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KPIとは?設定するメリットやKGIとの違いは?具体的な設定方法も解説

事業や個人の成長には、目標設定や達成までのプロセスを定量的に可視化し、計測することが欠かせません。そんな目標の達成度合いを測るための具体的な指標として注目されているのが「KPI」です。

この記事では、KPIとは何か、セットで使われるKGIとの違い、KPIを設定するための注意点や具体的な方法について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.KPIとは?KGIとの違いは?
  2. 2.KPIを設定するメリット
  3. 3.KPI設定における注意点
  4. 4.KPIの具体的な設定方法
  5. 5.記事まとめ
  6. 6.よくある質問
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KPIとは?KGIとの違いは?

■KPIの意味

KPIとは、「Key Performance Indicators」の略語です。日本語だと「重要業績評価指標」と翻訳されます。

簡単に言うと、売上や利益率等の組織が掲げる目標を達成するために、実行すべきプロセスが適切に実施されているかを定量化して評価するための指標です。目標達成に向けてどれくらい近づいているのかを数値で把握し、場合によっては行動を修正するための「中間目標」として有効です。

例えば、マーケティングではサイトのセッション数やクリック数など、営業では、アポイント件数や受注件数、解約件数などがKPIとして設定されることが多いです。

KPIを適切に設定することで、最終目標を達成するために必要なプロセス、最初に達成すべき直近の目標が明確になり、チーム内の動きが統一されます。KPIを設定しておくことは、最終目標達成のためには欠かせない重要な指標です。

■KPIとKGIの違い

KGIとは「Key Goal Indicator」の略です。日本語に翻訳すると「重要目標達成指標」と言います。

KPIとKGIの違いは、KPIは最終目標を達成するための「中間目標」という意味に対し、KGIはまさに「最終目標」であり、それが達成されているかどうかを計測するための指標であるという点です。KGIは長期的に設定されることが多く、数か月~数年単位での目標を示すために使われることが多いです。

したがって、KPIは目標を達成するための「プロセス」を見るための指標、KGIは「ゴール」を見る指標といえます。

例えば、「1年後の月間売上を2000万円にする」というKGIを設定した場合、そのKGIに到達するための先行指標として「新規商品を開発する」「クリック数を増加する」というKPIを設定します。このように、KPIとKGIはセットで使うことで効果を発揮します。

まずはゴールであるKGIを設定し、そのKGIを最適なプロセスに分解し、戦略としてKPIを定めることで、効率良く目標達成に近づくことができます。

KPIを設定するメリット

■メリット①指標が明確になる

KPIを設定することで、目標達成のためにまずは何を達成すればよいのか、そのためにどのような行動をすればよいのか、社員それぞれが考えて動きやすくなります。

特に新卒や若手のメンバーは、最終ゴールであるKGIだと距離が遠く、達成可能性を感じられない場合が多いです。KPIを設定することで、達成までの道筋がわかり、やるべきことが明確になるので、行動に移しやすくなり、業務スピードも向上します。

逆にKPI設定がされていなければ、目標達成のために何からすれば良いのか分からなくなり、行動が遅くなってしまいます。結果として、目標達成から遠のいてしまうという事態が発生します。

■メリット②評価基準を統一できる

KPIを設定する際には、定量的な数値が用いられるため、社員の評価基準を統一できるというメリットがあります。

例えば、売上目標達成のために、先行指標として週のアポイント数を10件以上と設定した場合、アポイント数が10件以上であれば目標達成、10件以下であれば目標未達成、というように数値で個人の成果を評価することができます。

また、個人として追う指標も明確になるため、上司は公平な判断の根拠として扱うことができます。誰から見ても同じ結果になる評価基準にできるので、社員を公平に評価することが可能となり、評価に対する不満が生まれにくくなります。

