メンターとは?
メンターの意味や役割、制度のポイントを解説




「メンター」と聞くと「新人/新規入社者のお世話役」、「業務指導をする人」等思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし「メンター」の役割は多岐に渡ります。この記事ではそんなメンターの役割、メリット、制度導入のポイント等徹底解説します。


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メンターの意味とは?どういった人を指す?

そもそも「メンター」とはどのような意味なのでしょうか。

「メンター」とはギリシアの詩人ホメロスが書いた『オデュッセイア』に登場する「Mentor(メントール)」を語源として持ちます。メントールは古代ギリシア王室で王子の養育者として活躍しただけでなく、オデュッセウスが戦場で危機に面した時、勝利に導く助言をしたことでも有名です。

そんな語源を持つ「メンター」ですが、現代では「助言者」「教育者」「指導者」という意味で頻繁に使われており、
ビジネスの場では「新入社員や中途入社者の指導者」という意味で使われています。

参考記事:人事評価制度の教科書 メンターとはどういった人を指すのか?メンターの役割と必要とされる理由

メンターの意味

上記の語源から現代の企業では新規入社者の日々の指導や成長のサポートを目的に人材育成施策のうち一つとして導入されたメンターですが、会社によっては「OJTリーダー」「チューター」「コーチ」等呼び方や関係性が異なります。この記事では「メンター」に統一して記載します。

メンターの役割

さて、ここまでメンターの語源や意味を解説してきましたが、ここからは具体的にメンターの役割に関して具体的に説明をします。

メンターの役割は大きく分けて4つあります。

 業務指導:日々の業務の中で分からないことを教えたり、相談に乗る
 精神支援:気持ちに寄り添い前向きになる考え方ができるようサポートする
 内省支援:社会人としての持つべき「スタンス」を身につけさせ、内省を促すサポートをする
 エンゲージメント強化:上記3つを指導するうえでベースとなる信頼関係の構築する




■メンターの役割 ①業務指導

業務指導は比較的個別性、専門性が高く、メンター本人の知識や経験に基づく指導が求められます。これは、日々の業務の中で学ぶものと分類しています。

■メンターの役割 ②精神支援


これはメンティーに対する「モチベーションマネジメント」とも言い換えることができます。
メンティー本人の特性や気持ちの変化に想いを馳せ、よりよいコミュニケーションを促す支援です。メンティーは新しい環境ということもありモチベーションの上がり下がりを経験します。

その変化を適切に捉え、望ましいタイミングとコミュニケーション方法でアプローチすることが求められます。

■メンターの役割 ③内省支援

これはメンティーに対する「スタンスチューニング」と言い換えることができます。メンティーが日々の行動/言動において社会人/チームメンバーとして受け入れがたい行動/言動を取った際に適切に正す支援のことを指します。

メンティー本人の成長のために、失敗や反省を迎合し慰めるだけではなく、しっかり正しい方向に導くために耳の痛いフィードバック等もしなければなりません。

■メンターの役割 ④エンゲージメント強化

これは「メンターや組織とメンティーの間の相思相愛度合の強化」を指します。人事領域で使う「エンゲージメント」は、従業員の愛社精神や企業に対する愛着、相思相愛を表します。

従業員と企業が一体となってお互いに成長し合い絆を深める関係をイメージするとよいでしょう。メンティーが所属する組織に対するエンゲージメントを高めるため、メンターは影響力を発揮し、組織に対する存在意義や、組織に対する貢献実感、成長実感を促す必要があります。

メンターは組織の中でもメンティーに一番近い存在であり、影響力は大きいと言えます。だからこそしっかりとメンターとして求められている役割認識を促し、メンティー個々人に合ったコミュニケーションや育成をできるよう、育成をしていく必要があります。

メンター制度

■メンター制度とは?

上記でも述べましたが、メンター制度とは、豊富な知識や職業経験を持った社内の先輩(メンター)が、後輩(メンティー)に対して、業務指導のみならず、精神支援や内省支援、そしてエンゲージメント強化といった幅広い支援活動を行う制度のことを指指します。

日々の業務の中でメンターとメンティーはペアになり、日々の業務を通して支援をしたり、受けたりします。

■メンター制度が広まった背景

このようなメンター制度ですが、組織の中で若手の離職防止や安心感を与える関係性の構築のための制度として、近年さらに注目されるようになってきました。広まった背景として挙げられるのは主に2つです。

①メンター制度が広まった背景 ①職場内の人間関係の希薄化

仕事とプライベートを切り分けたり、個人を重視する考え方が多くの組織/ビジネスパーソンに広まったことにより、チャットやメールでのコミュニケーションが主流となりました。

