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人事考課とは?評価基準や導入効果・手順を徹底解説

多くの企業で導入されている人事考課ですが、実は有効に運用できている会社は少ないのではないでしょうか。正しく運用されれば大きな効果が得られますが、運用の際には注意が必要な制度です。本記事では人事考課の概要と運用における注意点についてお伝えします。 


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目次[非表示]

  1. 1.人事考課とは?
  2. 2.人事考課の目的
  3. 3.人事考課の4つの評価基準
  4. 4.人事考課における自己評価の重要性
  5. 5.自己評価を書くうえでのポイント
  6. 6.人事考課の手順
  7. 7.人事考課におけるコメントの重要性
  8. 8.人事考課でフィードバックを行う際の注意点
  9. 9.人事評価でフィードバックを行う際によくあるエラー
  10. 10.記事まとめ

人事考課とは?

人事考課とは、人事部や管理職が従業員を一定の基準で公正に査定し、その結果を基に従業員に対して適切な処遇を行うことを目的とした人事制度のことです。

個人の主観を交えることなく、従業員の会社・業務に対する貢献度、職務の遂行能力、業績等を適切に評価し、評価結果を賃金管理・配置・昇進等で活用します。

■人事考課の方法

人事考課は以下の3STEPで実施することがほとんどです。

 ①企業内で設定した基準との比較
 ②従業員同士の相対的な比較
 ③人物評価


上記の3STEPで出された評価を基に従業員に対して適切な処遇を行います。また、人事考課は、定期的に実施することが一般的で、半年に一度、もしくは年に一度実施する企業が多いです。

■人事評価との違い

人事考課は、人事評価と同一扱いされることが多いですが、厳密には異なります。 人事考課は、従業員の会社・業務に対する貢献度、職務の遂行能力、業績等を適切に評価することで、賃金管理・配置・昇進等で活用することを目的とした制度です。

それに対し、人事評価は、売上等直接業績に関わる成果が評価の対象となる点に違いがあります。企業において人事考課は、従業員の満足度やモチベーションアップに活用、人事評価は結果と向き合う際に活用するというように、使い分けていることもあります。

■信頼構築の重要性

人事制度を構築する上で大切な前提は「信頼インフラの構築」です。
そもそもルールや制度には3つの宿命があります。

 不透明性:どこまで詳細に定めても、現実に発生するあらゆる事態が透明になることはない
 非効率性:不透明性をできるだけ排除しようとすると非効率性が生まれる
 硬直性:一度ルールが定着するとルール自体が前提となって変化を阻害し、環境変化に遅れる


上記の3つの宿命的な特性を考慮すると「適度な緻密さ」でデザインすることが重要であることが分かると思います。そして、宿命的に残る不透明性・曖昧性を担保するのは「信頼インフラ」です。

イレギュラーな事態は必ず起こるものです。その際にわざわざルールが定められていなかったとしても、信頼関係があれば大きな問題にはなりません。ルールをデザインするという問いの前に、「信頼」という目に見えないインフラを構築することが極めて重要です。


人事考課の目的

ではなぜ企業は人事考課を実施するのでしょうか。人事考課導入には大きく4つの目的があると言われており、主に次の4つが目的になります。

 ①従業員の能力を会社が適切に把握することで、適材適所の配置を実現できる
 ②会社の方針や理念を伝え、それに基づいた行動規範を示せる
 ③従業員の成長を促せる
 ④従業員のモチベーションを向上させられる


以下で一つずつを詳しく見ていきましょう。

①従業員の能力を会社が適切に把握することで、適材適所の配置を実現できる

冒頭でもお伝えしましたが、人事考課の結果を基に企業は、賃金管理・配置・昇進等で活用します。 適材適所の配置を実現するための手段として人事考課を実施し、従業員の能力を会社が適切に把握することで、適材適所の配置を実現することに近づけます。

②会社の方針や理念を伝え、それに基づいた行動規範を示せる

企業が従業員に期待する行動を明確にし、組織全体へ共有し、人事考課の観点を基に伝えることで、従業員は、どのような行動をとるべきか、行動指針が明確になります。

従業員にとって取るべき行動指針が明確になることで、組織全体としてのまとまりや方向性が揃い、事業を推進していくことができるでしょう。

③従業員の成長を促せる

人事考課の特徴は、公正な評価に基づいて行われます。上司の主観的な評価だけではなく、同僚、部下、加えて自己評価を通して評価されるものです。

(自己評価については、後述)自己評価と他者からの評価を照らし合わせることで、自らの改善点や問題点が明確になり、成長に向けた課題や行動が明確になるでしょう。

④従業員のモチベーションを向上させられる

公正な評価に基づいて適切な役割や責任、給与を与えられることは従業員の満足度UPに寄与します。自分の行動や結果次第で正当な評価が得られ、それがしっかりと還元されることで、従業員のモチベーションにもつながるでしょう。