■メリット③PDCAが回りやすくなる

KPIを適切に設定することができれば、最終目標達成のためのPDCAが回りやすくなります。KPIとKGIは、プロセスごとに決めた成果(KPI)を達成した先に目標(KGI)を達成できる、という関係になっているので、KPIの時点で成果が足りていなければ目標達成できません。

つまりKPIの未達は、「目標達成が出来ない可能性がある」というシグナルのため、KPIが未達だった時点で目標達成に向けた行動修正、改善を行い、早くPDCAを回すことができます。

KPIがなければ、目標達成できない可能性を察知するタイミングがないため、行動修正、改善のタイミングが遅くなり、結果として目標達成できないという状況に陥ってしまう可能性があります。

■メリット④組織や個人のモチベーションアップに繋がる

KPIを設定することは、組織全体のモチベーション向上に繋がります。KPIを適切に設定することができれば、最終目標達成のためにまずは何を目指せばよいのか、そのためにどのような行動をすればよいのかを明確にしてくれるので、組織として目指す方向性が一致します。

その結果、個々人がやるべきことが明確になるため、モチベーションアップと生産性向上につながります。

また、組織全体で目指す方向性が一致していれば、目標達成までの道筋において課題が発生した場合に、すぐに共有でき、チーム全員で課題に立ち向かうことができます。結果として結束力が高まり、組織全体の相互作用による成果創出が期待できます。

社員のモチベーションを維持し、最大の成果を創出するために、リーダーやマネジャーは目標や課題の共有だけでなく、社員それぞれが目標に対してどのように考えているのか、どのような行動をしたらよいと思っているか等の意見が反映されやすい体制を構築しましょう。

KPI設定における注意点

■注意点①定量的に評価できる指標にする

KGI・KPIを設定するときは、必ず数値としてモニタリングできるもので設定しましょう。

例えば、「売上をアップさせたい」「顧客満足度を上げたい」といった定性的なKGIやKPIにしてしまったとすると、実際に達成できているのかどうか、進捗具合はどうなのかを客観的に判断できないため、メンバーの間で認識のズレが生じ、話が噛み合わなくなるからです。

例えば、「売上をアップさせる」といった目標の場合は、「昨年度の売上の120%の売上を目指す」などといった定量的に測定できるKGIにすることで、KPIも定量化しやすくなり、モニタリングや施策の効果検証が行いやすくなります。

また、「チームの団結力を高めたい」「お客様の心に残る商品を作りたい」といった、他者の内面が対象となる目標の場合は、アンケートを用いて定量化することで、測定可能な指標にすることが可能です。

■注意点②KGIとKPIを結びつける

KPIとは、KGIを最適なプロセスに分解し、戦略として定めることで、効率良く目標達成を行うためのものです。従って、KPIがKGIと成果に繋がる形で結びついていなければ、KPIを達成していたとしても本来の目標達成をすることはできません。KPIに設定した目標数値をクリアしていく先に、KGIの達成があるように設計しましょう。

例えば「男性客の売上向上」がKGIの場合、全体の来客数をKPIにしても、女性の割合ばかりが増えてしまっていては男性客の売上向上には繋がらないので、KPIとしては適切とはいえません。

このように、KGIとKPIが結びついていないという状況を避けるために有用なのが「KPIツリー」です。KGIを構成する要素を段階的に分解して、網羅的に実行方法を洗い出すことでどのような行動が一番成果に繋がるのか?を考えやすくなります。結果として、KGIを適切なKPIへとブレイクダウンすることができます。

■注意点③難易度と達成可能性のバランスをとる

KPIを決める際には、難易度と達成可能性のバランスに気をつけましょう。あまりに簡単過ぎる目標だと、メンバーが力を出し切らなくても達成できてしまい、組織としての最大成果を創出することができません。したがって、メンバー一人ひとりの実力を考慮して、「頑張らなければ届かない目標」をセットすることが大切です。

