マネジメントスキルとは？リーダーシップとの違いや身につける方法、構成要素などを解説

企業の経営や管理には、マネジメントスキルが欠かせません。一言でマネジメントスキルといっても、さまざまなスキルで構成されています。優秀な管理層や経営層の育成には、不足しているスキルを見極め、スキル獲得に向け育成計画を立てる必要があります。

この記事では、マネジメントスキルの要素や必要性、向上させる方法などを解説します。ぜひ、人材育成の参考にしてください。

企業の管理に欠かせないマネジメントスキルとは

マネジメントとは、成果を上げるために経営資源を管理してうまくやり繰りすることを指します。マネジメントスキルとは、マネジメントする力、すなわち経営資源を管理・活用する能力です。

企業をうまく経営するには欠かせない能力で、経営層はもちろん、管理層にも求められます。マネジメントでは、経営資源を管理するだけでなく、うまく活用して成果を出すまでが重要です。そのため、高いマネジメントスキルを持った人材が必要となります。

マネジメントスキルとリーダーシップの違い

経営層や管理層に求められるスキルとして、リーダーシップも挙げられます。リーダーシップとは、組織のメンバーや部下をけん引する力のことです。

マネジメントスキルと混同されがちですが、リーダーシップは人に対して発揮する能力なのに対し、マネジメントスキルは、人だけでなく製品や資金などのモノ・カネも含む経営資源全般を管理・活用する能力を指します。

リーダーシップはマネジメントスキルの一部でもあり、どちらも企業の成果を生み出すためには欠かせないスキルです。

マネジメントスキルに含まれる6つの要素

マネジメントスキルは、いくつかの要素で構成されます。ここからは、マネジメントスキルに含まれる6つの要素について、それぞれ解説します。

1.企画・戦略力

マネジメントには、成果を上げるための企画や戦略を考える能力が欠かせません。経営資源の活用は、方向性が決まっていなければうまくできないため、最適な企画や戦略立てが必要となります。成果につながるような企画や戦略立てには、ヒトやモノ、カネなどの経営資源を効率的に活用できるよう、考えられる力が必要です。

2.意思決定スキル

マネジメント人材には、目標を決めたり、進捗状況に応じて決断したりなど、意思決定能力も必要です。的確な意思決定ができなければ、スムーズにマネジメント業務を進められません。また、マネジメントを担う人材は、リーダーとしての素質も問われます。優柔不断なリーダーでは、メンバーや部下のやる気・モチベーションが低下してしまうため、高い意思決定スキルが必要です。

3.管理スキル

マネジメントでは、現場の状況を把握し、管理する能力も求められます。チーム全体の進捗管理だけでなく、メンバーへの業務割り振りやかかる時間の予想など、プロジェクト全体がうまく回るようにコントロールしなければなりません。

目標を確実に達成するまでは、スケジュール管理も大事です。無理なく期日までに目標を達成できるよう、最適なスケジュールを立て、その都度進捗確認が必要です。

4.分析・解決力

マネジメント人材には、データや状況を把握・分析し、課題を見つけて解決に導く力も必要です。自分が管理するチームが置かれている状況や、現場の状況、数値データを分析し、課題を見つけてよりよい方向に導く必要があります。

分析によって課題を見つけたら、最適な解決策を導き出し、メンバーや部下に適切な指示を出さなければなりません。

5.人材育成スキル

企業をけん引するマネジメントスキルを得るには、人材育成スキルも欠かせません。企業全体が成長するには、従業員個々のスキル向上が必要です。人材育成には、人材に合わせた的確なコーチングやティーチング、フィードバックができる能力が求められます。

6.コミュニケーションスキル

組織でマネジメントスキルを発揮するには、コミュニケーションスキルが必要不可欠です。現場の状況を正確に把握するためにも、メンバーや部下が報告・連絡・相談しやすい人間関係の構築が欠かせません。

また、指示や指摘が的確であっても、コミュニケーションが不足していると伝わりにくくなってしまいます。必要なサポートやフォローが迅速にできるように環境を整えておくためにも、日ごろからコミュニケーションをうまくとっておく必要があるでしょう。

マネジメントスキルの必要性

企業やビジネスの成長には、市場や社会情勢の変化に対する適応が必要です。昨今、働き方の多様化などに伴い、労働者の価値観が変化しており、市場動向も激しく変化しています。

