人材紹介サービスの特徴や仕組みとは?種類や費用についても解説
日本企業を取り巻く環境は、日々急速に変化しています。この変化に適応し、企業を存続させていくためには「強い個の力」が重要といわれています。
そして、個を確保するための採用手法には多くの種類があり、特徴もそれぞれです。人材獲得の競争を勝ち抜くには、企業側が取りえる多くの採用手法の情報を理解しておくことが重要です。
今回は皆様もよく耳にするであろう「人材紹介サービス」の特徴や具体的な活用方法についてお伝えしていきます。
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人材紹介サービスとは
■人材紹介サービスの仕組み
人材紹介会社は企業に求める人材像や要件を伝え、求職者を企業に紹介してマッチングを行います。そして、企業からヒアリングした内容を基に、候補者を厳選し、面談等のスケジュール調整を行うというのが、人材紹介サービスの一連の仕組みです。
■人材紹介サービスの種類
サービスには、登録型、再就職支援型、サーチ型と3つの種類があります。
①登録型(一般型)
担当のコンサルタントが、人事紹介会社のデータベースに登録された求職者の情報と求人会社の条件とを比較検討し、マッチングを行うサービス。
この後にも出てきますが、登録型には2つのパターン「1,総合型」「2,専門型」があり、幅広い人材から求人を行いたいのか、ある程度絞った職種でスキルのある人材の求人を行いたいのかを検討し、自社の状況に合わせたパターンを選択しましょう。
②再就職支援型(アウトプレースメント型)
雇用を破棄する企業と退職者の両方を支援するサービスです。企業を対象としたサービスは、法の観点から見た手続きやコミュニケーションへのアドバイスを行います。
退職者を対象としたサービスは、再就職支援に向けた精神的ケア、キャリアカウンセリング、事業先の紹介等を行います。費用を支払うのは、リストラを実行する企業となるので、退職者を再雇用する企業はコストをかけずに人材の採用を行うことができます。
③サーチ型(ヘッドハンティング/エグゼクティブサーチ)
人材紹介会社が保有する自社のデータベースを超えて、幅広いデータベースで候補者を探すことができるサービスです。他の人材紹介会社のデータベースやSNSや、会社の人脈を生かし、より広い範囲で優れた人材を探すことができます。
一般的には、スキル上位者や、ハイクラス対象者を中心に紹介が行われます。報酬は、成果報酬とすることが多いですが、依頼時に「着手金」の支払いを求められることもあります。役職層や、特定の高いスキルの人材を採用したいという場合に利用されます。
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人材紹介と人材派遣の違いとは
主な相違点は、雇用形態と支払う費用です。
人材紹介は、求人企業と労働者の間で直接雇用契約を結び、人材のマッチングから選考のサポートを行います。求人企業と労働者双方の雇用契約成立までをサービスとしています。
企業が、紹介会社に支払う費用は、基本的には成功報酬型で支払いが行われます。(後に詳しく記しますが)入社成立時に、事前に定められた人材紹介手数料を支払います。
一方、人材派遣は、人材派遣会社と労働者が雇用契約を結び、派遣先企業(労働の依頼があった企業)から委託された業務に対し、人材派遣会社が就労先に契約期間の間スタッフを派遣し、業務を遂行させるというサービスを主としています。
企業が、派遣会社に支払う費用は、基本的には派遣期間中のみ発生します。派遣期間中は、派遣費用が発生し続けます。その他、紹介手数料が別途発生するケースもあります。
求人企業が人材紹介サービスを利用するメリット
メリット① 採用担当者の工数を抑えることができる
人材紹介会社の担当者が母集団形成から、マッチング、面接日程の調整や合否の連絡まで採用に関する業務を代行するため、通常企業が採用に掛ける時間的コストを削減することができます。
人材紹介会社は、膨大な登録者情報を所有していることに加え、採用市場の状況や採用成功のポイントを理解していることが多いので、適切に自社のニーズを伝えることができれば大きく工数を削減できるとともに、質の高い採用を行うことも可能とします。
メリット② 費用を抑えて、納得のいく人材を探すことができる
基本的には、人材紹介サービスは成功報酬型の料金体系をとっています。採用できなかった場合は料金の発生はなく、また早期退職してしまった場合にも返還金の規約で保証されています。
通常は、自社で行う採用であれば、選考人数が増えるほど時間や、金銭面の費用がかさむと共に、ようやく投資を重ねて採用した人材が早期退職したとなれば企業にとっては大きな負担となります。
しかし、人材紹介サービスであれば、求人企業は費用を気にすることなく、様々な選択肢の中でリスクを背負うことなく求人を行うことができます。
メリット③ 即時募集を行うことができる
