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VUCA(ブーカ)とは?生き抜く方法と必要なスキルを解説


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目次[非表示]

  1. 1.VUCAとは?
  2. 2.VUCAの時代でも活躍できるビジネスパーソンになるための方法
  3. 3.「OODAループ」 VUCA時代に不可欠な思考法とは
  4. 4.VUCA時代に対応できる企業や組織になるためには?
  5. 5.記事まとめ


VUCAとは?

VUCAとは社会やビジネスなどあらゆるものを取り巻く環境が変化し、将来の予測が困難になっている状況のことを意味する造語です。

Volatility:変動性」「Uncertainty:不確実性」「Complexity:複雑性」「Ambiguity:曖昧性」の4つの予測が困難な要因の頭文字から成ります。

VUCAは元々は軍事造語でした。冷戦終了後、国際情勢は複雑化し、そんな国際情勢を示す用語として、1990年代ごろから米軍で使われはじめました。

VUCAというワードが浸透するきっかけとなったのは2016年のダボス会議です。ダボス会議にてVUCAという言葉が使われ、世界的にVUCAという言葉が浸透しました。

■Volatility(変動性)

Volatilityは日本語で変動性を意味します。Volatilityに大きく寄与している要因は近年のIT技術の急速な発展です。テクノロジーの進歩により、社会の価値観や仕組みなども大きく変化しています。

2010年代にスマートフォンが普及してからはスマートフォン上でプレイできるソーシャルゲームが台頭し、一世を風靡したことが記憶に新しいですが、すでにピーク時に比べ売上は半分ほどになってしまっています。

テクノロジーの進歩により顧客ニーズの変化の速度が加速しており、結果、サービスの短サイクル化も進んでいます。これにより、ビジネスの世界では先の見通しを立てることはとても難しくなっています。

■Uncertainity(不確実性)

Uncertaintyは日本語で不確実性を意味します。インターネットの急速な進化、パンデミック、少子高齢化、気候変動など不確実性が大きい現代において、その全てを予測し、対策を取ることは極めて難しいといえます。不確実性が大きい状況では、売上計画などビジネスの見通しを立てるのが難しくなります。

例えば、近年では「地球温暖化による気候変動」が加速しており、各国、各企業は対応を求められています。中でも顕著にメディアにも取り上げられているのは「脱ガソリン車」の動きです。

イギリスではすでに2030年までにガソリン車の販売を禁止することが決まりましたし、日本でも2030年代半ばまでにすべての新車発売を電気自動車にすることを検討しています。数年前までは考えらなかったことですが、まさに現代の不確実性を表していると捉えられます。

■Complexity(複雑性)

Complexityは日本語で複雑性を意味し、さまざまな要因や要素が複雑に絡み合うことで、解決策を導き出すことが難しいことを指します。これまではある国で成功したビジネスモデルや商品、サービスを他国の市場に持ち込むだけで成功することもできました。

しかしグローバル化とインターネットの急速な進化により、企業がグローバル市場に打って出るハードルは下がりましたが、ある国での成功事例を他で転用しようとしても、ローカル独自の要因により、単純な解決策を導き出すのが難しくなっています。

例えば、Uberなどに代表される配車サービスが世界的なスタンダードとなる中、日本ではまだまだ発展途上です。この背景には「日本ではタクシードライバーになるためには資格が必要」という日本独自のルールが背景にあります。

海外では免許さえあれば、誰でもドライバーとしての申請が可能で、これによって配車サービスビジネスは拡大が可能でした。しかし、日本にそのまま、同じビジネスモデルを持ってきても、上手くはいきません。このように、1つの地域での成功=ほかの地域での成功ではないのです。

■Ambiguity(曖昧性)

Ambiguityは日本語で曖昧性を意味し、ビジネスを取り巻く環境が急速に変化し、問題に対する絶対的な解決策が見つからない曖昧な環境を指します。さまざまな要素が絡み合い、インターネットの急速な普及やグローバル化により、世の中は驚くようなスピードで変化しています。

そんな社会において、問題や課題に対する絶対解を導き出すことは極めて困難ですし、過去の成功をもとに正解を生み出すことも困難です。試行錯誤を繰り返し、問題の本質と自社の強みを探り続けることが重要になってきます。

