ビジネスマナーとは?基本が学べる研修効果や内容を解説
「最近の若者はビジネスマナーがなっていない」とどこかで聞いたことはないでしょうか。なぜ世の中にビジネスマナー研修が溢れている中でマナーが身についていないと思われてしまうのでしょうか。
会社のブランドづくりにも大きく関わるビジネスマナーとは何か、なぜ身につかないのかを徹底解剖していきます。
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ビジネスマナーとは?
ビジネスマナーは社会人にとって基本的なルールであり、適切に使いこなすことができれば、円滑な人間関係を構築することができるようになります。逆に、ビジネスマナーを実践できない場合、関係性構築のための機会すら与えられないことも多いです。
ビジネスマナーを無視しても、誰かに取り締まられることはありませんが、ビジネスマナーがいい加減だと、同僚や取引先からの信用を失うリスクがあります。
信用を失うことは、仕事を失うことと同義です。社会で信用を得るためにビジネスマナーが必要だということを、会社は社員に伝えなければならないでしょう。また、ビジネスマナーを実践できているかどうかを判断するのは、「自分」ではなく「相手」になります。
自社と他社、日本と外国といったように、環境によって最適なビジネスマナーは変わり、どんな環境でもビジネスマナーを実践できるようになるには、常にビジネスマナーの思想に立ち返って考え、行動することが重要となるでしょう。
リンクアンドモチベーションではビジネスマナーの心構えとして3つの覚悟が大事であるという考え方があります。ビジネスマナーの前提は、「自分基準」ではなく「相手基準」になります。常に相手基準に立ち続けるためには3つの覚悟をもつことが重要になります。
徹する覚悟:基本のビジネスマナー(非言語/言語)を理解し、徹底する
察する覚悟:その場の空気や状況に応じ、適切な対応と選択をする
律する覚悟:自分にとって望ましくない状況下でも自分を律することで適切な対応を行う
ビジネスマナーの実践をするためにはまずは社会人としての覚悟を持つという思想を新入社員に伝えることが重要になるでしょう。
ビジネスマナーが求められる背景
新入社員が学生という消費者から社会人という生産者へと立場を移した段階で、ビジネスマナーを教育することは、非常に重要です。早い段階でビジネスマナーをしっかりと身に付けることで、新人は「仕事ができるようになった」という実感を持つことができます。
さらに、ビジネス経験がない新入社員と上司・先輩社員との間には総じてビジネスマナーに対する考え方のギャップが生じます。例えば、5分前行動の基準の認識がズレてしまうこともあるでしょう。
早期にビジネスマナーを身に着けることで、新入社員の効力感と先輩・上司との仕事の生産性を高めることで組織にとっても、個人にとってもより良い結果を生むことが期待されます。他にも従業員の定着率の向上や組織全体で新人の育成をしようという組織風土の改善にもつながる重要な施策になるのです。
ビジネスマナーの種類
それではビジネスマナーにはどのような種類があるのか見ていきましょう。以下、代表的なマナーやルールを紹介します。
■「基本」のビジネスマナー
①社会人としての「身なりを整える」
ビジネスの場面では、見た目から伝わる「第一印象」が最も重要視されます。仕事で成果を出すことは重要ですが、その前に人に不快感を与えない「身なり」を整えることが求められます。おしゃれではなく、対人関係においては清潔感が大切です。
身だしなみのポイントは、「皺のないスーツ」「奇抜ではないヘアスタイル」「体型に合った洋服」などを挙げることができます。
②社会人としての「守秘義務を守る」
従業員には、自社の「機密事項」を守る義務があります。また、これらに関して多くの企業では「守秘義務」として、就業規則に記しています。就業規則にない場合にも、会社に損害を及ぼすような情報は、決して社外に漏らしてはなりません。
特に、従業員や顧客の「個人情報」の取り扱いには、十分な注意が必要です。そのためにも、重要なデータは安易に持ち歩かないよう、指導しましょう。
③社会人としての「報連相をする」
「報連相」(ホウ・レン・ソウ)とは、報告・連絡・相談を略した言葉です。
