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演繹法と帰納法の違いとは?考え方や鍛え方をご紹介

ロジカルシンキングの観点として、演繹法(えんえきほう)と帰納法の2つがあります。この2つは、高校数学で扱われる学校もあるため、聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

ロジカルシンキングは、理系の学問に必要なイメージがありますが、社会人になると、あらゆる仕事において必要になってきます。今までロジカルシンキングを意識してこなかった文系の人や新卒の人は、特に苦手意識を感じてしまいます。

ロジカルシンキングは、後天的獲得可能性が高く、十分鍛えられる力です。今回は、演繹法と帰納法の違いを解説しつつ、具体的にどのように力を付けていくのかまで解説しますので、使いこなせるようにチャレンジしてみましょう。

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目次[非表示]

  1. 1.演繹法とは?
  2. 2.帰納法との違い
  3. 3.演繹法の考え方とは
  4. 4.演繹法の注意点
  5. 5.演繹思考を鍛える方法
  6. 6.演繹法と帰納法の使い分けポイント
  7. 7.記事まとめ

演繹法とは?

演繹法(えんえきほう)とは、すでに知られている法則(一般論・ルール)や前提から、階段を登っていくように論理を積み重ねて結論を出す考え方です。

構成としては、大前提→小前提→結論の形で論理が展開されていきます。

誰もが納得できる自明の前提からスタートし、その結果を元に結論を導き出していくため、複雑なテーマにおいても結論付けることが可能です。

例えば、アリストテレスが確立した三段論法は、演繹法の代表例です。

  • 全ての人間は死ぬ…大前提
  • ソクラテスは人間である…小前提
  • ゆえにソクラテスも死ぬ…結論

というものです。

「A = B」かつ「B = C」であれば、「A = C」である、ともいうことができます。

このように、一般論やルールなどを前提として結論を出すのが演繹法であるため、前提そのものが間違っている場合は、誤った方向に結論が導かれてしまいます。

帰納法との違い

帰納法とは、複数のある事象(前提)から結論を導く思考法のことを指します。統計分析にも使用される方法で、大量のデータから傾向やパターンをしっかり理解し、推論を導いていきます。

結論は絶対的な真実とは限らず、あくまで前提を踏まえて論理的に正しい推論というのが、帰納法の特徴となっています。

そのため、実例や状況証拠そのものに間違いがある場合や、そして共通点を探し出す際や共通点から推論を導く道筋に論理の飛躍があると、帰納法そのものが成り立たなくなってしまいます。

1つでも推論に反する実例があると、推論は一気に崩壊してしまうので、注意が必要です。例えば、

前提:

  • この犬には1つの心臓がある
  • あの犬にも1つの心臓がある
  • その犬にも1つの心臓がある

結論:

ゆえに全ての犬には1つの心臓がある


前提:

  • テレビで青汁が体にいいと報道されていた
  • 家族が青汁を飲み始めたら体調が良くなった
  • SNSで青汁が体に良いと紹介されていた

結論:

青汁は体にいい


上記では、もしかしたら2つ心臓がある犬がいたり、青汁が体にいいわけではない可能性はありますが、論理的に正しい結論となります。

帰納法と演繹法の違いを明確に言うならば、帰納法は「複数の事象の共通点」から結論付けるのが特徴的ですが、演繹法は「複数の事象を関連付けて」から結論を出すのが特徴と言えます。

演繹法の考え方とは

■考え方

演繹法の考え方のポイントは、3つあります。

①最初に結論を考える

演繹法を活用した論理は「大前提→小前提→結論」という構造をとっています。この大前提と小前提が間違っていると、導く結論も変わってきてしまうため、最初に結論を考え、結論に向かってレールを引いて行くイメージでいくといいでしょう。

②普遍的な事象を考える

演繹法の前提に置くべきなのは、ルールや一般論など、普遍的なものです。これを前提に置くことによって、論理の土台が整います。誰もが知っている当然のことを置くことがポイントです。