一方で、高すぎる目標だとメンバーは達成可能性を見出せず、やる気を失ってしまいます。メンバーの実力に見合っていない目標にならないよう気を付けましょう。

KPIはあくまでKGIを達成するための手段であり、目的ではありません。しかし、KPIを適切に設定することはメンバーの力を最大限活用する力になります。バランスを見極めて設定することで、KGIの達成へ繋げることが大切です。

■注意点④改善可能なKPIにする

定量的なKPIを設定しても、実際に実行してみた結果を元にPDCAを回して改善することができなければ、モニタリングする意味がありません。

KPIを設定したあとは、KPIを達成するためにどのような施策や行動をするのかといった、具体的な施策にまで落とし込むと、どんな行動をしてどんな成果に繋がったのかが明確です。結果としてうまくいった要因、うまくいかなかった原因が明確になり、施策の効果を定期的に検証できるので効果的です。

KPIは「具体的にどんな行動をするのか」という施策とセットで考えることで、PDCAの回るスピードを上げ、目標達成に近づけます。

KPIの具体的な設定方法

■手順①KGIの設定

まずは、最終目標となるKGIを設定します。KGIは、先述した通り数値で測定可能な状態で設定することが大切です。「売上をアップさせる」といった目標の場合は、「昨年度の売上の120%の売上を目指す」などといったKGIにするのが良いでしょう。

また、KGIを設定する際は、社員やチームなど関係者全員に共有するようにしましょう。共有した際にメンバーから意見があれば積極的に反映し、チーム全員が納得する形で設定することができれば、目標に対するメンバーのコミットメントが生まれます。

また、成果を定量化するだけでなく、そのKGIをいつまでに達成するのかという期日を決めることも大切です。期日があることで危機感が生まれ、実現するために行動も変わります。定量目標とセットで設定しましょう。

■手順②現状との差分の洗い出し

KGIが決まったら、次はKGIと現状との差分を確認します。KGIは定量化されているはずなので、同じ基準で現状についても定量化することで差分が明確に分かります。

一方で、その差分を生み出している定性的な状態も言語化することが大切です。「営業トークに自信がなく、一歩踏み込んだコミュニケーションができない」「以前電話で怒られたことがあって、テレアポに苦手意識がある」など、うまくできない、躊躇してしまっている理由を明確にしましょう。

洗い出した定性的なボトルネックは、KPIに付随する具体的な行動設定で乗り越えられるようにするとスピード感を持って遂行していくことができます。

■手順③KGIの細分化

KGIの設定と現状の差分が分かったあとは、KGIの細分化を行います。KGIを細分化する際は、目標と現状を埋めるための課題から考えると分かりやすいです。

  • KGIから逆算すると、どのようなプロセスを辿る可能性があるのか?
  • そのプロセスを辿る上で、足りていない要素は何なのか?
  • プロセス上で考えられるリスクはないのか?
  • 他社でうまくいっている事例があれば、それは何故うまくいっているのか?

など、なるべく複数の視点から漏れなく洗い出すことで、目標達成までのプロセスや課題が明確になり、KPIを設定する際により適切な基準で決めることができます。

■手順④細分化したKGIの優先順位付け

KGIを細分化していくと、かなりの数のプロセスや課題、リスクが洗い出されることになります。もちろん、その全てに取り組むことができるのが理想ではありますが、実際の行動やタスクに落とし込んでいくとやるべきことが増えすぎてしまい、結果的に中途半端になってしまう可能性があります。

したがって、洗い出したプロセスや課題、リスクに優先順位をつけ、「やること」と逆に「やらないこと」を決めることが大切です。

優先順位を決める際の基準は、効果がどのくらい見込めるか、実行にどのくらいの時間がかかるのか、実行するためにどのくらいの障壁があるかという3つの観点が良いでしょう。効果が高く、比較的実行に時間がかからず、実行への障壁が少ないものから取り組むと効果的です。