また近年の新型肺炎の蔓延により、リモートワークが推奨され、その動きは加速化しつつあります。結果、社員同士の対面や直接的なコミュニケーションが少なくなり、人間関係が希薄化しつつあるということです。

②メンター制度が広まった背景 ②ロールモデルの不在

上記にも述べている個人重視の文化が定着し始めたことにより、キャリアの考え方、捉え方も個人によって異なるようになってきました。キャリアの自由度が増したことで、個人が「将来の自分像(理想やキャリアパス)」を描きにくくなっており、ロールモデルの重要性が高まってきています。

上記のように、昨今重要視される考え方による組織内の関係性の希薄化やキャリアの多様化によるロールモデルの不在により、メンター制度の重要性が高まりました。

参考:厚生労働省 メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル

■メンター制度を導入する目的とは?

このような背景により注目度が増すメンター制度ですが、導入する目的は組織や企業によって様々です。
以下に主な例を4つ挙げます。

メンター制度を導入する目的 ①新入社員/中途入社者ができる限り早く職場になじむため

新規入社者が職場の雰囲気や文化に早い段階から溶け込むことを目的にしています。

この場合、メンターは初めての環境で戸惑うことも多い新規入社者に対し、一番近くでこれから所属する組織のいろはを教える存在と認識されています。

メンター制度を導入する目的 ②若手社員の離職防止

近年問題視される若手の早期離職を防止する存在年て認識されている場合が多いです。

退職面談で「対象者がそこまで追い込まれているとは人事側も把握していなかった」等、突然の退職リスクを低減するため、メンターが早期に離職のシグナルをキャッチする存在として活躍することが期待されています。

メンター制度を導入する目的 ③女性社員活躍の推進

メンター制度が広まった背景にも結びつきますが、女性社員の活躍を促すためのロールモデルとなる人をメンターとして配置します。近年注目されている女性管理職率や産後復職率等を引き上げるための施策として注目されるパターンです。

メンター制度を導入する目的 ④メンター本人の今後の成長のため(次期管理職育成の一環)」

こちらはメンター本人に対する期待と捉えることができます。メンターとして後輩/部下を持つということは、マネジメント経験の疑似体験にもつながるので、まずは目の前の1名のマネジメントから体験させるという意味を持ちます。

このように企業がメンター制度を取り入れる目的は様々であり、上記で挙げた4つの理由以外にもあります。どの理由も企業の組織力向上、生産性向上、成長機会等につながる目的だと捉えることができます。

メンター制度のメリットとは?

メンター制度は現在自身が担当する業務以外に行うという観点から、業務過多、評価に反映されない等多くの不安要素を含むものだと思います。

しかしながらメンター制度のメリットは実に多様です。メンター側(メンタリングする側)、メンティー側(メンタリングされる側)どちらにとっても良い施策と言えることができます。

以下を意識し、メンター制度を自組織に合った方法で取り入れることが必要だと考えます。

■メンター側(メンタリングする側)のメリット

メンター側(メンタリングする側)のメリットとして挙げられるのは「メンター本人の成長」や「組織力向上」に紐づくケースが多いです。例えば、以下のような具体的なメリットが挙げられます。

メンター側のメリット①指導力向上の機会

メンター制度では、個人的なキャリア形成の悩みから、場合によってはプライベートの悩みも含めて相談にのる可能性があるため、メンターにはコミュニケーションスキルや関係構築スキルが求められます。

これらの能力は、別の機会で後輩指導を行う際にも、将来的にマネ―ジャーになり部下をマネジメントする立場になった際にも必要な能力です。

メンターとして話し方・聞き方を工夫しながらコミュニケーションをとることで、コミュニケーションスキルと関係構築スキルが向上し、結果として業務における指導力やマネジメント能力の向上を期待できます。

メンター側のメリット②自身のキャリアの棚卸機会、今後に向けた成長機会

メンターになることは、メンター自身のキャリアの棚卸の機会としても活用できます。メンティーの悩みに対してアドバイスするためには、メンター自身が今まで経験してきた成功体験や失敗経験を振り返る必要があります。

その振り返りがメンティーに対するフィードバックに活用できるだけでなく、メンター自身の強みや成長したポイントに気付くきっかけにもなります。

また、改めて自身の今までのキャリアを言語化することで、どこが転機だったか、今自分がキャリア上のどの段階にいるかも認識することができ、結果としてメンター自身のモチベーション向上やキャリアアップを意識するきっかけになることもあります。