求人企業と人材紹介会社の間で基本契約が締結されていれば、募集要件や求人票の送付を行うだけですぐに採用の募集をかけることができます。
求人企業側に採用に掛けられる時間がなかったとしても、人材紹介会社を主導として募集がかけられるので、人材の欠員を急遽補充しなければならない場合や、事業拡大に向けてすぐに人材が入用な場合には工数をかけることなくスピード感がある対応を行うことができます。
人材紹介サービスを利用するデメリットや注意点
デメリット① 社内に採用のノウハウが蓄積されにくい場合がある
採用にかかる工数のほとんどを人材紹介会社に委託することで、採用の成功/失敗の要因や、採用全般のノウハウを社内に蓄積しにくくなる傾向があります。
いざ、自社でも採用を行うよう方向転換した際や、そうせざるを得ない状況になった際にこれまでの採用ノウハウが蓄積されておらず、なにから取り掛かった良いか分からない、という話は人事のご担当者様からよく聞く話です。
そうならないためにも、日ごろから人材紹介会社と頻繁にコミュニケーションをとり、自社の採用状況や課題、採用のポイント等をすり合わせていくとよいでしょう。
デメリット② 採用費用が高額になる場合がある
採用に成功した場合、一人当たりの採用に掛かる採用費用が高額になる場合があります。入社者の年収の30~35%の費用が発生することもあり、そこにはマッチング料金や、一連の業務フローの委託料金などの料金が含まれています。
人材紹介サービスの料金体系
■紹介手数料の相場
上記にも記載した通り、相場は入社者の年収の30%~35%になることが多いです。ここでの年収は、「理論年収」という求人企業と労働者の間で合意した「試算費用」であり、通勤費を除いた12ヵ月分の賞与の試算の年収額となります。
例:月額50万円、賞与4ヵ月分=50万円×16ヵ月=800万円が母数となり、
800万円×30%=240万円(税)が手数料となります。
■返金となるケース
紹介された労働者が、労働者の都合により退職してしまった場合は人材紹介会社から求人企業に対して、手数料が返金される場合があります。
しかし、サービス利用開始時に締結した基本契約によって定めている条件はケースによって異なるため、トラブル予防もかねて、契約期間や補償額の確認や、その他注意事項について必ず事前に確認しておくことが重要です。
人材紹介サービスを利用する際の流れ
利用のステップは大きく3つからなります。
ステップ① 基本契約を交わす
求人企業と人材紹介会社との間でサービスの契約をかわします。手数料の割合や各種規定など、詳細に取り決めを行い、リーガルチェックまでを済ませます。
最初に交わした契約を理解しておくことで、起こりうるトラブル等も回避することができるので、内容をしっかりとすり合わせ読み込んでおくようにしましょう。
ステップ② ヒアリング
求人企業の問い合わせから始まり、求める人材要件や給与など労働条件を詳しくヒアリングしすり合わせを行います。求人企業は人材紹介会社に求人の依頼と内容を伝達するだけで、選考を行うまでの手続きや、求人票の作成までを行ってくれます。
ステップ③ 求人票の作成
労働者募集の大切な役割を果たすのが求人票です。求人企業が求める人材像に対して、どのように会社の魅力を訴求したらよいか、求人企業と人材紹介会社とで相談しつつ作成していきます。
求人票は、求職者に魅力を訴求するための最も大切なメディアとなるので、条件に加えて、自社の魅力を伝えられる求人票を作成しましょう。求人企業が作成する場合や、紹介会社がすべて作成する場合がありますが、場合に合わせて検討しましょう。
ステップ④ リサーチとマッチング
人材紹介会社が、求人企業の要件に合った人材を登録者の中からリサーチします。紹介会社が電話やスカウトメールによって求職者に接触し、紹介会社の担当者が面談を行います。候補者が求人企業の応募に応じた段階で応募するという手順です。
ステップ⑤ 書類選考
人材紹介会社は、求職者の応募書類一式を、求人企業に提出します。求職者の経歴をはじめ、面談で得た情報を中心に企業への推薦理由や求職者の印象など様々な情報が記載されているので、求人企業はまずは提出された書類を読み込み、次のステップの面接で確認したいこと、深ぼりたいことを明確にしておきましょう。
ステップ⑥ 面接
実際に求人会社と求職者が接触できる貴重な場となります。自社の求めている人材なのかを判断することで、会社にとっても求職者にとってもミスマッチを防ぐことができるので慎重に面接を行いましょう。
ステップ⑦ 採用条件の最終確認と内定
面接後、求職者が自社の要件にマッチしたのであれば、内定を付与します。採用条件の最終確認を求人企業と求職者の間、もしくは人材紹介会社を通して行い、正式な内定通知を出し採用完了となります。
ステップ⑧ 入社
入社にあたり、求人企業と労働者の双方の不安点や、疑問点がないかを確認します。入社日の調整や、必要書類等についての通知は。人材紹介会社を通して伝達することが多いです。
