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KGIとは?KPI・OKRとの違いや設定方法・注意点を解説

経営戦略・事業戦略を立案する際、多くの企業が「KGI」「KPI」といった指標を設定しています。また、「OKR」という目標管理手法を導入する企業も増えています。

今回は、KGI、KPI、OKR、それぞれの意味とともに、設定するメリットや設定する方法などについて解説していきます。

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目次[非表示]

  1. 1.KGIとは?KPIとの違い
  2. 2.KGIを設定するメリット
  3. 3.KGIを成功させるポイントと注意点
  4. 4.KGI・KPI設定方法の具体例
  5. 5.KGIの設定が失敗に終わる原因と対処法
  6. 6.人材開発・組織開発ならリンクアンドモチベーション
  7. 7.まとめ
  8. 8.KGIに関するよくある質問

KGIとは?KPIとの違い

■KGIの意味

KGIとは「Key Goal Indicator」の略で、「重要目標達成指標」と訳されます。事業の最終的な目標を定量的に評価する指標がKGIであり、売上や利益などを設定するのが一般的です。

■KGIとKPIの違い

KPIとは「Key Performance Indicators」の略で、「重要業績評価指標」と訳されます。企業がKGIを目指すプロセスにおいて、その達成度合いを評価するために設定される指標がKPIです。

KGIは、企業が最終的に達成すべき定量目標のことですが、たとえば「今期の売上○億円」というKGIを設定しても、従業員からしたら、KGIを達成するために具体的に何をすれば良いのかが明確になりません。

そこで、「KGIを達成するためには○○が必要だから、まずはこの目標を達成しよう」というように中間目標を設定します。この中間目標がKPIです。通常、「最終目標」である一つのKGIを達成するために、「中間目標」として複数のKPIを設定します。

KPIについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
>> KPIとは?設定するメリットやKGIとの違いは?具体的な設定方法も解説

■KGIとOKRの違い

OKRとは「Objectives and Key Results」の略で、直訳すると「目標と主要な結果」という意味になります。OKRは1970年代に米国のインテル社が開発した目標管理手法ですが、近年、GoogleやFacebook、日本ではメルカリなど、IT系・Web系の有名企業が導入していることで注目を集めるようになりました。

OKRでは、企業のビジョンに基づいて、達成するのが難しいほど高い目標を設定します。そして、その目標を組織内の全員に共有し、すべての従業員が一丸となって目標達成を目指していきます。

OKRの目的の一つは、すべての従業員が一丸となって高い目標を目指すことで組織の生産性を高めることです。そのため、OKRでは非常にチャレンジングな目標を掲げますが、その達成基準は60~70%に設定されます。一方、KGIは文字どおり最終的に達成すべきゴールなので、達成基準は100%に設定されます。

また、OKRは高い目標を設定することに意味があり、取り組みの結果が評価に反映されることはありません。評価に反映してしまうと、高いレベルの目標が設定されにくくなってしまうからです。

一方、KGIやKPIは達成することに意味があるので、その達成度合いが評価に反映されるのが通常です。

OKRについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
>> OKRとは?Googleも採用する効果的な運用方法を解説


KGIを設定するメリット

■会社のビジョンを浸透させることができる 

KGIは、会社のビジョンを認識できる明確な指標となるものです。したがって、まずKGIを設定する際に、会社のビジョンを達成するためにはどのような指標が達成されると良いのか?を起点に考える必要があります。

そのようなプロセスで考えたKGIを、込められた意図・背景と一緒に共有することで、従業員へビジョン浸透を図ることができます。ビジョンが見えないまま働いている状態は、従業員の不安や不満につながりやすく、生産性の低下を招くことがあります。

しかし、上記のプロセスでKGIを設定・共有することで、一人ひとりの従業員のパフォーマンスアップが見込めるでしょう。

■重視すべきポイントが明確になる

KGIが設定されていないと、従業員はただ目の前にある業務をこなすだけになりがちです。漠然と仕事をする従業員ばかりなら、企業としての競争力も低下してしまうでしょう。

しかし、KGIを設定することで、「どの仕事に力を入れるべきか?」「何を優先すべきか?」「何にこだわって仕事を進めるべきか?」といったことが明確になります。そのため、より効率的・効果的に仕事を進められるようになり、成果にもつながりやすくなります。

■目標達成の進捗度合いが分かる

KGIは定量目標であり、明確な数値で設定します。たとえば、「今期の売上10億円」というKGIを設定した場合、そのときの売上そのものが進捗度合いであり、売上が5億円に達していれば進捗は50%ということになります。

仮に、半年を経過した時点で売上が5億円に達していなければ、「このままではKGIを達成できないから人員を増やそう」「来月から繁忙期に入るから、そこで挽回できるはずだ」といった判断もしやすくなります。

■従業員のモチベーション向上が期待できる

KGIを設定していないと、従業員は「何のために仕事をしているのだろう・・・」「一生懸命に仕事をしているけど、手ごたえを感じられない・・・」などと考えるようになり、徐々にモチベーションが低下していきます。