■メンティー側(メンタリングされる側)のメリット

メンター経度はメンター側だけにメリットがあるものではありません。メンティー側(メンタリングされる側)にとってもメリットがあり、主に以下の点が挙げられます。

メンティー側のメリット①内省支援による成長加速

メンターがいることで、他者と面談を行う時間が確保されているため、メンティーは自分自身の状態を振り返る機会が定期的にあります。

その結果、自身の傾向や課題を言語化し、メンターからフィードバックを受けることで学びが抽象化されていくことで新たな行動の変化に繋がるという、経験学習サイクルを定期的に回すことができます。

メンティー側のメリット②職場への帰属意識の向上

メンターがいることで、メンティーには「いつでも気軽に相談できる相手がいる」という安心感を醸成することができます。その結果、悩みを抱え込みにくくなるので、会社に馴染みやすくなったり居心地の良さを感じることが期待できます。

メンティー側のメリット③先輩の知識の吸収

メンターがいることでメンティーは知識の吸収ができるということはいうまでもありません。近くに業務経験が豊かな先輩がいることで、今まで学べなかった効率的な仕事の進め方、知らなかった業務内容等幅広くメンティーは身に着けることができます。

また分からないことがあった時にはすぐに聞きに行ける存在という観点でも、メンティーの心の支えとなる場合があります。

参考:メンター制度とは?導入のメリットと効果的な指導を解説

メンター制度を導入するまでのステップ

メンター制度導入にあたってはただ単に任命すれば良いというわけではありません。なぜならば役割認識やメンティーへの関わり方が属人的になってしまったり、それによりメンター制度が形骸化してしまう恐れがあるからです。

メンター制度を効果的に実施するためには、個々人の能力の違いやメンター/メンティー間の相性、日々の業務等考慮しなければいけないことが多くあります。

また、個々人のレベルや能力に合わせたメンター制度を実施するためにもしっかりとサポート体制を築く必要があります。その観点からメンター制度を実施する上でのステップ、その方法について解説します。

メンター制度におけるステップは大きく分けて4つあります。

①メンター制度の立案、および広報
②メンターの任命
③メンター/メンティーのマッチング
④メンター育成

上記4つのステップを以下に解説します。

■ステップ①「メンター制度の立案、および広報」

メンター制度はまず、立案のステップでその目的や方法等を決める必要があります。そして広報のステップでは各部署に対し「メンター制度」の発表とメンターに任命する本人を選んでほしい旨を伝え、協力してもらえるよう合意形成を促すことが必要です。

目的や役割の策定に関して解説します。導入される際の目的は、早期離職の防止、女性社員の就業年数、企業風土の構築の一環などが挙げられますが、企業によって課題は様々です。

離職率や定着率などのデータや、現場の課題感をヒアリングすることで適切な目的を設定しましょう。

また、メンターの役割についてはどんなことが求められているのかを明記する必要があります。

各部署に任せるという方式を取ってしまうと、部署毎に上手く行く所とそうでないところに差が出てしまったり、メンター本人の役割認識に差が出てしまうため、一定人事側で定める共通の役割認識を持つと良いでしょう。

次に広報です。広報は文字通り、各部署に対してメンター制度の目的や役割、そしてメンターの対象となる人の任命を依頼する文書等を広報することです。その際に重要になるのが文書等で広報するだけではなく、しっかりと合意形成を促すことです。

どのような目的で実践し、メンターに期待していることは何か、各部署/組織にどのような影響があるのか等をしっかり伝えるようにしましょう。

■ステップ②「メンターの任命」

次にメンターの任命です。これは組織規模によっては各部署が行う項目になるので、そのポイントをお伝えします。任命フェーズにおける一番のポイントはメンターに「期待」を伝えるということです。

「メンター側(メンタリングする側)のメリット」でもお伝えしましたが、メンター制度はメンター本人の「成長機会」となるため、本人にとっても大変重要な機会となります。

しかし、メンターに任命される本人は今までの業務に加え後輩育成という業務が追加されることになります。メンター自身の業務負担や精神負担も考慮しながら、本人に対する職場からの期待やメンターとしての役割を伝え、背中を押すというということが必要になります。

■ステップ②「メンターの任命」

次に「メンター/メンティーのマッチング」です。これは人事主体で行う場合と各部署主体で行うケースがありますが、どちらもポイントは共通しています。

マッチングにおけるポイントは2つあり、「関係性」と「性格」です。以下で解説をします。

メンター/メンティーのマッチング ①関係性

関係性には2通りあります。各部署/自チーム等の直属の関係性にするか、他部署/チーム外の斜め上の関係性にするかという2通りです。「メンターの意味」で解説したように、前者を前者を「OJTトレーナー」、後者を「メンター」等異なる役割と捉える場合もあります。

しかし、どちらにするかは各社の組織風土に合わせる方が良いので、ここでは2通りのメリット/デメリットに関してお伝えします。

直属の先輩のメリット
・業務アドバイスに基づいて内省機会も担保できる(新規入社者の悩みは業務から生まれることが多い)
・比較的同じスケジュールで動くので合わせやすい

