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クライシスマネジメントとは?重要性や手順・経営リスクに有効な取り組みなどを解説

企業が事故や災害、トラブルなど予期せぬ事態に直面した場合、適切な対応を取ることが重要です。クライシスマネジメントは、事故などの被害から早期復旧を目指し二次災害を防ぐための対策であり、注目が集まっています。

この記事では、クライシスマネジメントが必要とされる理由や手順、担当者が認識すべきリスクなどを解説します。ぜひ参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.クライシスマネジメントとは
  2. 2.クライシスマネジメントの重要性とは
  3. 3.クライシスマネジメントの手順
  4. 4.クライシスマネジメントが必要になった事例
  5. 5.担当者が認識すべきリスクとは
  6. 6.まとめ

クライシスマネジメントとは

クライシスマネジメントとは、日本語に訳すと「危機管理」となります。企業に危機が起こったときの対応を管理することを指します。危機とは企業の存続を脅かすような予想外の事態です。

クライシスマネジメントでは、最初の対応から復旧までの対策を事前に考えておき、できるだけ素早く通常の状態に復旧することを目指します。危機への対応が遅れたり失敗したりすると、二次災害が引き起こされて復旧が遅れる可能性があります。対応策が定まっていない場合、企業の存続が危ぶまれる状態になるケースもあるため注意しましょう。

クライシスマネジメントが注目されている理由

クライシスマネジメントが注目されるきっかけとしては、2001年にアメリカで起きた「同時多発テロ」が挙げられます。貿易センタービルに飛行機2機が衝突するというテロ行為が発生し、多くの企業が甚大な損害を被りました。これにより、経営破綻に陥った企業もあります。

日本では、2011年3月11日に発生した「東日本大震災」が挙げられます。この大震災をきっかけとして、事故防止だけでなく事故後の対応も重視されるようになり、クライシスマネジメントが注目を集めました。

リスクマネジメントとの違い

リスクマネジメントとは、企業の潜在的なリスクを特定して、リスク回避や軽減のための戦略や施策を策定することです。

一方、クライシスマネジメントは、リスクマネジメントでは対応しきれない予測不能な事態が発生した際に、被害を最小限に抑えることを目的とした管理手法です。リスクマネジメントにクライシスマネジメントが内包されているという考え方もあります。

BCPとの違い

BCP(Business Continuity Plan)とは、事業継続計画のことで、災害などの緊急事態に備えて作成するものです。地震や台風などの災害が発生した際に、通常業務を維持して迅速に復旧することが目的で、事業継続を目的としたクライシスマネジメントともいえます。BCP策定では、優先的に継続・復旧すべき中核事業を定めることが重要です。

クライシスマネジメントの重要性とは

企業ではクライシスマネジメントの重要性が高まっています。ここでは、クライシスマネジメントがなぜ必要なのかを解説します。

想定外の危機に対応

クライシスマネジメントは、想定外の危機に対応するために重要です。たとえば、アメリカで発生した同時多発テロや日本で起きた東日本大震災などは、予想できない危機といえるでしょう。また、新型コロナウイルス感染症のパンデミックも、予想外の出来事でした。

このような危機のすべてを予測することは不可能ですが、クライシスマネジメントを策定しておくことで想定外の危機に対応しやすくなります。初期対応から復旧、二次災害の防止などをサポートする体制を検討し、整えておくことが重要です。

従業員の命と安全の確保

大規模災害や事故が起こると、企業全体が混乱して統制が取れなくなる可能性があります。混乱状態になると、従業員の命と安全が危険にさらされるリスクが高まるため、事前に対策を練っておくことが重要です。クライシスマネジメントは、従業員の命と安全を確保するためにも必要だとされています。

クライシスマネジメントの手順

クライシスマネジメントは、準備・対処・回復という手順で行います。ここでは、詳しい手順を解説します。

準備段階

クライシスマネジメントは、危機に備えた対応のため事前の準備が重要です。事前準備の段階で行うべきことは以下の3つになります。

・CMP(クライシスマネジメントプラン)の作成:危機が起こった場合の行動計画を事前にマニュアル化して、対応策を準備する
・日頃からのモニタリング:SNSなどの情報を定期的に監視して、危機状況を素早く察知する
・危機を想定したリハーサルの実施:マニュアルに基づいた危機管理の流れを確認するために、定期的に練習を行う

CMPを作成する際には、災害やネット上での危機に備えて柔軟性を持たせたプランを検討しましょう。また、SNSの普及で風評被害などのリスクも高まっているため、SNS分析ツールの導入も検討されています。リハーサルでは、問題点や課題を確認して改善やチームの連携強化を図りましょう。

対処段階

実際に危機が起こった場合には、自然災害やSNSによる危機的状況なのかを把握して、従業員の安否確認や被害状況などを確認しましょう。まずは、情報収集をすることが重要です。ソーシャルリスニングツールなどを活用して、情報を収集・分析して次の行動を検討しましょう。

速やかに対応することが不可欠になるため、CMPやリハーサルで培った連携で、迅速に情報共有をすることが大切です。公式コメントは24時間以内に発信することが推奨されています。迅速に情報発信し、誤情報の拡散や不適切な報道などを防ぎましょう。

