事業内容 |
各種鉄道車両、鉄道システムおよびそれら部品の設計、開発、製造、修理ならびに販売および賃貸借に関する事業 |
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業種 |
輸送用機器 |
企業規模 |
1001名〜2000名 |
導入サービス |
管理職研修 |
非ライン長の管理職は、役割上マネジメントは任されていないが、実務を担いつつ部下を指導しており、事実上マネジメントが必要となるケースが多いが、非ライン長へのマネジメントスキルの教育機会が不足していた。
管理職として期待される役割を理解し、「業務のマネジメント」だけでなく、「人のマネジメント」にも目を向け、部下の力を引き出し、組織力を高めることができる人を育成する必要があった。
マネジメントについてしっかり学んだ人がライン長に昇格するというルートができた。
業務をマネジメントするだけでなく、人のマネジメントにもフォーカスできる管理職が増えた。
「事業および部署の概要」
奥田氏:弊社は、2021年10月に川崎重工業から分社化して設立された鉄道車両メーカーです。「ものづくりと技術革新への挑戦を続け、安心の日常と感動の未来を約束します」という企業理念を掲げ、昨年、新たなスタートを切りました。事業内容は鉄道車両の製造で、新幹線をはじめ電車、客車、機関車、ディーゼル車、新交通システムなどを世界に送り出しています。
そのなかで、私たち人事・教育課は「人」という最も重要な経営資源に関わる部署で、一人ひとりの従業員が生き生きと、安全に、健康に、誇りを持って働ける環境をつくることをミッションとしています。弊部署は、人事諸制度の運用や労務対応、管理職研修も含めた人材教育などが、主な業務内容になります。
「管理職の課題と施策の導入背景」
奥田氏:管理職変革施策を導入した当時、大きく2つの課題がありました。1つが、管理職のマネジメントスキルを向上させる教育機会が不足していたことです。弊社は元々、ライン長になった後にライン長向けの研修を受講し、その中でマネジメントについても学んでおりましたが、ライン長の手前にいる管理職に対して、マネジメントスキルの教育機会が不足しておりました。実際は、ライン長でなくても、部下をもつケースも多く、いわゆるプレイングマネジャーに当たる方たちが、迷いながら手探りでマネジメントをしていたのが当時の状況です。
もう1つの課題が、新しく管理職になった方が自分の役割をしっかり把握できていなかったことです。経営方針や組織目標を現場メンバーに展開し、組織をつなげる非常に重要な役割を担っておりますが、「上司に何を期待されているのか?」「部下から何を求められているのか?」が分からない状態で、業務を見ることは得意だけど、人を見ることが苦手な管理職が多かった印象です。人をマネジメントするスキル・経験がなかったのもありますし、自分の役割だと認識してなかったのもあると思います。いずれにしても、組織力を高めていくためには「人のマネジメント」の改善が不可欠な状況でした。
そのようなときに、リンクアンドモチベーションの方と組織改革についてディスカッションさせていただく機会があったのですが、そこで「ミドルマネジメントの重要性」についてお話しいただきました。ミドルマネジメントは、管轄部署における成果創出とメンバーのエンゲージメント極大化を同時実現するために上下・左右・内外をつなぐ“結節点”の機能を遂行する必要があるという考え方が、まさに弊社が抱えていた課題とリンクしていたので、多面評価サーベイや管理職研修をはじめとする管理職変革施策をお願いすることにしました。
「管理職変革の取り組み」
奥田氏:毎年、ライン長になる手前の階層で、マネジメントの役割を期待されている管理職15~20名くらいを対象に多面評価サーベイを実施し、上司や部下から求められていることを「見える化」しています。多面評価サーベイの結果を見ながら、本人に「自分のマネジメントスタイルをどう変えていくか?」というアクションプランを立ててもらい、約1年かけてスキルを習得しながらアクションプランを実行してもらうというプログラムを実施しています。
また、上司から期待されていることを直接聞く機会がないのかなと感じていましたので、リンクアンドモチベーションから提案いただいた「上司からの手紙」という形で本人に手紙を渡す取り組みも始めました。サーベイによって定量的に自分の強みや弱み、期待されていることがわかるだけでなく、直接上司からメッセージを伝えてもらえるのは「普段から自分のことを見てくれているんだ」「自分の成長を支援してくれようとしているんだ」と、とても印象に残るようで、参加者アンケートでも気づきが大きかったと好評でした。
「リンクアンドモチベーションのサービスに感じる価値」
奥田氏:リンクアンドモチベーションの多面評価サーベイの良いところは、「何をどのくらい求められているのか?」と、それに対して「どのくらいの満足度があるのか?」という2つが見えることです。求められていないことに対して改善しようとしても、あまり意味はありません。