例えば、富士フィルムは20年前までは「写真フィルム」の会社でしたが、今は「ヘルスケア・プリンティング」の会社へと変貌しました。

テクノロジーの進化により、写真フィルムの市場が縮小することを見越し、自社の強みを再認識、新たな市場に参入したのがヘルスケア事業であり、自社の強みであった画像システムをさらに進化させて成功に至っているのがプリンティング事業です。

このように、曖昧性が強い現代においては、自問自答を繰り返し、試行錯誤を繰り返し、問題の本質と自社の強みを探り続けることが重要になってきます。

■政府の動き

2019年の3月に経済産業省が発表した「人材競争力強化のための9つの提言(案)~日本企業の経営競争力強化に向けて~」ではVUCAが大きく取り上げられています。その内容を簡単にご紹介いたします。

提言では、日本では現在、3つの大きな変化が押し寄せていると書かれており、3つの変化は以下の通りです。

①グローバル化:国内市場だけでなく、世界市場における競争へ
②デジタル化:既存事業の陳腐化が加速し、VUCAでも競争力を発揮できる柔軟かつスピーディな対応が必要
③少子高齢化と人生100年時代:社会で活躍する期間が長期化することにより、個人のキャリア意識が向上


上記にある通り、今、日本企業はVUCA時代においても発揮できる競争力が求められており、変革の時を迎えています。 それでは変革のために、企業と個人は何が求められているのでしょうか?

そのカギとなるのはミッション・ビジョン・バリューの実現に向けた企業文化変革と人材の育成・発掘・獲得だと経済産業省は提言しています。

(参考:人材競争力強化のための9つの提言(案))

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VUCAの時代でも活躍できるビジネスパーソンになるための方法

それではVUCA時代において、活躍できるビジネスパーソンになるためにはどのような素養が必要なのか。
本章では3つの人材要件をご紹介します。

■ビジョンを持つ

1つ目はビジョンを持つことです。

VUCA時代では将来を予測することが難しく、変化に対して柔軟に適応する必要があります。その際に「ビジョンをしっかりと持っているか」次第で、一貫した対応ができるか否かが変わってきます。

ビジョンがない場合、変化に流され、その場しのぎの対応を繰り返す悪循環に陥ることになってしまいます。

また、自分個人としてのビジョンだけでなく、組織としてのビジョンを持つことも大切です。

これまでも企業理念やミッション・ビジョン・バリューは重視されてきましたが、VUCA時代においてはこれまで以上にビジョンを明確に持ち、共有することが大切です。ビジョンを明確にし、視界を一致させることで、組織として目標のためにとるべき行動や意思決定が可能になります。

またリーダーや経営トップは企業としてのビジョンとメンバー個々人のビジョンを結び、個々人のモチベーションをあげることや充実感を感じてもらうことも大切です。

組織と個人のビジョンを一致させることで、より変化にスピーディに対応できる強い組織をつくることに繋がります。

(参考)ミッション・ビジョン・バリューとは?事例や浸透させる方法

■決断力と行動力

2つ目は決断力と行動力です。VUCA時代では前例のない問題などが発生することも多く、これまで以上に決断力と行動力が求められます。最善の決断をするためにも、情報収集を積極的に行い、ビジョンを踏まえ、スピーディに決断を下す必要があります。

また、その決断が正しかったか否かで一喜一憂するのではなく、その後のやりきる力(行動力)も重要です。まさに「選択と集中」をすることがVUCA時代のビジネスシーンにおいて重要だと言えるでしょう。

また、石橋を叩くように、計画を検証することに時間をかけすぎるのではなく、まず実行をしてみることも重要です。計画を検証している時も刻一刻と環境は変化しています。PDCAサイクルではなく、OODAループ(後述)が重要だとされているのはこのためです。

■情報収集を積極的に行う

VUCA時代ではグローバル化、デジタル化などの影響により、ビジネスが置かれている環境が急速に変化します。そのため、常に情報取集を行い、変化に対してアンテナを張っておく必要があります。

自社の蓄積されたデータやナレッジのみだけではなく、様々なニュースについて情報収集し、新しいことを学ぶことが変化に的確に変化する上では重要です。情報収集する際にはインターネットだけではなく、情報のソースを複数持つことで、変化を的確に把握することが可能になります。

「OODAループ」 VUCA時代に不可欠な思考法とは

本章ではVUCA時代必携の思考法「OODAループ」をご紹介いたします。従来のPDCAサイクルのP:Planが機能しない場面がVUCA時代では増えていることから、「OODAループ」が提唱されました。