新入社員は報連相すべきか、すべきでないかの判断を瞬時に行うことが最初はできません。そのため仕事のできるビジネスパーソンに育ってもらうために、報連相をする上では下記の5つのポイントを留意するように伝えましょう。
①何事もすぐに伝える
②はじめに結論を伝える
③事実と推測は分けて伝える
④メールではなく直接伝える
⑤自分なりの提案も加えて伝える
以上の報連相のポイントを押さえて、瞬時にアラートが挙がるようにしましょう。
■「会話」におけるビジネスマナー
①社会人としての「会話の基本を守る」
話し方、聞き方ひとつで、会話の雰囲気は変わります。円滑に物事を進めるためには、基本の会話術をしっかりと身に付けることです。また会話では、言いたい事を漏らさずに伝えることがポイントになります。
特に、伝えることがたくさんある場合、事前に頭の中で整理してから話すようにします。また、その際には相手の反応を見て、会話を進めることを意識しましょう。
②社会人としての「敬語を習得する」
敬語の種類は大きく分けて「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つがあります。それぞれの敬語の特徴を理解し、正しく敬語を使うことが大切です。また、敬語は「身内」に対しては使わず、「他者」に対して敬意を表すために使うものです。
尊敬語:相手を高めることで敬意を表すもの
謙譲語:自分を低めることで敬意を表すもの
丁寧語:相手と自分との関係や立場に関わらず、物事を丁寧に言い表すもの
「自分/上司」「社内/社外」など、その時その時に応じて「身内」とみなす範囲が変化することに注意して敬語を正しく使っていきましょう。
■「接客・訪問」におけるビジネスマナー
①社会人としての「気持ちの良い挨拶を実践する」
会社組織において、たくさんの人と円滑に仕事を進めるためには、気持ちの良いあいさつをしっかりと行い、日常的にコミュニケーションをとることが大切です。
また、外部から来社した人に対しては、仕事とは関係がなくても挨拶するようにしましょう。来客に対して、全員が声をかける会社は好感が持たれ、信頼度が向上します。
②社会人としての「印象に残る自己紹介をする」
新入社員が入社したとき、初めて行う仕事が自己紹介です。配属された部署で最初に行う自己紹介は、自分の名前だけでなく、能力や人柄を知ってもらう機会にもなります。
入社して初めての自分をアピールするチャンスであると捉え、単に名乗るだけでなく、自分の特徴を織り交ぜて、印象的に行うことが大切です。
③社会人としての「名刺交換を行う」
「名刺社会」の日本では、外部の人への自己紹介には名刺が必須です。「名刺交換」のとき、最もタブーなのは名刺を忘れることです。
相手によっては、やる気がないととられることもあります。また、急に人と会うことになってもいいように、名刺入れ以外にも数枚はストックを用意しておくとよいでしょう。
ビジネスマナーで上司や先輩がヒヤッとする瞬間とは?
毎年よく聞く新入社員のビジネスマナーに関する「あるある」問題がどの会社にもあると思います。世の中の多くの企業の上司や先輩方は、いったいどんな新入社員の「あるある」に困っているのでしょうか。よく聞く声をまとめました。
■言葉遣いが中途半端
言葉遣いはよく問題にあがります。研修で学んだことは、たどたどしくも話せるのですが、それ以外の言葉遣いににおいては、全く使えないということがよく起こります。
上司や先輩に言われれば、自分で調べたりはするものの、うっかりお客様にため口を使ったりしてしまったら…と上司や先輩も気が気ではありません。
■目的をぶらさないための仮説思考
雨が降っている中、上司は大きな荷物を持っていて、傘もさしているのに、やたらとタクシーの奥の席に押し込もうとする。マナー研修で教えられたことを実践しようとして、実は迷惑になっていることは少なくありません。
しかし、新入社員に悪気はないことがほとんどです。指摘をすれば、その場に合った行動をとることもできなくはありません。上司としては、「もっと臨機応変に対応してほしい」と思うことも多いはずです。
▼【仮説思考】に関する記事はこちら
仮説思考という突破口 ~リーダーへと進化するために~
新入社員にビジネスマナーを定着させるポイントとは?
