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ファシリテーションとは?役割や必要なスキル、実践方法ついて解説

世の中ではミーティングやプロジェクトなどで、「議論が進まない」「問題解決ができない」といった声がよく挙がっております。

その課題を解決するのが「ファシリテーション」という能力です。昨今、世の中から注目が集まっている「ファシリテーション」について目的や必要なスキルをもとに紐解いていきましょう。


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目次[非表示]

  1. 1.ファシリテーションとは
  2. 2.ファシリテーションの目的とは?
  3. 3.ファシリテーターとは
  4. 4.ファシリテーターの役割と成功のための進め方
  5. 5.ファシリテーターが活用されている場面
  6. 6.ファシリテーターの役割や必要なスキル
  7. 7.ファシリテーションのメリット
  8. 8.まとめ
  9. 9.ファシリテーションに関するよくある質問

ファシリテーションとは

■ファシリテーションとは

ファシリテーション(facilitation)とは会議や研修、ミーティングなどさまざまな活動の場において、良質な結果が得られるように活動のプロセスをサポートしていくことです。

つまり、集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習等、あらゆる知的創造活動を支援し、促進していく働きを意味します。

■ファシリテーションの歴史

ファシリテーションが生み出された流れはいくつかあります。その歴史をピックアップしてお伝えしていきます。ファシリテーションの起源と言えば、まずは体験学習の流れがあります。

1960年代に体験学習の始まりであるエンカウンターグループと呼ばれるグループ体験を用いて学習を促す技法がアメリカで生まれました。この流れは、現在注目されている体験学習や教育系のファシリテーションに至るまで続いている流れになります。

また、この時期にアメリカのコミュニティ・デベロップメント・センター(CDC)で、コミュニティの問題を話し合う技法としてワークショップやファシリテーションが体系化されていきました。この流れは、主に現在の市民参加型のまちづくり活動へと受け継がれています。

ビジネス分野での応用は、1970年代にアメリカでおこなわれ始めました。主に会議やプロジェクトを効率的に進める方法として開発され、やがてチームによる現場主導型の業務改革手法に応用されていきました。

今ではファシリテーションが専門的なスキルとして世の中にとして認知され、日常的にファシリテーターが会議に用意されることも珍しくありません。そして、最近は支援型リーダーへと関心が移り変わっています。

この流れは、時を経て日本にも伝わり、分野毎に応用や研究がされてきました。その中には、世田谷のまちづくり活動のように日本独自に進化を遂げたものもあります。

しかし、ファシリテーションというものが専門技能としては認識されておらず、一部の外資系企業を除いて、その言葉すら知らないという状態が長らく続きました。

21世紀に入った頃から日本のビジネスの世界でも注目を集めるようになり、ファシリテーションに関する書物が店頭に並ぶようになりました。

ファシリテーションを専門的に研究する大学院の講座も開講されるようになり、学問的にも注目されはじめました。長い歴史を経て、ファシリテーションという言葉が普通に使われる時代がようやくやってきたのです。


ファシリテーションの目的とは?

ファシリテーションの目的とは、参加者の力を引き出して、組織に根ざす課題や要因の発見や解決を促すことです。ここでのキーワードは、参加者の互いの力を活かし合う「相互性」です。


例えば、効果的なファシリテーションと効果的でないものを比較してみます。効果的なファシリテーションでは、ファシリテーターがただ情報を伝えているだけではなく、参加者の意見を引き出し、議論を活性化させています。一方で、効果的でないファシリテーションでは、情報伝達で終わってしまい、参加者の持つ意見や知恵などが引き出されていない状態です。


そのため、ファシリテーションは会議だけではなく、リーダーにも求められる重要なスキルとも言えるでしょう。


※参考①:広江朋紀『エンゲージメントを高める場の作り方』同文館出版, 2020


ファシリテーターとは

■ファシリテーターとは

ファシリテーターとはファシリテーションを行う人のことです。ファシリテーターは組織活動の2つのプロセスに関わります。

1つ目は段取り、進行、プログラムなどの活動の目的を果たすための外面的なプロセスです。2つ目はメンバーひとり一人の感情の動きやメンバー同士の関係性などを考慮し、成果や満足感を醸成するための内面的なプロセスです。

