1on1とは?人事面段との違いや効果、部下との信頼関係を作るコツなどを解説
1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で行う面談のことです。企業では、人材育成や離職防止のために、1on1ミーティングを実施するケースが増えています。主な理由は、少子化や働き方の変化により深刻化している人材不足に対応するためです。
この記事では、1on1の概要や注目されている理由について解説します。1on1の目的やメリットなども解説するので、参考にしてみてください。
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目次[非表示]
- 1.1on1とは
- 2.1on1が注目されている理由
- 3.1on1を実施する3つの目的
- 4.1on1のメリット
- 5.1on1のデメリット
- 6.1on1を実施する流れ
- 7.1on1で話すテーマ・アジェンダ例8選
- 8.1on1で部下の本音を聞き出すコツ
- 9.1on1を実施する際の注意点
- 10.まとめ
1on1とは
1on1とは、上司・マネージャーと部下が個別かつ定期的に面談をすることです。1回の長さは15~30分、頻度は1週間~2週間に1度程度が一般的です。
面談者である上司・マネージャーは、部下の悩みや将来の目標などの理解を目指します。そして、最終的には対話による問題解決・成長の支援などを行います。
人事面談との違い
1on1と人事面談は混同されやすいのが特徴です。しかし、それぞれの目的・進め方は異なるため注意しましょう。1on1と人事面談の違いは以下の通りです。
1on1 |
人事面談 |
|
目的 |
・部下の成長を促す
・部下の目標を把握する
|
・部下の評価を決める
・部下の今後の処遇を決める
|
内容 |
・プライベート |
・評価の結果 |
方向 |
・上司と部下で双方向 |
・上司から部下へ一方的 |
頻度 |
・週1回~月1回 |
・四半期~年1回 |
1on1が注目されている理由
1990年代以降は、世界的にVUCAの時代が到来したとされています。VUCAの時代は、変化の速度が急速であり、先行きが不確実であることが特徴です。
現場の従業員はVUCAの時代に対応するため、上層部の指示を待たず変化に適用することが求められました。
上層部においても、従業員とのコミュニケーション・情報共有も重要視されるようになりました。近年ではコロナの影響もあり、1on1が注目されています。
1on1を実施する3つの目的
1on1を実施する目的は多岐に渡ります。そのなかでも、代表的な3つの目的は以下の通りです
1.従業員(部下)の成長促進
1on1の実施は、部下の気付きを助けたり、成長を促したりすることを目的としています。そのために、1on1では、従業員・部下が抱えている業務上の悩みや不安を従業員自らが伝えやすい雰囲気づくりが大切です。
そして、上司・マネージャーは、アドバイスやフィードバックを提供します。一連の流れを通して、部下は気付きや成長を得ることができます。
2.企業全体の組織力強化
1on1を実施する目的の1つに、企業全体の組織力強化も挙げられます。1on1は、上司・部下間の適切なコミュニケーションを実現しやすいため、部下自身が1on1を通じて成長を実感しやすくなります。
モチベーションが上がったり、やりがいを持って働きやすくなったりすると、組織全体のパフォーマンスにもよい影響を与えます。
3.上司とメンバー間の信頼関係の強化
上司と部下間の信頼関係の強化も、1on1を実施する目的です。1on1は評価や指導の実施に限らず、上司と部下が対等にコミュニケーションを取れる場でもあります。
事務的なやり取りだけが求められる訳ではないため、プライベートやニュースの話題なども交えやすいです。そのため、リラックスした雰囲気で対話しやすく、相互理解と信頼の促進が期待できます。
1on1のメリット
1on1のメリットは複数あります。具体的なメリットとそれぞれの詳細は以下の通りです。
部下のモチベーションが上がる
1on1を通じて自身の努力が認められたり、成果に対する評価がされたりすると、部下のモチベーションアップにつながります。モチベーションアップのために、部下には以下のように感じてもらいましょう。