人事考課の4つの評価基準

人事考課を実施する際には公正な評価を下すために、以下の4つの視点が大切です。 それぞれ見ていきましょう。

■成績考課

成績考課は、その名の通り、成績に対する評価です。

また会社や上司が目標を設定するのではなく、従業員自ら実現したい目標や成績を策定する仕組みを構築することで、従業員の自律性を繋がすことができます。従業員一人一人の積極性がチーム、会社の積極性へ繋がり、会社を成長させる源泉となるでしょう。

注意点としては、従業員一人一人のレベルに合わせた目標を設定する必要があることです。もちろん従業員自ら目標を立てますが、達成が難しい目標を立ててしまうケースもあります。そのため、会社や上司は従業員の能力を的確に把握することが重要です。

■行動考課

人事考課において重要なのは、成績のみではなく、その行動(プロセス)も評価することにあります。成果を出すなら何をしても良いわけではなく、その成果に至ったプロセスも評価することで会社として理想的な行動を従業員に伝えることができます。

また、短期的に結果が出ていなくても、会社として大切にしたい価値観を実践している人を評価することも重要です。

■能力考課

能力は大きく3つに大別できます。

 ①保有能力
 ②発揮能力
 ③潜在能力


保有能力は、業務上必要な知識のことを指し、業績を生み出す上で必要な能力です。また発揮能力は保有する能力の中で実際に発揮されている能力のことを指します。潜在能力はまだ開花していないが、今後現れる可能性がある能力のことです。

能力を3つに大別することで、同じ職務でも難易度の高い業務を完遂した社員に対して高評価をつけることが可能になります。

潜在能力を評価することで、従業員に期待を抱かせることが可能ですが、実際の業績へのインパクトは薄いため、潜在能力に関しては評価に加味する企業もあれば、そうでない企業もあります。

■情意考課

情意考課は、従業員の日々の業務へのスタンスやマインドを評価することを指します。 以下の観点で上司はもちろん、同僚や部下からの評価も加えられることで最終的な評価に繋がります。

 ①積極性
 ②責任制
 ③協調性
 ④規律性


人事考課における自己評価の重要性

人事考課では上司による評価だけではなく、従業員自らが自信の評価をすることが一般的です。 以下では人事考課における自己評価の重要性についてみていきましょう。

■自身の成長度を客観的に理解する

1つ目の理由は、自身の成長度を客観的に理解するためです。自己評価をするにあたり、前回の評価から今回の評価までの間での自信の言動を棚卸し、振り返る必要があります。

自分の経験を顧みることで、自分のありたい姿と現状のギャップを認識することができ、前回の評価から今回の評価までの期間でどれくらい自分は成長できたのかを把握できます。

■自身を適切に評価する力を身に付ける

2つ目の理由は自身を適切に評価できるようになるためです。 自己評価と上司の評価をすり合わせることで、客観的に自分の現状を把握することができるようになります。


自己評価を書くうえでのポイント

自己評価を書く上でのポイントは、上述の人事考課の4つの評価基準を意識して書くことです。

 ①成績考課
 ②行動考課
 ③能力考課
 ④情意考課


評価対象期間中に成功したこと・失敗したこととその要因について記載することはもちろんですが、そこから考えられる今後の課題についても記載できると良いです。また、できるだけ数字を使って書くことで、お互いに達成度合いを把握しやすくなります。


人事考課の手順

ここからは具体的な人事考課の手順についてみていきましょう。

■企業基準の策定

まずは、企業としての基準を策定することがとても重要です。モデルケースをそのまま取り入れてしまっては、人事考課の4つの目的を達成することができません。

まずは、企業の理念やビジョン、戦略に基づいて、評価項目を策定します。ここでの注意点は、階層やグレードが導入されている企業の場合、どの階層 or グレードでどれくらいの基準値が平均となるのか、を明確にしておくことです。

評価項目、基準値、評価方法について定めることで、公正な評価を下すことが可能です。

■目標設定

次は、目標設定です。目標を設定する際には大切なのは、あまりに現実的でない目標を設定しないことです。達成可能性が見えない目標は従業員のモチベーションを下げてしまう可能性があります。

目標を設定する際には上司と従業員の間で話し合いを行い、努力をすれば、達成可能な目標を設定することが大切です。そのためにも上司には従業員の能力とこれまでの実績をしっかりと把握することが求められます。

■自己評価と上長評価

このステップでは上司と従業員、双方が評価をします。上司はステップ1で策定した企業基準をベースに、従業員を評価します。お互いの評価を持ち寄り、話し合いを経て、最終的な評価が決定します。

■フィードバック面談

最後のフィードバックのステップは人事考課制度において極めて重要です。今期の反省点や今後への課題を振り返ると同時に、次期の目標を設定する上でも欠かせません。

上司は、今期の評価に対して納得感のある説明をすることが求められます。また評価を伝える際、改善点のみについて言及するのではなく、良かった点についてもしっかりと伝えてあげることで、従業員のモチベーションを向上させることができます。

