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社会保険とは?加入条件や雇用保険との違い、メリット・デメリットを解説!

社会保険に関する規定は非常に複雑で、法改正も多く、今後は段階的にパート・アルバイトの社会保険加入が義務化されることになっています。

今回は、社会保険の基礎知識を分かりやすく解説していきます。あらためて、社会保険の種類や目的、加入条件や法改正のポイントなどを押さえておきましょう。

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目次[非表示]

  1. 1.社会保険とは
  2. 2.社会保険の解釈の違い
  3. 3.社会保険制度の目的・考え方
  4. 4.社会保険に加入するメリット
  5. 5.社会保険の加入条件
  6. 6.社会保険の加入手続き
  7. 7.まとめ

社会保険とは

日本の社会保険は、「年金保険」「医療保険(健康保険)」「介護保険」「労災保険」「雇用保険」の5つがあります。それぞれ簡単にご説明します。社会保険を図にすると、以下のような構造です。

■年金保険

年金保険とは、働いている世代が支払う保険料が65歳以上の高齢者に給付される仕組みのことで、「国民年金」と「厚生年金」の2種類があります。

国民年金は、日本に住むすべての20歳以上60歳未満の人に加入が義務付けられています。厚生年金は、会社員や公務員が国民年金にプラスして加入する年金のことです。

■医療保険(健康保険)

医療保険(健康保険)とは、社会全体で医療費の負担を支え合う仕組みのことです。病気やケガで医療機関を受診する際の医療費負担が軽減されたり、入院・手術で高額な医療費がかかるときの費用負担が軽減されたりするのがメリットです。医療保険(健康保険)は、会社員が加入する「健康保険」と、自営業者や専業主婦などが加入する「国民健康保険」があります。

■介護保険

介護保険とは、介護を必要とする高齢者を社会全体で支える仕組みのことです。40歳以上65歳未満で医療保険に加入している人や65歳以上の人は介護保険に加入する義務があります。

■労災保険

労災保険とは、会社の従業員が仕事中・通勤中の事故や災害などによってケガ・病気をしたり、身体に障害が残ったり死亡したりした場合に保険金が給付される仕組みのことです。

■雇用保険

雇用保険とは、従業員が失業した場合などに従業員の生活の安定を図るとともに、再就職を促進するために給付をする仕組みのことです。ハローワークで支給される「失業手当」が代表例です。

社会保険の解釈の違い

上述のとおり、社会保険とは「年金保険」「医療保険(健康保険)」「介護保険」「労災保険」「雇用保険」の総称です。このうち、厚生年金保険、健康保険、介護保険の3つを「狭義の社会保険」と言い、労災保険と雇用保険の2つを「労働保険」と言うのが一般的です。通常、人事労務領域で社会保険と言ったら「狭義の社会保険」を指します。本記事でも、「社会保険=狭義の社会保険」という前提でご説明していきます。

■社会保険と労働保険の違い

社会保険と労働保険では保険の種類・内容が異なるうえ、加入条件も異なります。労災保険は、従業員を1人でも雇用している事業所は加入しなければいけません。

雇用保険は「1週間の所定労働時間が20時間以上であること」「同一事業主の適用事業に31日以上雇用される見込みであること」といった要件を満たす場合は加入する必要があります。

社会保険の加入条件は後述しますが、労働保険の加入条件に比べるとハードルが高くなっています。そのため、「労働保険に加入しているけど、社会保険には加入していない」という従業員が発生することもあります。

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社会保険制度の目的・考え方

社会保険制度は、人々が病気、ケガ、出産、死亡、老齢、障害、失業など生活の困難をもたらす様々なシーンに遭遇した場合に一定の給付をおこなうことで、国民の生活の安定を図ることを目的とした公的保険制度です。

社会保険制度の根底にあるのが、「相互扶助」の精神です。国民がお互いに助け合うために保険料を出し合って母集団をつくり、そのなかで保険事故によるリスク分散を図っています。相互扶助の精神に基づいて、いつ、どこで、誰が遭遇するか分からない事態に備えるのが社会保険制度の趣旨だと言えます。

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社会保険に加入するメリット

従業員が社会保険に加入するメリットとしては、大きく以下の4点が挙げられます。

■将来もらえる年金が増える

厚生年金保険に加入すると、全国民共通の基礎年金に加えて、在職中の給料の額に基づいて計算される「報酬比例」の厚生年金を受け取ることができます。たとえば、厚生年金保険に40年間加入し、毎月8,000円の保険料を納めた場合、将来受け取る年金額は毎月約19,000円増えます。

