OJTとは?メリットやデメリット、意味ややり方を徹底解説
新入社員の育成手法として良く用いられるOJT(On-the-Job-Training)。 単に「指導役をつけ、実業務を共にしていれば、新入社員は育成されるものである」 と考えていると、思わぬ落とし穴にはまることもあります。
本記事ではOJTの意味・成り立ちや、効果的なOJTのポイントを紹介します。
▼【新入社員育成のポイント】が分かる資料はこちら
目次[非表示]
OJTの意味・成り立ちとは?
■OJTの意味
OJTとは、On-the-Job-Trainingの略です。企業内教育手法の1つであり、従業員が先輩社員と共に実務を行い、 フィードバックを通じて仕事で必要なスキルやビジネスマインドなどを伝えます。
具体的には、営業同行や工場実習、資料作成など、手法は業界や職種により多岐にわたります。 実業務を通じた教育のため、企業特有の仕事に必要なスキルを身に付けやすいという特徴があります。
■OJTの成り立ち・歴史的背景
OJTはチャールズ・R・アレンが1917年に提唱した「4段階職業指導法」が源流とされています。
(※参考:Allen, Charles R (1919). The instructor, the man and the job. Philadelphia London, J. B. Lippincott company)
第一次世界大戦で、アメリカが軍員を大幅に増やしその軍員をいかに早く指導するかに重きを置いた結果、この指導方法が生まれたといいます。
4段階職業指導法とは「Show」「Tell」「Do」「Check」の4つの段階があります。
Show:やってみせる
Tell:教える
Do:やらせてみる
Check:指導する
OJTはこの4段階を基本のステップとしています。
20数年後の1942年~45年、アメリカで第2次世界大戦中に4段階職業指導法を企業内研修に発展させる動きがありました。そうして生まれたのが「TWI研修」です。
(※参考:『TWI活用の手引き JI―監督者訓練技法の自習と活用のために 仕事の教え方』厚生労働省職業能力開発局著)
TWI研修とはTraining Within Industry for supervisors の略称とされ、軍で運用されていた指導法を、管理職の為に企業用に改良したものです。TWI研修とは以下5つのプログラムで構成されています。
JIT(Job Instructor Training ― 仕事の教え方)
JRT(Job Relations Training ― 人の扱い方)
JMT(Job Methods Training ― 改善の仕方)
JST(Job Safety Training ― 安全作業の行い方)
PDT(Program Development Training ― 訓練計画の進め方)
日本では、欧米の経営手法や研修等を模索していた高度経済成長期時代にこのTWI研修が輸入されました。 そして、この研修が後に体系化されたものが日本におけるOJTの基本になったのです。
先述したような源流となる歴史的な指導法や日本におけるOJTの基本方法を実践する上で、より効果的な人材育成を実現する考え方があります。それはコルブ(D.A Kolb)の「経験学習理論」です。
(※参考:中原 淳「経験学習の理論的系譜と研究動向」)
経験学習とは、自分が実際に体験したことから学びを得ることを指します。 経験学習理論では、一度経験するだけではなく、その経験をもとに学びを得て、次に活用するプロセスが重要としています。
そのプロセスを「経験学習型モデル」と呼んでいます。 経験学習型モデルとは、「経験→省察→概念化→実践」という4段階により構成されています。 このサイクルを繰り返すことで、人は成長していくと考えられています。
- 経験:一度自ら体験することを指します
- 省察:体験した出来事を振り返ることを指します
- 概念化:振り返りから得た学びを誰でも使えるようにノウハウ化することを指します
- 実践:その持論を元に次回実際に試すことを指します
このような4段階プロセスが、人材育成には効果的だと言われています。
OJTの目的
OJTの成功に向けては、部署内で、共通の目的をもって進めることが重要です。
目的➀:即戦力の育成による業務効率化
OJTにおいては、実際の業務を行いながら、スキルを習得し、不明点等あればその場で解決をすることが出来ます。そのため、若手の即戦力化につながりやすく、その後の育成コストが削減されます。OJTに力を入れることによって、業務効率化につながると言えるでしょう。
