女性の活躍を推進することは
ダイバーシティに向けた試金石になる。

1990年代以降、仕事と育児・介護との両立支援制度を導入するなど、社会の動きに先駆けて、女性をはじめとする多様な人財の活躍支援に取り組んできた日立製作所。
同社が、リンクアンドモチベーションとともに、さらなるダイバーシティの推進に取り組み始めた理由を伺いました。




ダイバーシティは持続的成長のための経営戦略

―日立製作所がダイバーシティを推進する理由は何ですか?

迫田氏:市場のグローバル化が進み、お客様の製品やサービスヘの価値観が多様化しています。日本の製造業全体を見ても、単にモノを作って輸出すればいいという時代は終わり、現地のマーケットやニーズを深く汲み取り、場合によってはオフィスや 工場を建設し、地元で雇用した社員とともに長期的 なプロジェクトで作り上げていくケースも増えてきました。お客様だけでなく、ステークホルダー全体がグロー バル化、多様化してきていると言えるでしょう。

日立袈作所(以下:日立)では、この多様化 する価値観やニーズに対応し、競争力を持続的に 向上させるためには、人財のダイバーシティが 不可欠であると考えています。
ダイバーシティはイノベーションの源泉であり、 日立の成長エンジンです。人財のダイバーシティを 推進することは、性別や国籍はもちろん、異なる労働観や思考を「個性」と捉えて互いに尊重し、多様な「個性」を結集できる環境を築くことです。
そして、その優れたチームワークが組織の強みに繋がり、多様な価値観やニーズに応えられることはもちろん、新たな価値を創造できると考えています。

―現在、ダイバーシティヘの取り組みは、どのような段階になっていますか?

迫田氏:日立では、経営トップによる強いコミットメントのもと、「女性活躍支援」から「ダイバーシティ」へ、そして「経営戦略としてのダイバーシティ推進」 へと、ダイバーシテイマネジメントの範囲と質をステップアップしてきました。

1990年代から始まるフェーズ1では、同時期に育児休業に関する法整備などが進んだこともあり、女性の仕事と家庭の両立を支援。まずは、女性が結婚や出産などのライフイベントを経ても働き 続けられる環境の整備から着手しました。
しかし、進めるうちに女性への働きかけだけで解決できる問題ではなく、働き方や男性社員の意識など様々な課題があることが分かリました。

そこでフェーズ2では取り組みを加速させ、女性からダイバーシティへと範囲を拡大。社員の意識や職場の風土を改革してきました。

そして現在、フェーズ3の段階に入り、「ダイバーシティfor NEXT 100」というスローガンのもと、ダイバーシテイマネジメントを経営戦略と位置づけて推進し、多様な人財の力を経営に生かす企業をめざしています。




「フェア」と「働きかけ」の観点から女性をマネジメント

―リンクアンドモチベーションと女性の活躍に取り組んだ理由は?

塚本氏:最初のきっかけは、日立のグループ会社からの紹介でした。 話を聞いてみると、「女性」を特別視したものではなく「一人の社員」として、 どう育てていくのか。という思想をベースにおいていることがわかりました。
それは、まさに弊社の考えと合致していました。

「女性活躍推進」とはダイバーシティの実現に向けた試金石でしかありません。 弊社はモノづくりの会社ということもあり、採用は男性が多い技術系が中心です。
そういった背景もあり、組織における女性の比率は16.5%程度と、圧倒的に男性社員が多い人員構成です。

当社において、女性はまだまだマイノリティだといえます。 まずは分かりやすい女性というマイノリティをきっかけにダイバーシティマネジメントの手法を理解、習得を深めていく予定です。

逆に言えば、女性の活躍推進・ができなければ、外国籍の方のマネジメントなどは到底おぼつかなく、人財を活用して成果を出すことは難しくなります。そういう意味でも、重要なプロジェクトだと考えています。

―女性からは、どのような意見がありましたか?

塚本氏:日立では、自前で女性向けのキャリア研修やセミナーを行っています。 産休前・復職支援セミナーと題し、これから産休に入る方や育休中の方、復職後まもない方とその上長を対象に、仕事と家事育児の両立に向けたセミナーを行っています。
ただ、女性を対象にしたキャリア研修に参加するとモチベーションは上がリますが、実際に職場に戻ったときに周りの理解がなければ、やる気を失ってしまうかもしれません。制度拡充や女性本人への働きかけも、もちろん重要ですが、周囲との関係性の質を高めること、特に影響力が大きい「上司の理解が大切」だという意見が多くあリました。

そのような女性からの声を踏まえ、リンクアンドモチベーション (以下:LMI)とともに、職場の人たち、特に管理職クラスの女性に対する意識やマネジメントを変えるための研修を導入しました。

—研修を始める前、管理職にはどのような課題がありましたか?

