catch-img

AQ(逆境指数)とは?IQ・EQとの違いや指数レベルについて徹底解説

AQ(逆境指数)とは、個人や組織が逆境に対処する力を指標化したものです。逆境に立たされたとき、それを乗り越える力は個人にとっても組織にとっても非常に重要です。

本記事では、組織開発や人材育成などで注目されつつあるAQについて、その概念やIQ・EQとの違い、AQを構成する要素やAQの高い人・低い人の特徴などについて解説していきます。


▼【リンクアンドモチベーションの新入社員研修の特徴】が分かる資料はこちら 

▼【リンクアンドモチベーションのサービス特徴】が分かる資料はこちら

目次[非表示]

  1. 1.AQとは?
  2. 2.AQ、IQ、EQの違い
  3. 3.AQの要素
  4. 4.AQの評価レベル
  5. 5.逆境に直面したときの行動は3パターン
  6. 6.AQが高い人・低い人の特徴とは?
  7. 7.AQの高い「登山家」人材がいる組織は強い
  8. 8.記事まとめ

AQとは?

■AQの定義

AQ(Adversity Quotient)とは日本語で「逆境指数」のことで、個人や組織が逆境に対処する力を指標化したものです。

AQは、アメリカの組織コミュニケーションの研究者であるポール・G・ストルツ博士が提唱したことによって欧米で知られるようになりましたが、近年では日本でも組織開発や人材育成、また教育や育児などの分野で注目され始めています。

ハーバード・ビジネススクールで教鞭を執っていたストルツ博士は、ビジネスの現場で目覚ましい活躍をしている人たちが必ずしもIQ(知能指数)やEQ(心の知能指数)が高いわけではないということに気付きました。

「成功し続けることができる裏には何があるのだろう?」と考察した結果、たどり着いたのがAQでした。

 ストルツ博士は、「AQとは、大きな悲劇から小さな怒りまで、あらゆる逆境に対応するために組み込まれた行動パターンであり、逆境に対して脳や細胞が無意識のうちにどのように反応するかということだ」と述べています。

そして、「逆境にもっとも効果的に対処する者が、仕事や人生の成功者となる」というAQ理論を提唱しています。

■AQの重要性

AQの重要性を少し遠回りに説明します。前提として、リンクアンドモチベーションでは人材が開発するべき開発対象能力を「テクニカルスキル」「リテラシー」「ポータブルスキル」「スタンス」「ポテンシャル」と定義しています。この整理で言うとAQは「スタンス」に該当します。

この「スタンス」は単なるテンションや気合・根性として捉らえられるケースもありますが、弊社では「自己課題認識×自己効力感によって醸成される、自己変革へのエネルギー」として定義しています。

管理職になっても、経営者になっても、課題(理想に近づくための差分)は現状に満足しない限り常にあると思いますので、このスタンスは役職・立場・仕事に関わらず必要なものです。

逆にこのスタンスがあれば、一定の時間は必要になる場合もありつつ、どんな役職・立場・仕事でも活躍できます。このAQは「自己効力感」を確保するために必要な力の中の一つだと思いますので、どんな人材にとっても大切になってきます。

■AQとIQの違い

本章からAQの具体的な内容を説明していきますが、AQへの理解を深める上での前提として、IQとの違いを説明します。

AQ、IQ、EQの違い

AQ(逆境指数)は、「IQ」や「EQ」と並列で語られることが多くあります。それぞれの違いを理解しておきましょう。

■AQとIQの違い

IQ(Intelligence Quotient)とは日本語で「知能指数」のことで、思考の速さなどを含む知能レベルを数値化したものです。

かつては、IQが高い人ほどビジネスで成功しやすいと考えられていましたが、実際にはそうではありません。なお、IQは先天的に決まっていると考えられていますが、AQは後天的にトレーニングなどによって高めることができます。

■AQとEQの違い

EQ(Emotional intelligence Quotient)とは日本語で「心の知能指数」や「感情知性」と訳されるもので、自分や相手の感情をうまく管理し、活用する能力のことを言います。

EQは、AQと同様に後天的に伸ばしていくことが可能です。EQを高めることで、自分の感情をコントロールしたり相手の感情を理解したりする力が高まり、コミュニケーションや信頼関係構築に役立ちます。

EQについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
 EQとは?高い場合のメリットは?EQが低い場合の改善方法や高める方法を解説