目的②:コミュニケーションによる不安解消
OJTは、OFF JTとは異なり、実際に業務を行うOJT指導担当者が少人数で指導をすることがほとんどです。コミュニケーションを密にとることができるため、若手の不安解消につながると言えるでしょう。特に、在宅勤務が主流となり、職場の関係性が希薄化している現代において、OJTは、組織活性化に向けて大きな効果を発揮すると言えます。
目的③:職場への定着率と個々の成長
OJTにより職場の関係性が良くなると、OJT対象者が、「得意な仕事は何か」「つまずきやすいポイントは何か」を未然に察知することが出来ます。そのため、若手とのコミュニケーションが活性化し、活躍に向けた丁寧なサポートを行うことができます。つまり、若手の職場への定着率と成長を後押しすると言えるでしょう。
リンクアンドモチベーションでは、OJTトレーナーにとって重要な観点と必要なスキルを習得できる研修プログラムをご用意しています。詳細は以下のページをご覧ください。
OJTトレーナー・メンター研修とは?メリットは?効果的な進め方や育成のポイントを解説
OJTとOFFJT(OFF-JT)の違い
OJT(On-The-Job-Training)とよく比較されるものとして、OFFJTがあります。OFFJTとはOff-the-Job-Trainingの略称です。
OJTは、先述した通り「上司や先輩が実務を進めながら実践的に部下や新入社員に教える」といった育成方法を指しますが、OFFJTとは「実務と離れ、座学等で知識を身につけさせる」育成方法を指します。
大きな違いとしては、「実務の場にいるか否か」です。 OJTは実務の場にいながら実践的に育成するのに対し、OFFJTは実務から離れて研修を行い育成をします。
OFFJTの研修の具体例としては、新入社員であれば「ビジネスマナー研修」、管理職レイヤーであれば「マネジメントスキル研修」等があります。 最近では「グローバル人材開発研修」のようなものを実施している企業もあります。
▼OFF JTに関する記事はこちら
OFF JT とは?OJTとの違いと研修方法を解説
OJTとメンター制度の違い
少人数で新入社員を育成する際に果たすべき役割は、「業務支援」「精神支援」「内省支援」の3つがあると言われています。
OJTは上述のとおり、先輩社員が実務を通して新入社員に実践的な指導をおこなう育成手法で、主に「業務支援」と「内省支援」の役割を担っています。一方、メンター制度とは、先輩社員(メンター)が相談役となり、新入社員(メンティ)のキャリア形成や精神面に関するサポートをおこなう制度で、主に「精神支援」の役割を担っています。基本的に、直属の上司ではない他部署の先輩社員などがメンターになります。メンティは人事評価などを気にすることなく、自分のキャリアや職場の人間関係など業務以外のことも含めてメンターに相談することができます。
OJTの大きな目的は、新入社員に業務スキルを習得させて早期に戦力化することです。これに対し、メンター制度の狙いは、新入社員の早期離職防止や定着促進にあります。新入社員が早期離職する原因の一つに「悩みを相談できる人がいない」というものがありますが、まさに「悩みを相談できる人(メンター)」をそばに置いてあげるのがメンター制度の特徴です。
OJTのメリット
■メリット①:実務を通じて仕事を覚えられるため効率的に育成できる
OJTは実務を通じた育成のため、現場で本当に必要とされているスキルに沿った育成が可能です。
そのため、学んだことを実業務に活かしやすいというメリットがあります。業種ごと、職種ごとに必要なスキルを開発できることがメリットとしてあります。
■メリット②:個人の能力に合わせ柔軟な育成ができる
OFFJTのような集団で受講する研修とは異なり、対象者一人ひとりに合わせた育成が可能です。
個人の能力開発の状況に合わせた育成が可能となるため、進捗を柔軟にコントロールすることができます。対象者のレベルにばらつきがある場合に有効だと言えます。
■メリット③:教える側にとってもプラスに働く
多くのOJTの場合、対象者に対して指導担当者がつきます。指導担当者側も対象者の育成を通じて、能力をより深めることができるほか、後輩指導やマネジメントにも活かせるスキルを開発することができます。
対象者だけではなく指導担当者も育成できることがメリットになります。
