市場と労働市場への適応が不可欠です。商品市場では、VUCAの時代の到来により、予測不可能なビジネス環境になったことで「自ら考え行動できる人材」が、これまで以上に求められるようになります。

一方で労働市場では、終身雇用・年功序列制度の終焉に伴い、企業と組織の関係がお互いに選び選ばれる相互選択関係に変わったことで、「従業員のキャリアと会社の接続」の必要性が高まっています。企業は、自社の持続的な成長を支える人材育成を実現するために、商品市場や労働市場の変化を前提として育成体系を構築する必要があります。

内部環境の変化

近年、 「コンプライアンス遵守」や「働き方改革の推進」、「情報セキュリティ強化」への対応など、企業が果たすべき社会的責任への注目が大きくなっており、従業員はその対応に追われている傾向にあります。結果として現場では、守るべきルールや確認、承認す べきことなど、仕事をする上での制約が増えたことで、育成に注力することが難しくなってきています。つまり、現場での教育機能が弱まっていることを前提とした育成体系を会社全体として構築する必要があると考えられます。


今の時代に求められる教育・研修体系の見直し

リモートワークも進む中で、教育・研修以前にまず念頭に置くべきことがあります。それは、「マズローの欲求5段階説」の下位の層、「安全の欲求」「所属と愛の欲求(社会的欲求)」を満たすよう会社から情報提供したり、コミュニケーションをとることです。(※下図参照)



マズローの欲求5段階説によると、人は下位の第1階層の欲求から順に満たされていくことで、上位層の欲求が生まれてくるというものです。企業の教育研修や育成施策は、この欲求段階でいくと上位層の「承認の欲求」(所属する集団の中で高く評価されたい、自分の能力を認められたい、という欲求)や「自己実現の欲求」(自分にしかできないことを成し遂げたい、自分らしく生きていきたいという欲求)にアプローチすることが多いと思いますが、その前にまず第1~第3階層の欲求を満たせていないと、いくら教育を受けても従業員は会社の期待に沿った成長をしてくれない、という場合があります。

第2階層「安全の欲求」とは、危機を回避して、安全で安心した暮らしがしたいという欲求です。コロナのニュースで社会的に不安な状態が漂う中、自分が勤める会社基盤や雇用に不安を持ってくる人が増えてもおかしくありません。そんな中、会社としてどのような方針でどのような戦略を取って経営を安定させようと考えているか、など従業員にいつも以上に情報提供を心がけ、少しでも安心できる環境を提供する必要があります。

第3階層「所属と愛の欲求(社会的欲求)」とは、集団に所属したり、仲間を求めようとしたりする欲求です。この欲求が満たされない時、人は孤独感や社会的不安を感じやすくなります。人は自分を受け入れてくれる親密な他者の存在を求める生き物であります。リモートワークが進むと、会社への所属感が薄れてしまう人も現れるかと思いますが、そんな時こそマネージャーやチームメンバーからのコミュニケーション量を増やすことが重要だと認識しておいてください。

上記を前提としたうえで、下記のような人材要件の変化を取り入れていくことをお勧めします。


リモートワーク・在宅ワーク下での「仕事の成果」「付加価値の創出」

在宅やリモート環境での仕事が進むことにより、従来とは異なる人材要件が求められます。例えば、従来であれば「人間関係調整力」に大きなウェイトが置かれておりましたが、今後は「仕事の成果そのもの」や「付加価値を生み出すこと」がより評価される傾向が強まることも考えられます。

人材要件の変化②:「目標管理」「業務分担」「進捗管理」などのマネジメントスキル

上記に加えて、管理監督者に求められる要件も、従来とは変化していくことになります。遠隔地のメンバーをうまくマネジメントする「リモートワークマネジメント」の考えやスキルが、必須となっていくでしょう。特に、成果や付加価値を適正に評価するための「目標管理」や「業務分担」「進捗管理」が、今後管理監督者に求められる要件として、非常に大きな要素となることが予想されます。


