• HOME
  • コラム
  • マネジメントとは?能力開発上の問題点と解決策を紹介

マネジメントとは?能力開発上の問題点と解決策を紹介

マネジメントとは

「マネジメント」強化は、環境変化の激しい昨今、益々重要度が高まっています。そのため、マネージャーの役割や仕事内容、求められる能力、人材マネジメントの方法など、様々な考え方が飛び交い、百花繚乱の様相を呈しています。
本記事では、「そもそもマネジメントとは何か?」という本質を踏まえた、マネジメント能力開発のポイントをご紹介します。


▼【リンクアンドモチベーションのサービス特徴】が分かる資料はこちら サービス紹介資料ダウンロード




「マネジメント」を取り巻く現状

昨今、企業における「マネジメント強化」「マネジメント能力開発」の重要性が多く聞かれるようになりました。まずは、その現状をおさえましょう。

高まる「マネジメント強化」(管理職育成)ニーズ

約15年前、日本の大手企業における人事領域の主要課題は、「賃金・評価制度の見直し・定着」が圧倒的1位でした。
背景には、バブル崩壊後の人材マネジメントの潮流として、1990年代後半からホットトピックとなり始めた「成果主義人事制度」や「目標管理制度(MBO)」の導入・定着を、多くの企業が急いでいたことが挙げられます。この時代、トップ10には「マネジメント」や「管理職」といったキーワードは見受けられません。

人事領域の主要課題(15年前)

しかし、2016年には、1位に「管理職層のマネジメント能力向上」が挙げられています。多くの企業において、「マネジメント」の強化、管理職の能力開発が重要視されるようになりました。

人事領域の主要課題(現在)


様々な文脈で用いられる「マネジメント」

「マネジメント強化」機運の高まりとともに、様々な文脈で「マネジメント」という用語が用いられるようになりました。 よく聞かれるものを挙げてみましょう。

「ダイバーシティマネジメント」「タレントマネジメント」「パフォーマンスマネジメント」「モチベーションマネジメント」「コンフリクトマネジメント」「チェンジマネジメント」「ナレッジマネジメント」 など。

他にも様々なシーンで「マネジメント」が語られるようになった現代だからこそ、改めて「マネジメント」のそもそもの定義や本質に立ち返ることが肝要です。

マネジメントの定義

マネジメントの古典的定義として有名なものは、P.F.ドラッカーによる定義でしょう。ドラッカーによればマネジメントとは、「組織に成果を上げさせるための道具、機能、期間」であり、その責務を負うマネージャーとは、「組織の成果に責任を持つ者」と定義されています。
また、H.クーンツとC.オドンネルによる定義も有名です。彼らによれば、マネージャーの役割とは「Getting things done through others」(他者を通じて物事を成し遂げること)と定義されています。

そもそも「マネジメント」の語源を辿ると、マネージ(manage)とは「馬をてなづける」ことであり、それが転じて「困難な状況を何とかすること」です。
一般的には「経営」や「管理」を意味する「マネジメント」ですが、その役割を企業内で担うマネージャーに求められる役割をまとめるならば、「困難な企業、組織の状況をなんとかすること」であり、そのために「組織の成果に責任を持ち、他者を通じて物事を成し遂げること」と言えます。 言葉の定義からも、責任の大きさと困難さが滲み出ている役割と言えます。


マネジメントの本質と役割

マネジメントの本質的役割を組織論から整理し、今日における重要性を確認します。

マネジメントの本質とは?~組織における複雑性の解消~

企業における「マネジメント」や「マネージャーの役割」を見定める上では、マネジメントの対象となる「組織」とは何か?を確認する必要があります。
「組織」とは、アメリカの経営学者チェスター・バーナードによれば「組織成立の3要素」から成り立つものです。
3要素とは「共通の目的」「協働意思」「コミュニケーション」であり、この3つが揃ってはじめて単なる人の集まり(集団)は、全体で機能する集まり(組織)となります。例えば、満員電車に乗っているだけであればただの人の集まりですが、急病人が出た際には「急病人を助ける」という全員の「共通の目的」の元、「助けたい」と個々人が思い(協働意思)、急病人への声掛けや救急車の手配、車掌への連絡などの役割分担や外部連携の「コミュニケーション」を取ることで初めて「組織」と呼べる状態になります。