・信頼されていると感じる
・キャリアアップしている
・頑張りが認められている
従業員それぞれのモチベーションが上がると、組織へのエンゲージメントや定着率が向上するメリットもあります。
チーム全体のパフォーマンスが向上する
1on1のメリットとして、チーム全体のパフォーマンスが向上することも挙げられます。部下それぞれと1on1を行うことで、チーム全体の状態が把握しやすくなるためです。
個々の改善点の確認とチーム全体の状態の把握は、各種問題の解決やパフォーマンスの向上にも影響します。
上司の部下への理解が深まる
上司の部下に対する理解が深まることも、1on1のメリットです。1on1ミーティングを継続的に実施すると、業務をともに行うだけよりも、さまざまなことが分かります。
たとえば、部下の性格や考え方、悩みやキャリアなどが挙げられます。部下から直接詳細を聞きやすいため、理解を深めることにつながります。
1on1のデメリット
1on1にはデメリットもあるため注意が必要です。具体的なデメリットと詳細は下記の通りで
上司・部下ともに時間や工数が必要
1on1の導入・実施には、上司や部下など立場を問わず多くの時間を要します。また、必要となる工数が多いこともデメリットとして挙げられます。
時間や工数がとられることで1on1の効果を感じにくかったり、実施を疑問に思う従業員から不満の声が出たりする可能性があるため、注意しましょう。
上司のコミュニケーションスキルに左右される
1on1のデメリットとして、効果が一律ではないことも挙げられます。なぜなら、1on1の効果は、上司のコミュニケーションスキルに左右されやすいためです。
上司の立場にある人間が、1on1の目的や進め方を十分に理解していないと、1on1を適切に実施することは難しいでしょう。理解が不十分な場合は、マネジメント層に対するトレーニングや研修が必要です。
1on1を実施する流れ
1on1は基本的に30分程度で終わらせるのが理想です。以下で、大まかな流れと手順の詳細を解説しているので、参考にしてみてください。
1.実施と目的の共有
1on1を実施する際は、あらかじめ実施することと目的を伝えましょう。目的も合わせて伝える理由は、実施することだけ伝えても、部下の理解を得にくいためです。
1on1で重要なことは上司・部下の相互理解や、部下自身の成長です。1on1を実施する目的を共有して、有意義な時間となるように進めましょう。
2.日時と場所を決める
実施を決定して目的を共有できたら、1on1を実施する具体的な日時・場所を決めましょう。1on1の日時・場所を決める際は、上司の都合だけではなく、部下の都合も考慮することが大切です。
また、決定後に都合がつかなくなるケースも想定して、日程変更する場合のルールも決めておきましょう。
3.1on1の実施
準備が完了したら、1on1の実施に移ります。1on1を始めたら、まずはチェックインでメンバーの気分や関心を共有します。いきなり本題に入るのではなく、一旦別の話題を挟んでリラックスさせましょう。
なお、上司が会話をリードするのは好ましくありません。基本的には聞き役に徹して、メンバーが積極的に話せるような環境を作りましょう。
4.次回の1on1までのアクションを決める
対話によって今後の大まかな方針や、問題への対応策が見えたら、次回の1on1までに行うべきことを確認します。
目標は大きい内容である必要はなく、基本的にスモールステップを意識しましょう。1on1を行う頻度に合わせて、1週間~2週間程度で達成できる内容が望ましいです。
1on1で話すテーマ・アジェンダ例8選
1on1で話すテーマ・アジェンダの例を紹介します。以下は、8つのテーマ・アジェンダとそれぞれの詳細です。
1.業務・組織の課題解決
1on1で取り上げることができるテーマの1つは、業務や組織の課題解決です。業務や組織における、部下が日常的に抱えている問題を取り扱います。関連する質問の例は以下の通りです。
・現在担当している業務
・業務の進行における悩み
・チームへ感じている課題
・人間関係での問題点
・上司への要望や希望
・会社や組織への不満の有無
2.モチベーション
モチベーションに関する話題は2種類あります。モチベーション向上に向けた話題と、モチベーション低下の予防に関する話題です。
