13年の育成計画を結実させるためには、
一貫性のある研修設計が不可欠だった

鹿島建設株式会社

人事部 課長代理 宮島 宏斗 氏

事業内容 建設事業、開発事業、設計・エンジニアリング事業ほか

企業規模

8,129名(2023年3月末現在)
導入サービス

事務系総合職向け年次別マインドセット研修
■ 1年次:新入社員ビジネススタンス開発研修
■ 2年次:セルフモチベーションコントロール研修
■ 4年次:キャリアマインドセット研修
■ 6年次:セルフリーダーシップ開発研修 

課題

  • 従前から事務系総合職向けの年次別研修を様々なテーマで実施していた。各年次の課題を解決するプログラムではあったが、入社後13年次までの育成計画であるところ、各年次研修がそれぞれ 「点」で実施されており、13年後を見据えた連続性のある一本の「線」が通ったプログラム構成ではなかった。

  • 事務系総合職は様々なステークホルダーと関わるため、「周囲を上手く巻き込み牽引する人材」への成長を期待しているが、研修が線でつながっていないことで事務系総合職としての共通のスタンスが醸成されていなかった。

効果

  • 「13年間で一人前に育てる」という事務系総合職の育成計画に対して、それぞれの年次研修で実現したい状態を明確にすると共に、一貫性のある研修プランが設計できた。

  • 受講者が、部署や業務特性を問わず、社会人として身に付けてほしい考え方や共通のスタンスを身に付けられ、成長の土台を作ることができた。

  •  講義だけでなく、対話を重視した研修の導入により、受講者同士で多くの気付きが得られ、内省を深めることができた。

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100年をつくる会社、鹿島

「事業および部署の概要」

宮島氏:鹿島は、総合建設業を営む会社です。創業は1840年と長い歴史を持っており、現在は建物を造る建築事業、土木構造物を造る土木事業のほか、不動産開発や設計・エンジニアリングなど、世界中で事業を展開しています。そのなかで私は人事部に所属し、新入社員の採用や若手事務系社員の育成を担当しています。

事務系総合職を対象にした2年次・4年次・6年次の研修を導入

「導入している研修内容」

宮島氏:当社では、事務系総合職の社員については、入社時の新入社員研修以降、1年次の秋、2年次、4年次、6年次、8年次、10年次と集合形式の年次別研修(マインドセット研修)と、自らに必要な知識や能力を習得できる選択式のオンライン研修(社会人基礎力、ビジネススキル研修)、業界や業務の知識を身に着けるeラーニング(業界知識・スキル研修)を実施しています。そのなかで、リンクアンドモチベーション社には、現在2年次、4年次、6年次の集合形式のマインドセット研修をお願いしています。

2年次のマインドセット研修(以下、研修)は「自立・自走」をテーマにしています。1年次は、ある意味「プレ期間」で、ほとんどの仕事がOJTの範囲内でおこなわれます。2年次になって現場に配属されますが、1年次は同じ事務系社員の中で業務を行っていたのに対し、現場に出れば技術系の社員や職人の方ばかりです。その状況に、「何もできない……」「どうすればいいんだろう……」と悩み、モチベーションが下がる社員も少なくありません。このようなタイミングで、「自責と他責」「変えられることと変えられないこと」などを理解する、セルフモチベーションコントロールの研修を実施いただいています。

4年次の研修は「キャリア」をテーマにしています。当社の事務系総合職は5年次に居住地が変わる「支店間ローテンション」という人事異動がありますが、新しい土地・職場での人間関係や担当業務に対してネガティブ思考に傾いてしまう社員もいます。特に、異動先希望が叶わなかった場合はなおさらです。そのため、異動を1年後に控えた4年次に、「Will(自分がどうなりたいか)・Can(自分は何ができるか)・Must(自分に何が求められているか)」を振り返る研修をしていただいています。自分がやりたいこと、得意なこと、会社から求められていることを見つめ直したうえで、「今後どのようなビジネスパーソンになりたいのか?」という目的に接続したキャリアを描くことで、目の前の部署異動を前向きに捉えられるように、将来を見据えて自ら行動が出来るように導いていきます。

6年次は、戦力として期待され、活躍し始めるタイミングである一方で、ともすると「優秀な請負作業者」に陥ってしまう可能性がある時期です。そのため、6年次は「改善・改革」をテーマに研修をおこなっています。何かを改善・改革しようとするときは、上司に任せるのではなく、「自分で変えていく」という意識を持たなければいけません。そこで、「セルフリーダーシップ」を高める研修をしていただいています。事務系総合職には自ら主体的に動き、周囲を巻き込みながら新しい価値を創出してもらいたいと思っていますので、そのためのマインドセットを行っています。