しかし、KGIという最終目標を設定・共有することで従業員のモチベーションが向上し、高い意欲を持って業務に取り組めるようになります。結果的に、パフォーマンスの向上が期待できるでしょう。

ただし、一度KGIを共有したとしても、一度の共有で全員が理解できる可能性は低く、メンバーと経営をつなぐ管理職の伝達能力が低い場合は意図が伝わらず狙った効果が出ないこともあります。

メンバーまでメッセージが伝わっているのか、管理職は正しくメンバーと経営を結節し、伝達しているのかは定期的に点検しなければ従業員のモチベーション向上・維持は難しいので注意しましょう。

従業員のモチベーションを高めるために重要なことは、以下の記事で詳しく解説しています。
>> モチベーション向上の鉄則とは~モチベーション向上の公式~


KGIを成功させるポイントと注意点

■KGIは定量目標で設定する

たとえば、「地域の人に愛されるお店にする」というビジョンがあるとします。

しかし、これをそのままKGIに掲げるには漠然としており、「どうなったら達成なのか?」が分かりません。人によって評価が変わる可能性が高く、達成度合いも不明確なので、KGIとして適切ではありません。KGIは「今期の利益率40%」というように、必ず定量目標で設定するようにしましょう。

■KFSを明確にする

KGIを設定する際は、「KFS」を明確にすることも重要です。KFS(Key Factor for Success)とは「重要成功要因」と訳されるもので、KGIを達成するための鍵となる重要な要因のことを言います。

たとえば、飲食店が「売上」をKGIに設定した場合、KFSとしては「客単価」や「客数」が挙げられます。このようにKFSを洗い出すことで、KGIを達成するために「何を高めれば良いのか?」を明確にすることができます。

■KPIも合わせて設定する

KGIを設定する際は、必ずKPIも合わせて設定しなければいけません。KPIを設定することで、KGI達成へのプロセスを明確にできるだけでなく、KPIごとに細かい進捗管理をすることができます。各KPIの進捗をモニタリングすることで、「どんな施策が効果的なのか?」「今後何に注力すれば良いのか?」といったことが分かるため、KGIの達成可能性も高まります。

 まずKGIを設定する際に、会社のビジョンを達成するためにはどのような指標が達成されると良いのか?というところ起点で考えられている必要があり、そのKGIを意味と一緒に共有することでビジョン浸透につながる

 KGIを共有しても、一発で全員が理解できるわけではないし、管理職の結節点機能によっては浸透されず狙った効果が出ない可能性もあるのでちゃんと点検する必要あり


KGI・KPI設定方法の具体例

■Step01:KGIを設定する

自社分析の結果や過去の実績などを踏まえてKGIを設定します。今回は、ある飲食店が「年間売上3,000万円」というKGIを設定したとして話を進めます。

■Step02:KFSを洗い出す

KGIを設定したら、そのKGIを達成するための重要な要因であるKFSを洗い出します。「年間売上3,000万円」というKGIを設定した飲食店であれば、KFSとして「客数」や「客単価」などが挙げられます。飲食店において客数や客単価が増えれば、売上が上がる可能性は高くなるでしょう。

客数を増やすと言っても、新規客を増やす場合とリピート客を増やす場合では戦略が変わってきます。また、客単価を増やす場合も、「付加価値を付けて商品単価を上げる」「サイドメニューの販促を強化して、購入商品点数を増やす」など、様々な施策が考えられます。このようにKFSを細かく洗い出すことで、施策の方向性が固まってくるでしょう。

■Step03:KPIを設定する

KFSを洗い出したら、そこに具体的な数値を落とし込み、KPIとして設定します。年間売上3,000万円を達成するためには、単純計算でひと月あたり250万円の売上が必要です。ひと月で250万円の売上を達成するためには、たとえば、「客数2,500人 × 客単価1,000円 = 売上250万円」というシミュレーションが成立します。

ひと月の客数2,500人を月間の営業日数(25日)で割ると、1日あたり100人に来店してもらう必要があります。そして、一人あたり1,000円以上の注文をしてもらう必要があります。この場合、「1日あたりの客数100人」や「客単価1,000円」は、KPIの候補になり得るでしょう。

■Step04:アクションプランを立てる

KPIを設定したら、各KPIを達成するためには「具体的にどんな行動をすれば良いのか?」というアクションプラン(行動計画)を立てます。

現状、1日あたりの平均客数が80人であれば、「あと20人のお客さんに来店してもらうためには、何をすれば良いのか?」というアクションプランを立てます。平均客単価が800円であれば、「来店したお客さんに、あと200円使ってもらうためには、何をすれば良いのか?」というアクションプランが必要です。


KGIの設定が失敗に終わる原因と対処法

KGIは、「SMARTの法則」に基づいて設定するべきだと言われます。SMARTの法則は目標設定のフレームワークであり、以下のように、「S」「M」「A」「R」「T」の5つの項目から構成されています。

  • S(Specific):具体的で分かりやすい
  • M(Measurable):数値化されていて計測できる
  • A(Achievable):実現可能性がある
  • R(Relevant):関連性がある
  • T(Time-bounded):期限が明確になっている

