選考設計のポイントや流れを事例をふまえて解説!



近年、採用スケジュールの自由化や優秀層のナビ離れ等採用市場には大きな変化が起きつつあります。変化の中で、これまでのような大量の接触から関心をもった人を採用へ導く方法ではなく、自社にとって必要な人物像へ絞って接触し採用へ導く方法へ移行する企業もあります。

しかしながら、求める人物像を描いても、浸透せずに現場の面接官の主観で評価が左右されてしまう事例も多く、描くだけでは実効性の高い変化は望めません。
選考設計において重要なポイントと、選考設計事例をご紹介します。


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選考設計とは?

採用における「求める人物像」(採用要件)を設計し、その要件を選考プロセス全体を通じてどのように見極めを行っていくのかを検討することが重要です。その際には、「どの要素を見極めるのか(項目)」「どこまでのレベルで求めるか(基準)」「どのように選考を進めるか(手順)」の3つを検討することで実効性の高い選考設計の実現が可能になります。


選考のあるべき状態とは

リンクアンドモチベーションでは、採用活動をエントリーマネジメントと呼び、「組織の入口管理」を通して、組織と個人が「相互理解」を図り、そして「相思相愛」の状態に至るコミュニケーションを行うことと考えています。そのためエントリーマネジメントの観点から「選考」を捉えると、単に応募者の能力を「見極める」だけでなく、応募者に対して「情報提供」と「動機付け」を行うことで、「相互理解」「相思相愛」の実現を目指すことが重要です。

選考における陥りやすい失敗とは

応募者を見極め、動機づけるプロセスにおいて陥りがちな失敗を示します。

陥りやすい状態①:選考で見極めている要素と実際の仕事の場面で必要な要素が異なる

時代によってビジネスプロセスや仕事における価値の発揮の仕方が変化しているにも関わらず、 選考で見極める要素が10年前のまま。現在の仕事や職種の広がりであれば活躍できた人材を 不合格としている事例もあるでしょう。

陥りやすい状態②:採用で重視する要素と育成が求めている要素が異なる

採用では学歴重視。一方で育成側からは「頭でっかちな人が多い…」という声があがるという事例も少なくありません。どこまでが採用で重視する要素、どこからが育成を行う要素かという整理が必要でしょう。

陥りやすい状態③:見極める基準に「自社らしさ」がない

誰を採用するのかというのは社員や社会にとっての大きなメッセージになります。 「明るくて素直なら誰でもよい」といった発信は応募者や社員のモチベーション低下につながる可能性もあります。

陥りやすい状態④:見極める項目が多すぎて、時間内に収まらない

1時間程度の面接の中で、3つ以上の項目を見極めることは難しいでしょう。 結果、見極めることができず、結果面接官の主観に任されることもあります。 面接官の見極めレベルに応じて項目数を抑えることが必要です。

陥りやすい状態⑤:見極め要素が決まっていても、要素を引き出す方法や合格基準が定まっていない

見極め項目が固まっているものの、どんな質問で引き出せるのかどんな回答がくると 合格ラインなのかが決まっておらず、結果面接官の主観に任されることも少なくありません。 見極めるべき内容だけでなく、それらを導くための質問内容や回答の想定を整理しておくことが重要でしょう。


選考設計のポイント

■採用と育成のリンクを踏まえた設計
企業の「求める人物像」の要件を全て”採用要件”に求めるのではなく、仕事や教育の中で身につけられる要件は”育成要件”として分けることが重要です。採用/育成の連携が適切に取られていない場合、採用対象が極めて少なくなったり、現場配属した際に育てきれないという要望が上がってくることが発生します。

■現場の面接官の活用を踏まえた設計
新入社員は人事でなく現場に配属されることが多いですが、学生の選考に現場社員を巻き込むことで、面接通過させた学生に対する育成責任の意識醸成が重要です。一方で、現場社員との選考基準のすり合わせや選考手法のインストールが適切に行われていない場合、見極め基準のズレによる面接官ごとの合格率のブレが発生したり、情報提供内容におけるズレによる動機付けの状況が異なり内定承諾率のブレが発生します。


選考プロセス設計の流れ

①求める人物像の策定
一般的に求める人物像はこれまで採用してきた社員の中で、活躍している人に共通する特徴を抽出するという「帰納的アプローチ」で定められることが多いかと思います。ですが学生は「今」働くのではなく「未来」の自社で働きます。外部環境の変化が激しい昨今においては、未来の事業構想から求められる要件を抽出する「演繹的アプローチ」も考慮に入れた上で、求める人物像を設計することが重要です。



②選考フローにおける基準の設計
求める人物像をベースに「評価項目」を定義し、その項目の「評価基準」を明確にします。項目に設計する際には、欠けるものがあれば必ず不合格とする「足きり要件」、必須の能力であるもののその他の評価次第で合否を検討する「MUST要件」、必須の能力ではないものの保有していた場合に評価をする「WANT要件」の3つを設計することが重要になります。

【求める人物像をベースにした選考項目/基準の設計例】

③選考フローおよび選考手順の設計
選考項目/基準で定めた内容を、選考フローのどのタイミングで見極めるのか、そして各選考プロセスの中でどのような手順で選考を起こっていくのかを設定します。一度に全ての項目を選考することはできないため、それぞれの形式や時間を考慮した上で、選考フロー全体で見極めるプロセスを構築することが重要になります。

【選考項目をもとにした選考プロセスの設計例】

選考プロセス設計事例

大手インフラ会社

■課題
 ・事業内容における多角化に伴い、これまでの「求める人物像」では今後の事業変化に対応ができないという危機感が経営陣および人事部の中で存在していた。
 ・またその変化の方向性を現場社員が認識していなかった。

■解決の方向性
 ・経営陣へのインタビューから「今後の事業像/人材像」をヒアリング
 ・「今後の事業像/人材像」において求められる組織/採用に求められる要件を策定
 ・選考基準の伝達を通じて、既存社員(現場マネジメント層)への「今後の事業像/人材像」を浸透

■選考プロセス設計方針
 ・実際に会長/社長に対してインタビューを実施し、今後の事業の方向性からどのような組織/採用が求められるかをヒアリングおよびディスカッションを実施。
 ・育成にて実施している研修などの内容を把握した上で、採用要件(求める人物像)を策定。
 ・採用要件を項目/基準/手順に落としたハンドブックを作成し、経営陣と策定したものであるという策定プロセスを明示したうえで、現場面接官へと配布および共有会を実施。

大手専門商社

■課題
 ・内定承諾率が低い/保留学生が非常に多く、内定者フォローの工数が肥大化していた。
 ・また面接官ごとに面接での通過率/内定承諾率が異なり、採るべき学生が落とされていたり、落とすべき学生が通るなどの事象が発生していた。

■解決の方向性
 ・選考項目を明確にし、ズレが内容にインスト―ルを実施
 ・属人的な選考プロセスを辞め、選考の手順を設計
 ・面接の中で、見極めるだけでなく、動機づけの実施方法まで設計

■選考プロセス設計方針
 ・ハイパフォーマー社員の分析から求める人物像を策定。
 ・各面接官から面接における課題や問題点をインタビューにてヒアリング。
 ・上記内容をもとに、選考項目から選考のフローから手順に至るまで詳細に設計。
 ・内定承諾率を向上するために、見極めるだけでなく、情報提供を通じた動機付けおよび内定承諾に向けての覚悟醸成のコミュニケーションに至るまで設計。