お客様のニーズに応える商品やサービスを提供し続けるC社。
価格や新商品開発の競争が激しさを増す中にあって、社員一人一人が“自律”の意識を持つことが 企業成長の鍵になるとの考えからセルフコントロール研修を実施。 その導入の背景を人事部のI氏に伺いました。
弊社では、職制上のグレードに合わせて部下のマネジメントに主眼をおいた研修などを導入していました。 しかし、人材配置や昇格の関係でグレードが上がっても、必ずしも部下がいるとは限らず、 また、市場の変化に柔軟に対応できるよう、既存ブランドに頼ることなく 常に変革ができる「風土」や「個々人の意識」を構築していく必要が生じてきました。 人材育成の視点をグレードで捉えるのではなく、年齢毎に弊社として期待する姿として捉え、 長期的に社員の成長を喚起できる内容に切り替えることにしました。
そこで、「自己を振り返り自己を変える意識を醸成する」ということを目的に、 一つの転換期である30歳時にセルフコントロール研修を導入することに決めました。
弊社が製造、販売する商品には高いブランド力があります。 しかし、清涼飲料業界は価格や新商品開発の競争が激しく、 認知度の高さだけでお客様に満足いただけるわけではありません。
そこには付加価値としてのブランドに加え、サービスを行う社員一人一人の「個人としての力」も必要なのです。 ではその「個人の力」とは何か。 それは、“自律”という一言につきます。
ブランドや会社に依存するのではなく、自発的に考え、自己の価値観を持ち、 自ら行動を起こす・変えていける能力を指します。
そして、若手から中堅社員に移るターニングポイントである30歳という時期に 「現状を変えるには自分から変わることが重要である」ということを再認識することが、新たなステップを踏み出すきっかけになります。 今回の研修には、“自律”をテーマに自己を見つめ直し、目指すべきゴールを見定め、 そこに向かってアクティブに行動を起せる思考と理念の習得を期待しました。
研修のスタイルが、答えを一方的に教える座学形式ではなく、グループワークを多用し、 受講者がケーススタディを体感する中で問題点や解決のポイントに“気付き”、 そこから自分で答えを導き出す参画型であったことが、テーマである“自律”に合致していると思いました。
また、研修に対する考え方にも大変共感できました。 車の運転を例に出すと、「ドライブを楽しみ、目的地まで運転するのは運転手、つまり受講者。 目的地までの方向性を示して導くのがナビゲーター(講師)」と、研修の主役(主体)が、受講者各自であることを明確に打ち出しています。
研修自体のゲーム性も高く、集中力が自然に持続するよう工夫がされているのですが、 一番特徴的なことは、主役である参加者自身が“本気”で取り組まないとゴールにたどり着けないよう、 全てのワークに緊張感があることだと思います。
また、自分の存在価値を決めるのは自分ではなく周囲の判断であり、 グループメンバーからの客観的なアドバイスや強み・弱みの共有、及び協調することの重要性を学ぶ中で、 本気で答えを導き出した過程にも大きな意味がありました。 そして、自律を促す具体的な考え方、観点を習得できたのも良かったですね。
自分自身をコントロールする上で、身に付けるべき重要な観点は 「変えられることだけにエネルギーを注ぐ」ということです。 今回の研修で「変えられるもの」と「変えられないもの」を切り分ける思考フレームを習得できたことが、 受講者にとって一番印象的であり大きな収穫となりました。
そして、「変えられない」ことに悩むのであれば、自分が変わればいいというようにプラスに思考することの 重要性も同時に学んだようです。 また、思考を切り替える具体的なツールとして習得した「スイッチ&フォーカス」の観点も汎用性が高く、 あらゆるビジネスシーンで使えるノウハウと好評でした。
周囲に対して「このような状況になりましたが、どうしましょうか?」という受身の姿勢から 「このような問題がありますが、自分はこうしたい」という能動的な姿勢に変わり、 当事者意識を持ち、自己責任で行動するという意識が高くなると期待しています。
実際、研修終了後に「指示待ちという消極的な取り組みが、いかに非効率であったかに気付いた」 「無駄に終わってしまう努力を、あらかじめ注力すべき事柄に向けることで、モチベーションが高くなる」 というような感想が聞かれ、自分自身の意識変革に積極的に取り組んでいく決意を感じました。 “やる気”を生み出し“自律”を促進できる本研修を実施したことで、 受講者が弊社の中核としてさらなる飛躍をしてくれると期待しています。