タレントマネジメントとは？注目される背景やメリット、導入方法などを徹底解説

近年、企業内でもタレントマネジメントという言葉がよく使われるようになりました。タレントマネジメントとは、組織内の人材のスキルや能力を引き出して、組織全体の生産性や成果を上げるための取り組みです。この記事では、タレントマネジメントの概要やメリット、導入方法などを詳しく解説します。ぜひ、参考にしてみてください。

タレントマネジメントとは？

タレントマネジメントとは、企業内の従業員が持つスキルやノウハウ、経験などを一元化し、組織内で戦略的に管理することです。たとえば、採用プロセスや部署配置、評価システムの構築、人材育成や研修などの運用に生かします。従業員それぞれの才能やスキルが最大限に発揮されることで、組織の成長や生産性向上、目標達成などに貢献できます。

2つの定義がある

タレントマネジメントは、人材マネジメント協会の「SHRM」による定義と、人材開発センター「ATD」による定義があります。SHRMは個々が持つ能力に焦点を当てており、人材活用の能力を中心に捉える新しい考え方です。一方ATDは、タレントマネジメントを「目標達成に向けて必要な人材を確保すること」と定義しています。

タレントマネジメントが注目される背景

企業内でタレントマネジメントへの注目が高まっています。なぜ、タレントマネジメントが注目されているのでしょうか。その理由を以下で解説します。

労働人口の減少

日本では少子高齢化が加速化しており、労働人口は減少傾向にあります。国内における需要と供給双方が悪化することで、経済成長の大きな障害となる可能性が高くなっています。労働人口の減少に対応するために、1人あたりの生産性向上に取り組むことが重要です。生産性向上の取り組みとして、タレントマネジメントが大きな注目を集めています。

事業環境の変化

事業環境の変化も、タレントマネジメントが注目される理由の1つです。企業を取り巻く環境は日々変化しており、グローバル化も進んでいます。また、VUCA時代の到来によって、事業環境はより複雑になっています。このような社会においては、迅速かつ適切な経営判断や商品開発が重要です。

ITの進化

ITの進化によって、UI/UXに優れたサービスの提供が始まっています。従来は人事部門に限られていたHR Techですが、ITの進化によって現場のマネジメント効率化にも役立っています。AIの活用により、採用や育成のプロセスを効率的かつ適切に進めることが可能となりました。

タレントマネジメントが目指す目的

タレントマネジメントはどのような目的で導入されるのでしょうか。ここでは、タレントマネジメントの目的を解説します。

企業の継続的な成長のため

タレントマネジメントの主な目的は、企業の持続的な成長に貢献することです。従業員1人ひとりの才能やスキル、ノウハウなどを把握して総合的な人事施策を展開することで、各従業員が最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えます。これによって、組織全体のパフォーマンスが向上し持続的な成長につながります。

人材育成や定着のため

企業にとって重要かつ不可欠なのが「人材」です。適切な人材を確保しなければ、事業を継続することは難しいでしょう。タレントマネジメントを導入することで、人材の獲得や育成などを効率的に行えるようになります。これにより、適切な人材を確保し企業内で育成・定着させることで、企業や組織の成長を目指します。

タレントマネジメントのメリット

タレントマネジメントを導入することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、5つのメリットを解説します。

中長期的な人材育成

タレントマネジメントは、従業員のスキルや才能、ノウハウなどを一元管理できます。このような人材情報を活用して、研修やトレーニング計画などの人材育成プログラムを策定できるため、中長期的な人材育成がしやすくなります。キャリアデザインを構築できるため、優秀な人材の離職防止にも期待できるでしょう。

エンゲージメントの向上

タレントマネジメントによって、エンゲージメント向上も見込めます。エンゲージメントとは、従業員の会社に対する愛着や思い入れなどのことです。タレントマネジメントを導入することで、従業員それぞれが自身の能力を最大限に発揮できる環境を構築できます。自身の成長や成果、企業への貢献を感じやすくなるため、エンゲージメント向上につながるでしょう。