また、改善点について話し合う際には上司から一方的に改善点を伝えるのではなく、従業員から次期の改善について引き出すことを意識することが重要です。


人事考課におけるコメントの重要性

先ほどもお伝えしたように、人事考課においてフィードバックはとても重要です。評価のみを伝えるのではなく「なぜこのような評価になったのか」をしっかりと理解してもらうことで、以下のような問題を回避することが可能です。

■被評価者の成長スピードが落ちる

人事考課の目的の1つは従業員の成長です。成長を促進させるためには「何が評価されて、何が評価されなかったのか」をしっかりと伝えることが重要です。改善点を相互認識することで、成長角度を上げることができます。

■評価者・会社に対して不満を持つ

もう1つの起こり得る問題は評価者と会社への不満を持ってしまう可能性です。「自分の何が評価されなかったのか」をしっかりと伝えないと、従業員は「公平に評価されていないのではないか」と会社や上司に対して疑問を抱く可能性があります。


人事考課でフィードバックを行う際の注意点

それでは人事考課でフィードバックを行う際にはどのようなことに気をつければいいのでしょうか。 フィードバックを行う際には2つ注意点があります。

■プラス評価とマイナス評価のバランス

フィードバックを行う際にはプラス評価とマイナス評価のバランスをしっかりと考えることが重要です。

人事考課の目的の中には「従業員の成長促進」と「従業員のモチベーション向上」の2つがあります。マイナス評価ばかりに重きを置いてしまうと、モチベーションは下がりますし「自分は仕事ができないんだ」と成長を鈍化させてしまいます。

だからこそプラス評価をしっかりと伝えることが重要です。またマイナス評価を伝える際には「従業員が成長したい!と意欲を持つように伝えること」が重要です。

■具体的なフィードバックをする

評価の際には抽象的な言葉や表現は避け、具体的なシーンや数字を示しながらフィードバックをすることで納得感を醸成することができます。評価面談の際にはSBIPモデルを活用することも効果的です。

 S:Situation(シチュエーション)
 B:Behavior(取った行動)
 I:Impact(与えた影響・結果)
 P:Proposal(改善点の提案)


フィードバックを伝える際にはまずどのような状況だったのか(S:Situation)の認識をそろえ、その状況下で取った行動(B:Behavior)とその影響と結果(I:Impact)についても視界をそろえます。この3つのステップを疎かにすると最後の改善点の提案(P:Proposal)を伝えても伝わらないので、とても重要です。


人事評価でフィードバックを行う際によくあるエラー

最後に起こりがちなエラーについてご紹介です。どれだけロジカルに、客観的に評価をしようとしても、人は限定合理的なため、完全に公平に評価することは難しいです。このようなエラーを人事考課エラーと呼びます。

■意図的な人事考課エラー

意図的な人事考課エラーは考課者が意図的にエラーを生じさせることをさします。分かりやすい例では、特定の部下のことが嫌いなので、不公平な評価をつける、などが考えられます。

■無意識的な人事考課エラー

人事考課エラーの中には、無意識的なエラーもあります。以下の9つが起こりやすい無意識的な人事考課エラーです。

 第一印象効果:第一印象に評価が引っ張られてしまう効果
 ハロー効果:被評価者の優れた一面に引っ張られ、他の評価ポイントも高く評価してしまう効果
 先入観エラー:性別や学歴等の情報が評価に反映されてしまうエラー
 親近感エラー:被評価者が考課者と似た背景をもっていた場合(例:地元が同じ)親近感が湧き、甘い評価をしてしまうエラー
 近似的効果エラー:被評価者の一番最近の成功もしくは失敗にばかり焦点を当ててしまい、評価の対象となる期間全体の評価が反映されないエラー
 対比誤差エラー:考課者が評価基準ではなく、自身の能力(得意・不得意)を基準に評価をしてしまうエラー
 厳格化エラー:全体的に必要以上に厳しい評価に偏ってしまうエラー
 寛大化エラー:全体的に甘い評価に偏ってしまうエラー
 論理的誤謬:考課者が評価項目を理解していないことから、自らの基準・理屈で評価を行ってしまうエラー

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記事まとめ

人事考課は正しく運用されれば大きな効果が得られますが、運用の際には注意が必要な制度です。

正しく運用することで適材適所の配置の実現だけではなく、従業員の成長を促進できる制度ですので、客観的かつ公平に実施することが重要です。本記事を参考に、人事考課の見直し等に役立てて頂ければ幸いです。

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S.H
S.H

【プロフィール】 リンクアンドモチベーション入社。リンクグローバルソリューション出向。 以降、大手企業向けのコンサルティングに従事。 「グローバル人材開発」「次世代リーダー育成」「グローバル理念浸透」を主な専門領域とし、 数多くの業界の企業様にコンサルティング経験を持つ。

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