リクルーター制度の目的とは?導入・強化のポイントを解説
新型コロナウィルス感染拡大により、多くの企業において採用プロセスの見直しが行われています。採用プロセスのオンライン化により、「これまでイベントで伝えていた人や風土の魅力が伝わらない」という課題が見受けられるようになりました。
この課題を受け、企業様より「イベントではなくリクルーターを通じて自社の魅力をより深く伝えることができないか」という相談をいただきます。この記事では、リクルーター導入の目的から、オンライン時代における適応方法についてご説明させていただきます。
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そもそも「リクルーター」とは何か?
■「リクルーター」の役割
現在多くの企業において、リクルーターが導入されていることかと思います。多くの企業では、学生との面談を通じて、自社についての情報提供をするという定義のもと導入されていることかと思います。
しかし「リクルーター」と一言でいっても、その役割は企業によって異なります。リクルーターを大きく分類するのであれば4つに分けられます。
- プロモーター:学生との接点を作り、興味喚起によって自社への接触を促す
- インパクター:自社の魅力を語り、動機形成を通じて、競合を上回る共感を生むスキル
- クローザー:競合と迷う学生を、双方向コミュニケーションを通じて、決断を促す
- メンター:応募者と一定期間接点を持ち、就職活動の指南を通じて自社へと導く
「リクルーター」という一つの言葉であっても、学生の状態に合わせて果たすべき役割が異なります。そのため協力を仰ぐ局面によって、何を期待するのかを明確にすることが重要です。
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■「リクルーター」に共通して求められる要件
様々な役割があるリクルーターですが、どの役割であっても学生はその社員を「その会社の代表」として見ます。そのためリクルーターは学生からそのように見られているという前提を持ったうえで、「会社の魅力を心の底から訴求し、学生を感化する」というスタンスで臨むことが重要です。
リクルーター制度を導入するメリット
リクルーターは、学生たちに対しての面談を通じて動機付けを行いますが、その制度が導入されることで大きく3つのメリットがあります。
■見極めのズレが少なくなる
志望動機や選社軸などの表面的な言葉だけでなく、過去の原体験など学生ひとりひとりの情報を深く知ることができるため、アセスメントにおけるズレを抑えることができます。
■現場の声として動機付けすることが可能
昨今の学生の傾向として、人事から提供される情報は受け止めつつ、その内容が本当かどうかをOpenworkなどの口コミサイトなどで「裏を取る」ということが当たり前になってきています。
そのため、社員からの面談という学生に取って信頼性の高い情報チャネルから動機付けを行うことができます。
※一方で、その内容について社員が心から思えていない状態で訴求をすると、学生に見抜かれ、 結果的に学生の志望度を下げることに繋がるため注意が必要です。
■既存社員のエンゲージメントの向上
弊社では「採用活動は最大のモチベーション向上施策である」としています。
既存社員の多くは目の前の仕事をこなすことに集中してしまい、仕事の意義ややりがいについて改めて考える機会を持ちにくいものです。しかし採用活動に関わる中で、改めて自分自身の志望動機を思い返し、仕事の意義ややりがいについて考え直すことが求められます。
そのプロセスの中で、仕事のやりがいを改めて再認識することに繋がり、自社へのエンゲージメントが向上することに繋がります。
特に、リモート化が進み「コロナ離職」という言葉が新たに生まれましたが、自身の仕事に意義を感じる機会を提供することで離職率低下にも好影響を与えることが期待できます。
リクルーター制度が注目される背景
リクルーター制度についての説明をしてきましたが、なぜ今注目する必要があるのでしょうか、 大きな変化のトレンドとして下記の3つが挙げられます。
■オンライン化
採用形式がオンラインへとシフトしていく中で、これまでのような「ヒト」による魅力伝達ではなく「ファクト」による情報提供の重要度が向上しました。
その変化に合わせて、リクルーター制度もただ学生に魅力的な社員が情報提供する場ではなく、学生に対して戦略的に情報提供を行うことで感化を行う場として設計することが重要になりました。
■採用通年化
採用数も多く、人気企業でもある「日立製作所」や「パナソニック」など企業が通年採用へとシフトを始めています。そのため学生ごとの就活のステータスのばらつきは拡大することが予想されます。
同時期であっても、学生ごとに対応が異なるため、その個別性へ対応する形でリクルーターの役割設計をすることが求められます。
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■買い手市場化
有効求人倍率が1.03倍を記録し、本格的に買い手市場へと移行することが予想されており、その不安により学生は多くの企業へのエントリーを行います。
そのため自社への入社にむけた意思決定をするためには、これまで以上に多くの企業を受けているという前提を持ったうえで学生に対して動機付けをすることが求められます。
※参考:日本経済新聞「9月の求人倍率1.03倍に低下 非正規123万人減」
リクルーター制度を実施する上でのポイント
リクルーター制度は、採用環境の変化を踏まえてこれまで以上に戦略的に実施することが重要になります。リクルーターの戦略的設計において重要になる観点は「ターゲット(誰に)」「メッセージ(何を)」「アプローチ(どのように)」の3つです。
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■誰に:面談を行う学生はどのようなタイプか
学生の大学や所属団体などの肩書だけではなく、学生の価値観・キャリアイメージ・想定競合をもとに分類すること
■何を:学生にどのような内容を伝えるか
学生のタイプ分類ごとに、訴求するメッセージとその根拠となるファクトを整理すること
■どのように:どのように入社意思決定まで導くか
学生のタイプ分類ごとに、どの社員といつ接触をさせ、どのように伝えるのかを設計すること
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これらを整理することで、リクルーター活動の内容が明確化することができ、 面談を通じての採用効果を高めることができます。
リクルーター強化において必要となるスキル
リクルーターは誰にでもできる活動ではありません。適切に社員に対してスキルを付与した上で、 リクルーターとして活動してもらうことが重要です。
■網羅的に相手の情報を引き出すスキル
近年学生の辞退理由において「両親の反対」が存在感を増していますが、本来はリクルーターが学生だけでなくその周辺も含めた網羅的な情報収集が行えていれば、その多くは未然に防ぐことができます。
「今」だけでなく「過去~未来」、「個人」だけでなく「周辺」という網羅的に情報を引き出すことが求められます。
■相手の判断軸を把握するスキル
学生は意識的にせよ、無意識的にせよ自分自身の判断基準に沿って企業選定を行います。そのためリクルーターは、情報を引き出すだけではなく、その情報からどのような価値観・志向性を持っているのかを予測・把握することが求められます。
■相手に合わせて感化するスキル
情報を引き出し、学生の判断軸を知ったところで実際に学生を自社に入社するように感化することができなければ元も子もありません。そのため、学生の判断軸に対して、新たな観点を示すなど自社を選ぶことを後押しするようなコミュニケーションが求められます。
記事まとめ
リクルーターの役割から、昨今の採用市場の変化を踏まえて対応すべきポイントについて説明をいたしました。戦略的にどうするべきかに比重をおきましたが、全ての社員がリクルーターとして活動できるほどに、自社について魅力的に語れるようになることが最も望ましい状態です。
自社のエンゲージメント向上と採用成果の向上の両側面から、リクルーター制度について考えることで最も高い効果を得られるのではないでしょうか。
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