本人が良くしようと思って頑張っていることがあっても、それが上司からも部下からも求められていないことだったとしたら、すごくもったいないですよね。その点、リンクアンドモチベーションの多面評価サーベイは「期待度」と「満足度」の両方が見えるので、自身のマネジメントのズレを把握して修正することができます。そこが、多面評価サーベイの最大の価値ではないでしょうか。実際に「意外と部下がコミュニケーションを求めているんだ」など、それまでは認識していなかったことに気付けるケースは少なくありません。
管理職研修に関しても、弊社に合った内容を提供していただいていると感じています。そもそもリンクアンドモチベーションを選んだのは、「組織の結節点としてミドルマネジメントが重要である」という御社の考え方に共感して、ぜひ御社と一緒に効果的な管理職研修をつくっていきたいと思ったからです。
リンクアンドモチベーションは、確固たる考え方をお持ちなので、いつも「芯」がブレない研修を提案していただいています。時代の変化を捉えるとともに弊社の将来を見据え、「じゃあ、今どうするべきか?」という視点で、常に提案内容をアップデートしていただいています。弊社としても、毎年同じ施策ではなく「より良いものを」と考えていますので、パートナーとして心強い限りです。
「取り組むなかで困難だったこと」
奥田氏:導入当初の話になりますが、研修受講者のなかには「自分には直属の部下がいないから」といった理由から、取り組みに対して前向きになれない方もいました。私は、マネジメントスキルは直属の部下に対してでなくても、他部署や他社に対してでも使えるスキルですし、何なら上司にも使えるスキルだと考えています。そのため、マネジメントスキルの習得にもっと前向きに取り組んでもらいたかったのですが、なかなか分かってもらえず、難しさを感じた部分ではありました。
そのような受講者には、職場の上司や研修の講師から「部下だけではなく、お取引先の方など様々な方と接するときに使えるスキルである」「他部署のメンバーもうまくまとめて良い影響を与えてほしい」といったメッセージを伝えることで、徐々にマネジメントの重要性を認識してもらうことができました。
1回の研修だけ実施して終わるのではなく、複数回に渡って研修やサーベイを行い、継続的にマネジメントスキル向上の支援を行ったことで、どの受講者もその方なりの学びを得て成長したという状態を実現できるのだと思います。
リンクアンドモチベーションの管理職変革施策を導入してから4年ほど経ち、管理職研修の受講者が上司になっているというケースも増えてきました。過去に受講者として研修に参加していた方が、今は上司として部下に手紙を書いたり、成長支援をしたりしているというのはすごく嬉しいことですし、感慨深いものがありますね。
「取り組みの成果」
奥田氏:先ほども申し上げましたが、業務の管理をするのは得意だけど、人のマネジメントをするのは苦手という課題がありましたが、多面評価サーベイや管理職研修を通して、受講者が「人のマネジメント」の重要性を実感できるようになりました。受講者は研修受講前に比べると、上司・部下間のコミュニケーションの量は格段に増えたと聞きますし、業務だけでなく人の成長にもフォーカスできる管理職が増えてきたと私も感じています。これは、非常に大きな成果だと捉えています。
昨年、管理職研修を受講した14名のうち7名が今年からライン長に昇格しており、しっかりとマネジメントを学んだ人がライン長になる、というルートができてきたなと感じています。以前から、ライン長になる前の段階からマネジメントスキルを習得してもらいたいと考えていたので、このルートが徐々に確立してきたのは個人的には非常に嬉しいことです。
ライン長になった受講者の部下から話を聞く機会があったのですが、ライン長自らが1on1ミーティングなどを通して、自分のやりたいことを考慮したキャリアプランを提示してくれたり、自分の方向性に合った仕事を与えてくれたりすることを嬉しそうに話してくれました。リンクアンドモチベーションの管理職研修では、相手に合わせたマネジメントの重要性を教えていただいているので、研修で学んだことをきっちり実践してくれているんだなと、私も嬉しくなりましたね。
「今後に向けて」
奥田氏:会社の将来を考えたとき、事業分野を拡大していくことは大きなテーマになってきますが、新しい事業をつくっていくためには何より人が重要です。個人としてマネジメントスキルを高めるのはもちろんですが、全社で一丸となって新しい事業を開発・推進していくためにも、組織と組織の「横のつながり」をもっと強化していく必要があると思っています。
管理職研修は部門を超えて管理職同士がコミュニケーションを図る良い機会となっており、普段は接点を持たない他部門の管理職の方と、日頃の悩みや部下の育成などについて意見交換、情報交換をするきっかけになっています。このような機会も活かして、今後、横のつながりがどんどん生まれてくると良いなと期待しています。
私は、若年層にとってもマネジメントスキルが必要になるシーンはたくさんあると思っています。管理職ではない人でも、たとえば後輩を持てば、近い立場から相談に乗る機会もあるでしょう。ですから、今後は若年層に対してもマネジメントスキルを付与する機会を設けていきたいです。早い段階から「人を見ることができる人」を増やすことで、さらに組織力を高めていけたらいいですね。