ハイパフォーマーとは、一般的に、「業務において優れたパフォーマンスを出す人材」「生産性の高い人材」を指します。昨今、労働力不足と言われている中において、従業員ひとりひとりのパフォーマンス、生産性を向上させることは、どんな企業においても重要なテーマとなっています。
また、HR techの進化により、人事データの活用が進む中で、ハイパフォーマーの特性や行動に関するデータを人材育成に役立てていこうとする動きが盛んになっています。
では、どういった存在がハイパフォーマー足り得るのか。一言で言うと、「その組織によってハイパフォーマーの定義は異なる」と言わざるを得ないでしょう。なぜなら、ハイパフォーマーとは前述の通り、「優れたパフォーマンスを出す人材」と定義されていますが、会社・組織ごとにビジネスモデルや事業の競争優位性が異なるため、各組織における「パフォーマンス(成果)」の定義が異なるからです。
恐らく、一つの会社の中ですら、Aという組織でハイパフォーマーだった人材が、Bという組織では全くパフォーマンスを出せないという例も少なからずあると思います。どういった人材がハイパフォーマー足り得るかは、各組織における目標に紐づくのです。
そのため、ハイパフォーマーを定義するためには、まずは組織の目標に紐づいた「パフォーマンス(成果)」とは何かを規定することから始める必要があります。
前述の通り、ハイパフォーマーの特徴は各組織によって異なります。そのため、一概に「こういった能力・特性を持った人材がハイパフォーマーだ」とは言えません。
ただ、世の中には、ハイパフォーマーとは「成果にこだわる人だ」「コミュニケーション能力が高い人だ」「困難を乗り越える力がある人だ」など、ハイパフォーマーが定義されている文章があることも事実です。
そして、それらは必ずしも間違いという訳ではありません。恐らく、それらの定義は、ハイパフォーマーの要素を抽象化し、”どの組織にもある程度当てはまるように”一般化された定義だと考えます。そのため、どんな組織の人が見ても、「確かにそういう要素が大事だな」と納得させられるものになっていると思います。
ただ、「ハイパフォーマーの特性や行動を人材育成に役立てよう」という本来の目的から考えると、そういった定義はあまりにも一般化されすぎてしまっていると考えます。
「どんな組織においても一定活躍できる人材」を育てるだけなら良いかもしれませんが、「自組織において素晴らしいパフォーマンスを出せる人材」に育てるためには、やはり一般論だけではなく、自組織において必要な要素を抽出することが非常に重要です。
ハイパフォーマーの定義として、どういった要素を抽出すれば良いのでしょうか。要素としてよく言われるのは、「能力要件」と「行動要件」です。「能力要件」とは、高いパフォーマンスを出す人が共通して持っている能力のことであり、「行動要件」とは、高いパフォーマンスを出す人が共通して行う行動のこと(コンピテンシー)を指します。
これらはどちらも重要な要素ですが、「能力」と「行動」だけではなく「スタンス(価値観やこだわり)」にも注目することが重要だと考えています。
人の行動の背景には、そもそも「そういう行動をしよう」という意思があり、そこに「その行動を成功させるため」の能力が必要です。つまり、意思と能力が揃うことによって初めて行動が成立します。
能力が高いのに行動が伴わない場合には意思が不足していることが多く、意思はあるのに成果が伴わない場合には能力が不足しているということです。そういった、意思や能力を網羅的に洗い出すフレームとして有効なのが「人材要件フレーム」です。
ハイパフォーマー育成の全体像は、以下の2ステップで設計されます。
STEP1 ハイパフォーマー分析・要件定義
STEP2 ハイパフォーマー育成体系の構築
まずは、STEP1にて、ハイパフォーマーがどのような要件(「能力」や「スタンス」など)を持っているのかを定義します。その後、STEP2にて、その要件を他の人材に身につけさせるための育成体系を構築します。
ハイパフォーマー分析は主に、ハイパフォーマーへのインタビューを通じて行います。そのために必要なのが、「ハイパフォーマーの選定」です。前述の通り、ハイパフォーマーとは、「その組織において高いパフォーマンス(成果)を出す人」なので、組織の目標に紐づいた「パフォーマンス(成果)」とは何かを規定することから始める必要があります。