育成・教育体系の構築でおさえておきたいポイント

新時代の育成体系構築において、おさえるべき観点を 6つのポイント(What・When・Where・Whom・How・Who)に分けてご紹介します。

おさえるべき6つのポイント(What/When/Where/Whom/How/Who)

■What(何を)
育成テーマの設定についてです。バズワードや顕在ニーズへの「偏重」や、従業員の「忠誠」を前提とした育成テーマの設定に注意が必要です。

■When(いつ)
育成タイミングについてです。従業員の課題や役割の違いを無視した「一括」教育や、昇格時などの節目での「一時」的な詰込みといった育成機会の提供タイミングに注意が必要です。

■Where(どこで)
育成環境についてです。役割意識や汎用スキルが身に付きづらい「硬直」型配置や、研修内容と現場での指導内容の「乖離」といった、成長を阻害する育成環境に注意が必要です。




■Whom(誰に)
育成対象についてです。参加者に育成機会を提供するだけの単純な「足算」型教育や、役割やレベルによって差をつけない「平等」な育成機会の提供、といった育成対象範囲に注意が必要です。

■How(どのように)
育成方法についてです。会社の事業戦略・ビジョンと一貫しない問題対処の「積上」や、参加者に一方的に変化を押し付ける「北風」アプローチといった育成方法について注意が必要です。

■Who(誰が)
育成主体者についてです。現場を巻き込まず、人事が「独断」で決定する育成体系設計や、各所への「遠慮」からのチャレンジ不足、といった育成主体者の在り方について注意が必要です。


教育体系に盛り込む内容~リンクアンドモチベーションの特徴~

What(何を):第一ステップとして「スタンス」を開発

育成で考慮すべき要素は下記のように整理することが可能です。これを「人材要件フレーム(※)」と呼びます。



育成テーマに関して、多くの企業はバズワードや顕在ニーズに偏ったテーマ設定をしがちです。しかし、従業員が自身の担うべき役割を認識し、そこに対して成果を出そうという意識が無ければ、スキル獲得の機会 があっても定着することはありません。育成体系を構築する上では、能力開発の順番がポイントになります。最優先すべきは後天的獲得可能性の低い「スタンス」の開発であり、良いスタンスが無ければ、どんなに他のスキルを身に着けようとしても成果には繋がりません。

(※)リンクアンドモチベーションは、経済産業省より平成17年度「社会人基礎力に関する調査」を受託し、社会人に求められる基礎力に関する調査、要件定義などを行ってきました。その調査内容を反映させ構築したものが、人材要件フレームです。

When(いつ):能力開発における「PDCA体制」の構築

育成タイミングに関して、多くの企業は昇格時などの節目で、従業員への一時的な詰め込み教育をしてしまいがちです。しかし、従業員が自身のスタンスやスキルの獲得度合いを点検する機会が無ければ、効果的に能力を開発することはできません。育成体系を構築する上では、能力開発におけるPDCAを回す仕組みがポイントになります。

人事は、従業員に対して、「④内省」による自己点検の警戒を設け、能力定着に向けた改善のサイクルが回る仕組みを構築することが重要です。また、自己点検の精度を高めるために、多面評価などの客観的な指標を提供することが有効です。

Where(どこで):「研修内容」と「現場の指導内容」の接続

育成環境に関して、多くの企業では、「研修内容」と「現場での指導内容」の間に乖離が発生しがちです。しかしこの場合、従業員はどちらを信じていいか分からず混乱し、モチベーションを下げる原因になってしまいます。育成体系を構築する上では、研修と現場の接続がポイントになります。人事は、参加者の上司やメンターに対して、育成方針や研修内容の展開をすることによって、現場との間で共通認識を持つことが重要です。

How(どこで):「理念・戦略」と一環した育成体系の構築

育成体系の構築方法に関して、多くの企業では、今起きている問題対処の積み上げに陥りがちです。しかし育成とはそもそも、会社全体の方針実現や成長のためにあるべきです。育成体系を構築する上では、「理念・戦略」と一貫した落とし込みがポイントになります。人事は、企業の理念や戦略を前提とした人事ポリシー(組織や人材に対する考え方や軸)を明確にしたうえで、一貫性のある施策を検討することが重要です。