では、「組織」になぜマネジメントが必要になるのでしょうか。
それは組織の人数が増えると、コミュニケーションの複雑性が増すためです。組織の持つ「複雑性」という宿命を解消するためにマネジメントという役割が置かれています。 急病人を助ける例でいえば、3人で対応するのであれば「それぞれが何をすべきか(個々人の役割)」は簡単なコミュニケーションで確認しやすいですが、急病人が複数いるときに100人でその場に対処しようとすると、全体の意思疎通は難しくなり、その難しさを解消するため「コミュニケーションを束ねて判断する機能」が必要となります。
この機能こそが「マネジメント」の本質です。この定義でも分かる通り、欧米企業においても、日本企業においても全体を機能させるための「組織の結節点」としての「マネジメントの本質」は変わりません。

マネージャーの役割とは

マネジメントの本質的な必要性から振り返りましたが、マネージャーの役割とは、組織全体を機能させるためのコミュニケーションの結節点です。
具体的には人数が多いことで生まれるコミュニケーションの複雑性を縮減し、階層構造の中で生まれるコミュニケーションのズレを埋める役割です。この結節点としての機能によって組織の縦のコミュニケーションをつなぎ、個々人の働きがいを高めながら、生産性を向上して事業全体の成果を創出することがマネジメント(管理職)に求められることであり、この機能は時代が変わっても、どこで働くにしても、本質的には変わらない部分です。

今の時代に求められるマネジメント

時代の変化によって変わらない「マネジメントの本質」について説明しましたが、環境変化に合わせて変わる部分があることも確かです。VUCA時代(※)とも言われる今の時代に求められるマネジメントとは一体何でしょうか。

※VUCA時代:Volatility(変動性・不安定さ)・Uncertainty(不確実性・不確定さ)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字から取った社会情勢を表す言葉

マネジメントに関連して踏まえるべき時代の変化には商品市場の変化と労働市場の変化があります。 商品市場としては「モノ(ハード)への投資」から「人(ソフト)への投資」へと競争優位性が変化してきています。商品のヒットサイクルが短サイクル化し、そもそも商品だけでの差別化が難しくなったからこそ、営業力やアフターフォローの対応力などの人(ソフト)の重要性が高まっています。
また、どの市場でも既存の商品や市場から一歩踏み出した新商品や新市場への展開が求められる中だからこそ新たな商品やサービスを生み出せる組織・人の重要性が高まっています。価値を拡大するための組織・人への投資が10年後の企業成長を左右するといっても過言ではありません。

また、労働市場においては、売り手市場や経済の成熟による「働く理由の多様化」が最も大きな変化です。生きるために働くことが必須ではなくなりつつあるため、何のために働くのかが人によって異なることが増えてきています。
また、個人の自由に立脚した「個人主義」の考え方も昨今強くなっており、優秀な人材を企業内にとどめておく難しさは増しています。 このような商品市場と労働市場の変化に適応するために、これまでの戦略遂行(成功の型の実践)を目的とした「徹底完遂型」マネジメントから、正解創出(新たな方向性の模索)を目的とした「現場双発型」マネジメントが重要になってきています。

高難度化するマネジメント~5,020社のデータから見えたもの~

前段の環境変化によって、経営と現場の「上下」をつなぐ結節点として「マネジメント」(管理職)に求められる役割は、益々高難度化していると言えます。
国内最大級のデータベースを持つ、国内シェアNo.1の組織改善クラウドサービス「モチベーションクラウド」に蓄積された約5,020社のエンゲージメントサーベイデータによると、日本企業において最も従業員からの「期待と満足のギャップが大きい要因」(全64項目中)は、「階層間の意思疎通」という項目です。
これは、「社内の上下の階層間で、意志疎通が図れていること」を意味します。 従業員エンゲージメントは企業業績とプラスの相関性も認められていることから、日本企業が業績に苦しむ組織面での主要因として「上下階層間の意思疎通不足」があること、すなわち、マネジメントの本質である「結節点」機能が十分に果たされていないことが考えられます。


マネジメントはなぜ行き詰っているのか?どうすればマネジメント能力は開発できるのか?

