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カッツモデルとは?組織マネジメントに役立つ能力の可視化と活用法を解説


カッツモデルとは、役職に必要なスキルを3つのカテゴリーに分類したもので、人材育成や人事評価などに活用される理論です。

この記事では、自社内における研修プログラムの見直しを検討している人事担当者に向けて、カッツモデルとは何なのか、カッツモデルにより期待できる効果や活用法を解説します。ぜひ参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.カッツモデルとは
  2. 2.カッツモデルにおける3つの階層
  3. 3.カッツモデルにおける3つのスキル
  4. 4.カッツモデルの効果・メリット
  5. 5.カッツモデルの実践的な活用法
  6. 6.カッツモデルの人事評価への活用法
  7. 7.リンクアンドモチベーションの管理職向け研修
  8. 8.まとめ


カッツモデルとは

カッツモデルとは、経営学者であるロバート・L・カッツにより提唱された理論です。役職・職位を3つの階層に分けて、各階層に必要な3つのスキルの割合を示します。カッツモデルは、人材育成や人事評価、組織マネジメントなどで活用されているリーダーシップモデルです。

他のリーダーシップ理論との違いは、リーダー個人のスキルアップに焦点を当てていることです。カッツモデルでは、リーダーの具体的なスキルの向上を目的としているという違いがあります。

カッツモデルにおける3つの階層

カッツモデルは役職・職位を3つの階層に分けます。ここでは、カッツモデルにおける3階層を解説します。

1.トップマネジメント

トップマネジメントは、CEO、COO、会長、社長、副社長といった経営者で構成されている階層です。トップマネジメントは経営方針や経営戦略を決定する立場にあり、企業全体の業績に責任を持ちます。

企業全体を見る立場にあるため、現場での直接的な指示に関わることはほとんどありません。組織全体のビジョンや方針を設定して目的を明確化、変化への対応などが求められます。また、メンバー指導と協力促進を通じて、組織としての成果を最大化する役割を担います。

2.ミドルマネジメント

ミドルマネジメントとは、部長や課長、工場長、支店長などといった中間管理職によって構成されている階層です。トップマネジメントが決定した方針や戦略などを理解して、部下に正確に伝えることで業務の円滑な遂行を促進するという役割です。

ミドルマネジメントは、担当部門の業績に責任を持つ立場であり、部署間の調整やトラブル解決、部署やチームなどのコミュニケーション円滑化などを図ります。組織としての効率性の向上やパフォーマンスアップなどに貢献する職位です。

3.ロワーマネジメント

ロワーマネジメントとは、係長や主任、チーフ、プロジェクトリーダーなどの、現場で直接指揮を執る立場の人で構成される階層です。ミドルマネジメントからの指示を受けて、確実に実行するスキルが求められます。

具体的な役割としては、日常業務の遂行やチームの調整、リソース配分などが挙げられます。ロワーマネジメントは、問題解決能力やコミュニケーションスキルが必要だとされており、組織の効率向上に貢献する立場です。

カッツモデルにおける3つのスキル

カッツモデルでは、職位ごとに必要なスキルを3つに分けます。ここでは、カッツモデルにおける3つのスキルを解説します。

1.テクニカルスキル

テクニカルスキルとは、業務遂行に必要な専門知識や技術のことです。たとえば、顧客対応や問題解決、プレゼンテーション、パソコン操作だけでなく、業務特有の資格なども含まれます。職種によって求められるスキルは異なり、小売業なら接客スキル、技術職なら機械操作スキルなどが必要です。

テクニカルスキルは、主にロワーマネジメント層に必要なスキルであり経験で学んだり職業訓練で身に付けたりします。リーダーがこのスキルを身に付けることで、チームに対して専門知識や業務スキルを提供できるため、全体的なパフォーマンス向上につながります。

2.ヒューマンスキル

ヒューマンスキルとは、対人関係能力のことで全階層に必要なスキルです。ビジネスマネーやコミュニケーションスキル、リーダーシップや人の話を聞く力などが含まれており、良好な人間関係を築いて維持するために重要な能力です。また、コーチングや問題解決能力、プレゼンテーションなども含まれます。

ヒューマンスキルを向上することで、チームとしての協調性や団結力が高まり、組織全体のパフォーマンス向上につながります。他者を理解するために必要なエンパシーを発揮して、信頼関係を構築するために必要なスキルです。

3.コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルとは、複雑な事象の本質を理解して大局的に捉える能力で「概念化能力」とも呼ばれています。経営陣や管理職などに必要とされるスキルで、組織全体や業界だけでなく、世界情勢などを俯瞰的に捉える力が必要です。

論理的思考や批判的思考、水平思考だけでなく、常識にとらわれない柔軟な発想力や探求心も重要だとされています。コンセプチュアルスキルを持つことで、組織の成長や新分野への挑戦・活躍が可能です。また、戦略的な意思決定も可能となるため、生産性向上にもつながります。

カッツモデルの効果・メリット

カッツモデルにはどのような効果があるのでしょうか。ここでは、カッツモデルの効果・メリットを詳しく解説します。

1.組織への効果「戦略的な人材開発の実現」

カッツモデルによって各階層に必要な能力が明確化されるため、体系的な人材育成が可能となります。「使える人材を育てたい」というような曖昧な考えではなく、各階層で求められる能力が明確になるため、人事部門と現場の認識のずれを防ぐことが可能です。そのため、効果的な人材開発を実現しやすくなります。