  マネジメント育成の手引き 業績が上がらない組織、上がる組織。違いを分かつマネジャー・管理職の育成に不可欠な、体系的なフレームワークと実践のポイントとは。組織人事のプロフェッショナルファーム、リンクアンドモチベーション独自の視点で徹底解説。 管理職研修・育成ならストレッチクラウド


AQの要素

AQ(逆境指数)には「CORE」の頭文字で示される4つの要素があり、それらが組み合わさって逆境に対する反応が決まるとされています。COREとは、「コントロール」「責任」「逆境の範囲」「逆境の持続時間」の4つです。

■AQの要素① コントロール(Control)

「コントロール」には2つの側面があります。一つは「ある状況にどれだけプラスの作用を与えられるか?」という側面で、境遇を一変させる力とも言えます。

もう一つは「ある状況に対する自分の反応をどれだけコントロールできるか?」という側面で、セルフコントロールと言い換えることもできます。

■AQの要素② 責任(Ownership)

「責任」とは、原因が何であろうと、目の前の状況を改善する責任を自分がどれだけ引き受けられるかということです。

AQの高い人は、どのような困難な状況に立たされても他者や環境のせいにせず、自分自身の問題として受け止めることができます。

■AQの要素③ 逆境の範囲(Reach)

「逆境の範囲」とは、自分が直面している逆境が仕事や人生にどのくらいの影響を与えると考えるか、を示すものです。

逆境の影響が広範囲に及ぶと考える人ほど、不安や脱力感、無関心や怠慢を引き起こす可能性が高くなります。

一方で、逆境が及ぼす影響範囲が狭いと考える人は、逆境にひるむことなく、問題を解決したり障害を乗り越えたりする力が強くなります。

■AQの要素④ 逆境の持続時間(Endurance)

「逆境の持続時間」は、自分が直面している逆境がどのくらいの期間続くと考えるか、を示すものです。逆境が永遠に続くと考える人は逆境への耐性が低く、逆境は一時的なものだと捉える人は逆境への耐性が高い傾向にあります。


▼【リンクアンドモチベーションの新入社員研修の特徴】が分かる資料はこちら 

▼【リンクアンドモチベーションのサービス特徴】が分かる資料はこちら


AQの評価レベル

ストルツ博士はAQ(逆境指数)を5つのレベルで定義しており、リーダーや経営者にはレベル4以上のAQが求められると述べています。

■AQレベル1:逃避(Escape)

試練や逆境に直面すると逃げ出してしまうレベルです。

■AQレベル2:生存(Survive)

逆境に対峙したとき、何とか生き残れるレベルです。

■AQレベル3:対処(Cope)

逆境や困難に立ち向かい、対処できるレベルです。数多くの困難とうまく付き合っていくことができますが、逆境が重なると神経をすり減らし、落ち込んだり自分を見失ったりすることもあります。大多数の人がこのレベルにあると言われます。

■AQレベル4:管理(Manage)

逆境を管理して、解決しようと試みるレベルです。多くの困難や挫折にうまく対処できますし、たいていの試練なら途中でくじけることもありません。しかし、大きな逆境に直面したり逆境が重なったりすると、必要以上に精神的負担を感じることがあります。

■AQレベル5:滋養(Harness)

逆境というピンチをチャンスに変えることができるレベルです。逆境を真正面から冷静に受け止めながら、それを栄養源としてさらなる成長を図ることができます。

逆境に直面したときの行動は3パターン

ストルツ博士はAQ(逆境指数)を5つのレベルに分けるとともに、「逆境に直面した人の対処の仕方」についてもパターン分けしています。「山」を目標の象徴と考え、「脱落組」「キャンパー」「登山家」の3つのパターンに分類しています。

■脱落組

脱落組は、頂上を目指すのをあきらめていながら、それを自ら認めない人たちのことです。逆境に直面すると、「自分のせいじゃないのに何でこんなことになるんだ」と現実逃避をします。すべてをネガティブに捉え、他者や組織を逆恨みすることも少なくありません。

 ■キャンパー

キャンパーは、居心地の良い場所に安住している人たちのことです。逆境に直面すると、「仕方ないけど何とかしなきゃ」と対処しようとします。

逆境のレベルが低ければ希望や信念を保つことができますが、大きな逆境に対峙したり逆境が重なったりすると現状維持に終止しがちです。組織に属する人材の80%はキャンパーだとされています。 

