「STAR」の観点を学び、PDCAサイクルを回しながら 「自ら考え行動し、自ら変わり続ける」 新入社員へと成長を促す。

西日本電信電話株式会社

人事部 人材開発部門 能力開発・若手社員育成担当課長 薮内 郁実 氏
                            島崎 奈津美 氏

「お客さま志向の企業」として、 ニーズに合った安心・安全で信頼性の高いICTソリューションをグループで提供し続けるNTT西日本。

変化する事業環境の中、ICTによる新たな価値創造に向けた人材育成の一環として、リンクアンドモチベーションの新入社員向け『ビジネスシミュレーション研修』と『実務強化研修』を導入した理由を伺いました。

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課題解決力を持った新入社員育成に向けて

―新たな新入社員向け研修を検討されていた背景をお聞かせください

島崎氏:新入社員には、当社の事業理念である 「ICTで社会課題の解決に貢献」するために、お客さまが抱えている問題や願望を把握し、当社の サービスによっていかに解決していくのかを考え る力を養ってもらいたいと考えていました。

それに加え今年度の大きな変化は、従来新入社員を 対象に行ってきた『販売研修』(実際に顧客先を 訪問する数ヶ月間の営業研修)を実施しない方針 が決定されました。通信インフラ環境が電話回線 からインターネット回線、さらに光回線へとシフト してきた中で、当然当社の事業戦略も大きく変化 しています。

例えば、クラウドサービスを提供する 事業会社様とアライアンスを組んだり、当社の サービス「フレッツ光」とお客さまの自社サービス を組み合わせてサービスを展開するコラボレー ションモデルを立案するなど、

従来の直接営業メ インから事業チャネルが多様化したことが販売研 修の実施を取りやめた主な背景です。だからこそ 入社すぐのタイミングで、今後のNTT西日本にお いて特に求められる「課題解決力」を身につけさ せることができないかを検討していました。

また、当社に限ったわけではありませんが、若手社員の「言われたことしかやらない」「自分の興 味関心がある領域しかやらない」「失敗するのが 怖い」といったマインド面の課題を現場から指摘 されていたことも理由の1つです。

入社後なるべく早いタイミングで学生から社会人への意識改革 を促し、ビジネスで求められる基本的所作の実践 を強化したいと考えていました。

PDCAサイクルを回しながらめざすべき社会人像に近づく

―リンクアンドモチベーションの研修を導入した理由は?

薮内氏:今回のリンクアンドモチベーション(以 下:LM)からの提案が、私たちが新入社員に求め る「お客さま志向の観点」「自ら動く主体性」と いったビジネスパーソン像に最も早く近づける と思えるカリキュラム内容だったことです。具体 的には、今までの新入社員研修とは違った厳し さの中で、お客さま志向が大切であることの気 づきを促すことができること、そして当社が大切 にしているPlan-Do-Check-Actionというサイクル(以下:PDCAサイクル)を実践的に習得できる 研修内容だったことです。

また、別の側面としては、実はLMに最終的に ご相談したのが2月中頃だったのですが、4月か らの研修実施に向けてスピード対応をしていた だけること、グループ各社の新入社員も含めた 総勢422名という大規模な研修において、当社 はもちろん設備系や営業系のグループ各社を含 むNTT西日本グループ全体を俯瞰した上で研修 を設計してもらえたことも導入の決め手でした。

大規模開催であっても態度変容を促す研修の均一化を図る

―研修の実施にあたり、注力したことは?

LM:新入社員が陥りやすい状態からめざすべき状態に一足飛びに変えることは非常に難しく、頭ごな しに研修を進めても逆に新入社員が心を閉じてしまうケースもあります。そこでまずは陥りやすい 受け身的な状態や自己基準になっている現状に気づかせること、そしてそこからめざすべき方向に導き、最後に自ら変わるための背中を押すという ステップが必要です。

今回、「自ら考え行動し、自ら 変わり続ける新入社員」の育成を目的に『ビジネス シミュレーション研修』『実務研修(NTT西日本様実施)』『実務強化研修』の3つの研修を実施しましたが、研修全体を通して、受け身的な状態から主体性をもったビジネスパーソンへと態度変容を促すこと ができる『Unfreeze』『Change』『Refreeze』という態 度変容の3つのステップをベースとしたLM独自の 技術と統一化されたストーリーを盛り込みました。