それでは、新入社員にビジネスマナーを定着させる具体的な2つのポイントをご紹介します。
■ビジネスマナーの背景にある、意味・意義の理解
まずは今までご説明してきたように、「ビジネスマナーとは相手に対する気遣いや思いやりである」という、背景にある考え方を理解してもらうことが大切です。
また、ビジネス社会においてはその「気遣いや思いやり」ができるかできないかによってビジネス上の関係者との信頼関係の構築において大きく影響してくるのです。気遣いや思いやり、そこから生まれる信頼関係なしでは、ビジネス社会では生きていけないという構造を理解してもらう必要があります。
▼ラポールに関する記事はこちら
ラポールとは?信頼関係を築く必須スキルについて解説
■パターンを覚え、相手目線に立って適宜変更する
「気遣いや思いやり」が大切だと理解したのであれば、まずは基本と言われるのマナーを徹底的に覚えることが必要となってきます。しかし、基本を覚えるだけでは最初にご紹介した「あるある」のように、覚えたものしか使えなくなってしまいます。
その際に役立つのが上記のビジネスマナーの意味・意義です。周りの空気や状況に応じ、その場に合うようにパターンを変える訓練をいくつか実践することが大切です。また、自分にとって不都合な状況だったとしても、常に相手目線に立って、相手にとって適切な対応をとるという姿勢を理解することも重要です。
ビジネスマナーを学ぶには研修がおすすめ
リンクアンドモチベーションでは、ビジネスマナーは、決まった「型」が大事なのではなく、ビジネスフィールドにおいて周囲や相手からの信頼を獲得するための行為という「思想・考え方」が大事だと考えています。そのため、ビジネスマナー習得において下記のポイントを重視しています。
「型」通りに実践するのではなく、「思想」を踏まえて言動を選ぶ
リンクアンドモチベーションのビジネスマナー研修では、ビジネスフィールドにおいて周囲や相手からの信頼を獲得するための行為という「思想・考え方」を徹底的に理解します。
それを大前提とした上で、基本知識及び行動様式にあたる「型」、ビジネスシーンでの演習にあたる「形」の習得を目指し、これを目的としています。
※参考:新人社員研修ービジネスマナー研修
ビジネスマナーの研修方法は何がある?
ビジネスマナー研修はさまざまな実施方法が考えられます。それぞれの実施方法についてのポイント、またメリットとデメリットをご紹介していきます、自社にとって最適な研修方法を考えてみましょう。
■オフライン研修
研修会場に新入社員が集まり、ビジネスマナー研修の授業を受ける形式の研修をオフライン研修と呼びます。 ほとんどのオフライン研修は講義形式で行われ、講師は外部講師や社内の育成担当者が務めることが多いです。
【デメリット】
- 一人一人の習熟度や理解度を把握するのが難しいこと
- コストがかかること
新入社員の理解を深めるためには運営者が必要に応じて復習を呼びかけるなどの工夫をし定着を図る必要があります。また、コスト削減には社内の会議室などを用いて会場費を削りましょう。
【メリット】
- 新入社員のモチベーション向上が期待できること
- 直接質問ができフィードバックをもらえること
- 実践的な内容を講義内容に加えられること
講師から一方的に講義を受けるだけでは実践時につまづく可能性がありますが、オフライン研修ではロールプレイングなども取り入れられるため学んだスキルを業務ですぐに役立てることができます。
■オンライン研修
ビジネスマナー研修をライブ配信や動画配信で行うことで、講師と新入社員の双方でコミュニケーションを取りながら行う形式の研修です。オンライン研修では、通信環境が肝になるのでインターネットでの通信環境を整えておくことが必要になります。
【デメリット】
- モチベーション/集中力の維持が難しいこと
- ロールプレイングなどの実習を伴う内容は実施が難しいこと
講師や運営者は講義を飽きさせない工夫を行う必要があると言えます。また、仕事の現場ですぐに講義内容を活かしたい場合は、実技を伴うフォローアップ研修なども考えておくのがよいでしょう。
