事業内容 | エナジー、プラント・インフラ、物流・冷熱・ドライブシステム、航空・防衛・宇宙といった様々な分野において世界中の人々の生活を支え、産業活動の基盤となる製品の製造を行っている。 |
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企業規模
担当コンサルタント |
連結:79,974人(2021年3月31日現在) 株式会社リンクアンドモチベーション 坂口 昌規 平林 幸治 |
導入サービス | ・部長向け キャリアマネジメント講演 ・課長向け キャリアマネジメント研修 ・キャリア面談実施の際の上司向け動画及びマニュアル ・キャリア面談実施の際の部下向け動画及びマニュアル |
社員意識調査で、「若手層の成長の機会が不足している」というデータが出てきた中、「個の自立・自律」と「会社への貢献意欲」をつなぐ仕掛けが必要であるという課題感のもと、キャリアマネジメント施策を検討。カスタマイズ性のあるサービス内容と、「どうすれば自社にフィットするか」を考えぬくリンクアンドモチベーションの姿勢に魅力を感じ、導入。
「事業内容」
リンクアンドモチベーション 坂口:まずは、簡単に御社の事業内容についてお話しいただけますか。
三菱重工 辻本氏:弊社は、陸海空はもちろん、地底、海底、宇宙までを含めた、人が活動するあらゆる空間において、役に立つ製品、サービスを提供し続けている会社です。
特にエネルギー分野は弊社の柱であり、あらゆる種類の発電プラントを取り扱っており、防衛・宇宙分野では日本のリーディングカンパニーとして重要な役割を果たしています。
それ以外の分野でも、一貫して「人々の豊かな暮らしを実現する」ための製品を開発・製造、アフターサービスに取り組んでいるのが弊社の特徴です。
「事業の現状や課題」
リンクアンドモチベーション 坂口:現在感じている、事業や組織の課題感についてお聞かせください。
三菱重工 豊瀬氏:今後の事業展開においても「人々の豊かな暮らしを実現する」というミッションを追求し続けることが何より大切だと考えています。
世の中でスクラップ&ビルドやM&A等の必要性が大きく取り沙汰される中、弊社の事業ポートフォリオは過去から大きくは変わっていません。
ただ、これからの時代は、これまでとは比べものにならないスピード感、規模感で世の中が変化していくことは間違いなく、弊社も変わっていかなければなりません。
例えば弊社の柱であるエネルギー分野では、来るカーボンニュートラル社会に向けて、従来の製品を温室効果ガスの削減に貢献する製品へ転換、更なる開発を加速していく必要があります。
刻一刻と変わって行く社会課題に対し、臨機応変に対応しながら、「人々の豊かな暮らしを実現する」というミッションを追求し続ける。そのためには、今後どのような社会になっていくのか、どのような製品、サービスが必要とされるのかについて、如何に想像力を拡げることができるかが大きな課題です。
その解決の主役は当然、社員です。
「組織の現状や課題」
リンクアンドモチベーション 坂口:ありがとうございます。組織について感じている課題についてもぜひお伺いさせてください。
三菱重工 辻本氏:現在は、前回大きく改編した組織体制が曲がり角に来ているタイミングだと思っています。前回の改編では、それまでの地域軸の運営によって各地域でタコ壺化が進んだため、地域横断の事業軸体制に見直しました。責任の明確化や意思決定の迅速化等も進み、事業ごとの自立経営は成果を挙げています。
しかし、一方で異動が同一事業部門内中心となる等、別の面でのタコ壺化が進み、また、事業としての自律が進んだことは、自らが属している事業に依拠するという社員の姿勢をより強固にしてしまっているのではないかと感じています。
今般の新型コロナウイルス流行のような、全く予測できない環境変化はいつ起きるかわかりません。環境変化の結果、新たな事業へ移るかもしれない、キャリアも180度変わるということが起こる可能性は大きくなっていると思います。
そう考えると、社員一人ひとりが「自立・自律」し、常に自分で自分のキャリアを考え、動けるようになっている、上司も背中を見せるだけではなくて多様なキャリアをマネジメントできるようになっていることが必須、その実現がHR部門としては喫緊の課題だと考えています。
「導入の背景」
三菱重工 豊瀬氏:前述のような課題感から、御社にはキャリアマネジメント施策をお願いしていますが、実は最初から「キャリア施策を入れましょう」と話していたわけではありません。
もともとは前々回の社員意識調査で、若手層の成長の機会が不足している、というデータが出てきていたところから、「それってどういうことだろう」という議論をしていました。
最初は、上司部下の関係性やコミュニケーションに課題設定をしており、先行き不透明な事業も増えてきているので、もうちょっと対話を増やしていったほうがいいのかな、という議論をしていました。そんなタイミングで、たまたまご縁があり、御社の営業担当とお話ししました。
その時に、商品市場や労働市場など外部環境が変化している今、「個の自立・自律」と「会社への貢献意欲」をつなぐ仕掛けが必要である。そのためには会社へのエンゲージメントが不可欠だが、現在の弊社の若手層は、「成長機会の少なさ」を嘆き、諦め感を持っている傾向が強く、したがってエンゲージメントも高くない。
