東京証券取引所第一部(当時)に上場した持株会社であるNホールディングス。
そのグループの中核をなすN社は、成長戦略を実行するための経営資源は「ヒト」即ち「人材」だと位置付け、 その「人材」一人ひとりの強さが結集された時に最大の力が発揮され、企業価値を高める原動力になると考えています。 会社の発展を担う社員育成の一貫として、若手社員に360度評価研修を実施した理由を人事部のT氏に伺いました。
近年、不動産業界を取り巻く環境は大きく変化しました。 ここ数年不動産は活発に動きはじめ、さらに金融と結びついた様々な開発手法も生まれています。
N社では、あらゆる不動産ビジネスにおいて業界をリードし続けられるよう事業拡大を図り、 独創的な企業集団となることを目指すべき方向と考えています。 不動産ビジネスは多様化し、業務内容の量と質は飛躍的に向上し、社員数も会社の成長とともに増加しています。
そのような環境の中、会社がより大きく成長していくためには、若手社員の更なる成長が必要となってきます。
これまではOJTによる社員の成長とマーケットの成長が呼応していましたが、 マーケットがより高度化、より専門化している現在においては、 OJTによる成長をよりスピードアップさせることが求められています。
今回の研修はそのような背景を鑑み、若手社員一人ひとりの成長スピードを加速させたいという思いから実施しました。
そのため研修の中で、自立して主体的に仕事に取り組もうとする “やる気”を若手社員同士がぶつけ合うことや、 職場のメンバーが自分に何を期待しているのか、また何に満足し、何に満足していないのかを 若手社員自身が認識することで、更に大きく成長するためのきっかけをつかむことを期待しました。
今回は入社3年目の社員を対象に実施しました。 3年目という時期は、多くのことを覚えながら成長していくことが優先的に求められていた段階から、 自己の成長とプロジェクトの成功との両方が求められる段階への転換期となります。
そのため、自己の成長が組織の求めているものと合致しているか否かを見つめ直し、 自己の成長の方向性と組織におけるミッションの実現をつなげていくことは非常に重要なことだと思います。 そこで、サーベイと研修を通して、これからの自己のキャリア形成を行う上で適切な成長目標を持つことを 大いに期待しました。
現状を踏まえた新たな目標設定をするなど、こちらが意図していたことに気付いてもらえたと感じています。
入社3年ともなると、事業において自分で目標をたて、自ら実現していくことが求められます。
しかし、その経験から得た自信が、若手社員がサーベイ結果を素直に受け入れることを 妨げるケースもあると考えられました。 そこで、サーベイ結果を自分自身の今の姿として受け止められるように、 サーベイをフィードバックする前に、 「物事の捉え方を変えることで納得感を高め、課題解決に向け効率的に行動していく」ための 思考フレームを身に付けるプログラム、セルフコントロール研修を導入しました。
この研修で新たな思考フレームを体得した上でサーベイ結果がフィードバックされたため、 自分に足りなかった部分を真摯に受け入れられたと感じています。
また、課題の抽出や目指すべき新たな目標の設定を同期の仲間からも指摘されることで、 納得感の高い具体的な行動プランを策定できたと感じています。 研修後に職場のメンバーに対して目標や行動プランを共有する場を設け、 そこでまた客観的な意見をもらったことも、若手社員の目標や行動プランに対する納得度や コミット度を増したと感じています。
若手社員からは「自分ではやっているつもりだったが、周囲の期待値には達していなかった」 「自分が努力すべきだと考えていたことが、意外と職場では重要視されていないことに気付いた」 という感想を受けました。 自分のことを様々な角度から客観的に見つめ直し、周囲から期待されている役割、 評価されている部分やまだまだできていない部分を整理できたようです。
また、「自分の目指す目標と会社が求めている人物像の2つを重ねることができ、 具体的な行動プランにまで落とすことができた」など、変革に向けた決意も聞くことができ、 周囲の期待に応えて活躍していこうとする強い意志を感じました。
職場の期待に応えていこうという気持ちが、「メンバーの中核となって、自分が牽引していこう」 という当事者意識に繋がっているようです。
そして自分のやっていることを積極的に発信する意識も高まり、コミュニケーションも促進されています。
また、若手社員をマネジメントする上司にも意識の変化が見られています。
上司が入社した頃と今とでは、取り巻く環境や価値観が大きく変化しているため 「私の時代には、こう成長した」という事例が必ずしも当てはまるとは限りません。
サーベイがきっかけとなって若手社員の意識を汲み取ることに繋がり、 今の時代に合ったマネジメントへとシフトし始めているようです。
今後、職場と若手社員の目標が重なり合うことで組織がさらに活性化していくことを確信しています。