■メリット④:社内の関係性を深めることができる
対象者と育成担当者は、先述したような振り返りを通じたコミュニケーション頻度が高まります。
特に、社内に知り合いが少ない新入社員育成にとっては、先輩社員との関係を深めることで、スキル面以外の不安や悩みなども打ち明けやすくなります。
新入社員が職場に馴染みやすい関係を構築できることも、副次的なメリットと言えるでしょう。
■メリット⑤:コストを抑えられる
育成が社内で完結するため、外部にコストを払わずに育成することができます。
一方で、金額的なコストは抑えられるものの、育成側の社員の稼働コストは増加するため、 OJTで開発すべき能力と、OFFJTで開発すべき能力を切り分けて考えることがポイントです。
■メリット⑥:採用力の強化にもつながる
OJTが十分に機能をするということは、即戦力が育つ環境が創れている証拠です。採用において、「当社に就職をすることが成長につながる」ことを魅力として伝えることができるため、人的資本経営が注目されている中、優位に採用を進めることが出来るでしょう。
OJTのデメリット・課題
■デメリット①:ただの放置になってしまう場合がある
OJTの効果は育成担当者の関わり度合いに依存することが多く、 育成担当者の業務の繁閑によって能力の開発度合いにばらつきが生まれることがあります。
特に繁忙期になると、育成担当者が通常業務を優先してしまい、 対象者が放置されるといったこともあり得ます。
■デメリット②:個人の成長度合いにばらつきが生じる場合がある
一律で行う研修と異なり、個人に合わせた育成がなされるため、成長度合いにばらつきが生じる場合があります。
成長度合いにばらつきを生じさせる原因としては、先述の育成担当者の業務の繁閑や後輩指導レベルの差、また、対象者のポテンシャルやスタンスによるものがあります。
■デメリット③:育成担当者に負担がかかる
育成担当者にとっては、通常業務に追加して後輩指導が加わる形になります。 対象者と共に業務を進めることもあるので、一律に負担増とは言えないこともありますが、育成の負担が増えることを上長や職場に理解してもらうことがポイントです。
OJTに向いている業務・向いていない業務
■向いている業務①:ルールが確立されている業務
業務の進め方がルール化されている場合、高度な判断などを求められないため、OJTによる研修効果を高めやすいといえます。ルール化された業務の場合には、マニュアルなどがあると、研修効率を高めることができます。
■向いている業務②:パターン化できる業務
ルール化とまではいかなくても、業務の進め方をパターン化できる場合も同じくOJTによる研修効果を高めやすいです。 この場合には、パターン分けの判断基準をすり合わせることが求められます。
■向いていない業務①:イレギュラーが発生しやすい業務
進め方などを型にしにくい業務はOJTには向いていません。対象者に教える範囲が広大、かつ体系的に整理しにくいため、 育成側も対象者も能力開発にはかなりのコストを要することになります。
■向いていない業務②:属人性の高い業務
あの人にしかできない、と言われるような属人性の高い業務もまたOJTには向いていません。 育成できる人が限られるほか、育成したい内容も言語化しにくいため、 OJTによる研修効果を高めることは難しいでしょう。
OJTに必要な期間とは?
繰り返しになりますが、OJTとはOn the jop trainingの略であり業務全てをOJTと捉えることができます。一方、多くの企業では、新入社員育成のために本人や周りの意識を「業務」だけでなく「育成」にむけるべく、「入社後1年間」を敢えてOJT期間と呼んでいる場合があります。
大量採用が行われていた時代では、「とにかく早く即戦力化する」ことが求められていたため、3か月~半年と設定していた企業が多かったのですが、現在は人材の希少性も高まっており、「時間をかけてでも、しっかりと独り立ちさせる」ことに注目が集まっています。
OJTの進め方-基本はPDCAサイクル
■PDCAの各項目で行うこと
OJTトレーナーがOJTを進める上では、PDCAを回していくことが重要です。
これは、育成担当と対象者だけではなく、OJTそのものに対しても同様です。
対象者と育成担当の間では、
Plan:取り組む業務の手法の検討やスケジューリング
Do:計画を元に業務を実行する
Check:実行した業務を振り返る
Action:次回取り組む際に意識すべきポイントをすり合わせる