【メリット】
- コスト削減が可能なこと
- チャットで気軽に質問できること
- オンライン研修の内容をオンデマンド配信にすれば何度でも復習が可能になること
教材や資料などはメールであらかじめ受講者に配布しておけば出力不要です。また、オンデマンド配信も再度講義内容を作り直す必要がないという意味でコスト削減につながっています。
■e-ラーニング
e-ラーニングとは、ビジネスマナー研修の内容をあらかじめ録画しておき、新入社員にはその動画を見て学んでもらう形式の研修です。
【デメリット】
- 新入社員がどこまで研修内容を理解しているのか把握しにくいこと
- いつでも受講できるため新入社員ごとの受講時期に差が出やすいこと
研修内容の振り返りを提出してもらうなどの工夫や運営者が動画の視聴期日を定めておくとよいでしょう。
【メリット】
- 何度でも復習可能であること
- コストが削減できること
- 業務への影響が少なくて済むこと
オフライン研修などでは移動時間なども含むため業務にかかる影響が大きいですが、e-ラーニングによる研修ではそのような時間は取られず、業務の合間に時間を取って視聴ができます。
効果的なビジネスマナー研修のポイントとは?
ビジネスマナー研修の効果を上げるためには、単なる覚えることが目的になる知識提供の講義ではなく、研修後に行動が変化することを目的とした実践型のプログラムを組み込むことが重要になります。以下、研修の効果を向上させるためのポイントを紹介していきます。
■研修の目的を明確にする
「なぜ自分がこの研修を受講するのか」を理解しているかどうかは、研修に臨む姿勢に大きく影響します。目的を理解できていないと、研修に集中するまでに時間がかかったり、研修内容の理解が進まなかったりするため、期待通りの効果に結びつきません。
研修を始める前に、「ビジネスマナーがなぜ必要か」という問いを与え、思想ベースでビジネスマナーの重要性を考えさせることが重要になります。
■実務を想定したプログラムを設定する
実際に配属された後にどのような場面が想定されるのかを明確にします。そのために何を身につけるべきかが分かり、受講意欲が高くなるからです。ただし、仕事経験のない新入社員にとっては業務環境や業務内容など想像しにくい部分がほとんどです。
その際は事前に先輩・上司からのインプットや事前の情報共有によりイメージできる状況を整えてあげることが重要です、その上で、「実際の場面ではどうすればよいか」を考えさせ、受講者に気づきを与えます。
■ロールプレイングにはフィードバックを要求する
実際の仕事場面をイメージできたら、次はロールプレイングで疑似体験をすることが効果的です。疑似体験することにより、経験不足を補うことができるからです。
研修でロールプレイングをする際、社員役や顧客役のような体験者の他に、そのロールプレイングを評価するオブザーバーを設定します。
ここで大切なことは、オブザーバーにフィードバックを求めることです。ロールプレイングの主役は体験者だと思われがちですが、実は真の主役はオブザーバーです。
どの点が良いか、悪いかの具体的なフィードバックをオブザーバーに要求することで、オブザーバーは、そのやりとりを真剣に、細部まで見るようになります。「こういう話し方は分かりやすい」「電話では早口は聞き取りづらい」など、理解を深めることができるでしょう。
そのフィードバックを従業員役にも伝えることで、双方にとって学びの大きい場になります。単に傍観者としてロールプレイングを見るのに比べて、その効果は歴然です。
このように、ビジネスマナーは、「気づく」→「疑似体験」→「フィードバック」というサイクルの「体験学習」を継続的に与えることで、より高い学習効果を期待できます。
記事まとめ
いかがだったでしょうか?
ビジネスマナーは新入社員の早期の成長、活躍に最も大きく影響する要素の1つだということが分かっていただけたでしょうか。ビジネスマナーを身に着けさせるために研修を活用しながら、より良い新入社員の育成、そして会社としてのブランド形成に繋がることを願っております。