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ナレッジマネジメントとは?広まる理由や効果について解説

皆さんは「ナレッジマネジメント」と聞いて、どんなことを思い浮かべるでしょうか?ナレッジマネジメントとは「企業や個人のノウハウや経験を共有し、仕事で活用していくための取り組み」です。

1人ひとりのパフォーマンスが組織全体の成果に直結する現代において、販売管理や財務管理に続く効果的な管理手法の1つとなっています。正しく運用すれば、知的資産として役立ち、業務効率化などさまざまな効果を発揮する可能性があります。

そこで、今回はナレッジマネジメントの定義と目的、近年注目されている背景や具体策についてお伝えします。


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目次[非表示]

  1. 1.ナレッジマネジメントの意味とは
  2. 2.ナレッジマネジメントの考え方
  3. 3.ナレッジマネジメントが日本で広まる理由と背景
  4. 4.ナレッジマネジメントの効果や目的
  5. 5.ナレッジマネジメントの具体的手法
  6. 6.記事まとめ


ナレッジマネジメントの意味とは

ナレッジマネジメント(Knowledge Management)とは、企業が保持している情報・知識と、個人が持っているノウハウや経験などの知的資産を共有して、会社の全体で共有し生かすという経営手法の一つです。

会社や部署全体で経験や知識を共有することにより、

  • 業務生産性の向上
  • 新規事業の開発・改善
  • 教育プログラムの効率化

などを属人的でない形で実行できるようになります。

その結果、個々人のパフォーマンス向上や結果としての業績向上、業務効率化などが可能になり、新しい働き方を実現することができます。

ナレッジマネジメントの考え方

ナレッジマネジメントは、「知識の管理」「知識に基づく経営、知識創造の経営」を意味するといわれています。

ナレッジマネジメントの提唱者は、一橋大学大学院の野中郁次郎教授らといわれています。1990年代に発表された日本発の経営理論とされており、このアプローチによる研究や取り組みが急速に広がったのです。

野中氏は、「知識の処理」ではなく「創造の重要性」を指摘しており、ナレッジマネジメントはそこから始まっています。

ナレッジマネジメントの一番のポイントは、情報・知識を「共有」することです。個人が知識を活用するだけでなく、組織にとって有効な知識や情報を共有することで、新たな知識が生み出され活用されるというシステムを指しているのです。

また、情報や知識を共有する上で重要な鍵となのが、組織が持つ知識の分類である「暗黙知」を「形式知」に変えていくことです。

暗黙知とは、個人が経験的に使っている知識だが簡単に言葉で説明できない知識のことで、長年の勘などと言われるものです。

形式知とは、言葉や文章で表現された知識であり、データなどが形式知にあたります。個人がもつ経験に基づく知識や営業手法などをマニュアル化し、客観的で有益な知識として共有されるものが形式知にあたります。

こうした暗黙知を「形式知(文章や図表、数式などによって説明・表現できる知識)」へと転換し、組織的に共有することができれば、さらに高度で新しい知識を生み出し、組織を進化させることができるというのがナレッジマネジメントの基本的な考え方です。

ナレッジマネジメントが日本で広まる理由と背景

企業の競争優位の源泉としてナレッジマネジメントに注目が集まったのは、1990年代です。現在では世界の多国籍企業の80%が、ナレッジマネジメントプロジェクトを実施しています。

ここではなぜナレッジマネジメントが日本で広まり始めたのか、社会的背景とともにお伝えします。

■事業環境の変化

一つは「VUCA時代への突入」ということで事業環境が変化したためです。VUCAとは、社会やビジネスにおいて将来の予測が困難になっている状態を示す造語です。予測が困難な要因として4つの時代特性をあげ、頭文字を取って作られました。

  V:Volatility(変動性)
  U:Uncertainty(不確実性)
  C:Complexity(複雑性)
  A:Ambiguity(曖昧性)


VUCA時代以前は、V:あまり変化がなく、U:確実に先を見通せて、C:単純で、A:明快な物事が多かった時代でした。

そのため、その時代の環境適応方法としては、勝てる戦略や商品を、拡大するマーケットに対して、迅速かつ丁寧に決められた手順で行っていれば成果が一定ついてくる「勝ち筋の徹底」が求められる時代でした。

しかし、VUCA時代へ突入すると、戦略や商品は「勝利」が保障されておらず、市場も飽和状態のため、挑戦し、失敗し、アジャストし、勝ち筋を見つけるという「勝ち筋の創出」が成功の鍵を握る時代になりました。

誰も正解が見えない中で組織成果を上げるには、より知識や経験を共有し、新しい勝ち筋を見つけていくことが必要なのです。

▼VUCAに関する記事はコチラ
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■労働市場の変化

また「労働市場」においても変化が起きています。高度経済成長時代は、新卒一括採用の土台ができ、採用した人材を終身雇用するという雇用モデルが確立し始めました。企業側は、長期的なスパンで人材を育成できるため、社内の幅広い知見を獲得させる仕組みを取り入れていました。

しかし「終身雇用」「年功序列」が当たり前の時代は終わり、一度採用した後も企業は優秀な人材をリテンションし続けなければすぐに会社を辞めてしまう時代になりました。労働市場で従業員から選ばれる企業をつくることは、重要度も難易度も上がっているのです。