をもとにPDCAを回していくことが重要ですが、 育成担当側は対象者の状況を見て、適宜育成手法を変えることがポイントになります。 ここでは、「シチュエーショナルリーダーシップ」の考え方と共に、育成手法を紹介します。
これは、あるタスクを上司が部下に渡すときの状況(シチュエーション)に応じてマネジメントの仕方を変えなければならないという考え方です。
縦軸はタスクの難易度です。横軸はそのタスクに対する部下の認識です。 この2軸で整理すると、上司から部下への関わり方を「教える」「励ます」「任せる」「正す」と整理できることが分かります。
教える⇒励ます⇒任せる⇒正すの順番はとても大切です。
それぞれの意味は以下の通りです。
- 教える:具体的に手順を教えること
- 励ます:対話を意識して励ますこと
- 任せる:自由と責任を与えて任せること
- 正す:間違いを指摘して正すこと
実際の現場でよく起こっている事例を話しましょう。
例えば、ミスをしてしまった部下に対して「なぜミスをしてしまったの?」と指導してしまうようなケースです。 実はその部下はまだ「教えられていない」段階かもしれません。
つまり上司が「教える」をまだできていなかったかもしれないということです。
そう考えると、この場合では「厳しい言葉をかける」ではなく、まず業務を具体的に「教える」方法から指導することが大切でしょう。 指導者は、常にこの指導方法で教育をすることで、OJTをより効果的に進めることができます。
▼PDCAに関する記事はコチラ
PDCAとは?PDCAサイクルの重要性、よくある失敗例と対策方法を解説
▼【新入社員育成のポイント】が分かる資料はこちら
■OJTのチェックシート
OJT全体のPDCAを回していく際には、 下記のチェックシートを元に振り返りを行ってみると良いでしょう。
(※参考:日新税理士事務所「新卒者の早期戦力化を目指す効果的なOJTの進め方」)
【P】1 OJT期間における新卒者の成長の目標が記載されている
【P】2 OJTの実施計画が作成されている
【P】3 適切なOJT担当者が選出されている
【P】4 OJTの実施計画がOJT担当者・上長間で共有されている
【P】5 OJT担当者・上長は新卒社員研修の実施状況・内容を把握している
【D】6 OJT期間中、OJT担当者・新卒者間の定期的なコミュニケーション機会が担保されている
【D】7 OJT担当者に指導方法に関する教育機会や手引きが与えられている
【D】8 OJT担当者間で、OJTの進め方にばらつきが無い
【D】9 OJT担当者間で育成に関する情報が共有されている
【D】10 OJT担当者以外の社員にも、新卒者育成に関わる機会がある
【C】11 OJT期間中、OJT担当者・新卒者・上長間で定期的な振り返りの機会がある
【C】12 状況に応じて、OJTの実施計画が更新されている
【C】13 上長はOJTの実施状況を把握している
【C】14 OJT担当者の活動へ、フィードバック(評価含む)が行われている
【C】15 上長はOJTの重要度を認識している
【A】16 計画策定時、及び振り返り時は、新卒者に求められる行動が具体的に示されている
【A】17 求められる行動の方針がOJT担当者・上長間で共有されている
【A】18 OJT実施計画に基づき、実績が「見える化」されている
【A】19 OJTの終了条件が明確にされている
【A】20 次年度に向け、新卒者研修・OJTの高度化が行われている
※14項目以上のYesであれば、OJTの仕組みが上手くまわっていると言える
OJTトレーナーに求められることとは
OJTトレーナーとは、なんとなく新人の面倒を見る役割ではなく、新人の成長サポートをする役割です。OJTが担っている「業務支援」「内省支援」の役割を果たせるか否かは、OJTトレーナーに委ねられています。
ここでは、OJTトレーナーが着実に新人の成長をサポートする役割を担うために、ぜひ意識していただきたい「ストレッチ」「リフレクション」「エンジョイメント」の3つの力をPDCAサイクルに紐付けながらご紹介します。
・ストレッチ
ストレッチとは「挑戦する力」のことで、業務支援の役割を果たす上で大切な力になります。業務のPlanをする際に、できそうな仕事だけでなく、頑張らなければ達成できないような高い目標設定を行い、新入社員に挑戦させることで能力を引き上げることが重要です。
・リフレクション