2024年度は、1年次研修もリンクアンドモチベーション社にお願いする予定です。「社会人として働く」をテーマに、「学生と社会人の違い」や「社会人に求められるスタンスの実践・基準の理解」をゴールにしています。ビジネスにおいては「相手が価値を決める」ことを理解し、基準高く行動してくれる新人を育み、当社の事務系総合職として共通するスタンスを醸成したいと思っています。

研修が「点」で実施されており「線」でつながっていなかった

「新人育成の課題と研修導入の背景」

宮島氏:当社は、中期経営計画のなかで「多様な人材が集まる自由闊達な組織にしていこう」という大きな方針を掲げています。事務系をはじめ、各部門ごとに人材育成方針を立てていますが、全部門で共通して13年をかけて新入社員を一人前の鹿島社員にしていこうという計画があります。

一般的な企業ではもう少し短いスパンで育成計画を進めていると思いますが、建設業では技術の習得をはじめ多様な要素が求められるため、それなりの時間が必要です。知識だけでなく経験も含め、ジョブローテーションをおこないながら、13年という長期スパンで育成計画を立てているのは当社の一つの特徴だと言えるでしょう。13年で、鹿島の未来を牽引していけるような人材に育てていきたいと考えています。

運営側も、その時々の担当者が試行錯誤しながら研修を実施してきましたが、新型コロナウイルスの影響により研修の開催方針や方法が変化したり、若手社員の価値観が変容したりしたことから、これといった「軸」が定まっていませんでした。このような経緯があったので、私が研修を担当することになったときは、「一貫性のある研修をしたい」と考えました。

従来、当社では採用と研修の担当者は別々でしたが、私の場合は2017年から新卒採用を担当してきて、2021年から研修の企画運営も兼務することになりました。そうなると、「自分が採用に携わった新入社員がどのように成長していくのだろう?」ということがすごく気になるんです。彼ら、彼女らに対しては、「この会社を通して豊かな人生を送ってもらいたい」という思いがあります。その支援ができるポジションに就いたので、研修を変えていこうと考えました。

全体設計から「研修のあるべき姿」を一緒に考えてくれた

「リンクアンドモチベーションを選んだ理由」

宮島氏:先ほど、「一貫性のある研修をしたかった」と申し上げましたが、2年次、4年次、6年次と数回の研修を通して、「こういう考え方を持っているのが当たり前」というような「共通言語」をつくりたいと考えるようになりました。別の言い方をするなら、「拠りどころ」や「スタンス」といったニュアンスでしょうか。

ただ、依りどころやスタンスを内製の研修だけで醸成していくのは難しそうだと思い、リンクアンドモチベーション社も含め、様々なベンダーに相談しました。そのなかで、リンクアンドモチベーション社が素晴らしかったのは、研修単体での提案ではなく、育成体系の全体から相談に乗っていただけた点です。たとえば「2年次は自立・自走をテーマにしたい」と言うと、そのテーマに合いそうな研修パッケージを提示するのが普通だと思います。一方で、リンクアンドモチベーション社は「事務系総合職として求めるべき姿は?」「研修全体を通して、いかに目指す姿を実現するか?」というように全体観の話から入ってくれました。

私のなかでは、単なる研修ベンダーではなく、「人材開発のコンサルタント」という印象です。私の想いを汲み取り、2週間に1回くらいのペースでディスカッションを重ね、一緒に「研修のあるべき姿」を考えていきました。このような姿勢から、信頼できる会社だなと感じ、様々な研修をお願いすることになったというのが簡単な経緯です。

要望や思いが反映された「自社に最適化された研修」

「リンクアンドモチベーションの研修に感じる価値」

宮島氏:事前に、「年次によって悩みがどのように違うのか?」「どのタイミングでどのポジションに就くのか?」など、当社の事情や仕組みを丁寧にヒアリングしていただきました。そのうえで、研修内容をカスタムしたり、アプローチ方法を変えたりしていただきました。自社に最適化した研修を提供していただけたのは、非常にありがたかったですね。

当社はキャリアや職種が極めて多様なので、「この年次にはこうなっていてほしい」という指針を打ち出しにくいところがあります。そのような会社においても、リンクアンドモチベーション社の研修は「社会人として必須の考え方やスタンス」を身に付けることができ、それがその先の成長の土台になります。

