リアリティショックが起こる原因は?その対策方法も詳しく解説
ビジネスシーンでは、自身の予想に反した強い衝撃が原因で、期待されたパフォーマンスを発揮できない人がいます。そのように、理想と現実とのギャップに衝撃を受けることを、リアリティショックと呼びます。リアリティショックへの対策は、離職率の低下や従業員のパフォーマンス向上など欠かせない要因です。
本記事ではリアリティショックの基本から、対策方法などを解説します。ぜひ、参考にしてください。
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リアリティショックについて
社会人の多くが経験するリアリティショックについて解説します。理想と現実のギャップが、新入社員などに大きな衝撃を引き起こします。
リアリティショックは理想と現実のギャップのショック
リアリティショックとは、理想と現実のギャップに衝撃を受けることです。ビジネスシーンでは、五月病と似たような現象として捉えられる場合もあります。
たとえば、新入社員は、入社前に仕事内容・人間関係・職場環境などについて、自分なりの理想をイメージすることでしょう。期待が大きすぎる場合、入社後に理想と現実との間に大きなギャップを感じて、リアリティショックを受けるケースがあります。
リアリティショックを受けた人は、喪失感や将来への不安などを覚えます。耐えきれないほどのショックを受けると、モチベーションが大きく低下し、離職する人も少なくありません。
リアリティショックの概念
近年注目されるリアリティショックですが、単にゆとり世代特有の問題ではありません。リアリティショックの概念は、半世紀以上前に米国の心理学者E.C.ヒューズによって提唱されました。
時代を問わず、大きな理想を抱いて入社したり、人事異動を経験したりする人は、リアリティショックを経験する可能性があります。なかには、勤続年数30年で管理職に昇格した結果、理想とのギャップが原因で、リアリティショックを受けた人もいます。
リアリティショックを感じる社会人は多い
社会人にとって、リアリティショックの経験は珍しいものではありません。パーソル総合研究所の調査によると、調査対象者の76.6%が、入社後に何らかの理想と現実とのギャップを感じたと回答しています。
離職に至らずとも、多くの従業員がショックを経験しているという事実を、企業(特に人事関係者)は十分に認識し、対策を講じる必要があります。
※参考:パーソル総合研究所×CAMP「就職活動と入社後の実態に関する定量調査
リアリティショックが与える影響
リアリティショックが与える影響を解説します。リアリティショックへの対策を講じなければ、企業の生産性が損なわれます。
モチベーションが低下する
理想と現実のギャップは、従業員のモチベーション低下を引き起こす可能性があります。リアリティショックを解消できなければ、職場環境への適応が困難になるためです。環境に馴染めない状況が続けば、従業員個人の成長が妨げられるだけではなく、組織全体の生産性も低下する恐れがあります。
離職率が上昇する
リアリティショックは離職率にも影響を与えます。モチベーションが低下した従業員は、取り組む仕事や所属する企業に対する愛着や興味が薄れがちです。その結果、理想が実現できそうな職場への転職を考えるようになり、離職率の上昇につながる可能性があります。
従業員エンゲージメントが低下する
従業員エンゲージメントとは、自社の企業理念に共感し、自発的に企業の業績向上のために貢献する意欲のことです。リアリティショックは、個人のモチベーションだけではなく、従業員エンゲージメントの低下にもつながる可能性があります。
また、上司への信頼感や組織へのコミットメントをも低下させるため、結果として組織内のコミュニケーションも悪化しかねません。
リアリティショックが起きる原因
リアリティショックが起きる原因を解説します。原因を把握し、対策の検討に役立てましょう。
仕事とのギャップ
企業や仕事への理想が高すぎると、現実に直面した場合に大きなギャップを感じる場合があります。自分の能力を十分に発揮できない環境や、単に指示された作業を実行するだけの環境は、意欲的な従業員にとって、理想と現実のギャップを強く感じさせます。
さらに、過度の残業や頻繁な休日出勤、職場の安全面・衛生面の不備なども、リアリティショックを引き起こす原因になりがちです。
対人関係のギャップ
仕事を十分に与えられない、または仕事を覚えるまで冷遇されるといった対人関係のギャップも、リアリティショックを引き起こしがちです。
また、不満や悩みを打ち明けられない職場環境や、円滑なコミュニケーションの欠如、過度のストレスなども、リアリティショックの原因となり得ます。
ライバルとのスキルのギャップ
