新入社員が主体的に成長しキャリアを歩んでいくために欠かせない研修だった

株式会社クレハ

生産・技術本部 労政部
遠藤 慶一郎 氏
岡坂 菜摘 氏
事業内容

<NEWクレラップ>をはじめとする家庭用品、食品包装材、高機能材、医薬品、農薬、工業薬品など、多岐にわたる製品を製造・開発。

企業規模

4,271名 (2023/03期 連結), 1,655名(2023/03期 単体)
導入サービス

ビジネススタンス基礎理解研修

ビジネススタンス基礎実践研修

ビジネススタンス応用研修

課題

  • これまでの新入社員研修においても企業人としての土台となるマインドを重視した教育を企画していたが、実態としてスキル習得が中心の内容となっていた。

  • これまでの新入社員研修は達成感や成長実感を得る機会が限定的であり、受講した新入社員の納得感も満足できるものではなかった。

効果

  • 「相手基準で考える」「企業人として、価値を『受け取る側』ではなく『与える側』になる」といった、学生マインドから企業人マインドに切り替える大きなきっかけになった。

  • 「理解→実践」のステップを踏んだ研修の仕様により、成功体験を積みながら企業人としてのマインドを体感することができた。

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NEWクレラップをはじめとする多岐にわたる製品を創出

「事業および部署の概要」

岡坂氏:
株式会社クレハは当社およびグループ会社30社、関連会社6社で構成され、機能製品、化学製品、樹脂製品の製造・販売を主な事業内容とし、<NEWクレラップ>をはじめとする家庭用品、医薬品、工業薬品など多岐にわたる製品を創出しています。

私たちは人事部門として、人財育成や採用を通して現場の円滑な組織運営を支えることを使命としています。

納得感を高めるためのアプローチを模索していた

「新人育成の課題と研修導入の背景」

岡坂氏:昨年までの弊社の新入社員研修には大きく3つほど課題がありました。

一つ目が、本当の意味で深く企業人のマインドを身につける研修ができていなかったことです。例年、新入社員研修ではマインド面を重視していたのですが、スキル面に興味を示す新入社員が多かったこともあり、研修全体としてマインドよりもスキル・知識の方が印象に残りやすい内容になっていました。新入社員研修は、やはり企業人としての土台をつくる研修であるべきなので、マインドの確立に力を入れていかなければいけないと考えていました。

二つ目が、受講した新入社員の納得感が薄いと感じたことです。新入社員としてのあるべき姿について伝えてはいましたが、個々の新入社員に自分自身の現状を理解してもらう機会が少なかったので、当事者意識が持ちづらく、納得感が得にくい研修になってしまっていたのかなと思います。また、達成感や成長実感を得る機会が限定的になっていたという反省もありました。ですから、「楽しい」「ワクワクする」「おもしろい」といった感情を喚起できて、受講者がもっと前のめりになることができる研修にしたいという思いがありました。

三つ目が、キャリア観のベースになる考え方について十分な理解を促せていなかったことです。

研修期間中には先輩社員との交流・社内講義を通して「どんな経験も自分の糧にするんだ」「信頼を積み上げることで自分が望むキャリアを築けるんだ」といった考えを学ぶ機会は設定していましたが、十分に理解させることはできていませんでした。さらに、御社のi-Companyにあるような「信頼醸成は自身のキャリアのためにも大切な考えである」といった考え方についても伝えきれていなかったため、目の前の仕事に意味を見出せずモチベーションを上手くコントロールできないケースもあったのかなと思います。

※ご参考:i-Companyの考え方について
個人の自主・自立意識の醸成に効果的なのが「i-Company」という考え方です。
i-Companyとは、自分自身をひとつの「株式会社」として捉え、その市場優位性を発掘していく考え方です。自社の経営理念や技術力、市場ニーズ等を、自分自身の「やりたいこと」「やれること」「やるべきこと」の3つの輪で整理し、その重なりを大きくしようとすることで、自主・自立的にビジョンを描き、成長していこうという姿勢を身に付けることができます。

