新入社員研修の評価が必要な理由は?重要性や目的、評価ポイントなどを解説
新入社員研修は業務内容だけでなく、自社の文化やビジネスに必要なマナーなども学ぶうえでよい機会です。適正な評価を行うことで新入社員の自社への理解度や研修の効果、次回の開催に向けた改善点などを把握できるため、企業全体の成長にもつながります。この記事では、新入社員研修における評価の重要性や実施目的、適切に評価するためのポイントなどを解説します。
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新入社員研修における評価の重要性
新入社員研修での評価は、新入社員の研修に対する真剣度や、仕事への意欲の高さを表す指標の1つです。また、社会人に求められるビジネスマナーや、スキルをどのくらい習得できているかを確認する場合にも役立ちます。
定期的な評価によって研修態度やモチベーションの変化を比較できるため、新入社員のモチベーションの向上や自社の研修内容、教育体制の強化を図れます。
新入社員研修の評価を実施する目的
新入社員研修を評価する目的は、自社への理解度や社会人に必要なスキルの確認など多岐にわたります。
自社への理解度の確認
新入社員研修の評価は、研修を通して新入社員が自社のビジョンや事業戦略、製品・サービス、社内ルールなどをどの程度理解しているのかを確認する目的があります。評価の実施により、自社の従業員であると自覚させることも目的の1つです。
社会人として欠かせないスキルの確認
新入社員研修の評価は、新入社員が研修を通して習得した社会人としてのマナーやスキルを生かし、状況に応じて適切な行動を取れるのかを確認する目的があります。効果が高い研修内容と新入社員に不足するスキルや知識を把握することで、研修内容の改善につながります。
業務に関する知識・作業手順の整理
新入社員研修の評価は、新入社員が業務に必要な知識、スキルをどの程度習得したのかを確認できます。また、評価結果は研修内容の改善に活かせるだけでなく、個々のフォローアップにも有効です。具体的には、新入社員の成長と早期離職の予防につながります。
フォローアップ研修の要否の検討
新入社員研修の評価は、フォローアップ研修の実施を検討する判断材料になります。評価しなかった場合、自社や研修内容を理解しないまま新入社員が各所へ配属されれば、モチベーションが低下する恐れがあります。研修後はフォローアップ研修を実施し、再設定した目標を達成するための対策を検討することで、新入社員のモチベーションアップにつなげましょう。
他者評価をもとにした意識の定着
人事評価は、評価者が自分以外である他者評価(他己評価)が基本です。自社に貢献する人材を育成するには、他者評価をもとに育成計画を立てる必要があります。研修の評価は、自社が求めることや自身の強み、課題を新入社員へフィードバックする際に役立ちます。
新入社員研修の評価ポイント
新入社員研修の評価はビジネスマナーの習熟度や、仕事へのモチベーションなどをポイントに確認しましょう。
ビジネスマナーの習得
ビジネスマナーを守った言動は、社内だけでなく取引先からの信頼につながります。社会人として最低限習得しておきたいビジネスマナーは次のとおりです。
・適切な言葉遣い
・身だしなみ
・電話対応やメールの対応
・名刺交換
・適切な振る舞いや表情 など
研修後に、ロールプレイングやテストを実施して習得度を確認するとよいでしょう。
コミュニケーションスキル・協調性
仕事は自己完結するものよりも、複数の関係者と一緒に進行するケースが多いため、コミュニケーションスキルや協調性が求められます。そのため、新入社員には次のようなスキルを習得させる必要があります。
・積極的なコミュニケーション
・チーム内での適切な振る舞い
・自身の役割の理解
研修では、周囲の人と協力して課題と向き合えているか、孤立している新入社員がいないかを確認しましょう。
仕事へのモチベーション
新入社員研修で確認しておくべき評価項目として、仕事へのモチベーションが挙げられます。具体的な評価項目は次のとおりです。
・責任感を持って仕事をしているか
・目標達成への意識があるか
・主体的に作業しているか
新入社員研修の時点では実践できるスキルは身についていないため、結果よりも仕事に対する意欲や行動面を評価の対象にしましょう。
新入社員研修の評価方法の1つ「カークパトリックモデル」とは
カークパトリックモデルは、アメリカの経営学者であるドナルド・カークパトリック氏が、1959年に提唱した評価方法のモデルです。研修の効果を反応、学習、行動、結果の4つの段階に分類し、それぞれの基準に沿って評価を行います。
反応
反応は、新入社員研修の参加者の満足度を指します。評価の対象になる項目は講師や研修内容、使用した資料などです。参加者の意見を今後の研修内容の改善や研修の参加率の向上に生かしましょう。
学習
学習は、新入社員研修の参加者の学習到達度を指します。研修後のテストの結果、習得したスキルなどの成績をもとに評価を行います。今後の研修の内容と効果の改善に役立てることも可能です。また、専門知識の習得を目指す新入社員へのサポートにもつながります。
行動
行動は、新入社員研修で学んだことを現場で実践した度合いを指します。研修でさまざまな知識やスキルを習得しても、現場で役に立たなければ意味がありません。現場での実践度合いを把握することで、現場でも役立つ内容を今後の研修に反映できます。