この2つのプロセスに関わることで、効率と能率の振り子を振り、人と人との相互作用を促進することが求められます。

■ファシリテーターの歴史

ファシリテーターの歴史は比較的新しく、1940年代後半にアメリカで使われ始めた用語と言われています。

ファシリテーターの起源は、カール・ロジャーズの1954年の著書“Psychotherapy and personality change”において、グループ・カウンセリングと個人の行動の変化を解説しているのが最初だと言われています。

その後、時を経て70~80年代のイギリスで複合民族文化・教育へと進歩を遂げました。この教育プログラムの進行役がファシリテーターと呼ばれています。

一方、日本では概念として50年代にはすでに存在していたらしいのですが、現在のファシリテーターとは異なり、カウンセリング機能のみを果たしていたそうです。その後、80年代になりあらゆる国際問題や国内問題を取りまとめるうえでファシリテーターの役割や存在に注目が集まっていきました。

実はビジネス領域でファシリテーターの存在が求められるようになったのは1990年代のことでまだまだ最近のことなのです。

このような歴史や文脈から考えると、ファシリテーターはビジネス面だけでなく、教育や学習、問題解決に向けた議論を促進する役割をもった人たちのことを指すともいえるでしょう。


ファシリテーターの役割と成功のための進め方

ファシリテーターの役割は、大きく分けて「合意形成」「参加者の把握」「雰囲気づくり」「軌道修正」「タイムキーピング」「結論付け」の6つがあります。それぞれの役割に関する詳細と、成功させるためのコツをご紹介します。


■役割① 参加者の把握

まず、会議やミーティングにてファシリテーションするためには、事前に参加者の基本情報などを把握する必要があります。なぜなら、参加者によって効果的なファシリテーションの仕方が変わるからです。


参加者を把握するためには、下記の観点で把握すると良いでしょう。

 (1)参加意欲      :参加者はどの程度の意欲で、その場に臨んでくるのか

 (2)ポテンシャル    :参加者の知的レベルはどの程度か

 (3)モチベーションタイプ:どのようなメッセージ・コンテンツが響きやすいか

 (4)知識/スキル      :議論のテーマ・内容は、参加者がどの程度事前に理解しているものか

 (5)上記のバラツキ具合 :参加者全体における上記項目のバラつき度合いはどの程度か


この5つの観点を事前に把握しておくことで、効果的に議論を導くことができるでしょう。


■役割② 雰囲気作り

ファシリテーターは雰囲気作りをすることも重要な役割の1つです。なぜなら、参加者はその場の雰囲気によって、発言のしやすさが変わり、最終的に議論の質が変わるためです。


参加者が話しやすい雰囲気を作るためには、アクティブリスニングが大事です。


アクティブリスニングとは、相手の話を聞く際の姿勢のことです。どのような姿勢やリアクションを取ったら、相手が話しやすくなるのか、ということを具体的にお伝えしています。"ブレインストーミングの原則"でもお伝えしていますが、グループワークを行う際には雰囲気作りが重要です。そのため、アクティブリスニングを行うことで、参加者全員が心理的安全性を感じることができ、誰でも発言しやすい環境を作ることができます。双方向でのコミュニケーションを誘発することで、より多くの気づき、学びを得るための土台を作ることができます。そのような土台ができることで、ブレインストーミングをより効果的に実践することができるのです。(参考②)


▼参考②:アクティブリスニング



■役割③ タイムキーピング

次にファシリテーターは議論をうまく回すために、時間を管理することが重要です。議論が始まる前に、「何を話し合う必要があるのか」「どの項目に時間をかけるべきなのか」などを考えます。


特に時間をかけるべき項目を決める際には、「重要度×緊急度」で優先順位をつけると良いでしょう。「重要度」とは、チームや会議の中で重要だと思われる項目のことを指します。「緊急度」とは、期日によって決まります。「重要度×緊急度」で話し合うべき項目の優先順位を決めてから、時間管理をすると効果的に時間を使うことができるでしょう。


■役割④ 軌道修正

次に、ファシリテーターが議論を進める中で必要なことは、議論の軌道修正です。いろんな人が発言をすることは良いことですが、一方で議論の論点からずれてしまう、デメリットもあります。そのため、議論の目的とアジェンダを意識した上で、参加者の発言を誘導していけると良いでしょう。