2.人事への効果「客観的評価と育成の促進」

カッツモデルを導入することで、各従業員の能力を階層ごとに求められるレベルと比較できるため、客観的評価につながります。達成している部分と足りていない部分を明確に把握できるため、適切な指導や育成計画の策定に活用することも可能です。また、組織全体の傾向を分析することで、研修内容の改善・見直しにも役立ちます。

3.従業員への効果「自己成長の明確な指針」

カッツモデルを導入すると、従業員は自分の役職や立場で必要なスキルや期待される能力を明確に理解できます。必要なレベルに達しているか、不足している部分はないかなどをしっかりと認識できるので、自己啓発のきっかけにもなります。キャリアアップに必要な要素をはっきりと認識できるため、個人の成長目標の設定も可能です。

【参考】カッツモデルをベースにしたドラッカーモデル

ドラッカーモデルとは、カッツモデルをベースとして現代的な価値観を反映させた組織モデルのことです。ドラッカーモデルでは、全階層にコンセプチュアルスキルを必要とするモデルで、マネジメントスキルをピラミッドの上部に配置します。また、ナレッジワーカー層が追加されていることもポイントです。ナレッジワーカー層とは一般従業員の階層を指します。

環境の変化が激しい現代では、経営者層だけでなく全従業員に柔軟性や自発性などが求められるため、ドラッカーモデルが注目されています。ただし、カッツモデルが古いモデルというわけではないため、自社に合ったモデルを選びましょう。

カッツモデルの実践的な活用法

カッツモデルを活用するにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、カッツモデルの実践的な活用法を解説します。

階層別スキルマップの作成

3つの階層別にスキルマップを作成しましょう。各階層で求められるスキルを具体的にリストアップして、3つのスキルに分類します。スキルマップを作成することで、現状の能力と目指すべきスキルレベルが明確になるため、効果的な育成計画の立案が可能となります。スキルマップを作成する際には、自社の特性に合わせることが重要です。

カスタマイズされた研修プログラムの実施

スキルマップを参考にして、各階層・各スキルに応じた研修を実施しましょう。たとえば、ロワーマネジメント層であれば日常の業務に役立つテクニカルスキル、ミドルマネジメント層ならリーダーシップ、トップマネジメントそうならリスクマネジメントや戦略的思考などです。各層の需要に合わせてカスタマイズすることがポイントです。

日常業務を通じたスキル向上

カッツモデルは、日々の業務に必要なスキルを向上させる機会としても活用できます。たとえば、他部署との共同プロジェクトによってヒューマンスキルを磨いたり、顧客対応などの業務でテクニカルスキルを向上させたりすることが可能です。OJTでより実践的なスキル習得を促し、目的を明確にした業務割り当てが重要です。

多様な学習機会の提供

カッツモデルを活用して、OJTや集合研修だけでなくeラーニングなどの多様な学習機会を提供することも可能です。時間や場所を制限されない学習環境を整備させることで、従業員それぞれのペースや学習スタイルに合わせた能力開発をサポートできます。特に、コンセプチュアルスキルの向上には、外部研修やオンライン学習プラットフォームの活用がおすすめです。

カッツモデルの人事評価への活用法

カッツモデルは人事評価に活用することも可能です。ここでは、人事評価への活用法を解説します。

評価基準の構築

テクニカルスキル・ヒューマンスキル・コンセプチュアルスキルの3つに基づいた評価項目を設定しましょう。具体的な評価項目を作成することにより、従業員のさまざまな能力を総合的に評価しやすくなります。たとえば、テクニカルスキルなら専門知識や業務遂行のための技術というように、役割に応じたスキル開発を促進しましょう。

スキルバランスの最適化

役職や職務内容によって、各スキルの重要度は異なります。そのため、評価項目のウェイトを調整して最適化することも大切です。初級管理職ならテクニカルスキル、中級管理職ではヒューマンスキル、上級管理職ではコンセプチュアルスキルの重要度を高く設定しましょう。スキルバランスを調整することで、各役職に求められるスキルセットを正確に評価できます。

リンクアンドモチベーションの管理職向け研修

株式会社リンクアンドモチベーションの管理職研修は、単なる知識提供や意識変革にとどまりません。参加者の行動変容まで踏み込む研修が特徴です。

役割意識・意欲の開発、経験学習の機会の提供、継続的な成長サイクルの確立という3つのポイントを重視しています。Unfreeze(解凍)、Change(変化)、Refreeze(再凍結)の3ステップを通じて、研修参加者の持続的な行動変容の実現が可能です。研修効果の定着と実践的なスキル開発を促進しており、組織人事のプロによるアドバイスによって成長をサポートします。

まとめ

カッツモデルとは、職位を3つの階層に分けたうえで、各階層に必要な3つのスキルの割合を示すという理論です。カッツモデルには、戦略的な人材開発や客観的評価と育成、自己成長の指針を示せるなどのメリットがあります。効果的な人材育成を行いたい場合は、カッツモデルを活用することもよい方法です。

リンクアンドモチベーションは、従業員エンゲージメント市場シェアNo.1のクラウドサービス「モチベーションクラウド」を保有しています。世界初の「モチベーション」にフォーカスを当てた組織人事コンサルティングサービスを提供しています。

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神門 美紀
神門 美紀
【プロフィール】 リンクアンドモチベーション入社。 大手・リーディングカンパニー向けの営業コンサルティングに従事。 育成・組織開発を中心に、企業価値向上に向けた 「ダイバーシティ推進」「理念策定・浸透」「制度改定」の実績等。 小売サービス業、インフラ企業、IT企業様など数多くの業界のお客様を支援。 営業をしている。

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