ステップ⑨ 支払い
一通りの採用ステップの完了後、基本的には入社日を起点として人材紹介会社から請求書が発行されます。
人材紹介サービスを選ぶポイント
ポイント① 登録者の数や質が高く、自社に合う人材紹介会社を選ぶ
人材紹介会社によって、保有する人材の数や質は様々です。判定する基準は、いくつかありますが、「総合型/専門特化型のどちらか」「全国型/地域型のどちらか」という観点は頭に入れておいてもよいでしょう。
総合型は、求職者の登録数が多く、幅広い職種の人材を見つけることができます。広い条件で、大量に人材を採用する際には利用するとよいでしょう。
専門特化型は、求職者の登録数は総合型と比較すると少なくはなりますが、特定の専門職種の登録者数は多く、比較的その道の分野で高いスキルを持った人材が登録されている傾向にあります。
職種を限定し、高いスキルの人材をピンポイントで狙っていく場合に利用するとよいでしょう。
全国型は、首都圏・大都市を中心に多くの求職者情報が登録されており、比較的求める人材像に近い人材を見つけることができます。地域型は、主に首都圏や大都市以外の求職者情報が登録されています。自社の立地に合わせて利用を使い分けるとよいでしょう。
ポイント② 人材紹介会社の業務体系
人材紹介会社によって仕事の遂行の形は、「分業型」か「統一型」で異なってきます。
分業型は、求人企業に対してサービスを提供するエージェントと、労働者に対してサービスを提供するキャリアコンサルタントとに分かれてサービスを提供する方法です。
紹介会社は、双方の対象に深くかかわることができる一方、紹介会社内のエージェントとキャリアコンサルタントの間でコミュニケーションが上手くいかないといったケースもあります。
統一型は、求人企業、労働者に対してひとりのエージェントがサービスを提供する方法です。エージェント1名が双方の意見をヒアリングしているため、認識の齟齬が生じにくい傾向にあります。しかし、分業型と比較すると対応の遅れや、事務手続き期間が長く設けられている場合があります。
自社の、状況を鑑みて適切な業務体系の会社を選択するとよいでしょう。
ポイント③ 複数の選択肢から人材紹介会社を選ぶ
ポイント①、②で人材紹介会社の選定基準をいくつか取り上げましたが、とはいえどこの人材紹介会社が適切なのか分からない、というご意見も多いかと思います。
実は、人材紹介会社は特定の契約がない場合は、複数社を利用できる規定となっています。基本的には手数料も、採用が確定してから発生する契約が多いため、初めから1社に絞らず、ある程度候補会社を選定した段階で複数の人材紹介会社に求人を依頼することがおすすめです。
詳細の契約情報や登録情報、また担当者の対応等も含め自社に合った紹介会社を選定するのが良いでしょう。
人材紹介サービスの最適な活用方法
活用方法① 定期的に情報のやり取りを行う
労働市場は、非常に流動的な市場です。求人企業の情報(予算、期間、求める人材像等)を的確に伝えることはもちろん重要ですが、人材紹介会社から情報を引き出すことも重要です。人材業界の専門家だからこそ知り得る、その年の労働市場の状況や採用傾向、他社の動き方等、お互いに情報をやり取りすることで自社に適した採用戦略を立てることが可能となります。
事務的な連絡だけでなく、コミュニケーション回数を増やし、担当者と有効な関係性を築くことも自社の採用を成功させるポイントの一つかもしれません。
活用方法② 担当者へのフィードバックは丁寧に行う
企業が求める人材を採用するには、人材紹介会社とのすり合わせの回数と質が重要になってきます。人材紹介会社の関わったエージェントへ採用、不採用の伝達を行うだけでなく、その理由や判断基準について詳細にフィードバックをすることが大切です。
短期的には、工数が掛かる面もありますが、基準がすり合うことで、今後の採用でのミスマッチを減らすと共に、結果的にすり合わせの時間や不必要な面談時間を削減することができるので全体的な採用工数の削減にも繋がります。
活用方法③ キックオフを入念に行う
活用方法①にも繋がりますが、求人企業は依頼をすると決定した人材紹介会社と共にキックオフ会を行うことをおすすめします。
人材紹介会社と採用を開始する初めの段階で、求める要件や条件等を速めにすり合わせること、担当者との関係性を築き上げることが重要となります。早期のうちに、担当者と日程を調整してMTGを設けましょう。
記事まとめ
いかがでしたでしょうか。「人材紹介」というワードはよく耳にするかと思いますが、混同されやすい人材派遣との違い、サービスの特徴や注意点等、意外と知らなかったことも多かったのではないでしょうか。
働き方の多様化が叫ばれる今だからこそ、企業も様々な採用方法を駆使して、限りある人材を採用していく必要があるのではないでしょうか。
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