結果
結果は、新入社員研修が自社全体にもたらした価値を指します。具体的には、研修が生産性の増加やコスト削減などの成果につながったかを評価します。結果による評価は自社に与えた影響を見える化できるため、今後の戦略を立案する際に便利です。
新入社員研修の評価方法としておすすめのツール
新入社員研修の評価におすすめのツールとして、インタビューシートや行動計画シートなどを紹介します。
インタビューシート
インタビューシートは、新入社員の率直な意見を集める際に有効なツールです。仕事への意欲や研修内容に対する感想など、新入社員の本音を聞き出しやすくなります。インタビューシートはアンケート形式のため、研修で学んだ知識を今後どのように現場で生かすのか、習熟度などの思考力の評価に役立ちます。
理解度チェックテスト
理解度チェックテストは、新入社員の理解度や習得度の評価に活かせるツールです。テストの実施によって、新入社員研修を通して新入社員の習得度を詳しく分析できます。実施方法は、同じ内容のテストを研修前と後に実施する方法と、セクションごとにテストを実施する方法があります。特に、専門的な職種や費用対効果の検証におすすめです。
行動計画シート
行動計画シートは具体的な行動計画を考え、研修後の新入社員のパフォーマンスを継続的に測定できるツールです。上司と相談しながら目標を立て、達成に向けて必要なステップを決めていけるため、新入社員は目標達成につながる行動を取りやすくなります。目標の共有によって、上司は新入社員に対して適切な支援やアドバイスを行えます。
新入社員研修の評価を実施する際の注意点
新入社員研修の評価は研修後から期間を置かずに実施する、評価後にフォローアップを行うなどの注意点に気をつけて実施しましょう。
最初の評価はできるだけ早い段階で行う
新入社員研修の最初の評価は、できるだけ期間を置かずに実施する必要があります。評価を実施する目安の時期は、研修終了後から1週間以内です。研修後1週間以内に評価を行う理由は、新入社員が研修で学んだ知識やスキルを記憶している可能性が高いためです。研修直後の新入社員の率直な意見を集め、研修の評価に反映させましょう。
結果だけでなく姿勢やプロセスも評価する
新入社員研修を評価する際は結果に加えて、研修中の姿勢や行動に至るまでの思考などのプロセスの確認も重要です。プロセスを評価することで、結果を出せなくても、仕事への姿勢や努力が評価されると新入社員に伝わるため、モチベーションの向上につながります。
研修の評価は時間や手間がかかるため評価者への負担は増えるものの、新入社員の成長を促す取り組みとして不可欠です。
評価は公平かつ明快にする
新入社員研修の評価には、公平性と筋道の通った評価基準が不可欠です。評価基準は誰が見てもわかるように簡潔にまとめ、社内で共有します。公平かつ明快な評価を行うための有効な方法として、定量評価や定性評価が挙げられます。
いずれも評価後の要点をコメントにまとめておくと、フィードバックする際に便利です。それぞれの評価方法の詳細は後ほど解説します。
さまざまな観点から評価する
新入社員研修の評価は定量評価と定性評価、短期目標と長期目標といったさまざまな観点で評価する必要があります。
定量評価と定性評価
定量評価は、数字やデータなど可視化できる指標を基準に評価する方法です。新入社員の知識やスキルの習得度の把握に役立ちます。一方の定性評価は、数値化が難しい新入社員の意欲や行動などを評価するための方法です。新入社員研修の評価を行う際は、評価対象に合わせて定量評価と定性評価を使い分けるとよいでしょう。
短期目標と長期目標
短期目標は、新入社員研修の期間中や数週間、1か月単位で達成したい目標を設定します。研修の理解度を評価するための指標になります。
長期目標に設定するのは、1年~2年など年単位で達成したい目標です。業務遂行力や見込まれる成長を評価する際に用いられます。短期目標の達成の繰り返しが長期目標の達成に近づくと伝えることで、新入社員のモチベーションアップにつながります。
わかりやすく具体的なコメントを残す
新入社員研修の評価後は、具体的な要点をわかりやすくコメントにまとめる必要があります。評価のコメントを残す際のポイントは下記のとおりです。
・公平性を保って評価する
・成果は具体的かつ客観的に評価する
・成果に至るまでのプロセスも評価する
・フィードバックの内容が偏らないようにバランスを意識する
・新入社員の強みや伸びしろにも焦点を当てる
・改善点は具体的にアドバイスする
・新入社員の意見を反映させる
評価後にフォローアップを行う
新入社員に研修で学んだ知識やスキルを定着させるためには、研修内容の振り返りができるようにフォローアップを行うことが重要です。フォローアップ研修は、どのような知識やスキルが定着しているか、研修で学んだことが現場で活かせているかを把握する際に役立ちます。目標未達の新入社員の目標を再設定し、目標の達成に向けたサポート体制を整えましょう。
まとめ
新入社員研修の評価は、新入社員の理解度や研修の成果などを把握できるうえに、フィードバックによって新入社員のモチベーションアップも図れます。効率よく新入社員のモチベーションを向上させるなら、ツールの活用がおすすめです。
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