だからこそ、その会社で働く上での中長期的動機、つまりキャリア意識を高めることで、エンゲージメントを向上させ、自立的にキャリアを考えて働く風土を醸成していく必要がある。そんなお話をお伺いして、とてもしっくりきたんです。
そこから課題を「キャリアマネジメント」に設定して施策検討を始めました。2年前から議論し、形にしてきたのですが、施策が始まる直前に実施した社員意識調査でも「キャリア形成の機会の不足を感じている」というデータが出てきていたので、「やはり必要とされているのだな」と自信にもなりました。
「サービスに感じる価値」
三菱重工 辻本氏:最後までの粘り強さと、より良いものを、という意識を持って関わっていただいている、というのは非常に有難いなと思っています。
私達からかなりの量のフィードバックをお伝えしても、それを受けて修正する、という対応を何度もしていただきました。「より良いものを」というところの意識が強く、粘り強く要望に応えてくれようとする姿勢は本当にすごかったです。
三菱重工 豊瀬氏:私達が熱い想いを持ってやればやるほど、御社からも想いが返ってきて、アウトプットが高まっていく。この、「一緒に作っていく感」が強いのは価値のひとつだと思っています。
また、今回のキャリア施策は、もともとは対面で研修を行う予定だったんです。それが新型コロナウイルスの影響で全部ウェブ研修に変わりました。その時も臨機応変に対応してくださり、大変有難かったです。
三菱重工 辻本氏:実際に、研修後のアンケートでは「この研修を受けずにキャリア面談はできないなと思った」「受ける受けないでは雲泥の差」などの感想が見られました。伝えたかったメッセージが伝わっていることが分かって、私達自身、かなり感動しました。
三菱重工 豊瀬氏:研修当日の運営への評価もとても高かったです。研修を進めるテンポや、ウェブ研修ならではのテクニカルな部分への配慮など、とてもスムーズでした。研修後に実施したアンケート項目には運営面の項目もあるのですが、その項目もかなりの高評価でしたね。
「リンクアンドモチベーションへの期待」
リンクアンドモチベーション 坂口:今後、お二人が弊社に期待していることや、目指したい組織像についてお伺いさせてください。
三菱重工 辻本様:やはり、今回のキャリア施策を打ち上げ花火のようにしたくないなと思っています。
今年が施策の1年目で、研修だけでなく現場でのキャリア面談も10月からは随時始まっていきます。これを2年目以降どうやって定着させていくかは今後も考えなければならないと思っていますので、引き続きご相談しながらご支援していただければと思っています。
三菱重工 豊瀬氏:特に研修に関しては、講師やプログラムも含め、クオリティがとても高いと思っていますので、ぜひ継続してお願いさせていただきたいです。
また、私達だけでは気付くことのできない「重工らしさ」というものが良くも悪くもあると思っています。御社の目線を通して見えてくることもたくさんあると思っているので、何か課題を感じた際はぜひご提案していただけると非常に助かります。
それぐらいの信頼感を私達プロジェクトメンバーは持っていますので、引き続きお願いしたいと思っています。
「今後、実現したい組織」
三菱重工 辻本氏:今後目指したい姿としては、様々なキャリアを積み上げていく選択肢が、もっと溢れている状態にしていきたいです。気軽に新しいフィールドに挑戦できる環境という意味だけでなく、若いうちからマネジメントや部下の面倒を見る経験を積めるような仕組みにしていきたいと考えています。
現在は、かつての1社で社会人生活を全うし、“24時間戦えますか?”というワードが流行った時代から大きく様変わりし、働き方も働く人の価値観も多様性を受けて入れていくことが求められています。
この環境変化に対応しようと、その都度制度を変えても、土台が古い発想のままで変わっていないので付け焼刃でしかありません。今の働き方や多様性に合う制度にするために、一度根本から作り直し、令和の時代にあった三菱重工らしい制度を作ってほしい、と会社から人事部門に期待されています。
今の多様性のある時代に合わせて、キャリアの選択肢を広げて流動性を高めることは、事業成長にヒットする重要なテーマだと感じています。
三菱重工 豊瀬氏:キャリア施策という面では、上司と部下のお互いが成長していくことで、最終的には組織のパフォーマンスが上がっていくという状態を目指していきたいです。
現在、キャリア施策では本人に対しての自律を促していますが、自律には上司の支援が不可欠なんですよね。上司と部下の関係性が、キャリア施策のコアになっていくと思っています。上司と部下の両方が成長していかなければ、本当の意味での自律は実現できないでしょう。
本人は、上司からの支援をもらいつつも、最後は自分で考えてキャリア目標を作っていく必要がありますし、上司は「背中を見ろ」ではなくて、本人がちゃんと自立・自律してキャリアを考えられるように支援をしていく必要があります。
この両輪が回っていけば、会社の風土も変わっていくでしょうし、エンゲージメント状態はかなり向上していくのではと思っています。