OODAループとは?活用方法や具体例をご紹介
OODAループとは、激しい環境変化に素早く順応していくための意思決定方法の1つです。
近年では、テクノロジーの進化などにより環境の変化が激しくなっており、会社を持続的に成長させるためには、環境の変化に応じた迅速かつ柔軟な意思決定が求められています。
本記事では、こういった時代背景から重要性が増しているOODAループという概念の定義や、その具体的な活用方法について、分かりやすく解説していきます。
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目次[非表示]
- 1.OODAループとは?
- 2.OODAループの流れ
- 3.OODAループの具体例
- 4.企業がOODAループを導入する方法
- 5.記事まとめ
OODAループとは?
OODAループ(ウーダループ)とは、Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(実行)の4つの英単語の頭文字で構成される、意思決定方法の1つです。
OODAループは、戦場での行動プロセスから生まれており、もともとはアメリカ合衆国の戦闘機操縦士であり、航空戦術家でもあるジョン・ボイド氏が提唱した意思決定方法です。
戦場では、時間をかけて慎重に細部まで意思決定をしている時間はありません。そのような激しい環境変化の中、どのように迅速かつ柔軟に意思決定し、行動を起こすべきかを理論化したものがOODAループとなります。
近年、テクノロジーの進化や新型コロナウイルスなどによってビジネス環境は日々変化し続けています。OODAループは、そのような環境下でスピーディに意思決定し次の行動に繋げるための思考法として、ビジネスの世界でも注目を集めています。
OODAループがどのような流れで意思決定し、行動に起こしていくのか、その具体的なステップを解説していきます。
OODAループの流れ
■OODAループ:Observe(観察する)
OODAループの最初のステップは、観察(Observe)することです。自分の組織の内部・外部で起きていることを、ありのまま観察していきます。
ここで重要なのが、事実と解釈をしっかりとすみわける客観性です。
弊社では、事実と解釈を済み分ける思考法として、DIEプロセスを推奨しています。
DIEプロセスとは、以下の三つの英単語の頭文字を取った、客観性を持つための思考のステップを指します。
Describe(描写):事実として何が起きたか
Interpret(解釈): その事実をどう解釈するか
Evaluate(評価):その解釈をどう評価するか
DIEプロセスでは、何かが起こったとき、いきなりその状況を解釈・評価をするのではなく、まずは自分の先入観や感情などが入っていない事実のみを抽出することが大事だと考えられています。
いきなり解釈・評価をせず、一度事実だけを抽出することで、自分の解釈や評価の裏にある先入観を取り除き、現状を客観的に把握することができます。
一度Describeで外部・内部で起こっていることが事実ベースで観察ができたなら、次のステップへ進みます。
■OODAループ:Orient(状況判断)
Observeで現状の観察ができたら、次のステップは、観察結果から状況判断(Orient)をすることです。このステップは前述したDIEプロセスのInterpretとEvaluateに該当します。
このステップでは、Observeで描写した先入観や感情の入っていない事実から、現状どういった状況が起きているのかを解釈、評価していきます。
それらをもとに、これまでの経験や蓄積されたデータを統合・分析することで、どういった行動を取るのが有効かの仮説を構築し、今後の方向性を定めていきます。
■OODAループ:Decide(意思決定)
DIEプロセスをもとに客観的な状況判断・仮説構築ができれば、いよいよどういった行動を取るかを具体的に決めていきます。
判断のための時間や情報が十分確保されていることは稀です。
弊社では、このような不確実で変化の激しい環境下で意思決定をする際、「速く・強い」意思決定が大事だと考えています。
速い意思決定
ビジネスの世界では、メリット51%、デメリット49%という判断が難しい状況で意思決定を迫られることが多々あります。
その中でどちらが良いかを決めるのに時間を使うのではなく、「速い意思決定」をすることで、51%だったメリットを70%、80%にするための時間を創出することが重要です。
強い意思決定
反対者の意見を必要以上に聞き入れてしまい、一度下した意思決定を随時変更しているようでは、どのような意思決定も成果には繋がりません。
「強い意思決定」により、メンバーに対して安心感や信頼感を醸成し、実行力を高めることで、成功確率を1%でもあげていくことが重要となります。
■OODAループ:Act(実行)(287文字)
速く強い意思決定ができたら、最後は意思決定したことを実行(Act)に移していきます。
ただし、外部・内部の環境は、常に変化し続けています。