各年次の研修ではリンクアンドモチベーション社のプログラムだけでなく、事前にレポートを書かせたり、建築家に講演をしてもらったりと、独自のプログラムも取り入れています。リンクアンドモチベーション社は、このような独自のプログラムとの「接続」も考えて研修を設計してくれました。研修全体を俯瞰し、当社の思いや要望をうまく反映していただけたと感じています。

研修講師の方もまさにプロフェショナルで、状況に合わせて当初予定していなかったセッションを急きょ入れるなど、臨機応変な対応が印象的でした。たとえば、前日に内製の研修があり、その翌日にリンクアンドモチベーション社の研修がある場合、受講者が前日に学んだことを踏まえ、翌日のプログラムに手を加えることで研修効果の最大化を図っていただけました。経験豊富な講師でなければできない対応だと思います。

内省が深まる研修だから、意識の変化が生まれやすい

「研修の成果」

宮島氏:それぞれの年次研修で、受講者が充実した表情をしていたのが、第一に嬉しかったことです。過去の研修との分かりやすい違いだと思います。

たとえば、4年次の研修では「BRIDGE」という適性検査をおこないました。この検査では、自分の性格を客観視するとともに、同期のメンバーとの違いを知ることができました。自分自身の特性やそれぞれの仕事の進め方を理解できたのは、今後より良い仕事をしていくうえで非常に大きな収穫になったと思っています。

私自身もリンクアンドモチベーション社の研修を企画側として聴講していますが、「Will・Can・Must」の考え方はまさにその通りで、「これこそ、若手に伝えたいことだ」と思える内容でした。最近の若手社員は「自分がやりたいこと」の比重が大きく、「会社にやらされること」に対してネガティブです。私自身、この差異を埋めるアイデアを持ち合わせていなかったのですが、「Will・Can・Must」を重ねていく考え方は非常に分かりやすく、腹落ちしました。

「Will・Can・Must」の考え方に触れたことで、「自分のやりたいことばかり考えていたな……」といった反応が見られたのも良かったですね。4年次に関しては、研修を受講したことで、後に控える部署異動が納得感のあるものになればいいなと思っています。

リンクアンドモチベーション社の研修は、講義の時間よりグループで対話をする時間のほうが長いですよね。対話を通じて他者と相対化することによって、自分の特性に対する気付きが多く、それが学びや成長のトリガーになると思っています。ここ数年のコロナ禍を経て、久しぶりにみんなで集まった研修では、「自分の成長や課題を実感できた」「同期の成長に刺激を受けた」といった声も多く聞かれました。少しずつですが意識の変化が生まれていますし、これからも生まれてくるだろうという手応えを感じています。

お互いの言葉から気付きや学びがあり、「この仲間で良かった」「この仕事で良かった」と実感できたり、自分の仕事や自分の人生を見つめ直したりできるのがリンクアンドモチベーション社の研修です。このような内省が深まる研修は、これからの時代、どの会社にも不可欠なものではないでしょうか。

横串を刺す研修で、多様な人材がいる強みを伸ばしていきたい

「今後に向けて」

宮島氏:今年度は、リンクアンドモチベーション社に2年次、4年次、6年次の研修をお願いしましたが、2024年度は1年次向けの研修もお願いする予定です。若手社員の育成に関しては御社と一緒につくってきた研修が「軸」になると思っています。

今年度お願いした研修は事務系総合職を対象にしていましたが、スタンスを醸成する重要性は、事務系も技術系も変わりません。ですから、今後は職種にかかわらず横串を刺すような研修も必要だと思っています。目まぐるしく環境が変化するVUCAの時代において、多様な職種の人材がいることが鹿島の強みであるとするならば、横のつながりを強化することは重要ですし、お互いに「共通言語」を持っていたほうが組織として強くなれるはずです。

鹿島は、「100年をつくる会社」というコーポレートスローガンを掲げています。これだけ多くの仲間たちと、100年をつくるような仕事をしている企業はそこまで多くはありません。100年をつくることに携わるやりがいや誇りを自分のなかに認め、それができる会社にいることの幸せを感じてもらえたら嬉しいですね。

もちろん、会社や仕事ではなく、他のことにプライオリティがあるのであれば、それはそれでいいんです。私は、「人生の幸せのなかに、会社がある」のが良い状態だと考えています。自分の人生を自分で考え、自分で自分の幸せをつくっていける人を育てていくのが、今、人材開発を担当している私が心がけるべきことではないかと思っています。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。
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