■働き方の変化

労働市場の変化に伴い、働き方も変わってきました。

「副業」や「フリーランス」など、正社員としてではなく、スポットでの仕事や複数の企業で働く人が増えました。人材の入れ替わりが激しくなれば、人材が抱えていたノウハウや知識といったナレッジが欠けてしまう問題もあり、企業は知的リソースを積極的に蓄積する必要性が増してきたのです。

■情報化社会

20世紀までとは違い、現在はIT革命の最中にあり、デジタル化が進んでいます。そこで、迅速な意思決定や行動が経営に影響を与えるようになり、スピード経営が重要になりました。

また、多様化する顧客ニーズに対しても適切に対応する必要があります。

この状況でナレッジを共有するには、従来のように組織内での偶発的な情報浸透に任せるだけでなく、情報システムを構築するといった情報共有の仕組み作りが大切なのです。


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ナレッジマネジメントの効果や目的

■人材育成の効率化

企業の業務のなかには、特定の人物のみが進行できる状態となっている、属人化されたものが存在しています。特定の人物に頼らないと成り立たない業務は、健全な組織運営の妨げになります。ナレッジマネジメントを活用することで、属人化されている業務がクリアとなり、社員間での業務の共有が可能となります。

■業務改善・効率化

収集したナレッジを実際の業務に活用すれば、効率化が実現します。例えば、営業成績の高い社員が商品説明のポイントやプレゼンテーションの手法を公開すれば、他の営業メンバーのプレゼンテーション力や営業成績が向上するでしょう。

共有機能付きのファイルやナレッジマネジメントツールを活用してナレッジを蓄積・体系化していくとさらに効果的です。

 

ナレッジマネジメントの具体的手法

野中郁次郎教授によると、ナレッジマネジメントを実践するには、「共同化」「表出化」「連結化」「内面化」という4つのステップで構成された、知識創造のプロセスを繰り返すことが重要です。ここでは4つのステップと具体的な例をお伝えします。


①共同化(Socialization)

「共同化(Socialization)」とは、暗黙知から暗黙知が生まれるステップ。例として職人の修行において、親方と弟子がいっしょに作業することが挙げられます。弟子が学ぶべきことはマニュアル化されておらず、親方の仕事をみて「長年の勘」を見よう見まねで覚えます。

共同化をするには「創発場」を作ることが効果的だと言われています。野中氏によると、「創発場」とは「個人が自己と他者の境界を超越し、他者に共感する世界」。具体的な例としてはフリーアドレス制のオフィスなどがあります。

②表出化(Externalization)

「表出化(Externalization)」とは、「共同化」によって得た暗黙知を形式知に変換するステップ。経験によって得たポイントやノウハウを、言葉や図で表現し、「マニュアルに落とし込む」ことが該当します。

「表出化」を行なうのが「対話場」です。「対話場」は意識的に設けられます。プレゼンテーションやミーティングが例としてあたります。

③連結化(Combination)

「連結化(Combination)」とは、「表出化」によって変換された形式知を、ほかの形式知と組み合わせるステップです。たとえば、作った資料を、ほかの部署・企業が作った資料と比較すれば、新たな視点が得られ、より包括的な資料やマニュアルを作成することができます。

連結化を行うのが「システム場」です。「連結化」は、複数の形式知が結合するステップであるため、各従業員が形式知を持ち寄れる場が必要とされます。

リアルの場である必要はないため、オンライン化が進んだ現代ではSlackやGoogle chatなどのビジネスチャットツールで作成されたグループも「システム場」と言えるでしょう。

④内面化(Internalization)

「内面化(Internalization)」とは、「表出化」「連結化」の過程を経てまとまった形式知が、個人的な暗黙知へと変わっていく段階です。新しく作った資料のポイントを実践しているうち、自分のなかで体系化したり、新たなコツやノウハウが生まれるはず。

この新たな暗黙知がいずれ「共同化」によってほかの人に伝わるというサイクルがあります。

「内面化」が行なわれるのが「実践場」です。形式知が個人の暗黙知へと変わっていく場なので、普段の労働はもちろん、あらゆる環境が「実践場」となりうるでしょう。

上記ステップ、SECIモデルによるナレッジ・マネジメントを実践した例として有名なのが、1996年に始まった、NTT東日本法人営業本部の取り組みです。

SECIモデルにおける4つの「場」の創出とNTT東日本法人営業本部における取り組みは、以下のように対応しています。

  • 創発場:フリーアドレス制の導入
  • 対話場:プロジェクトチーム同士対話を行う打ち合わせスペース「クリエイティブ・ゾーン」の設置
  • システム場:営業本部全社員は、個人のホームページに、日報・提案書・関わったプロジェクトの記録などを掲載し、他の社員と共有。ホームページ上に「知識ベース」を構築
  • 実践場:パーティションで区切られ集中して作業できる「コンセントレーション・ゾーン」の設置

記事まとめ

ナレッジマネジメントは企業が保有する隠れた資産を活用して、全社の生産性を向上させる取り組みです。従来のやり方を変えて仕組み化していくことは簡単ではないかもしれませんが、マネジメントにおいて、しっかり投資すべき取り組みといえます。

ベテラン社員による業務の属人化やイノベーションの停滞に悩む企業は、ナレッジマネジメントを積極的に実行していきましょう。


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湯浅 朱菜
湯浅 朱菜

【プロフィール】 採用を主な専門領域とし、 リンクアンドモチベーション入社後、ベンチャー企業向けのコンサルティングに従事。 現在は採用の専門性を活かし、大手企業の採用コンサルティング支援を行う。 IT系業界、小売業界など幅広い業界の企業様にコンサルティング経験を持つ。

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