人事が知っておくべき働き方改革とは
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働き方改革とは
2017年3月、内閣官房に設置された「働き方改革推進会議」によって、処遇改善・労働生産性向上・長時間労働の是正、柔軟な働き方の環境整備、多様な人材の活躍に関する9つの分野に言及した「働き方改革実行計画」がまとめられました。
〇働き方改革の9項目
1)同一労働賃金など非正規雇用の処遇改善
2)賃金引き上げと労働生産性の向上
3)時間外労働の上限規則の在り方など長時間労働の是正
4)雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育問題
5)テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方
6)働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備
7)高齢者の就業促進
8)病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立
9)外国人材の受け入れ問題
また、厚生労働省のホームページには、「働き方改革」の目指すものとして、以下のように書かれています。我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働き方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。
こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。
「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。
働き方改革の背景にある「労働力人口の減少」
働き方改革が叫ばれるようになった背景には、日本における労働力人口の減少があります。
労働力確保のために企業に求められることは、大きく2つあります。
1つめは「(1)労働時間の適性化」です。社員の長時間労働に頼る旧来のやり方では、従業員からの反発を招き、結果的に人材の流出を引き起こす事につながります。
2つめは、「(2)労働形態の多様化」です。労働力確保に向けては、従来の新卒・男性・正社員・日本人中心の人員に加えて、中途・女性・契約派遣社員・外国籍社員・高齢者などの人材を受け入れ、組織創りをしていく必要があります。
図2:労働形態の多様化における6つのテーマ
働き方改革における課題
■「個人の在り方」改革に加えて、「組織の在り方」改革が必要
では、働き方改革を推進していく上での課題はどのようなことでしょうか。多くの企業で聞かれるのが「残業時間は減ったが、人材の意欲が高まっていない」という問題です。
働き方改革という名のもとに、残業抑制やリモートワーク、兼業・副業制度の導入など個人の働き方に主眼をおいた施策ばかりに注力をしても、従業員の組織に対するエンゲージメントは上がらず、かえって離職率の増加や業績の悪化といったことにも繋がりかねません。
人材が流動化する中で、良い人材に働き続けてもらうためには、多様な働き方への対応や環境の整備に取り組むと共に、エンプロイーエンゲージメント(Employee Engagment)という視点に立って、組織創りに取り組むことが大切です。
エンプロイーエンゲージメントとは、社員の会社に対する共感度合い(会社への愛着や仕事への情熱度合い)を指します。
日本のbusinessパーソンは、国際的な調査でみてもエンゲージメントが低いとされていますが、働き方改革を進める上では、労働人口確保に向けた動きとともに、優秀な人材を繋ぎとめる組織エンゲージメントの向上が、生産性向上という点で大変重要となってきます。
昨今では、エンゲージメントが高くなる事で、生産性向上、退職率の抑制、戦略実行度の向上、顧客満足度の向上に寄与することが知られています。
図5:エンゲージメントスコアと業績の関連性
働き方改革を実現するアイディア
働き方改革を推進して行く上では、多様な働き方への対応・環境整備を進めるとともに、組織エンゲージメントを高める事が重要であるとお伝えをしました。
リンクアンドモチベーションでは、エンゲージメントを管理・改善するためのサービスとして「モチベーションクラウド」というサービスを提供しています。
モチベーションクラウドを活用することでエンゲージメント状態を数値化する事が可能となり、エンゲージメントを指標として組織のPDCAサイクル[See(現状把握)→Plan(目標設定)→Do(実行促進)→Check&Action(進捗確認)]を進めることが可能です。
働き方改革における成功事例
ここでは実際に組織のエンゲージメントに着目をし、組織改善や働き方改革に取り組んでいる企業の事例を紹介します。
■株式会社オカムラ https://www.okamura.co.jp/
「豊かな発想と確かな品質で、人が集う環境づくりを通して、社会に貢献する」をミッションとし、働く場をテーマに様々なソリューションを展開されている株式会社オカムラ。
同社では、会社に対する社員のエンゲージメント状態を把握する取り組みを実施。
エンゲージメントを数値化し、組織状態を見える化することで、自社で行っている働き方改革の取り組みが効果的かを定期的に検証する、そんな取り組みもされているようです。
(オカムラ様へのインタビュー記事はこちらhttps://www.motivation-cloud.com/case/okamura/)
【株式会社オカムラでの働き方改革の取り組み(一部抜粋)】
・アクティブな働き方を社員自らが実践・検証するラボオフィス「CO-Dō LABO」の開設
・「働き方カエル!プロジェクト」
・「早帰り宣言カード」
▼【組織の見える化】に関する記事はこちら
組織を「見える化」「可視化」するメリットとその効果は?
まとめ
働き方改革の推進に向けては、 (1)労働時間の適性化と(2)労働形態の多様化への対応で労働力の確保を行うとともに、(3)生産性向上に向けたエンプロイーエンゲージメントの向上が重要です。
企業が目指す「組織としての生産性の向上」と優秀な人材を活かす「働き方や環境の整備」の双方を両立させることで、働き方改革を人事から推進・実現させていきましょう。
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