このような変化が激しい社会情勢のなかでも企業が成果を上げるには、状況に合わせて経営資源を管理・活用していく力が求められています。そのため、これからの企業を支えるマネジメント層には、高いマネジメントスキルが欠かせません。

マネジメントスキルの向上に役立つ「カッツモデル」とは？

カッツモデルとは、1950年、アメリカの経営学者によって提唱された、マネジメントを担う人材の育成に焦点を当てたフレームワークです。カッツモデルでは、経営層や管理層には、所属する組織の専門知識のほか、「テクニカルスキル（業務遂行能力）」、「ヒューマンスキル（対人関係能力）」、「コンセプチュアルスキル（概念化能力）」の3つのスキルが必要と定義しています。以下では、カッツモデルで重要な3つのスキルについて詳しく解説します。

1.テクニカルスキル

テクニカルスキルとは、業務を遂行するために必要とされる能力を指します。具体的には、業務を滞りなく完遂するために必要な知識やスキル、スキルレベルなど、実践的なスキルです。

適格に経営資源を管理・活用するには、自らも現場の専門的な知識やスキルを有しておく必要があります。結果が求められる現場で働く管理層には、特に求められるスキルです。

2.ヒューマンスキル

ヒューマンスキルとは、コミュニケーションスキルを含む、良好な人間関係を築く能力を指します。チームやプロジェクトをうまく管理するには、社内だけでなく、取引先などとも良好な関係を築ける力が必要です。

メンバーや部下の能力を最大限引き出すためにも、マネジメント層は、対人関係におけるストレスをなるべく低減させ、従業員のモチベーション向上に努めなければなりません。

3.コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルは、本質を見極める能力です。的確な目標設定や課題の発見、企画・戦略の立案には、問題の本質を見極める力が必要となります。組織をよい方向に導くためには、企業の成長に必要な要素を把握する能力であり、特に経営層に求められます。

マネジメントスキルを向上させる方法

企業が従業員のマネジメントスキル向上を目指すには、以下の4つの方法の実施が効果的です。それぞれの方法について、以下で詳しく解説します。

ロジカルシンキングを身につける

マネジメントにおいて、状況を正しく把握し、的確な意思決定や解決策を導き出すには、ロジカルシンキングが重要とされています。ロジカルシンキングとは、物事に矛盾が生じないように論理的に考える思考能力のことです。

順序立てて考えたり、事実に基づく仮説を立て、論理を組み立てたりなど、日ごろからロジカルシンキングを意識しておくとよいでしょう。

不足しているスキルを研修で補う

マネジメントスキルは、さまざまなスキルを組み合わせて構成されるため、不足しているスキルがあれば研修や講習などで身につける必要があります。社内での研修実施が難しければ、外部のマネジメント研修などを利用する方法も効果的です。

マネジメントスキル研修には、書籍や動画資料などを参考にしてもよいでしょう。個々のスキルを把握した、適切な研修の実施が重要です。

ポジションチェンジを意識する

ポジションチェンジとは、相手の立場や視点になって考えることです。自分の視点だけでは見えてこなかった課題や、新たな発想が見つけられる可能性があります。

人材育成や人間関係を良好に保つのにも役立つとされており、常に意識して業務に当たれるようにしましょう。そのためには、ポジションチェンジを意識を意識することが必要です。

ディズニーストラテジーを参考にする

ディズニーストラテジーは、ウォルトディズニーの考え方を参考にしたものです。昨今、マネジメントスキルに欠かせない分析・解決力の向上に役立つとして注目されています。ディズニーストラテジーで重要とされる3つの視点は、以下の通りです。

・ドリーマー：広く豊かな発想で夢を語る夢想家
・リアリスト：夢の実現のために現実的な計画を考える現実家
・クリティック：計画の問題やリスクを指摘する批評家

ディズニーストラテジーは、良好なマネジメントをしていくために役立つ考え方なので、参考にするとよいでしょう。

まとめ

企業の成果に貢献するマネジメントには、高いマネジメントスキルを有した人材の存在が必要不可欠です。企業は、マネジメントに最適な人材を見極め、不足しているスキルの補填を支援していく必要があります。

本記事で紹介したマネジメントスキルの要素を参考に、適格な人材選出や研修の実施によって、自社のマネジメント層を育成していきましょう。

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