■役割⑤ 合意形成

そして、議論も深まってきた終盤には、合意形成に向けて議論を収束させていく必要があります。その際に重要なことは、参加者自身が納得感を感じられることです。なぜなら、議論において、全員の意見を反映させることは難しいためです。ファシリテーターは、目的に沿って全員の納得感を醸成していく必要があります。


具体的には、議論にて出てきた案とそれを選ぶための条件を洗い出して判断することが重要です。例えば、下記の図のように横軸に案、縦軸に判断条件を置いて、各案を評価すると良いでしょう。このときにポイントとなるのが、条件に「MUST」と「WANT」で優先順位をつけることです。「MUST」とは、絶対に外してはいけない必須条件であり、「WANT」とはあったら良いという条件です。(参考③)


このフレームワークをもとに判断をすることで、参加者の納得感も醸成されやすくなるでしょう。


※参考③:ビジネスに有効な『思考道具』



■役割⑥ 結論付け

最後に、議論の終わりには今回の議論の結論と今後取り組むアクションを決めます。


今後のアクションを決める際には、「担当者(誰が)」「期日(いつまでに)」「内容(何をするのか)」を明確に決める必要があります。


担当者を決める際には、1人に絞ることが重要です。なぜなら、担当者が2名以上になると責任の所在があいまいになり、アクションの実行度が落ちてしまうためです。また、期日を決める際には、年月日まで決めましょう。そして、内容を決める際には、行動ベースまで落とし込みましょう。


そうすることで、実行しやすいアクションプランを立てることができます。


ファシリテーターが活用されている場面

ここまでご説明してきた通り、ファシリテーターは様々な意見を持つ参加者からうまくアイデアを引き出しながら議論を進め、最終的には合意形成を導く存在です。

組織であれば、ファシリテーターが必要となる場面が多いですが、その中でも代表例をご紹介します。


組織活動

最も一般的な例は会議があげられます。会議は情報共有型、思考・発散型・意思決定型・問題解決型と種類がありますが、いずれの場合でも、雰囲気づくりや意見出し、結論づけまでファシリテーターの存在が必要になります。


合意形成が必要な場面

代表例では、経営会議など重要事項の決定、顧客との合意形成があげられます。双方の意見を引き出し、適切にタイムコントロールをしながら結論づけるためにファシリテーターの存在は大変重要になります。


教育関係の活動

その他にも学校などの公共機関、ワークショップや研修の場で、問いかけながら意見を引き出し、発見や学びにつなげるためにファシリテ―ターは重要な役割を果たしています。


ファシリテーターの役割や必要なスキル

■役割①:事前に議論の場をデザインする(デザインスキル)

場の目的を定め、関係者を招集し、どのように議論を進めるのかという議論の場の段取りを行うことからファシリテーションは始まっています。最適な議論の進め方やクリティカルな論点を提案することが、議論の場のクオリティを決めるので、事前にデザインすることが欠かせません。

また、単に人が集まっても組織にはならず、「共通の目的」から「協働意思」の醸成までを担い、チームビルディングの良し悪しがその後の活動を左右します。

そして、討議の時間やメンバー同士の関係性を適切にデザインして、「コミュニケーション」を促進させることが求められます。ファシリテーターは組織成立の3要素を意識して場のデザインを行う必要があります。

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■役割②:効果的な意見を引き出す(コミュニケーションスキル)

議論が開始された後は、できるだけたくさんの意見や考えを出し合い、理解と共感を深めながらアイデアを広げていく必要があります。これを発散と呼びます。すべて出し尽くすことで、これから生み出す結論への合理性と納得感を高めていきます。

このときファシリテーターは、表層的な意見のみに注目するのではなく、しっかりとメッセージを受け止め、発言者を勇気づけ、深層情報を引き出していかなければなりません。

それと同時に、意見と意見の連鎖をつくり、幅広い論点で考えられるようにします。具体的には、傾聴、応答、観察、質問などのコミュニケーション系(右脳系・対人系)のスキルが求められます。


▼コミュニケーション能力に関する記事はコチラ
ビジネスにおけるコミュニケーション能力の重要性と能力向上のポイントを解説

■役割③:発散した意見を構造化し整理する(構造化スキル)

発散をした後は議論を収束していく必要があります。時間をコントロールしたうえで、集まった意見を整理し、構造化していきます。その上で、議論の全体像を整理して、議論すべき論点を絞り込んでいきます。

そのときに威力を発揮するのが、議論を分かりやすく「見える化」することが重要になります。このアクションをおこなうためにはロジカルシンキングをはじめとする、思考系(左脳系・論理系)のスキルの出番となります。

物事の枠組みを表すフレームワーク(構造化ツール)を臨機応変に活用すれば、効率よく議論が展開できます。

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組織を「見える化」「可視化」するメリットとその効果は?