リフレクションとは「振り返る力」のことです。内省支援の役割を果たす上で大切な力になります。業務のcheckをする際に、成功・失敗の要因やより良い解決方法などを新入社員自身に考えさえることが重要です。
・エンジョイメント
エンジョイメントとは「楽しむ力」のことです。精神支援の役割を果たす上で大切な力になります。主にOJTトレーナーに求められる役割は「業務支援」と「内省支援」の二つですが、在宅勤務が主流となった現代において、密にコミュニケーションを取れるOJTトレーナーの存在は新人にとって貴重な存在です。メンターの役割も包含されている場合はもちろん、そうでない場合もぜひ精神支援の役割をも意識してみてください。
業務のPlanを新人に伝える際や業務のCheckをする時、次回取り組む際に意識すべきポイントをすり合わせるActionの時などには、新入社員に仕事のやりがいや達成感を得てもらえるような関わりをすることが重要です。
ワクワクしながら仕事を楽しめる人材へと導いていきましょう。
一方、これらはあくまで一般論です。
OJTトレーナーを務める際は、ぜひ前項でご紹介いたしましたシチュエーショナルリーダーシップの考え方をも大切にし、新人の状況を見て適宜育成手法を変えることを心掛けましょう。
OJT制度成功のためのポイント
■ポイント①会社全体で育成体制を構築する
OJTは対象者と育成担当者だけで完結するものではありません。OJTを成功させるポイントとして会社全体で育成体制を構築する必要があります。
OJT対象者ばかりに目が行きがちですが、育成担当者に上述のようなシチュエーショナルリーダーシップの考え方を学んでもらうなど、育成担当者を育成する仕組みも重要になります。 OJTは育成対象者の力量で成否が分かれると言っても過言ではありません。
OJTとOFFJTで育成する内容の切り分けることや、育成対象者研修を実施するなど 会社全体で育成体制を構築することが、OJT成功のための1つのポイントと言えるでしょう。
▼【組織の見える化】に関する記事はこちら
組織を「見える化」「可視化」するメリットとその効果は?
■ポイント②個々の傾向を捉えてコミュニケーションを変える
対象者のタイプによって、コミュニケーションの手法を変えることもポイントです。 人にはコミュニケーションの癖があります。その癖を理解しているかどうかで、 育成担当者と対象者の関係性は大きく変わります。
対象者のタイプによってコミュニケーションの方法を変える「タイプ別コミュニケーション」の考え方が重要です。 弊社では、人のタイプは4つに分かれていると考えています。
- アタックタイプ:高い目標に向かって主体的に動きたいタイプ
- レシーブタイプ:他人のために頑張ることで大きな力を発揮できるタイプ
- フィーリングタイプ:自由な発想から物事を感覚的に捉えようとする指向タイプ
- シンキングタイプ:客観的な視点を持ちたいという思考を持つ論理的指向タイプ
対象者のこういった特性を把握し、コミュニケーションの質を変えていくことが重要です。 例えば、アタックタイプなら「1位を獲るためにがんばろう」という言葉を伝えたり、シンキングタイプなら「なぜこうしなければいけないのか」を詳しく伝える等、コミュニケーションの質を変えます。
対象者のタイプに応じてコミュニケーションを取ることで、部下はより能動的に業務に取り組むことができます。
■ポイント③ワークショップなどを取り入れ学習定着率を図る
OJT指導担当者向けのトレーニングの中に、ワークショップなどを取り入れることで、学習定着率を向上させることが出来ます。特に、「実際に対象者に起こりやすいケース問題」を用いたトレーニングを行うことによって、効果を最大化することが出来ます。
■ポイント④OJT指導担当者への支援を怠らない
OJT指導担当者を束ねる管理者の存在が必要不可欠です。部署内のOJT指導担当者複数名と管理者でのミーティングを設け、日々の問題をシェアすることによって、組織としてOJT指導担当者のサポートを行っていくと良いでしょう。
OJTを行う際の具体的な指導の流れ・手順
OJT制度を設計する際の具体的な指導の流れ・手順についてご説明します。
OJTは、以下の6つのステップで進められるのが一般的です。
■ステップ01:育成対象者把握
まずは、OJTの育成対象者の現状を把握することからスタートします。新卒・中途の違い、職種や経験、知識やスキルなどによってOJTのプログラムは変わってきます。育成対象者のことを正確に把握することで、一人ひとりに合った目標・計画のもとでOJTを進めることができます。