直属の先輩のデメリット
・関係性で悩みが出たときに打ち明けられない
・関係性が万が一悪化してしまった場合、業務にも影響を及ぼす可能性がある

斜め上の関係のメリット
・業務で関わらないので業務上の悩み、直属の先輩の悩みも話しやすい(新規入社者の悩みは業務から生まれることが多い)
・関係性が万が一悪化してしまった場合、業務に関する影響が比較的少ない

斜め上の関係のデメリット
・業務で関わらない分、対象者に対してアドバイスできる範囲が限られてしまう
・予定を把握しにくい場合もあり面談等が定期的に行えないこともある

上記を踏まえた上で、各社に応じた関係性でマッチングができると有効です。

メンター/メンティーのマッチング ②相性

相性は把握しにくい部分になるため軽視されがちですが、上記の関係性と同じくらい重要な要素となっています。人間の特性上、合う/合わないが存在するのは事実なので、できる限りメンター/メンティー間でも相性の良いマッチングを実現することが重要です。

リンクアンドモチベーションでは、マッチング、育成の方向性等を定めるための相互理解ツールとして「BRIDGE」を提供しています。メンター/メンティーのモチベーションタイプや強み/弱みを可視化する性格診断ツールです。

メンターとメンティーの性格にミスマッチが起こらないようマッチングの段階では関係性、相性を意識する必要があります。

ステップ④「メンターの育成」

最後に「メンターの育成」のフェーズです。よく、「メンターを任命したものの、現場にまかせっきりになっている」、 「1時間ほどでメンター向けの説明会を実施したが、それ以降フォローができていない」というお声をよく耳にします。

現場への役割委譲やガイダンスの実施は勿論大切なのですが、任命後介入をしないとメンターの役割認識やメンティーへの関わり方に差が出てしまったり、メンター制度そのものが形骸化してしまう恐れがあります。

「メンター側(メンタリングする側)のメリット」でもお伝えしたように、メンター制度は本人の成長機会にもつながるので、育成施策の一環として捉えたほうが良いでしょう。

その観点を踏まえると、メンター育成においてはガイダンス、現場での実践に加え、実践した上でのナレッジの共有も含めたフォローや実際にメンターとして過ごしてみてどうだったのかという振り返りの機会を設けることが必要です。

以下に育成のステップ例を記載します。

事前育成(役割認識、期待値設定)※ガイダンス等で代替可

現場での実践

経過報告会 ※研修等をイメージ

振り返り ※メンターとしてのナレッジ化等を目的とした施策をイメージ

上記のステップを通してメンター制度を型化、次の年にも継承していくことで役割認識の属人化や制度の形骸化を防ぐことができます。

リンクアンドモチベーションでは、以下のようなスケジュール感で施策の運用のお手伝いをさせていただくケースが多々あります。

上記のメンター育成施策の中で重要になってくるのが、赤枠で囲っている「経過報告会」と「振り返り」です。

「経過報告会」では、各メンターの状況の報告と「メンターの役割」でも取り上げた 「内省支援」、「精神支援」に関するスキル研修を行います。

メンティーとどのように関わるべきなのかという役割理解の促進に加え、 実際にどうコミュニケーションを取っていくべきなのかというコミュニケーション設計が、今後のメンターのスキルアップに向けても大切になります。

「振り返り」では、メンター制度のまとめとして行う共有会や報告会、研修などを指します。

例えば次年度のメンター候補者に向けた「メンティーあるある集」や「メンターナレッジブック」を作成したり、 次年度のメンター制度設計に向け振り返り会を実施したりします。これにより、個人の知識として蓄積されるだけでなく、 組織知として蓄積できるので、今後のメンター育成にも活用できます。

リンクアンドモチベーションでは「途中経過報告/必要知識、技術の体得」の一環としてメンター研修を活用しています。
精神支援」や「内省支援」の心構えや手法を学ぶプログラムを実践することで、
メンター本人がどうコミュニケーションを取るべきなのかという手法の実践までサポートをさせていただいています。


記事まとめ

いかがでしたでしょうか。こちらの記事ではメンターの意味や役割、そのメリット、 そして実際にメンター制度を導入する上でのステップやポイントを解説しました。

各社の組織風土に合うメンター制度を導入することが組織の活性化や職場の関係性向上に結びつきますので、是非活用していただければと思います。

著者プロフィール

  

木藤 綾佳

【プロフィール】
リンクアンドモチベーション入社。以降、大手企業向けのコンサルティング部隊に所属。
営業企画として人材育成サービスに関するマーケティング施策に携わる。

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