KGIの設定が失敗に終わりやすいのが、SMARTの法則が考慮されていない場合です。よくある失敗パターンと対処法を見ていきましょう。

■KGIが具体的でない

たとえば、「会社のブランドイメージを向上させる」というKGIは具体的ではないKGIだと言えます。「どうなったらブランドイメージが向上したと言えるのか?」ということがはっきりしません。そもそも、「ブランドイメージとは何なのか?」という点も、人によって解釈が異なるでしょう。

このように漠然としたKGIでは、従業員の足並みが揃いません。KGIは具体的で、誰が見ても分かりやすいものにすべきです。

■KGIを計測できない

KGIは、定期的に進捗状況をモニタリングしながら、達成を目指すものです。当然のことですが、測定できないKGIを設定すると、進捗状況を確認できず、手探りで進むことになってしまいます。

上述した「会社のブランドイメージを向上させる」というKGIは、計測不可能なKGIの典型例です。KGIを設定するときは、必ず数値化できて、計測可能なものにしなければいけません。

■KGIの実現可能性が極めて低い

目標は高いほうが良いという考え方もありますが、多くの人は、高すぎる目標を目の前にしたとき、心が折れ、やる気を失ってしまうものです。現実離れしたKGIは、従業員のモチベーションを削いでしまうため、実現可能性があまりにも低いKGIを設定すべきではありません。

きちんと現状分析をしたうえで、「これなら頑張れば実現できそうだ」と思えるくらいのKGIを設定することが大切です。

■KGIとKPIの関連性が欠けている

KGIを設定するときは、合わせてKPIも設定することが重要だと申し上げましたが、KGIとKPIは必ず関連性のあるものにしなければいけません。「すべてのKPIを達成したのに、KGIを達成できなかった」という事態になると、時間も労力もコストも無駄になってしまいます。

取り組みの途中で、たとえば「このKPIは200%達成しているのに、KGI達成の進捗が遅れている」ということが明らかになったのであれば、KPIを見直すという判断も必要になってきます。

■KGIに期限が設けられていない

「いつか達成できれば良い」というような目標はKGIにはなり得ませんし、このような目標はいつまで経っても達成できません。多くの人は、期限が設定されていない目標を後回しにするものです。KGIを設定するときは、「その目標をいつまでに達成するのか?」という期限も合わせて設定するようにしましょう。


人材開発・組織開発ならリンクアンドモチベーション

組織にとって適切なKGIを設定するには、まずは客観的に「今自分の組織はどういう状態なのか」を把握することが重要です。

会社と従業員のエンゲージメントが高ければ、従業員から会社への信頼があるとみなし、よりチャレンジングな目標を設定して成長を促すという選択をとることができます。一方、エンゲージメントが低いのであれば、高い目標を提示してもうまく行動変化を起こせず、望んだ結果にならない可能性があります。そのような場合は、達成可能性の高い行動目標の設定から始め、挑戦できる風土づくりをしたほうが成果に繋がりやすくなります。

リンクアンドモチベーションの「モチベーションクラウド」は、国内最大級のデータベースを活用し、簡単なアンケート調査に回答するだけで、従業員エンゲージメントを可視化し、組織の現状と課題を一目瞭然にすることができます。

また、診断だけではなく、コンサルティングや研修など、明らかになった組織の課題の解決と目指す組織像の実現に向けて様々な形でご支援サービスをご用意しています。

現状の見える化から、従業員のモチベーション向上と業績向上を実現するための施策設計までコンサルタントがお手伝いいたします。


まとめ

今回ご説明したとおり、適切なKGIを設定することができれば、従業員に会社のビジョンを浸透させることができ、モチベーションを引き出すことができます。そして、やるべきこと(やるべきでないこと)が明確になるため、効率的に目標達成へと向かうことができます。自社が掲げるべきKGIについて、あらためて考えてみてはいかがでしょうか。


KGIに関するよくある質問

■Q:KGIとは売上目標のことですか?

A: KGIとは、企業が最終的に目指すべき数値目標であり、売上や利益、業界シェアなどがKGIとして設定されるのが一般的です。売上をKGIに設定する企業は多くありますが、必ずしもKGI=売上というわけではありません。

■Q:人材採用におけるKGIは、どのようなものを設定すべきですか?

A:人材採用におけるKGIは、「採用人数」にするのが一般的です。たとえば、「半年以内に営業職を5名採用する」「来年度の新卒社員として10人採用する」といったKGIが想定できます。

■Q:組織開発におけるKGIは、どのようなものを設定すべきですか?

A:組織開発におけるKGIも様々なものが考えられますが、近年、広く用いられるようになっているKGIが「従業員エンゲージメント」です。従業員エンゲージメントとは、従業員の会社に対する愛社精神や愛着のことを言います。従来は定量化が難しい指標だとされていましたが、近年はエンゲージメントサーベイなどのツールが高度化しており、従業員エンゲージメントを定量的に測定できるようになっています。


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木藤 綾佳
木藤 綾佳
【プロフィール】 リンクアンドモチベーション入社。以降、大手企業向けのコンサルティング部隊に所属。 営業企画として人材育成サービスに関するマーケティング施策に携わる。

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