③前提の前提を考える

結論に対して当てはまる前提を肉付けしていくのに、「前提の前提」を考えることが重要です。

例えば、

「来年度は採用戦略を見直す必要がある」

という結論があり、前提として

  • A社の人事部は、経営を担える人材の採用がミッションである…大前提
  • 今年度の採用は目標人数を超えることができなかった…小前提

があるとします。

この時の前提の前提を考えると、

「今年はインターンシップの内容が変わったから」
「コロナで会社の業績が悪くなったから」
「採用メッセージを変えたから」

などと、様々な前提がでてきます。持ってくる前提によっては、結論まで変える必要がでてくるため、前提の前提を考えて、根拠がしっかりとしたロジックを組む必要があります。

このように、3点を押さえることで、演繹法的思考ができます。

  1. 最初に結論を決める
  2. 普遍的な事象を考える
  3. 前提の前提を考える

上記のような説明をすると、演繹法が難しく聞こえてしまいますが、実は人間が頭の中で思考をする場合、自分の価値観や自分の考えを基準に結論づけがちであるがゆえに、無意識に演繹法的思考をしています。

例えば、前提に置かれるものとして

  • 価値観
  • 文化
  • 方針
  • 因果関係

などが挙げられます。みなさんも、上記のような観点で演繹的思考をしているのではないでしょうか。

価値観

例えば、あるお店が「長年守り続けてきた伝統の味を受け継ぐ」ことを大事にしています。

新たな商品開発をする際に、

「まったく違う領域の味の開発にチャレンジをしてみる」
「流行りのものと伝統の味を掛け合わせる」

という2つの選択肢があるとします。

演繹法的思考を活用してみると、結論は「流行りのものと伝統の味を掛け合わせる」となります。

文化

文化は、その国の「一般論」として認知されるものです。

例えば、

  • 日本では食事をする前に「いただきます」と言う…大前提
  • 日本で子供が生まれた…小前提
  • この子供には食事の前には「いただきます」を教えるべきだ…結論

となります。また、

  • 日本では玄関で靴を脱がなければならない…大前提
  • アメリカ人の友達が日本に遊びに来た…小前提
  • 友人には玄関で靴を脱いでもらう…結論

このような活用の仕方もあります。

方針

例えば、ビジネスのシーンにおいては、経営方針をベースに、新たなサービスを提案したり、お客さんのビジョンをベースに保険や投資などのライフサービスの提案が行われています。

これはニーズ(≒方針に必要なもの)に沿って提案をしているため、演繹法が使われているということができます。

つまり、営業行為のほとんどは、顧客の願望やニーズをベースに、演繹法が活用されているということができます。

因果関係

因果関係から導き出されたものも、演繹法の前提として活用することができます。

例えば、

  • 広告費用の30%をSNS広告に投資すると、売り上げが20%増加する…大前提
  • 今回の売り上げ目標は前年度の20%増だ…小前提
  • よって、今年度は広告費用を30%にすべきだ…結論

となります。このように因果関係をもとに結論付ける行為は、研究職や仕事において日常茶飯事であるため、まさにロジカルシンキングということができます。

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演繹法の注意点

■注意点

演繹方は、一見、流れがスムーズで正しいと認識しやすいため、ロジックが通っていないことに気が付きにくいものです。

例えば、

  • A社の経営方針は利益率の最大化である…大前提
  • 乗用車は軽自動車より利益率が高い…小前提
  • ゆえにA社は乗用車の開発に力を入れるべきだ…結論

というロジック。一見、正しそうに見えますが、この情報は小前提が本当に正しいとは言い切ることができません。「乗用車は軽自動車より利益率が高い」というのは、「10万台売れたならば」「ガソリンが100円より安ければ」などという仮定条件が潜んでいるからです。

このような仮定条件に気づかない・無視した結果、正しそうに見えるけれども間違った結論が導き出されてしまいます。

特に、固定観念が強い人や、経験値のある範囲におけるものは、過去の出来事に引っ張られてしまい、ロジックの誤りに気づきにくいとされています。

そのため、どんな人でも、前提を疑うことが重要になってきます。前提を疑う方法の合言葉としておすすめなのが、「本当に正しいのか」「本当にこれでいいのか」というセリフです。このようにそもそもの前提を疑うことで、結論と前提のつながりがズレるのを防ぐことができます。