マネジメント(管理職)の能力向上は重要課題として挙げられているにも関わらず、なぜ「結節点」機能は十分に果たされないままなのでしょうか。ここではマネジメント能力の開発における問題点と、その解決策を整理します。

マネジメント能力開発を取り巻く問題①:経験学習不全 ~「ワンショット」ではなく「サイクル」を~

マネジメント(管理職)の能力開発を取り巻く問題点の一つ目は、「経験学習」が機能不全に陥っていることです。
「経験学習」とは組織行動学者のデービット・コルブが提唱された、人が成長していくサイクルについての理論です。そのサイクルは「経験」⇒「省察」⇒「概念化」⇒「実践」という4段階によって構成され、このプロセスを繰り返すことによって、人は成長し続けるとすれています。

昨今のマネジメントにおける制約の増大(コンプライアンス強化、セキュリティ対策強化等による管理業務の増大)によって、マネージャーが自ら経験学習を回す余裕が失われています。
また、事業環境の変化スピードの飛躍的向上によって、一度学んだ知識・スキルが陳腐化するスピードも高まっています。環境変化に適応するため、マネジメント能力の不断の向上、マネージャーとしての経験学習サイクルの必要性が高まっているにも関わらず、多忙な現場を担うマネージャーにはその余裕が益々無くなっています。
しかしながら、多くの企業におけるマネジメント能力開発は、いわゆる階層別研修として設けられた「新任課長研修」「新任部長研修」等、「入口での詰め込みワンショット教育」がまだ大半を占めます。

環境変化に適応し、変わり続ける「上下」を結節しつづけるために、「入口でのワンショット教育」を改め、「経験学習を回し続けるためのサイクル」を導入すること。余裕のない現場において自主的に学ぶことを促すだけでなく、会社主導での内省機会の継続的提供こそ、今求められているマネジメント能力開発の仕組みと言えます。

マネジメント能力開発を取り巻く問題②:関係性からの孤立 ~「個力の強化」だけでなく「関係性の強化」を~

二つ目の問題点は、マネジメントを担う管理職における「関係性からの孤立」です。
マネージャーがマネジメントの本質である「結節点」としての機能を果たそうとすれば、部下はもちろん上位役職者(経営層)や他部門(のマネージャー)等、多くのステークホルダーと共に課題解決にあたることが欠かせません。
しかし、各種制約の増大、生産性向上の必要性から、現代の多くのマネージャーはプレイングマネージャーと化し、極めて多忙な日常を過ごしています。そのため、部下とも上司とも、短時間で多くの「業務判断」を下さねばならず、かつて(20~30年前)のマネージャーのようにじっくり部下と話す時間などなかなか取れる状況にはありません。
その上、労働市場の変化から「働く理由の多様化」が進み、終身雇用・年功序列時代の「一度入社したら定年まで忠誠を誓うのが当たり前」の前提は、まったく通用しなくなりました。多くの日本企業でこの上司-部下間の世代間ギャップが起きています。
しかしながら、マネージャーとその上司(課長にとっての部長、部長にとっての経営層)との関係性は、かつてのまま、「忠誠前提」であることがほとんどです。部下からは「(自分とは異なる)働く理由」が求められ、上司からは旧来通りの「忠誠前提」で上意下達のコミュニケーションが続く、まさに板挟み状態。この悩ましい状況を相談したくとも、「忠誠前提」の上司には相談できません(相談したとしても、多くの上級管理職・経営職層は同じ状況を経験したことがないため、有効なアドバイスもできません)。このような板挟みによる孤立状態は、特に大手企業ほど発生しやすい状況になっています。