■ステップ02:OJTの目標設定
次に、OJTの目標設定をおこないます。目標設定では、会社が求める人物像と現場が求める業務遂行能力をうまくすり合わせることが重要です。「どんな人材になってほしいのか?」というOJT後の理想の人物像から逆算して、習得すべきマインドや知識・スキルを設定しましょう。
■ステップ03:OJTトレーナーのアサイン
OJTの成否のカギを握るのがOJTトレーナーです。OJTトレーナーは持ち回りなどで決めるのではなく、対象者を目標達成へと導くために最適な人物をアサインしましょう。経験の乏しい従業員をOJTトレーナーにアサインする場合は、OJTトレーナーをサポートする役割を配置することも重要です。
■ステップ04:OJTの計画立案
OJTの計画を立案します。対象者の現状や目標を加味して、プログラムの内容や実施スケジュールなどを決めていきます。新入社員を早期に戦力化できるに越したことはありませんが、OJTトレーナーに負担がかかりすぎる計画ではいけません。OJTトレーナーの通常業務にも配慮して計画を立てましょう。
■ステップ05:OJTの実践
OJTの計画に沿ってプログラムを実践していきます。「Show(やってみせる)」「Tell(説明・解説する)」「Do(やらせてみる)」「Check(評価・指導する)」の4ステップで実践するのが一般的です。
・Show(やってみせる)
OJTトレーナーがお手本となって実際に業務をやってみせることで、業務の流れや全体像を把握してもらいます。最初に全体像をつかんでもらうことで、後の工程での理解がスムーズになります。
・Tell(説明・解説する)
業務の内容を細かく説明していきます。単に方法を説明するだけでなく、目的やゴールを意識できるように説明しましょう。また、疑問点をそのままにさせないことも重要です。分からないことがあれば、プログラムの流れを中断してでも随時質問してもらうようにしましょう。
・Do(やらせてみる)
実際に対象者に業務をやらせてみます。
・Check(評価・指導する)
業務のやり方や成果物を確認して、できていたこと・できていなかったことなどをフィードバックします。できていなかったことに関しては、その原因や改善点・アドバイスも含めてフィードバックしてください。できていたことに関しては、きちんと認める・褒めることで対象者のモチベーションを高めましょう。
■ステップ06:フィードバック
OJT実践中のCheck(評価・指導)とは別に、対象者にフィードバックをする時間を設けましょう。毎日の終業前でも、週に1回でも構いません。フィードバックの場では、事前に設定した目標やスケジュールの進捗から「現在地」を確認するとともに、改善すべきポイントやより力を入れるべきポイントについて認識を合わせます。
まとめ
職場が業務を行うだけでなく、OJTを通じて人材育成を行っていくための場として重要度が高まっていくと考えています。
職場において上司が部下にどのように関わるかで部下の成長は決まってきます。 ご紹介した手法や考え方を参考にして頂き、自社にあったOJTのやり方を確立していって頂ければと思います
OJTに関するよくある質問
Q:OJTはどのくらいの期間が良い?
OJTの期間は企業によって異なりますし、育成対象者の職種やレベルなどによっても変わってきます。短い場合は数日~1週間程度の企業もありますが、半年~1年など長期間のOJTをおこなう企業もあります。新卒社員を対象にしたOJTは、4月の入社から翌年3月まで1年かけておこなう企業も少なくありません。一般的に、新人が戦力化するまでには3ヶ月はかかると言われるため、3ヶ月をOJT期間の目安にするのが良いでしょう。
Q:テレワーク環境でOJTを成功させるポイントは?
テレワーク環境におけるOJTでは、対面時以上にコミュニケーションが重要になります。オンラインコミュニケーションツールを駆使して、密なコミュニケーションを図りましょう。また、社内Wikiや動画マニュアルを活用することで、より効率的・効果的なOJTをおこなうことができます。
テレワーク環境下では新入社員の状況を細かく観察するのが難しいため、できるだけ毎日フィードバックの時間を設けるようにしましょう。また、仕事の進め方や習熟レベルをこまめに確認するためにも、課題やワークを細かくコンスタントに設定するのがおすすめです。
▼OJTに関する記事はコチラ
OJTとは?OFF-JTとの違いやメリット、指導方法のコツを解説
▼【新入社員育成のポイント】が分かる資料はこちら