■手順⑤KGIと紐づいたKPIの設定

KPIを細分化し、プロセスや解決すべき課題、リスクに優先順位を付けたあとは、KPIツリーを作成します。KPIツリーを作成することによって、KGIとKPIの関連性が可視化され、視覚から全体像の理解しやすく、チーム内での共通認識を作りやすくなります。KPIツリーは以下のように作ります。

まず手順①~④で設定したKGIや、KGIを細分化し優先順位をつけて「やる」と決めたことを定量的に測定できるKPIにします。その後、KGIを起点とし、ツリーの枝葉として測定可能にしたKPIを配置していきます。

KPIツリーを作る際の注意点は2つあります。1つ目は四則演算で成り立つ構造にすることです。足す、引く、掛ける、割るが成立するように組み立てることで、大目標であるKGIを達成するには、KPIをそれぞれどのように達成すればよいのか把握することができます。

注意点の2つ目は、単位です。ツリーで結びついているKPI同士は同じ単位で揃えるようにしましょう。例えば、「顧客単価を20%向上させる」というKPIの単位は「円」なので、その下に繋がる商品単価や購入金額の単位も円で揃える、といった形です。この単位が統一されていないと、KPIツリーの論理が成立しなくなり、意味がなくなってしまうので注意しましょう。

KPIツリーが完成したあとは、各KPI達成のために必要な行動も、To Doレベルにまで砕いて設定しましょう。場合によっては「どのくらい計画を実行できたのか」という点をモニタリングするために「KDI」によって行動数をモニタリングすることも効果的です。

KGIやKPIは設定するだけでなく、「実際にどんな行動を行うのか」までセットで規定することで計画の進行が速まります。

記事まとめ

KPIの設定は、社員の行動を明確にし、目標達成にドライブをかける良い手段であり、組織全体のモチベーションアップの効果も期待できます。

しかし、リーダーやマネジャー等の管理職が目標をどのようにブレイクダウンし、KPI化するかによって、目標達成度合いやメンバーのモチベーション度合いは大きく変わってきます。今回の記事を参考に、事業成果とメンバーのモチベーションが極大化されるKPI設定を考えてみてください。

よくある質問

KPIとは?KGIとの違いは?

KPIとは、「Key Performance Indicators」の略語です。日本語だと「重要業績評価指標」と翻訳されます。目標達成に向けてどれくらい近づいているのかを数値で把握するためにあり、KPIの進捗を見ることで場合によっては行動を修正することもあります。
一方、KGIとは「Key Goal Indicator」の略です。日本語に翻訳すると「重要目標達成指標」と言います。KPIとKGIの違いは、KPIは最終目標を達成するための「中間目標」という意味に対し、KGIはまさに「最終目標」であり、それが達成されているかどうかを計測するための指標であるという点です。KGIは長期的に設定されることが多く、数か月~数年単位での目標を示すために使われることが多いです。
したがって、KPIは目標を達成するための「プロセス」を見るための指標、KGIは「ゴール」を見る指標といえます。

KPIを設定するメリットは?

KPIを設定するメリットは以下の4つが挙げられます。

①指標が明確になるーKPIを設定することで、目標達成のためにまずは何を達成すればよいのか、そのためにどのような行動をすればよいのか、社員それぞれが考えて動きやすくなります。
②評価基準を統一できるー定量的な数値が用いられるため、社員の評価基準を統一できます。
​​​​​​​③PDCAが回りやすくなるー「目標達成が出来ない可能性がある」というシグナルのため、KPIが未達だった時点で目標達成に向けた行動修正、改善を行い、早くPDCAを回すことができます。
④組織や個人のモチベーションアップに繋がるーKPIを適切に設定することができれば、最終目標達成のためにまずは何を目指せばよいのか、そのためにどのような行動をすればよいのかを明確にしてくれるので、組織として目指す方向性が一致します。その結果、個々人がやるべきことが明確になるため、モチベーションアップと生産性向上につながります

執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
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