大規模な研修でも、一人ひとりが現場で課題に前向きに向き合える状態を実現する

大日本印刷株式会社

人財開発部 採用・キャリア育成グループ リーダー 飯田 拓 氏
人財開発部 採用・キャリア育成グループ 鈴木 綾乃 氏

事業内容 出版関連事業、情報イノベーション事業(マーケティング関連、BPO、情報セキュリティ関連)、イメージングコミュニケーション事業、包装関連事業、生活空間関連事業、産業用高機能材関連事業、ディスプレイ関連製品事業、電子デバイス事業、ライフサイエンス関連事業、飲料事業

企業規模

連結 36,246名 単体 10,107名(2023年3月31日現在)
導入サービス

新入社員ビジネススタンス開発研修
職場エントリープログラム 

課題

  • 過去の研修は「講師が教える」という一方通行のスタイルだったため、新入社員が受け身の姿勢から脱却しきれないまま、現場に配属されていた。

  • 自分の意志で考え、苦労しながらも目的を達成し、配属後に繋がる振り返りができるような研修を求めていた。

効果

  • スタンス研修は大規模実施でありながら、一人ひとりに細かいフィードバックをもらえるため、新入社員が自分の課題を正しく認識したうえで前向きに現場に向かえるようになった。

  • スタンス研修で「知っているけどできていないこと」や、同期と比較した自分の強みや弱みを理解できるため、1年経っても「研修で学んだことを意識してきた」という声が多く聞かれた。

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常に「あたりまえ」に存在する「なくてはならない価値」をつくる

「事業および部署の概要」

飯田氏:大日本印刷(DNP)は明治9年の創業以来、印刷業界をリードしてきた会社です。印刷という紙にインクを塗ることでなく、情報を正しく伝えるということを核にして、書籍から食品パッケージ、生活空間の内装材・外装材、リチウムイオン電池のパッケージ、エレクトロニクス部材、ICT関連まで、数多くの製品やサービスを生み出しています。我々は、印刷(Printing)の「P」と情報(Information)の「I」を合わせて「P&I」と呼んでいるのですが、P&Iに関する独自の強みを時代のニーズに合わせて発展させることで、様々な分野へとビジネス領域を拡げています。

人財開発部は社員の採用・育成を担う部署で、新卒・中途採用のほか、各種研修をおこなっています。そのなかでも私たち採用・キャリア育成グループは、新卒採用と若手の育成を中心に取り組んでいます。

配属決定の前後で導入している2種類の研修

「導入している研修内容」

飯田氏:弊社では、新人の育成にあたり、リンクアンドモチベーション社の「新入社員ビジネススタンス開発研修(以下、スタンス研修)」と「職場エントリープログラム」という2つの研修を導入しています。

スタンス研修は、社会人としての基本的なスタンスを身に付けることを目的とした研修です。弊社が準備している新入社員導入研修の後半に、2日間かけて実施しています。

職場エントリープログラムは、現場配属に際してあらためて初心に返ることを目的とした研修で、新入社員の配属が発表されたタイミングで1日間かけて実施するのプログラムです。順番としては、スタンス研修の後に配属発表があり、職場エントリープログラムを実施してから現場配属という流れになっています。

受け身の姿勢から脱却しきれないまま現場に配属されていた

「新人育成の課題と研修導入の背景」

鈴木氏:弊社は「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントを掲げています。今、みなさんがあたりまえに使っている製品をつくってきた会社だからこそ、次の未来のあたりまえもDNPがつくっていこうという思いが込められています。

もちろん、その主体になるのは社員ですから、私たちは未来のあたりまえをつくることができる人材を育成していかなければいけません。そのためには大前提として、新入社員のときに社会人として働くうえでの基本的なスタンスを身に付けておく必要があります。弊社では「対話」と「協働」を重視しており、新入社員は第一に周囲の人と対話・協働しながら仕事に取り組めるようになってほしいと考えています。このような土台づくりをするのが新入社員研修の主な目的です。

飯田氏:以前の新入社員研修には物足りなさを感じていました。ほとんどのプログラムが「講師が教えてあげる」という一方通行のスタイルだったので、新入社員が受け身の姿勢から脱却しきれないまま現場に配属されていると捉えていました。

別の言い方をするなら、研修を受けても新入社員に「壁を打ち破った」感じがありませんでした。ですから、もっと自分の意志で考え、苦労しながらも目的を達成し、ポジティブな振り返りができるような研修にしていかなければいけないという課題を感じていました。

また、2020年はコロナ禍のため、新入社員研修もオンラインでおこなったのですが、それ以前の研修に比べるとできることが限定されてしまい、手応えがありませんでした。このままでは、来年の新入社員研修はもっと大変なことになるという危機感から、2021年のタイミングでリンクアンドモチベーション社の研修を導入したという経緯があります。