教育体系構築コンサルティングの流れ

リンクアンドモチベーションの「教育体系構築コンサルティング」では、経営理念・事業戦略と一貫した体系構築のご支援を行います。企業理念を体現し、組織として顧客価値を高める集団へと変容するための人事ポリシーを策定し、役割・階層に求められる能力要件、行動様式を整理し、その開発のための育成体系を設計するコンサルティングサービスです。

1)現状把握
まず、従業員の課題や能力の発揮状況、成果に繋がる能力を把握します。
個人・組織診断の実施であったり、経営者へのインタビュー、ハイパフォーマー/ローパフォーマーへのインタビューの実施を通して、現状把握を行います。



2)人事ポリシーの明確化
ビジョンや戦略から目指す組織・求める人物像に対する考え方を人事ポリシーとして策定していきます。3C分析やSWOT分析を基に、望ましい提供価値と組織のあるべき姿を言語化します。そして、現状把握結果をもとに、あるべき姿に向けたボトルネックを整理していきます。

3)役割・階層ごとの能力要件・行動様式の整理
各クラスの役割に基づいた求められる能力を洗い出し、現状の課題をマップ化していきます。
まず、人事ポリシーに基づく等級定義になっているかを確認し、全等級の等級定義と現状とのGAPを整理し課題を設定、それをマップに落としていきます。

(アウトプット参考イメージ図)

4)育成テーマの設定・育成体系化
それぞれの役割・階層に求められる能力要件・行動要件を習得するための役割・階層ごとの育成テーマを設定します。育成対象ごとに研修の目的を設定し、予算や課題をもとに育成体系を設計します。



6)具体的なプログラムの設計
体系に基づいて研修の選定基準を設定し、プログラム実施タイミングを決定していきます。

6)運用支援・効果検証
やらされ感の払拭による実効性向上とモニタリングによる改善方向性を決めていきます。
やらされ感の払拭に向けては、関係者に対する事前説明会等を実施します。モニタリングについては、各種プログラム参加後の変化分析を行い、次年度に向けた改善の方向性まで決定していきます。



関連サービス

■経営理念(企業理念)浸透コンサルティング
商品市場における存在意義を高めることと、多様化した従業員のワークモチベーションを束ね、エネルギーを創出することを目的に、企業として大切にしたい「ミッション(存在意義)」と「スタイル(行動指針)」を言語化し、全社員への浸透を促すコンサルティングサービスです。

■人事制度設計・構築コンサルティング
人を管理するためではなく、企業成長を実現するための人事制度設計を行うコンサルティングサービスです。また、運用されることで初めて人事制度が機能することを最重要視し、運用事後のフォローも実行します。

■経営戦略(中期経営計画)浸透コンサルティング
策定された中期経営計画を個々人に落とし込み、戦略の実行力の高い組織づくりを支援するコンサルティングサービスです。

■インナーブランディングコンサルティング
「ブランド」とは自社のミッションに基づいた顧客との約束と保障による信頼関係であると定義し、「外部への約束の伝達(≒期待形成)=アウターブランディング」に対する「社員の行動促進=インナーブランディング」を支援するコンサルティングサービスです。

■ダイバーシティ&インクルージョンコンサルティング
顧客への提供価値を高めるために、組織に多様な個を取り込むことと、その多様な個を理念・コミュニケーションを通じて統合することで、多様な個が活躍できる強い組織づくりを支援するコンサルティングサービスです。

■職場改善コンサルティング
職場の関係性に着目し、変革を実現するコンサルティングサービスです。


まとめ

外部・内部の環境変化を捉え、適切な育成・教育体系となるよう定期的に見直しながら、企業にとって一番の財産となる人材育成に繋げていきましょう。

あなたの組織課題や目指すべき未来から最適なソリューションをご案内させていただきます。
まずはお気軽にお問い合わせをお願いします。

お見積りはこちら

関連サービスSERVICE