■障害がある状態になった場合に、より多くの年金が支給される

厚生年金保険の加入期間中に、万が一、障害がある状態になった場合、障害基礎年金のほかに障害厚生年金が支給されます。また、障害基礎年金は障害等級1級または2級の場合に支給されますが、障害厚生年金は障害等級3級の場合にも支給されます。加えて、万が一お亡くなりになった場合も、遺族に遺族基礎年金のほかに遺族厚生年金が支給されます。

■医療保険(健康保険)の給付が充実する

健康保険に加入していると、病気やケガ、出産などで仕事を休まなければならない場合には、傷病手当金や出産手当金として賃金の3分の2程度の給付を受けることができます。

■会社が保険料の半分を負担してくれる

国民年金や国民健康保険では被保険者本人が保険料を全額負担しますが、厚生年金保険や健康保険に加入していると、保険料の半分を会社が負担してくれます。厚生年金保険では、自身が支払った保険料の2倍の額が支払われていることになり、それが将来の給付につながります。

参考:平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大) |厚生労働省

社会保険の加入条件

事業主や従業員の意志にかかわらず、健康保険や厚生年金保険などの社会保険への加入が義務付けられている事業所を、社会保険の「強制適用事業所」と言います。以下のいずれかに該当すれば、社会保険の強制適用事業所になります。

  • 事業主を含む従業員1人以上の会社、国や地方公共団体などの法人
  • 常時使用の従業員が5人以上いる、一部の業種を除く個人事業所

法人の大半が強制適用事業所となりますが、常時使用の従業員の数や業種によっては社会保険の適用対象外になることもあります。

しかし、強制適用事業所にならない事業所でも、従業員の半数以上が社会保険の適用事業所になることに同意したうえで、事業主が適用の申請をし、厚生労働大臣の認可を受けると「任意適用事業所」になります。任意適用事業所は、強制適用事業所と同じく社会保険の適用対象となります。

社会保険の適用事業所(強制適用事業所・任意適用事業所)に常時使用される70歳未満の従業員は、報酬額や国籍、性別、年金受給の有無にかかわらず、強制的に健康保険や厚生年金保険に加入することになります。

ただし、パートやアルバイトの従業員は、労働時間や労働日数が所定の割合以上であることなどの要件を満たす場合に社会保険に加入することになります。

■パート・アルバイトの社会保険の加入条件

平成28年10月より、下記5つの条件をすべて満たす短時間労働者(パート・アルバイト)まで社会保険の適用が拡大されています。

①週の所定労働時間が20時間以上

②雇用期間が1年以上見込まれる

③月額賃金が8.8万円以上

④学生ではない

⑤常時501人以上の企業で働いている

さらに、2022年10月以降、2024年10月以降と、段階的に短時間労働者の社会保険の適用が拡大されます。新たなに加入対象となるのは、以下の条件をすべて満たすパート・アルバイトです。

・2022年10月以降

①週の所定労働時間が20時間以上30時間未満

②2ヶ月を超える雇用の見込みがある

③月額賃金が8.8万円以上

④学生ではない

⑤従業員数101人~500人の企業で働いている

・2024年10月以降

①週の所定労働時間が20時間以上30時間未満

②2ヶ月を超える雇用の見込みがある

③月額賃金が8.8万円以上

④学生ではない

⑤従業員数51人~100人の企業で働いている

パート・アルバイトの社会保険の適用拡大の詳細は、厚生労働省の特設サイトでご確認ください。

参考: 社会保険適用拡大 特設サイト|厚生労働省

社会保険の加入手続き

事業所が新規で社会保険の適用を受ける場合、強制適用事業所であれば会社設立から5日以内に、任意適用事業所であれば従業員の半数以上の同意を得た後に、以下の書類を日本年金機構へ提出する必要があります。

  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • 被保険者資格取得届
  • 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)
  • 保険料口座振替納付(変更)申出書(被保険者に扶養家族がいる場合) など

社会保険の適用事業所が新しく従業員を採用した場合は、採用日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を日本年金機構へ提出する必要があります。

また、被保険者に被扶養者がいる場合や、追加・削除などの変更があった場合は、「健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)」を事実発生から5日以内に日本年金機構へ提出しなければいけません。なお、これらの手続きはオンラインでおこなうことも可能です。

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まとめ

2022年2月現在、パートやアルバイトなど、短時間労働者の社会保険適用義務は501人以上規模の企業が対象となっていますが、2022年10月からは101人以上の企業も、また2024年10月からは51人以上の企業も対象となり、適用対象者の要件も変更になります。

自社が該当する場合や、該当する可能性がある場合は早めに確認をして、対応方法を検討しておきましょう。

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LM編集部
LM編集部
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