速く強い意思決定で決めたことを実行して終わりではなく、その行動によって起きる環境の変化をもう一度観察(Observe)したり、別の仮説を構築したりと、必要に応じて他の段階に戻りながらループを繰り替えすことがOODAループの特徴の1つでもあります。
強く意思決定することは、その決断を変えないということではありません。
一度意思決定し、実行したことで起きる環境変化を観察し、それを踏まえて速く、強い意思決定と行動を繰り返すことが重要となります。
OODAループの具体例
■メールからの新規商談獲得(営業部署)
Observe
営業部署におけるメールからの新規商談獲得という目標を前提に、現在起きている事象を整理していきます。DIEプロセスを活用し、事実と解釈を分けて、客観的に現状を整理することが重要です。
例:
- メールからの新規商談獲得数が前年同月比15%ダウン
- メール送信数は前年と増減なし。
- メールへの返信率も前年同月比20%ダウン
Orient
Observeで整理した起きている事象をもとに、現在起きている事象を解釈・評価し、仮説を構築していきます。前述のことを踏まえると、前年とメール送信数は変わらないことから、行動の「量」ではなく「質」に問題があることが考えられます。
「質」が悪くなっている要因としては、以下のような仮説が考えられるかもしれません。
- 開封率:そもそもメールを開封してもらえてないのではないか。
- 返信率:日中忙しく、メールを返信できていないのではないか。
Decide
Orientで立てた仮説をもとに、実際に実行する行動を決定します。OODAループでは、細部まで慎重に考えてから意思決定するのではなく、「速く」「強い」意思決定が求められます。これまでの仮説から下記のような意思決定がされるかもしれません。
- 開封率向上:メールの件名を短く、結論ファーストなものに変更。
- 返信率向上:メールの送信時間を会議の少ない午前9時ごろに変更。
Action
Decideでの意思決定を実際の行動に移していきます。ここでは決めたことをすぐに行動に移せるかが重要になってきます。
- メール件名の変更。
- メールが午前9時に届くようにあらかじめメールの送信を予約しておく。
- 必要に応じて他の段階へ戻り、ループを繰り返す。
OODAループは一度実行して終わりではありません。ループを回すために、状況に応じて前の段階へ戻り、ループを繰り返すことが重要です。
- 行動によって状況が改善された→もう一度Observeに戻り状況を観察
- 行動を起こしたが状況が改善されない→Orientに戻り、新たな仮説を構築し検証。
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企業がOODAループを導入する方法
■意思決定の判断軸となるビジョンや経営方針を明確にする
OODAループでは、現場の人間が状況を観察しながら意思決定し、即座に行動にうつすことが求められるます。
そのためには、一つ一つの意思決定を経営層まで確認していては、激しい環境の変化に迅速に適応することはできません。よってOODAループを導入すると、個々の裁量権が大きくなる傾向があります。
一方で、個々の裁量権を大きくしても、それぞれがバラバラの基準で意思決定をしていては、遠心力ばかりが働き、組織として大きな成果を出すことは困難となります。
よって、OODAループを用いて個々人にすばやい状況判断と意思決定を委ねるには、それぞれが意思決定をする際に同じ判断軸をもっている必要があります。
そのためには、個々人が意思決定をする際の求心力となる、組織として目指すビジョンや、経営方針などの「共通の判断軸」を明確にすることが重要となります。
■管理職に”結節点”としての役割を担ってもらう
経営層が会社のビジョンや経営方針を発信しても、それをもとに意思決定をし、行動に移すのは現場の人間です。下記の図のとおり、どれだけビジョンが明確になっていても、そのビジョンや方針が現場の人間まで浸透しておらず、現場で実行されていなければ効果は高まりません。
そこで、OODAループを導入するためには、ミドルマネジャーが経営層と現場をつなぐコミュニケーションの”結節点”となっていることが重要となります。
そのために、まずはミドルマネジャーに”結節点”としての役割の期待を伝えること。そして、ミドルマネジャー自身がビジョンや方針の理解度を高め、それを現場の人間に浸透させていくことではじめて、OODAループを用いて個々人がビジョンや方針を体現することが可能となります。
記事まとめ
OODAループは、不確実で変化の激しい現代だからこそ注目されている意思決定方法の1つです。
このような環境下では、1つ1つの意思決定を経営層に確認してもらい、細部まで慎重に考えて意思決定をする時間はありません。
会社のビジョンや経営方針を現場まで浸透させ、現場にいる1人1人が共通の判断軸を用いて環境の変化に迅速に対応できる組織を創っていくことは、現代の経営において重要な課題の1つだといえるでしょう。
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