このように、コミュニケーションの結節点であるべきマネージャーが、上下のコミュニケーションギャップの板挟みとなり、孤立化している状況のままでは、マネジメントの本質的役割を期待することは難しいでしょう。
企業がマネジメント強化、マネジメント能力向上を実現したいと思うのであれば、マネジメントを担う本人(マネージャー)の個力を高める研修等機会を提供するだけにとどまらず、ミドルマネジメントと現場メンバーとの関係性、ミドルマネジメントとトップマネジメントとの関係性など、「個力の強化」だけでなく「関係性の強化」までを射程に捉えたマネジメント強化スキームが必要です。

マネジメント能力開発を取り巻く問題③:役割認識の矮小化~「知識・スキル」だけでなく「スタンス」を~

三つ目の問題点は、「役割認識の矮小化」です。
これは、マネージャーがマネジメントの本質的役割を忘れて(忘れざるを得ないほど日々の業務に追われて)、今の自分がやれる範囲の仕事=マネージャーがやるべき仕事という、役割矮小化に陥ってしまうことです。悪気なくこのような状態に陥っているマネジメント層の問題を、多くの企業で聞きます。かつてと比較してマネージャーに求められる管理業務が激増する中、人員は増えることがなく(むしろ減少させられ)、より高い成果・生産性が求められる状況は、いち企業に限った話ではなく、世の中全体で起きていることです。
しかし、このような世の中全体の潮流についての情報が耳に届くことなく、マネジメント層が「なぜ自分ばかりこんなに忙しいのか?」という精神状態に陥ってしまうケース、結果として「自分はやれる限りやっているのだから、それ以外は会社(経営層や本社機能)の問題だ」と割り切ってしまうケースを、多く見聞きします。
マネジメント層がこのような役割矮小化に陥ってしまった企業では、当然ながら、経営方針も本社主導の施策も、コミュニケーションが結節されないため、現場メンバーには届きません。「経営方針・本社方針が現場に伝わらない」という悩みもよく聞かれますが、その本質的原因は「結節点」というマネジメントの本質が機能不全に陥っていることにあります。

このような状況を解決しようとして、マネジメント層向けに「戦略理解」や「コミュニケーションスキル強化」の研修等を検討されるケースをよく聞きますが、いずれもやや表層的と言わざると得ません。
「結節点としての役割」を果たそうと思っていないマネージャーに、そのための知識・スキルを提供しても、発揮する動機がありません。自社のマネージャーが上記のような状態に陥っていると思われるのであれば、知識・スキル強化の前に、まずスタンスです。マネジメントの本質である「結節点」としての役割責任を受け止め直すと同時に、今現在自分自身がどの程度その役割をまっとうしているかを客観的に認識すること。それによって、あるべきマネジメント像と実際の自分とのギャップを知り、埋めるべき課題を設定すること。
マネジメントの本質、原理原則に立ち返る機会を提供することこそ、マネジメントに求められる難度が高まり続ける今日、急がば回れで求められる本質的な打ち手と言えます。

まとめ

本ページで述べたように、商品市場や労働市場の変化から、各企業におけるマネジメント(管理職)能力向上はますます求められています。
しかし、マネジメントの本質をふまえて現代の問題を捉えるならば、旧来的なマネジメント職昇格時研修のみでは、何も変わりません。ワンショットではなくサイクルで、個力の強化だけでなく関係性の強化までを実現しうるマネジメント開発の仕組みを。そして、知識・スキルだけでなくスタンス、マネジメントの本質に立ち返る機会を。
企業の重要課題となりつつあるマネジメント強化を成功させる上では、マネジメント強化の在り方そのものを見直すことが求められています。





関連サービスSERVICE



おすすめ記事RECOMMEND



この記事を見た人は、こんな記事も見ていますRELATED COLUMN



新着コラムNEW COLUMN



マネジメント育成の手引き