■役割④:全員の納得感を醸成し、合意形成を採る(合意形成スキル)

結論の方向性が絞られてきたら、参加者の合意形成を図る必要があります. 何を基準にして最適な選択肢を選ぶのか、異なる意見をどうやって融合させるのか、決め方を決めなければいけません。

この時に起こる現象が意見の対立です。適切な合意形成をおこない、納得度を高めていけば、創造的な結論が得られ、チームの結束力も高まります。

ファシリテーターの力量が最も問われるところです。首尾よく合意ができれば、結論やアクションプランを確認し、話し合いを振り返って次に向けての糧としていきます。


ファシリテーションのメリット

■メリット①:新たな発想を生み出すことができる

組織活動の成果の質を上げるには、精神論だけでは心もとなく、行動を変えなければいけません。そのためには、まずは考え方を変えることが求められます。ところが、これはまさに至難の業であり、そう簡単には固定化された思考の枠組みが打ち破れません。

考え方を変えるには、大きく二つの方法があります。

一つは、自分自身の心の中を深く省みる内省です。多くの場合、自分一人ではなかなか壁は砕けず、それを手助けしてくれるのがコーチやカウンセラーです。もう一つは、相互作用を使って自分の枠を打ち破る方法、すなわちファシリテーションです。

他者とぶつかり合い、互いの違いを知ることで自分の壁を悟り、新しい自分を発見していくのです。もちろんどちらが一方的に優れているということはなく、単にアプローチが違うだけです。

両者とも目指す姿は人と組織の活性化であり、課題や状況に応じて組み合わせて使うのが理想的でしょう。

■メリット②:人・組織・社会を変えることができる

ファシリテーションの応用分野は、大きく「人」「組織」「社会」の三つに分かれます。 

「人」の分野とは、人間教育、社会教育、学校教育、国際教育など広範囲の分野を含むファシリテーションにのことです。ファシリテーターは内面的なプロセスに関わり、様々な学習をサポートします。企業では、参加型研修やキャリアデザインなどに用いられています。

「組織」の分野とは、チーム活動の中での問題解決や組織活性化などに用いられるファシリテーションです。 ビジネス活動に一番なじみが深い分野であり、合理的な成果とスピードが何よりも求められます。 

「社会」の分野とは、まちづくり、コミュニティ、NPOなど、社会的な合意形成が必要となる場面で用いられるファシリテーションのことです。共通の目標や課題を発見することが成果であり、納得感を高めるために、そこにいたるプロセスが重要となります。企業でいえば労働組合やCSR活動などで用いられます。


まとめ

いかがだったでしょうか?今回はファシリテーションに必要なスキルやメリットなどを紹介しました。ファシリテーションは、組織活動において必要不可欠なスキルであり、このスキルを高めることで働くメンバーの満足度や参画感を高めることができるようになります。

まさに組織のモチベーションを最大化する上では、重要なスキルになるのではないのでしょうか。円滑な議論や課題解決を行うだけではなく、メンバーの働きがいにも注目して、ファシリテーションスキルを磨いていきましょう。


ファシリテーションに関するよくある質問

最後に、よくある質問とその回答例をご紹介します。

Q1.ファシリテーションが注目されているのはどうしてですか?

A1.VUCA時代では決まった答えに向かって行動するのではなく、自ら答えを作っていくことが重要です。

そのため、1人で黙々と考えるよりも、複数人で意見を出し合いながら進めていくことが求められます。その際に、ファシリテーションが重要となります。


Q2.ファシリテーションを活用するメリットは?

A2.ファシリテーションのメリットは、「新たな発想を生み出すことができること」「人・組織・社会を変えることができること」の2つです。具体的には、本記事の「ファシリテーションのメリット」に記載していますので、ご確認ください。


Q3.ファシリテーションを活用するためのポイントは?

A3.ファシリテーションを有効活用するためには、ファシリテーターの方が役割を全うすることが重要です。しっかりとファシリテーターとして機能できるように、本記事に書いてあることを実践していきましょう。


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