他の従業員やライバルと自分のスキルを比較して強い劣等感を抱き、リアリティショックを受ける人もいます。周囲の従業員の意欲や意識の低さに驚いたり、目標にできる存在を見つけられなかったりしたときも、先行きに不安を感じてリアリティショックを経験する場合があります。
評価とのギャップ
期待を下回る昇給や現在の役職への不満など、社内で納得できる評価を得られなかった場合も、リアリティショックを経験する可能性があります。
評価への不満を訴える従業員が多い企業は、人事評価制度の見直しを検討すべきでしょう。従業員が適切に評価されていると実感できるような、公正で透明性の高い人事評価制度の構築が求められます。
企業ができるリアリティショック対策(入社まで)
企業が新入社員のために実施できる、入社前のリアリティショック対策について解説します。
実態に即した情報開示
採用活動の段階で実態に即した情報を開示すると、入社後のリアリティショックを軽減できる可能性があります。
採用過程において、労働条件を詳細かつ丁寧に説明することがポイントです。また、求人サイトには可能な限り多くの情報を掲載してください。たとえば、勤続年数ごとの従業員の紹介や1日の業務の流れなどを具体的に伝えると、求職者は自社の実態をより正確にイメージできるようになります。
インターンシップやOBなどへの訪問機会を提供
リアリティショック対策として、インターンシップやOB・OG訪問の機会を積極的に提供しましょう。
現場の生の声を聞けると、求職者が職場環境や人間関係を直に感じられます。また、面接担当者には聞きづらい踏み込んだ質問もしやすくなるため、入社後の自分の姿をより具体的にイメージできるようになります。
求職者と企業の要望を相互に確認
求職者と企業の双方の要望を確認し合うことは、リアリティショックを軽減するための重要なポイントです。
求職者のキャリアに対する考えや仕事に求める内容を丁寧にヒアリングすると、自社が求める人物像との適合性を確認できます。
同時に、企業からも求職者に対して、入社後に期待する役割や姿勢を具体的に繰り返し伝えてください。
企業ができるリアリティショック対策(入社後)
企業が新入社員のために実施できる、入社後のリアリティショック対策について解説します。
研修制度を通じたサポート
研修制度を通じて新入社員をサポートし、リアリティショックの軽減に努めましょう。研修を通じて従業員は新しい知識やスキルを習得し、より高度な業務に対応できるようになります。
新入社員の不安を軽減するうえでも、研修は有効です。研修を実施すると、フォロー体制が整っている状況を新入社員にアピールできるためです。
部署全体でのサポート
新入社員が孤立せず、早く部署に馴染めるようにするため、部署全体でのサポート体制を構築することが重要です。配属先で歓迎されていると実感できる環境を整えると、新入社員のモチベーションや従業員エンゲージメントの維持・向上につながる可能性があります。
また、新たに異動してきた従業員についても同様に、部署全体でサポートすることでリアリティショックを軽減できます。
メンター制度などのサポート
リアリティショックへの対策として、新入社員や従業員をサポートする制度の整備も重要です。多くの企業は、リアリティショックへの対策として、メンター制度を導入しています。また、上司によるキャリアカウンセリングや1on1ミーティングなども、有効な手段として挙げられます。
ただし、このようなサポート制度が、他の従業員の負担とならないように配慮してください。たとえば、メンター制度で深刻な相談を聞いた結果、メンターが精神的負荷を抱えてしまうケースもあります。サポートする側のケアも、同時に考慮することが大切です。
リアリティショック対策が成功すればエンゲージメントが高まる
リアリティショックへの対策として効果的なのは、企業に対して愛着を感じ、ずっと働きたいという感じる従業員を増やすことです。従業員が気持ちの落ち込みや自信の揺らぎを経験したとき、この環境なら乗り越えられると感じられるような社内風土の構築が重要です。
従業員のメンタルヘルスをサポートする体制が整っていれば、自然にレジリエンスの高い従業員やリーダーが育成され、結果として従業員エンゲージメントの向上につながります。
まとめ
リアリティショックは、理想と現実のギャップを感じたときに引き起こされます。
自社においてリアリティショックを引き起こす可能性の高い要因を分析し、効果的な対策を検討しましょう。入社前、入社後の対策をしっかり行うことで、新入社員のリアリティショックを軽減し、離職率の低下やモチベーションの向上などにつながります。
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