また、人間には、「ヒューリスティックス」という思考法があります。これは、不確実性がある意思決定をする際に、よりどころとする方針のことです。ただし、ヒューリスティックスは必ずしも正確ではないので、判断や決定に「バイアス=偏り」が生じます。

■利用可能性ヒューリスティックス

あることが起こる頻度や確率を判断するときに、すぐに頭に浮かぶ最近の例や顕著な例に基づいて判断することです。

例:災害が続くと防災に備えようとする
→災害で命を落とす確率は交通事故で命を落とす確率の1/100

■代表性ヒューリスティックス

全体の中の1つのことが、その全体の特性をそのまま表していると考えて、頻度や確率を判断することです。

例:Aさんが1つの親切な行動を見て、Aさんは親切な人だという認識をする
→自分の持っている親切なイメージとAさんの行動を照らし合わせて認識をしている

■アンカリングと調整ヒューリスティックス

不確実なことについて予測する際に、初めにある値(アンカー=鎖)を設定し調整を行って、最終的な予測値を確定することです。

例:値札に1万円と書かれている上から5千円に書き換えている商品と、もとから5千円と書かれている商品を比較すると、前者の方が安く感じる

このように、人の思考にはバイアスがかかりやすいのが特徴です。物事を思考する際に、このことを認識しているだけでも、論理の飛躍を防ぐことができるでしょう。

演繹思考を鍛える方法

■方法

演繹思考法を要素分解すると、大きく3つに分けられます。以下の3つの要素に分けて、演繹思考を鍛えることで、効率的に鍛えることができるでしょう。

  ①そもそもの前提を疑えるか
  ②結論と前提を繋げられるか
  ③機会も含めてそれを伝えられるか

①そもそもの前提やルールを疑えるか

演繹法は、前提が間違っていると結論も間違ってきてしまいます。そのため、土台となる前提やルールを疑えるかがポイントになってきます。

疑い方としては、既にお伝えした通り、「本当にこの前提は正しいのか」という問いかけをすることですが、枕詞にアンテナを張るという鍛え方もあります。

例を挙げるならば、「普通」「当たり前」「一般的に」「みんなが」といった枕詞がつくものです。

そもそも誰にとっての「普通」なのか、どこの場所における「当たり前」なのかがわからないからです。

上記の枕詞は、意外と日常の会話に出てくると思うので、是非アンテナを張って、問いかけをしてみてください。

また、SNSやニュースなど、情報伝達媒体における根拠を問うてみるのも一つの手です。「本当にこの情報は正しいのか」「この根拠は誰がいつ述べているものなのか」というのを常に投げかけることによって、日常生活の中で演繹的思考は鍛えることができます。

②結論と根拠が繋げられるか

ある前提やルールと事象を結びつける必要があるため、正しく結びつける力が必要になってきます。

演繹法の注意点でも述べましたが、演繹法は一見するとロジックが通っているように見えますが、意外と前提そのものであったり、前提と事象の結びつきをチェックしてみると、ロジックが繋がっていない時があります。

このロジックのつながりをチェックするためにおすすめなのは、結論から「なぜならば」「~だからだ」と理由をたどりなおすという行為です。

例えば、

  • コロナで飲食業界が不調だ…大前提
  • A社は飲食業界だ…小前提
  • ゆえにA社も不調だ…結論

このロジックをチェックするには、

  「A社は経営が不調だ」
  「なぜなら、A社の飲食業界はコロナで不調だからだ」
  「コロナで飲食業界が不調なのは、外食が減ったからだ」

このようにしてみると、「A社はそもそも外食産業なのか」という前提を疑うことができます。前提と結論の安直な繋げ方に気が付くことができると、演繹法を使いこなす力はどんどんついていくでしょう。

③機会もふくめて、それを伝えられるか

ロジックができたとしても、それを効果的に伝えられるかどうかは別物です。言葉に出してみたら、意外とロジックが繋がっていない、思考が言葉に落ちていないことに気が付くのはよくあることです。