売上額、業務スピード、クオリティなど職種によって異なる内容になりますが、場合によっては、組織への貢献度など業績に直接紐づかないものが入るパターンもあります。そうやって定義された「パフォーマンス(成果)」をもとに、ハイパフォーマーを選定します。
インタビューでは、選定されたハイパフォーマーに対して、過去の経験から現在の仕事内容まで幅広く質問を行います。ハイパフォーマーの表層に現れている行動を集めるだけではなく、その背景にある意識や思考まで抽出することがポイントです。
ハイパフォーマーは必ずしも自分自身の特徴について言語化できているわけではありません。質問によって、対象者の認識を「深め(具体化)」「広げる(代替可能性の示唆)」ことで、ハイパフォーマー自身も認識できていなかった要素を導き出します。
そのようにして抽出された要素の共通項をまとめ、要件定義を行います。要件定義の際には、前述の「人材要件フレーム」に則り、スタンス、ポータブルスキル、テクニカルスキル、リテラシーに分けて整理をします。また、場合によっては人材要件以外にも、行動特性やナレッジ、思考プロセス、経験などを体系化することもあります。
ケイパビリティとは、直訳すると「能力、才能、特性、性能」となりますが、組織人事領域においては、企業が持つ組織的な能力・強みのことを指します。
例えば、スピード、開発力、クオリティ、効率性などです。商品や戦略による競争優位性の維持が難しくなり、戦略を立案・実行する組織の力に注目が集まる昨今において、ケイパビリティを高めることは非常に重要となっています。
また、ケイパビリティを活用することは、ハイパフォーマー育成の一つの手段ともなります。各組織におけるケイパビリティを分析・型化し、共有・浸透させることで、その組織における”勝ち筋”を習得した人材を増やすことができるからです。
その組織に存在するハイパフォーマーが持つスタンスやスキルに加え、ケイパビリティを習得することも成果を出すためには必要となります。
▼ケイパビリティに関する記事はコチラ
ケイパビリティとは? ~ケイパビリティの活用に向けたイメージが沸くよう、正確な定義やポイント、他社事例を纏めました~
ケイパビリティを理解するためには、2つの手段を用いることが必要です。1つ目の手段は、その組織の置かれている市場や事業内容、ビジネスモデルからの抽出です。まず、自組織の置かれている市場にはどんなニーズや課題があるのか、その中で選ばれている理由、強みは何かなどを明確にします。
その上で、今後の事業の方向性を踏まえ、どんな姿を目指すのか、何を強みとして持ちたいのかを明確にしていきます。つまり、現在の状態からだけではなく、ありたい姿・あるべき姿も踏まえて要素を抽出することがポイントです。
そして2つ目の手段は、ハイパフォーマーからの要素抽出です。前述のハイパフォーマー分析の際には人材要件に関して要素抽出をしましたが、個人のスタンスやスキルだけではなく、日々の行動や思考プロセス、思考の観点などを抽出します。この2つの手段によって抽出された要素を合わせ体系化することで、ケイパビリティが明確になります。
■リンクアンドモチベーションの研修の特徴は?
弊社では2001年より、企業に対するコンサルティングで培った ノウハウやセオリーを定式化し、教育研修を開発しています。 実際の職場での活用・実践を前提とした内容に加え、 体感型ゲームやグループワークなどを中心とした “楽しみ”ながら“学ぶ” 体感型の「エデュテインメントプログラム」 となっていることが特徴です。 また、弊社の基幹技術である モチベーションエンジニアリングを用いることで 単なる知識提供や意識変革ではなく、 参加者の「行動変革」を実現する研修となっています。
■研修プログラムの種類はどんなものがある?
「新入社員研修」や「管理職研修」といった階層別の研修から 「リクルーター研修」や「営業力強化研修」といったテーマ別の研修まで 企業様のニーズに合わせて幅広く実施しております。
■プログラム内容について相談することは可能?
可能です。 リンクアンドモチベーションの研修プログラムは、 企業様のご状況・ご要望に合わせてカスタマイズし、 ご参加者の行動変化が促進されるような 最も効果的な形でご提供させて頂いております。
■研修プログラムの費用はどの程度?
研修内容・実施人数によって費用は大きく異なります。 詳細は、お問い合わせページよりご相談下さい。
■研修プログラムの実施事例はある?
様々な規模・業界の企業様にサービスをご提供しております。 詳細は、実施事例ページよりご確認下さい。