「i-Company」の考え方が弊社の課題感とマッチしていた

「リンクアンドモチベーションの研修を導入した理由」

岡坂氏:リンクアンドモチベーションさんの研修を選んだ大きな理由は、御社が掲げている「i-Company」の考え方が弊社の課題感とマッチしていたからです。

新入社員には、仕事を楽しみながら、自分のやりたいことを実現してもらいたいと思っていますが、会社という組織にいる以上、自分軸で動くのではなく、まずは周囲の信頼を獲得していかなければいけません。キャリア観を形成する前提として、新入社員には信頼獲得の重要性や仕事に対する向き合い方を認識してほしいと考えていたので、御社の「i-Company」の考え方を聞いたときは、本当におっしゃる通りだなと感じました。

また、受講者に個別にフィードバックをいただけるのも大きなポイントでした。弊社は新入社員の人数が多いので、どうしても研修のフィードバックが全体的なものになりがちでした。そのため、個々の受講者が「自分ごと」として落とし込めず、それが納得感を高めづらかった部分でもあったと思います。

「相手基準で考える」「価値を与える側になる」といった意識が芽生えてきた

「研修の成果」

岡坂氏:今回は3.5日の期間で新入社員研修を実施していただきましたが、全体として、学生マインドから企業人マインドに切り替える大きなきっかけになった研修だったと感じています。「信頼」というキーワードを随所に入れ込んでいただいたこともあり、「まずは信頼を得なければいけないんだ」というメッセージは十分に伝わりました。

また、研修初日から終盤まで、御社が設定されている「STARの観点」と、弊社が独自で設定している企業人のマインドとの関係性を繰り返し説明いただいたお陰で、「弊社として新入社員に身につけてもらいたいマインド」を「STARの観点」を通じて新入社員に深く理解させることができました。

研修終了後も「STARの観点」を口にしている新入社員が多く、研修で理解したことを自分の中で噛み砕き、仕事で実践していこうという気持ちが出ていたのではないでしょうか。

特に、「相手基準で考えるんだ」「価値を与える側になったんだ」という意識が芽生えていたのを感じました。

弊社の新入社員研修は全体として約1ヶ月のプログラムで構成しており、最後に研修の振り返りを全員の前で発表してもらう場があります。その際も、「相手目線で仕事をしていきたい」「自分が価値を与え、信頼を得ながら活躍していきたい」などと宣言していた新入社員が多かったので、「研修を通して企業人としてのマインドが醸成されたんだな」と嬉しくなりました。

※ご参考:「自ら考え、判断行動できる人材」になるための「STARの観点」について

 

リンクアンドモチベーションの研修はアプローチのフィット感・納得感が高い

「リンクアンドモチベーションの研修の価値」

岡坂氏:研修中は、受講者が想像以上に前のめりに取り組んでいる姿が印象的でした。弊社は製造・技術・研究部門に配属となる新入社員が大半です。研修の一部は、顧客への営業を例題とした内容であったため、営業職ではない新入社員にもフィットするのかと若干不安があったのですが、全く問題なく、全員「自分ごと」として取り組んでくれていたと思います。

遠藤氏:私が印象に残っているのは、研修でできなかったことや苦手だと感じたことをしっかり受け止めて、「ここをもっと高めていかなければ」というように、ポジティブに内省していた受講生が多かったことです。研修の感想を聞いてみても、ほとんどの新入社員が「大変だったけど楽しかった」と答えてくれました。だからこそ、ポジティブな内省で終えることができたのだと思います。

また、研修中に講師の方が細かくフォローをしてくださいました。新入社員の様子を注視して、「ちょっとついていけそうにないな」という人がいたら、その都度、声をかけていただいたことも、新入社員の納得感を高めるうえで効果的であったと感じています。

岡坂氏:弊社の新入社員は高卒、高専卒、大卒、院卒、博士卒が混ざっており、例年、「別々に研修をしたほうが良いのではないか」「全員一緒に行うべきではないか」という議論があります。今年は御社と打ち合わせをした結果、一緒に行うことにしたのですが、これも良い判断だったと思っています。

研修中は、博士卒・院卒の新入社員がリーダーシップを発揮して、高卒の新入社員をフォローする場面を各所で見られましたし、高卒の新入社員からしても壁がなくなったのか、積極的に発言する場面が多く見られました。結果として、チームワークが醸成される機会にもなったと感じています。