鈴木氏:弊社は、グループ会社も含めると毎年300名弱の新入社員が入ってきますので、運営側のリソース不足も課題の一つになっていました。私たちだけで運営することに限界を感じており、アウトソースできるところはプロにお願いしていこうという流れもありました。

飯田氏:以前から、リンクアンドモチベーション社には採用活動などもお手伝いしてもらっており、弊社の考えや事業展開をよく理解していただいていました。自分たちの課題を気軽に相談できる土壌ができていたので、新入社員研修もリンクアンドモチベーション社にお願いしようというのは自然な流れだったと思います。

大規模な研修であっても、一人ひとりにフィードバックをもらえる価値は大きい

「リンクアンドモチベーションの研修に感じる価値」

飯田氏:スタンス研修は、新入社員研修の全体の中でも、後半で実施しています。弊社は4月中旬に配属発表があり、その4日ほど前に配属面談がおこなわれます。配属面談が終わると、新入社員は「どこに配属されるんだろう」という不安や期待が入り混じりながらも、「いよいよ本番だ」と気持ちが高まります。そのタイミングでスタンス研修をおこなうことで、社会人として重要な「STARの観点(※)」の浸透を図り、主体性を引き出したいという狙いがありました。

※Say(情報発信)、Target(目的立脚)、Action(行動)、Roleplay(相手視点)というビジネスパーソンにとって不可欠な4つの心構え

リンクアンドモチベーション社のスタンス研修は、一人ひとりにフィードバックがあるのが大きな価値だと思っています。できなかったことに対して指摘するだけでなく、できたことに対しても「こうするともっと良いね」というように、一人ひとりに対して細かく強みや弱みをフィードバックをしてもらえます。そのおかげで、みんなが自分の課題を正しく認識したうえで前向きに現場に向かえるようになったと思います。

以前の研修では、あまりフィードバックを受けることがなく、グループワークをしても「できた・できなかった」という結果だけで終わっていました。また、「運」の要素に左右されることも少なくありませんでした。たとえば、同じグループのなかに一人、飛び抜けてリーダーシップを発揮するメンバーがいるような場合、そのメンバーのおかげでうまくいき、グループ全体として特に課題がなかったように見えてしまうんです。

ですが、リンクアンドモチベーション社のグループワークでは、一人のメンバーが引っ張っていたとしても、「他の方はどのように考えているのですか?」「リーダーの方は、周りのメンバーの理解を促せていますか?」というようなツッコミが入ります。その意味で、新入社員一人ひとりが課題を認識できるワークになっていると思います。

鈴木氏:新入社員研修の前半は講義形式のインプットがメインです。インプットすれば頭のなかで理解は進みますが、実際にできるかどうかは別問題です。それを確認する意味でも、実践的なワークが中心のスタンス研修は非常に効果的だと思っています。

スタンス研修を受けることで、毎年多くの新入社員が「知っていただけで行動に反映できていなかった」という気づきを得ています。また、グループワークで同期の様子を見ることで、「この人はこういうところが得意だけど、自分はまだまだだな」というように自分の弱みを認識でき、今後の課題を意識しやすくなるのも良いところだと思います。

スタンス研修が終わると配属発表がおこなわれるのですが、以前は配属が発表されると「じゃあ行ってらっしゃい」というように、そのまま配属先に連れて行かれていました。このやり方に関して、「これでは現場に任せきりで、放り出しているだけではないか」「もっとフォローできないものか」という話もあがっていました。

そこで、数年前からリンクアンドモチベーション社にお願いするようになったのが「職場エントリープログラム」です。職場エントリープログラムは、新入社員が自分の配属先を知ったうえで、先輩社員と話をしたりグループワークをしたりしています。その中で、あらためて自分の気持ちを整理したり、自分が実現したいことを再確認したりすることを目的にしています。「これから自分は配属先でどのように働いていくのか」ということをまとめてもらうような時間です。

飯田氏:新入社員は配属先が決まると、どうしても自分の職場に意識が向き過ぎてしまい、視野が狭くなってしまうところがあります。みんな、やりたいことや叶えたいことがあってDNPに入社してくるわけですが、配属が決まった瞬間にそういった思いが霞んでしまい、目の前のことだけに意識が向いてしまいます。これを何とかしたいと思って始めたのが職場エントリープログラムです。配属前にあらためて会社に意識を戻させて、「本来、自分がこの会社でやりたいことは何だったのか?」という原点に立ち返ってもらおうというのが大きな趣旨です。

鈴木氏:配属が希望どおりになった人も、配属先の業務の範囲内でしか物事を考えられなくなってしまう傾向がありました。一方で、配属が希望どおりにならなかった人は、モヤモヤした気持ちを抱えたまま現場に向かうことが多かったように思います。職場エントリープログラムを通して、現場配属の前に各自が自分の思いに立ち返ってほしいです。