また、正確な情報を基にして事実と真摯に向き合うことが求められます。誤魔化したり発言を避けたりせずに、必要ならば自社の誤りを認めて謝罪をすることで、企業としての信頼性が高まり二次災害のリスクを軽減できます。

回復段階

危機が発生した原因を調査・分析して、根本部分から改善を図ることが重要です。失敗から学びながら、再発防止策を検討しましょう。クライシスマネジメントの流れを振り返って、CMPの見直しや改善などを行うことも大切です。必要に応じて、専門家からアドバイスをもらったりサポートしてもらったりすることも検討します。

クライシスマネジメントが必要になった事例

ここでは、クライシスマネジメントが必要になった事例を2つ解説するため、参考にしてください。

ハリケーン「カトリーナ」

「カトリーナ」は2005年にアメリカを襲ったハリケーンです。ルイジアナ州東部に上陸して、浸水面積500キロ平方メートル以上、死者1,400名以上という甚大な被害をもたらしました。同年の3週間後に上陸したハリケーン「リタ」も合わせて、大規模な被害を引き起こした自然災害です。

この自然災害では、不十分なクライシスマネジメントによって被害が拡大したともいわれています。国土技術政策総合研究所の調査結果によると、不十分なクライシスマネジメントは大きく分けて2つあるとされています。

・対応の遅れ:災害後の救援や復旧活動が遅れたことにより、被害を拡大させたと指摘された
・情報の欠如:被災者や当局に対する正確な情報提供が不十分であったことが、危機管理体制の不備として挙げられている

チロルチョコ事件

2013年に、Twitter(現X)にチロルチョコの中に芋虫が混入していたというツイートが写真つきで投稿されました。このツイートは1万2,000回以上リツイートされるなど拡散され、製造元であるチロルチョコレート株式会社はブランドイメージ低下の危機に直面します。

同社では、ソーシャルメディア運営者が苦情を受けて、即座にツイート内容を確認、リアルタイムモニタリングを実施していたことで迅速な対応ができる状況にありました。

確認後に画像を検証、芋虫の生育期間や生産工程などを解析し、専門家の意見も参考にしながら混入が工場によるものではないことを証明します。誤解を解消するために正確な説明文を準備して、Twitter上にわずか3時間で公表し事態を収拾につなげました。

担当者が認識すべきリスクとは

リスクの防止やリスク発生の軽減、被害の最小化などを図るためには、リスクの評価や対策が重要です。担当者が認識しておくべきリスクは以下のとおりです。

リスクの種類

概要
経営戦略リスク
事業戦略を実行する際に発生するリスク

財務リスク

財務分野に影響を及ぼすリスク

コンプライアンスリスク

法律や業界基準、社内規範などへの違反

オペレーションリスク

通常業務のなかで発生するヒューマンエラーなど

人事・労務リスク

人材管理や労働に関する問題

ハザードリスク

自然災害や火災、事故など

情報漏洩リスク

機密情報が漏洩するリスク

ここでは、リスクに対する有効な取り組みを解説します。

リスクマネジメント

リスクマネジメントとは、想定されるリスクを予測して管理することでリスクの発生を回避することです。リスクが発生しても被害を最小限にできます。リスクマネジメントの代表的な規格とフレームワークは以下のとおりです。

・COSO-ERM:内部統制と企業のリスク管理の統合を重視したフレームワーク
・ISO31000:リスクマネジメントに関する一般的な指針を示した国際標準規格

ガバナンスの強化

ガバナンスとは、健全な経営を行うための管理体制のことです。企業価値の向上や不祥事防止を目的として、社外取締役や監査役により経営を監視します。ガバナンスを強化することでリスク管理を社内に浸透させられるため、情報漏洩や不正行為の防止が可能です。

また、内部要因によるリスクの未然防止、不正が発覚した場合の迅速な対応などにも役立ちます。

内部監査

内部監査とは、企業内で行われる監査で独立した監査組織により実施されます。経営目標に対する業務の適切な実施を評価し、体制の改善や強化することなどが目的です。内部監査では、ガバナンスやリスクマネジメントの観点から、管理体制や業務の遂行状況などを調査・評価します。

これにより、不正防止やリスク軽減だけでなく、業務の効率化にもつながります。

また、経営目標の達成も内部監査の目的です。内部監査によって業務の改善点やリスクを特定し、企業の健全性と効率性を高めます。

まとめ

クライシスマネジメントとは、想定外の危機が発生した場合にどのような対応を取るかを管理することです。クライシスマネジメントが不十分だと企業の存続が危ぶまれる事態になることもあるため、クライシスマネジメントの重要性が高まっています。

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神門 美紀
神門 美紀
【プロフィール】 リンクアンドモチベーション入社。 大手・リーディングカンパニー向けの営業コンサルティングに従事。 育成・組織開発を中心に、企業価値向上に向けた 「ダイバーシティ推進」「理念策定・浸透」「制度改定」の実績等。 小売サービス業、インフラ企業、IT企業様など数多くの業界のお客様を支援。 営業をしている。

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