さらに今回対象となる新入社員は422名、それを 15クラスに分けて同時に開催するという大規模な研修になるため、クラスごとにばらつきが出ないよ う多数の講師のクオリティを均一化することに特に 注力しました。

元々、講師として高水準を保つための研修は実施していましたが、さらに今回は特別対応として講師陣の指導担当者があらかじめ研修カリキュラム全日程分を動画で撮影し、独自の マニュアルとともに講師陣に共有しました。さらに は講師個別にNTT西日本さまに特化したトレーニ ングを、基準をクリアするまで徹底しました。それに よって均一で高いパフォーマンス研修を実施できたと考えています。

「分かる≠できる」を実感させ、『STAR』の基準を浸透させる

―『ビジネスシミュレーション研修』の目的と具体的な内容は?

島崎氏:4月に実施した『ビジネスシミュレーショ ン研修』の一番のテーマは、「分かることとできる ことは違う」ことを実感させることでした。まず、 「自ら考え行動し、自ら変わり続ける」社会人に求められる『STAR』の観点を楽しみながら理解して もらいます。そしてその後に「実践」させるのです が、そこでは緻密に計算して再現された実践的 でリアルな環境において、顧客役スタッフから 時には厳しく指摘を受けながら行ってもらうこと になります。

例え仮想的な「顧客役」に対してで あっても、いざ実践してみると「できない」社員が 続出、今まで自分が分かっているつもりだったこ と、せっかく学んだ『STAR』をとても低い基準でし か行えていないことに強烈に気づいたようです。 研修後、新入社員からは「失敗することや指摘されることを恐れて踏み出せない自分に気づいた」 「お客さまの考えを汲み取ることの難しさに気づ いた」「STARを実践できないことへの悔しさを感 じた」という声が聞かれ、『STAR』の重要性と基準 の高さを痛感できたようです。

―その後『STAR』を実践できるようになりましたか?

島崎氏:学んだ『STAR』を実践するために当社に て2ヶ月間にわたって『実務研修』を行いました。 具体的には新入社員に自分から主体的に発言す る、相手の立場になって課題をしっかり把握して 提案する、失敗したのなら次に活かすなど、 P D C A サイクルを回しながら『S T A R』の観点を反復させていきました。また、LMには新入社員が 提出する日報のフォーマットや書き方マニュアル の整備といった研修以外のサポートも支援して いただきました。『ビジネスシミュレーション研修』 で得た大きな気づきを日々の内省によって深めることで、『STAR』の観点をよりいっそう定着させることができたように感じています。

成長を加速させる「論理的思考」と「自責スタンス」

―6月に実施された『実務強化研修』の目的と内容を教えてください

薮内氏:『実務強化研修』は新入社員研修の締めくく りとして、2ヶ月間の『実務研修』を振り返った上で、 下がりやすい『STAR』の基準を再度引き上げ、実践への覚悟を植え付けることがテーマでした。

この研修後、7月からは本配属が決まり、実際に着任するこ とになりますが、社会人としての心構えをしっかり持ってもらい、これから先もし業務の中でつまずいた場合でもどう自ら対処していくべきかを身に付け てもらいたいと考えました。

そこで、周囲と協働する ために求められる『論理的思考力』の基礎と、他責にせずセルフコントロールによって解決を図る 『自責スタンス』の2つを習得させ、自律的に成長していくためのマインド形成を図りました。新入社員からは、物事を「変えられるもの」と「変えられない もの」に切り分けた上で、「変えられるもの」に集中することの重要性と、それに伴う「自責スタンス」を 学べたという声が多く聞かれました。

―今後、リンクアンドモチベーションに期待することは?

薮内氏:NTT西日本が今後も持続的に成長していく ためには、社会的課題をICTで解決できる組織づく りに向け、その組織を牽引できる人材の育成が急務だと考えています。

そういった人材には、戦略的 に先を見据える力や、その中で自ら課題を設定し、 解決するために周りを巻き込むリーダーシップが欠かせません。LMにはそのような人材輩出の第一 歩としての新卒採用と新入社員研修でお世話になっていますが、これからも豊富な知見や事例を踏まえた長期的な視点で当社の人材戦略をサポート していただきたいと考えています。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。
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