遠藤氏:最近は新入社員の考え方や価値観が変わってきて、特に「納得していないと行動に移せない」という傾向が見て取れます。昔であれば、とりあえず上司に言われたとおりに行動してみて、その結果、上司が言っていたことの意味を理解できたり、成長できたりすることも多かったと思います。ですが、最近は「納得できない → 行動できない → 成長の機会を失う」という新入社員が多く、そこが研修をするうえで難しいポイントの一つになっていました。

御社の研修のように個別に細かいフィードバックがあれば、一人ひとりの受講者が自分の強み・弱みをしっかり理解できるので、それが納得感につながります。納得すれば行動もできますし、結果として成長にもつながっていきます。その意味でも、アプローチはすごくフィットしていましたね。

岡坂氏:今回の3.5日という研修期間もすごく良かったと思っています。最初の半日間は、もともと御社の研修には含まれていない内容で、カスタム対応で設けていただきました。この半日間で「i-Company」の概念などを教えていただきましたが、最初に新入社員目線でキャリアについて考える時間を取ることができたのが良かったです。

2日目以降の研修の流れにも驚きがありました。私は、先に「社内での日常業務における演習」をしてから、「対クライアントの演習」をするのが普通のステップだと思っていましたが、御社のご提案はこの順番が逆で、対クライアントの演習が「基礎編」で、日常業務における演習が「応用編」になっていました。この流れもとても新鮮で、担当者として新しい気付きをいただけた部分です。たしかに、新入社員にとってはこの順番のほうがスッと理解できて、現場に出た後も実践につながりやすいのかなと思いました。

研修当日の運営に関しても、講師やスタッフのみなさんは連携を取りながら丁寧かつ迅速に動いてくださいましたので、私たちの手が空いて、研修を集中して見ることができました。新入社員の特性を見極めるという意味でも、落ち着いて研修を見ることができたのはありがたかったですね。

遠藤氏:弊社が重視していたマインドに関する研修を最初に入れていただき、その後の3日で基礎編、応用編とつなげていただけたので、理解から実践までがスムーズだったと思います。

基礎編はクライアント対応の演習なので、大半の新入社員が現場配属後は経験しません。ですから、研修内容を抽象化して、要点を抜き取って理解することが重要になってきますが、そこからまた具体に落とし込んで実践してこそ、本当に身につくものだと思います。そこに関しても応用編でより具体的・実践的な演習をしていただけたので、受講者の納得感も高まり、しっかりと身につけることができたのではないでしょうか。

技術は人から生まれるものだから、土壌である人を大切に育てたい

「新人研修にかける思い」

遠藤氏:弊社の企業理念の中には、「人と自然を大切にします」という文言がありますが、人を大切にするというところで言えば、中長期で人財を育てていくという考え方が根底にあります。

というのも、化学や素材系の技術・製品は世に出るまでに長い時間がかかります。長い時間をかけて事業を育てていくためには、人もじっくりと育てていかなければいけません。人をじっくり育て、長く活躍してもらうのは弊社のDNAとも言える考え方です。独自の技術力が強みになっている会社ですが、結局、技術というのは人から生まれるものですから、土壌である人を育てることは極めて重要であり、その出発点である新人教育も大事にしたいと思っています。

自主性・自律性を持って成長し、会社や社会に貢献できる人財へ

「今後に向けて」

遠藤氏:弊社は、今年度から新しい中長期経営計画がスタートしており、そのなかで「会社と社員の共生」というテーマを打ち出しています。会社と社員が共生していくためには、会社としては、社員の能力を引き出し、活躍してもらう機会を提供していかなければいけません。一方、社員も会社に寄りかかるのではなく、自律的に仕事をしていかなければいけません。

今までであれば、会社に指示された仕事をして、会社に言われたことを学んでいれば良かったかもしれませんが、今はそれで通用する時代ではありません。社員が自主性・自律性を持って成長し、会社に貢献し、社会に貢献していく、そのような人財を生み出していこうという方針があります。また、それが一人一人の「働きがい」にも繋がると考えています。

この方針は、御社の「i-Company」の概念と非常に親和性が高いものでした。「i-Company」の考え方を体現できる社員が増えていけば、会社と社員はきっとうまく共生していけるはずです。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。
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