武内氏:上司の接し方ひとつで、その女性が伸びて行くのかどうかが決まると言っても過言ではありません。やる気やモチベーションを引き出すマネジメントができれば、成果や成長に結び付きます。

しかし、最近の管理職は、負担が大きくなっています。モノを作れば作るほど売れた時代は、仕事中心にトップダウンのマネジメントでもなんとかなりました。効率性を重視した管理で成果が出たからです。 今は、急激な市場変化に対応しつつ、プレイングマネジャーとして自分自身も成果を出さなければなリません。マネジメントをする対象も女性もいれば、外国籍の方もいます 。また、男性でも育休を取リたいなど様々な価値観を持った部下たちがいます。

各々と率直にコミュニケーションが取れる関係を築き、多様な価値観を持った部下を束ね、自発性を引き出すマネジメントができなければ、充分な 成果を出すことはできません。さらに、メンバーのワークライフバランスにも配慮するとなると、大変な仕事です。その負担を、研修で習得したノウハウを通して軽減していきたいと考えました。

—具体的には、どのような研修を行ったのでしょうか?

武内氏:まず、ダイバーシテイマネジメントの目的を理解してもらいました。 ダイバーシティの試金石としての女性活躍推進は、女性のためだけの特例を定めたり、 福祉的なことを強化するものではあリません。あくまでも会社の成長に向けた経営戦略であリ、女性も含めたチームメンバの多様性を理解し、それぞれの力を引き出す組織力が会社の成長に必要なのです。そのために一人ひとりが輝き、成果を出してもらうことが目的であることを理解してもらいました。

また、当社は男性社員が多いこともあリ、上司は女性の部下に慣れておりません。 当社の社員は管理職になるときに、一般的なマネジメントスキルやチームビルディングなどを研修で学ぶのですが、同時に人権やハラスメントの防止に関する研修も受けます。
ハラスメントを深く考えるあまリ、どう関係を構築し、どう育成すればいいのかを悩やんでいる管理職も多いと思います。

しかし、これでは女性の能力を引き出せません。そこで、女性に多く見られる考え方や1頃向を示した上で、どのように対処すべきかなど一歩踏み込んだマネジメントを学んでもらいたいと研修を実施しました。

さらに研修を通して女性の部下を持つ管理職同士でお互いのマネジメントの悩みを共有したり、他の人のマネジメントを参考にしてもらうことも目的でした。




女性への取り組みを生かしダイバーシティを加速

―受講者からは、どのような感想を受けていますか?

迫田氏:受講した管理職からは「仕事を続ける上で女性が何を考えているのかが分かった。また、女性・男性というジェンダーではなく、一人ひとリに向き合うことが大事だということを学んだ」「日々のマネジメントを通じたコミュニケーションの重要性に気づいた」などと前向きな感想をもらいました。
これからもこの取り組みは続きますが、女性が活躍しやすい職場環境への第一歩と評価しております。

LMIとの取り組みは、当初は女性の部下がいる男性上司向け」としてスタートしましたが、今では「多様な価値観を持つ部下マネジメントプログラム」の一つとして、
男女を問わずマネジャーの研修として取り入れている部門もあります。
本プロジェクトは、グループ会社である日立化成から始まり、日立製作所へと広がってきました。

そして現在は、グループ各社からも参加しています。
企業文化を変えていくのには時間がかかリますから、ダイーバシティはー朝ータには実現しません。例えば、現在育児休暇を取得したい若手男性社員は7割以上にも上るという調査結果もあリます。一昔前、仕事一辺倒の男性管理職から見たら隔世の感があるでしょう。

このようなプライベート観労働観のジェネレーションギャップも、働き方を含めてダイバーシティの取り組みの中で相互に理解していかなければならないと考えています。
しかし、地道な取り組みを重ねていくことで、一人ひとりが企業成長の原動力になると考えています。
今後も歩みを止めず、着実にダイバーシティを推進していきます。


※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。




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