自分がやりたいことを実現するルートはたくさんあると思います。先輩社員の話を聞いたり、自分の価値観を振り返ったりするなかで、あらためて視野を広げ、前向きに配属先に向かえる機会になればよいと思っています。

真剣に取り組んだ研修の後のフィードバックだからこそ、納得感が高い

「研修の成果」

鈴木氏:リンクアンドモチベーション社のスタンス研修では社会人としての高い基準を求められるので、苦難や葛藤がない受講者はいないと思います。ですが、諦めることはなく「よし、やってやろう」と食らいつき、真剣に考えて取り組んでくれています。それだけ頑張って苦難も乗り越えてきたからこそ、最後に講師の方から個別にフィードバックをもらうときには、みんな腹落ちして、多くの気付きを得ていたように思います。

また、最終日には「STARの観点」を元に、半日以上をかけてチームメンバーが相互にフィードバックし合う時間を設けています。例えば、「皆が困って立ち止まってしまった時にも、目的に立ち返って考えてくれて、STARの観点のTargetが良かったね」「あの場面で他のメンバーや顧客の気持ちをRoleplayできると良かったね」というように相互に伝え合うのですが、ここでの気づきも大きいようです。

飯田氏:弊社は新入社員が1年目を終えるタイミングで、フォローアップ研修をおこなっているのですが、そのときに多くの新卒メンバーから「STARの観点を意識して1年目を過ごしてきました」という話を聞けました。このような声からも、スタンス研修で学んだことが良い形で浸透しているのを実感しています。

鈴木氏:研修後のアンケートでも、「最後のフィードバックにすごく納得感があった」「自分の強み・弱みを実感できた」というコメントが非常に多く見られました。また、「厳しいなかにも愛のある言葉が嬉しかった」というコメントも印象的でした。研修は、基準が低くゆるゆるでもいけませんし、ただ怖くて厳しいだけでもいけません。その点、リンクアンドモチベーション社の研修はバランスが良く、「耳が痛いことでも伝えるのは、成長してほしいから」という思いがきちんと受講者に伝わっているから、うまくいくのだろうと思います。

採用や研修という領域を超えた人材開発のパートナー

「リンクアンドモチベーションに感じる価値」

鈴木氏:打ち合わせをしていてよく感じるのが、リンクアンドモチベーション社とはいつも前提がすり合っているということです。一緒にディスカッションしていると様々な課題が見えてきますが、それをすごく的確な言葉で整理してくれますし、課題に対する打ち手の方向性も明確に示してくれます。ディスカッションを通して同じ前提に立てるので、すごく仕事をしやすく、ありがたいなと思っています。

担当の方はみなさんよく調べてくれますし、たくさん聞いてくれますし、弊社のことを深く理解してくれています。リンクアンドモチベーション社は、採用や研修という領域を超えて、人材開発のパートナーとしてすごく信頼できる存在です。

前述の通り、新入社員研修をリンクアンドモチベーション社にご相談しようと思ったのも、リンクアンドモチベーション社が弊社にとってそのような存在だったからです。

飯田氏:私たちが「こういうことをやりたいんです」と言っても、リンクアンドモチベーション社は「じゃあこの研修をやりましょう」と言って終わりではありません。「それはつまり、こういう状態を目指したいんですよね」「それなら、この課題を解決しなければならないのではないでしょうか」というように「在るべき像」をベースにして話ができるのが、リンクアンドモチベーション社の良いところだと思っています。私自身、在るべき像から逆算して手段を考えていきたいと思っているので、いつも納得しながら、楽しくディスカッションをさせていただいています。

新入社員が明るく前向きに現場に行ける状態をつくりたい

「新人研修にかける思い」

鈴木氏:冒頭でもお話ししたとおり、未来のあたりまえをつくれる人材を輩出するのが私たちのミッションです。ですから、そのための仕掛けをどんどんつくっていきたいと思っています。新入社員研修だけにとらわれず、2年目以降の社員も含め、継続して若手の育成を支えていく存在でありたいと思っています。

飯田氏:新入社員研修にフォーカスすると、みんなが「ファイティングポーズ」をとったまま現場に行ける研修を目指したいなと思っています。つまり、「嫌だな」「自信がないな」と下を向きながら行くのではなく、「よしやるぞ」という強い意気込みを持って各部署に行ける状態をつくりたいということですね。もちろん、配属されたら落ち込むこともあるはずですが、行く前から弱気でいたらもっと落ち込んでしまいかねません。社会人としての確たるスタンスや覚悟を持って行けば、きっと1年目から戦っていけるはずです。

1年目の終わりや3年目の始まりにおこなうフォローアップ研修のときに、現場で戦ってひと回り大きくなった姿を見せてくれたら嬉しいですね。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。
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