モチベーションを向上させたいなら、以下の項目について話しましょう。
・業務への成果
・社内の評価
・チームへのよい影響
モチベーションの低下を予防したいなら、下記の項目について触れましょう。
・人間関係の悩み
・業務におけるストレス
・不安に思っていること
3.目標設定
1on1ミーティングで重要なテーマの1つとして、目標設定も挙げられます。目標設定をテーマとした場合は、以下のような事項を取り扱いましょう。
・今の業務に対するスタンス
・今後関わってみたい業務
・目標にしたい物事
・目標達成により得たいこと
・業務の取り組みに対する自己評価
4.健康状態
健康状態についても、1on1ミーティングの話題として取り上げやすいです。なお、健康状態に関して話す際は、肉体的のみならず精神的な面も含めて確認しましょう。以下は、具体的な質問の例です。
・疲労の蓄積状態
・業務外での休息
・睡眠時間の程度
・体調の変化
5.将来のキャリア
1on1のテーマとして挙げられるのは、部下の将来のキャリアについてです。上司が部下のキャリア・能力開発をサポートしやすくするためには、以下のような質問があります。
・業務に関する強みや弱み
・強みを生かしやすい業務
・業務におけるやりがい
・挑戦したい業務
なお、部下が明確なキャリア像を持っていない場合は、まずは重要視している価値観ややりがいを聞いてみましょう。
6.会社の戦略や方針
会社の戦略や方針なども、1on1で話すべきテーマの1つです。なお、ただ戦略や方針を伝えるのではなく、経緯や理由などを交えながら話すことが重要です。
背景が分からない状態では戦略・方針に対して納得しづらく、部下の理解を得ることは難しくなってしまいます。一方的に伝えるのではなく、相互に理解しながら話を進めることを意識しましょう。
7.プライベート
1on1では、プライベートな話題も相互に共有し、信頼関係を深めることが重要です。そして、1on1でオープンな対話をしやすくするために、上司が率先してプライベートな話題を共有しましょう。具体的な話題は以下の通りです。
・週末の過ごし方
・楽しいと思える物事
・好きなスポーツや食べ物
・家族との過ごし方
8.自己評価
自己評価も、1on1で取り扱いやすいテーマです。部下に最近の出来事について振り返ってもらい、自分に対する評価をしてもらいましょう。
部下から自己評価を聞いたら、上司側からの評価についても交えながら、よい点や改善点を探しましょう。なお、一連の自己評価は目標設定と共に実施すると効果的です。
1on1で部下の本音を聞き出すコツ
1on1を実施する際は、部下の本音を聞き出せるような状況を作ることが大切です。たとえば、話を聞いていることを態度で表したり、共感を示したりするなどです。上司はリードしようとせず、部下が話しやすい雰囲気作りに努めましょう。
そして、不満を聞き出せたとしても、必ずしも本音であるとは限らないことにも注意しましょう。
1on1を実施する際の注意点
1on1を実施する際の注意点はいくつかあります。ここからは、具体的な注意点とそれぞれの詳細を解説します。
上司ばかりが話さない
1on1では、上司ばかりが話さないように注意が必要です。具体的には、メンバーが話す時間が全体の7~8割程度が理想的です。
上司が話をしたい場合は、必ず部下に確認を取るようにしましょう。確認して了承してもらえたら、意見を述べましょう。なお、その意見の是非や採用については、部下に任せる方針にするべきです。
雑談で終わらない
1on1はリラックスした雰囲気で進めることが理想的です。しかし、目的や意味を意識せず、雑談だけになることは避けましょう。
雑談自体は互いの距離感を近づけるのに有効ですが、毎回雑談になると1on1を実施する意味が薄れてしまいます。効果的な1on1になるように意識して取り組みましょう。
まとめ
1on1は従業員のモチベーションを保ったり、定着率を向上させたりする施策として重要です。しかし、適切に実施できないと効果は薄く、時間を無駄に使う事態にもなりかねません。そのため、外部の専門機関に依頼することがおすすめです。
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