パフォーマンスの最大化

タレントマネジメントを導入することで、戦略的かつ適正な人材配置が行えるようになります。各従業員の情報をもとにして、それぞれのスキルや適性、経験などに応じた業務配置が行えるようになります。各人の持つスキルや得意領域などを活かした配置にすることで、全体的なパフォーマンスの最大化が可能です。

優秀な人材の採用や定着

優秀な人材の採用や離職防止にもタレントマネジメントは効果的です。従業員をそれぞれの特性に合わせた最適なポジションに配置することで、各従業員の能力を最大限に引き出すことができます。その成果を適切に評価することでモチベーションの向上につながり、結果として優秀な人材が定着しやすくなります。

組織の生産性向上

タレントマネジメントで従業員個々のスキルや経験、特性などに応じた部署や業務への適切な配置を行うことは、従業員の能力を最大限に引き出すことにつながります。各従業員のパフォーマンスが最大化されるため、モチベーションも高まります。そのため、結果として組織全体の生産性向上が期待できるでしょう。

タレントマネジメントのデメリット

タレントマネジメントは、人事部だけでなく、経営層から現場社員までが協力して取り組む人事戦略です。経営戦略に密接に関わる取り組みのため、経営層の理解も欠かせません。また、社員の個人情報や育成状況のデータ収集も必要です。データ収集の際には社員に負担がかかるため、タレントマネジメントに対する社内全体の理解も必要です。

タレントマネジメント導入の流れ

タレントマネジメントは、どのように行えばよいのでしょうか。ここではタレントマネジメントを導入するための手順を解説します。

1.現状を把握する

まずは、自社の状況を把握しましょう。たとえば、従業員数やそれぞれのスキル、経験、目標や評価といった人事管理に関連する情報を数字やデータとして目に見える形で整理します。そのうえで人事戦略と自社の現状を比較して、どの程度の差があるのかを把握します。また、情報収集がスムーズにいくように、あらかじめ関連部署に話を通しておきましょう。

2.課題を洗い出す

自社の現状を把握したら、経営戦略の達成のために必要な課題を設定します。課題の洗い出しは、個々の従業員や人事部だけの問題ではありません。企業として将来どのような姿を目指すのか、実現したい目標などを設定する必要があるため、経営陣を含めた協力が必要不可欠です。中長期的な目標を共有したうえで、課題を洗い出しましょう。

3.適切に活用する

課題を洗い出したら、タレントを見出します。目的に適した人材を発掘した後に、個々のプロフィールや資格などの情報を整理しましょう。従業員の情報をデータ化することで活用しやすくなります。データ化された情報を使って最適な人材を適したポジションに配置しましょう。この際も、中長期的な目線で人材活用をすることがポイントです。

4.育成と評価

人材を適切に配置した後は、育成と評価を行いましょう。育成と評価にはマネージャーが重要な役割を果たします。人材配置後は、従業員それぞれの状態の変化をしっかりと把握しなければいけません。マネージャーは人事部門と情報を共有して、データ化した情報を定期的に更新していくことが求められます。

タレントマネジメントを導入する際の注意点

タレントマネジメントを導入する際には、注意したいポイントもあります。ここでは、2つの注意点について詳しく解説します。

中長期的な人材マネジメントが必要

先述した通り、タレントマネジメントはすぐに成果が出るものではありません。多くの組織が短期的な成果を求める傾向にありますが、タレントマネジメントは中長期的なキャリア支援が必要で、短期的に成果が出るものではないことを意識しましょう。最低でも3年、長ければ5～10年程度と中長期にわたって管理していく必要があります。

タレントマネジメントシステムには導入費用がかかる

タレントマネジメントを成功させるには、専用の人事管理システムの導入と運用が必要です。人事管理システムの導入には導入費用などのコストがかかるため、予算についても検討しなければいけません。しかし、導入によって効率化が図れるためメリットは大きいです。長期的な投資と考え、費用対効果を検討しながらシステムを選びましょう。

まとめ

タレントマネジメントとは、従業員それぞれが持つ能力やスキル、才能などを一元管理して、戦略的に管理し活用することです。タレントマネジメント導入によって、中長期的な人材育成やエンゲージメント向上、人材の確保や定着、生産性向上などのメリットがあります。
 
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