■登山家

登山家とは、どんな逆境にも負けず、粘り強く頂上を目指す人たちのことです。逆境に立たされたとき、「逆にチャンスじゃないか。やってやろう!」というように、逆境をバネにできる強さを持っています。登山家の「CORE」の傾向として、以下のような点が挙げられます。

  • 自分でコントロールできることに意識を集中する
  • 状況改善のために責任を自ら引き受ける
  • 逆境はその場限りのもので、すぐに過ぎ去ると考える
  • 逆境からプラスの作用を及ぼせると考える
  マネジメント育成の手引き 業績が上がらない組織、上がる組織。違いを分かつマネジャー・管理職の育成に不可欠な、体系的なフレームワークと実践のポイントとは。組織人事のプロフェッショナルファーム、リンクアンドモチベーション独自の視点で徹底解説。 管理職研修・育成ならストレッチクラウド


AQが高い人・低い人の特徴とは?

AQ(逆境指数)が高い人と低い人には、それぞれ以下のような特徴があります。

■AQが高い人の特徴

  • 逆境からの立ち直りが早い
  • トップレベルの業績を上げ、それを維持する
  • 根っからの楽観主義者
  • 必要なリスクをとる
  • 変化を糧にする
  • 健康でエネルギッシュでバイタリティーに溢れている
  • 一筋縄ではいかない試練にも立ち向かう
  • 何事も最後までやり通す
  • 画期的な解決策を見つけられる
  • 問題解決や頭の回転が速い
  • 学び、成長し、向上する姿勢を忘れない

■AQが低い人の特徴

  • すぐにあきらめる
  • 自分を見失う
  • 落ち込みやすい
  • 能力をフルに発揮しない
  • 無力感を感じている
  • 病気がちである
  • ノシーボ効果(ネガティブな思い込みがマイナスに働くこと)を伝染させる
  • 泥沼にはまりやすい
  • 困難な仕事や状況を避ける
  • 優れたアイデアや方法に手を出さない
  • 現状に安住する

AQの高い「登山家」人材がいる組織は強い

インパクトのある逆境の一つにコロナショックがありますが、先の読めない不透明な時代と言われる今、いつ何時、どんな逆境が訪れるか分かりません。

予期せぬ逆境が立て続けに訪れると、脱落組のように現実から逃げ出したり、キャンパーのように現状に甘んじたりする人が増えますが、脱落組とキャンパーしかいない組織では、これからの時代を生き抜いていくことはできません。

言うまでもありませんが、組織のリーダーや管理職として求められているのはAQ(逆境指数)の高い登山家タイプの人材です。登山家タイプの人材は逆境に直面しても立ち向かい、問題を解決するだけでなく、新しいものへと発展させていく力を持っています。

採用プロセスにAQを取り入れて、登山家人材を採用することで逆境に強い組織づくりができます。

また、AQは誰もが後天的に高めることができるものなので、人事研修にAQを高めるトレーニングを取り入れて、キャンパーを登山家に変えるのも良いでしょう。

組織にAQを高めるカルチャーが生まれ、AQの高い人材が増えてくれば、あらゆる困難を乗り越えていくことができるはずです。

記事まとめ

人を最終的に判断するのは、順境のときに何をしているかではない。逆境に見舞われたときに、どうするかである。

 これはキング牧師の言葉です。個人に限らず組織にも当てはまることであり、逆境に直面したときにこそ、その組織の真価が問われると言えます。

特に、リーダーや管理職など、組織を引っ張っていく立場にある人ほど、高いレベルのAQが求められます。ぜひ、AQに着目した人材採用や人事研修で、逆境に強い組織づくりに取り組んでいきましょう。

なお、AQと近しい概念として「レジリエンス」という言葉があります。レジリエンスについては以下の記事で詳しく解説しています。

レジリエンスとは?心が折れやすい人の特徴や鍛える方法を解説​​​​​​​

▼【リンクアンドモチベーションの新入社員研修の特徴】が分かる資料はこちら

▼【リンクアンドモチベーションのサービス特徴】が分かる資料はこちら



新着記事

この記事を読んだ人は、こんな記事にも興味を持っています

あなたの組織にも、課題はありませんか?

各種サービス資料が無料ダウンロードできます

3分でわかる新入社員研修

3分でわかる新入社員研修

サービスご紹介資料

3分でわかるモチベーションクラウド

3分でわかるモチベーションクラウド
ページトップへ戻る