結論から述べるというテクニカルな方法もありますが、ここでは伝える機会に絞ってお伝えをします。

せっかくロジックを組んでも、伝える機会に恵まれていないと、演繹法を使いこなす力はつきません。実は、意外と日常生活の中にロジカルシンキングを鍛えられるシーンがありますので、そのシーンをご紹介します。

日常会話

家族でも恋人でも、友人でも構いません。一緒に行動するとき、価値観の違いを感じることはないでしょうか。

そういったときに、「普通はこうだよ」「こうするのは当たり前でしょ」「いつもだったら」という言葉を使ってはいないでしょうか。

演繹法を活用しているような枕詞ですが、そもそもの前提が人によって違います。そのため、ロジックが通っていません。

価値観のズレは、「自分にとっての当たり前」という個人の前提に偏ったものであるため、「これは本当に相手にとっても当たり前なのか?」と問いを持つことで、ロジカルシンキングを鍛える延長として活用できるでしょう。

自分の持っている前提や世の中の前提を、自分なりに説明する意識を持つだけでも、演繹法へのアンテナが立っていきますし、伝え方も工夫されていきます。

日常生活で触れる情報

SNSやニュース番組、会議の中でも構いません。「本当にこの情報と結論の前提は正しいのだろうか」この問いを持ち続けることによって、ロジックのもろさに気が付くことができます。

そして、そのロジックのもろさに気が付いたら、是非発信をしてみてください。代替案となる、新しいロジックを出すことによって、あなたの演繹法は磨かれるでしょうし、周囲からの信頼も増すでしょう。

演繹法と帰納法の使い分けポイント

演繹法と帰納法の使い分けについては、企業における活動と紐づけて見ていきたいと思います。一般的に、演繹法はアイデアや提案が正しいことを証明するのに使われ、帰納法はデータ分析をして統計をとるときなどに使われます。

■演繹法を使用する場合

全てのビジネスは、顧客の「問題解決」「願望の実現」のどちらかに当てはまります。

そのため、顧客の「理想」と「現状」という前提を踏まえた上で、サービスや解決策を提案する行為は、演繹的思考をしていると言うことができます。

また、新商品を開発する時にも、演繹法的思考が使われます。前提となる原理原則が重要となってくるのが演繹法です。そして、新しい商品やサービスを開発する際に、重要なのは、土台となる知識や技術です。

どんなに画期的な新商品・サービスを開発したとしても、土台となる知識や技術が反映されていなければ、そのアイデアが採用されることは難しいかもしれません。

知識や土台とアイデアに、一貫性を持たせることができれば、アイデアも提案も受け入れられる可能性が高まります。

■帰納法を使用する場合

帰納法は、データ分析で使われがちなので、マーケティングで登場します。

例えば、

「男女数百人にコーヒーに関するアンケートをとった結果、8割の人がコンビニでコーヒーを買うことに肯定的だった」
「コンビニエンスストアでコーヒーを買う人は毎年少しずつ増加している」
「別のアンケートではカフェでコーヒーを買わないという人の割合が4割を超えた」

という3つのデータがある場合、「コンビニのコーヒーの需要は今後も伸びる」と結論づけることができます。帰納法は、前提に普遍的な事象があるかどうかは関係なく、一定以上のデータや事象の「事実としての質・量」があれば成立します。

このように、帰納法と演繹法は活用する場面に違いはありますが、帰納法で導かれた結論が演繹法の前提に用いられることもあるため、両者には密接な関係性があるということができます。

記事まとめ

今回は、演繹法についてまとめましたが、いかがでしたでしょうか。

前提が間違っていると、結論も間違ってしまうという特徴を持ったロジカルシンキングの方法となるため、常に前提が正しいのかという視点に立つことが重要です。

世の中にある前提と、自分自身の前提に疑いを持つことで、偏った考え方による結論付けを防ぐことができますし、多様な物の見方ができるようにもなります。

自分の視野を広げるきっかけに演繹法は活用できますので、是非習得してみてください。

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LM編集部
LM編集部
理念・採用・風土・制度など組織人事のトレンドを発信しています。 基本的な用語解説から、多くの企業で陥っている実態、 弊社が培ってきた組織変革技術の知見を踏まえたポイント解説まで 皆様のお役に立ち情報をお届けします。

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