綿密に計画を立ててから行動に移す「PDCAサイクル」は業務改善などに適したフレームワークであるのに対し、「OODAループ」は的確な状況判断に基づく迅速な実行を目的としたフレームワークです。そのため、VUCA時代では「OODAループ」を基に意思決定を行うのが望ましいとされています。

■「OODAループ」の4ステップ

OODAループは以下の4ステップで構成されています。

ステップ①「Observe(観察)」:市場や顧客といった外部環境を観察し、データを収集する
ステップ②「Orient(状況判断)」:収集したデータを基に、現状を把握する
ステップ③「Decide(意思決定)」:具体的な方針やアクションプラン策定する
ステップ④「Act(実行)」:決めたことを迅速に実行する


OODAループとPDCAサイクルの大きな違いは臨機応変にステップを飛ばすことができることと、サイクルを回し終えるまでの時間が短いことです。この2つの特徴により、短期間で変化に対応することができるのがOODAループがVUCA時代に指示されている意思決定フレームワークである理由です。

VUCA時代に対応できる企業や組織になるためには?

VUCA時代を生き抜くために、企業や組織はどう対応していけばいいのでしょうか。本章ではVUCA時代における日本企業の課題とそれに対する2つの施策をご紹介します。

■日本企業の課題

VUCA時代ではグローバル化、デジタル化、少子高齢化などの影響により、日本企業が置かれている環境も急速に変化しています。特に、少子高齢化による労働人口の減少が、これからより一層深刻なることが見込まれます。

上記の要因により、市場のニーズや個々人の価値観は複雑化・多様化しており、絶対解を見出すことは極めて困難です。「変化に晒される側なのか、変化を起こす側なのか」日本企業は今変革の時を迎えています。

①リーダー育成

リーダー育成はVUCA時代以前から重要とされていましたが、素早い意思決定が求められるVUCA時代においては、より一層迅速に決断・対応できるリーダーを育成する必要があります。

情報収集を積極的に行い、市場や顧客のニーズに気づき、ビジネスを成功に導くリーダーの重要性はこれまで以上に増していきます。

そのためには、従来の内部公平性を重視した育成体系ではなく、変革を起こすことができる人材を早期から登用し、育成することが求められます。

長期間の育成ではなく、メリハリのある育成体系によって、計画的にミドルリーダー層を育成する必要があります。

これを実現するためには

①経営トップが人材育成が最重要アジェンダだと認識する&投資を決めること
②人事ビジネスパートナーの機能を強化すること

の2点が求められます。

②人材マネジメントの刷新

グローバル化、デジタル化、少子高齢化などの影響によりこれまでの人材マネジメントが通用しなくなってきいます。

これまでは終身雇用と新卒一括採用による相互拘束関係を前提とした雇用システムが日本企業のスタンダードでしたが、VUCA時代においては多様な人材を活用できる人材マネジメントが求められます。

多様な人材を受け入れ、尊重し合う組織風度や雇用システム、評価制度を構築することが、VUCA時代において変化を生み出すためには極めて重要です。

例えば評価制度ですが、従来であれば化の最重要目的は公平性でした。しかし、これからの時代ではより柔軟な目標設定や評価基準が求められます。

さらには実効性のあるフィードバックを定期的に、高頻度で行うことで、パフォーマンスの向上や個々人の成長感を醸成し、組織に対する貢献意欲を生み出すことが必要です。

また、柔軟な人材制度や社員の再教育、自律的なキャリア支援施策などはタレントマネジメントシステムの導入などで対応することも可能です。

記事まとめ

VUCA時代と呼ばれる現代において、将来を予測することは極めて困難です。だからこそ個々人はビジョンを持ち、情報収集を行い、意思決定をする必要があります。OODAループを活用し、変化に的確に対応することも重要です。

また、日本企業は「変化を起こす側」に立つためにも、リーダー育成や人材マネジメントの刷新に着手することが、変革の第一歩となるでしょう。

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S.H
S.H
【プロフィール】 リンクアンドモチベーション入社。リンクグローバルソリューション出向。 以降、大手企業向けのコンサルティングに従事。 「グローバル人材開発」「次世代リーダー育成」「グローバル理念浸透」を主な専門領域とし、 数多くの業界の企業様にコンサルティング経験を持つ。

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