エンプロイーエンゲージメントとは?向上のための施策は?
最近、人事界隈の領域では「エンゲージメント」という言葉をよく耳にするかと思います。 この記事を読んでいる皆様が一番気になっているのは、まず「エンゲージメントとは何か」、ということ、 そして「どうやったらエンゲージメントを高められるのか」ということかと思います。
弊社リンクアンドモチベーションもお客様に対して様々なソリューションを提供しておりますが、 そんな中で「エンゲージメント」という考え方が浸透しない、そして向上しないいくつかの理由が浮き彫りになってきました。
今回はそんな「エンゲージメント向上が進まない3つの理由」についてご紹介しながら、 企業がエンゲージメントを高めるために取るべき最初のステップとは何か、についてお話したいと思います。
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「エンプロイーエンゲージメント」とはなにか
「エンゲージメント」とは、もともとは「約束、契約、婚約」などの意味があり、商品と、消費者との深い関係性のことを意味し、マーケティング用語としてよく使われています。
例えば、Apple製品とAppleのファンは非常に深い関係性を保っていると言えますよね。新商品が出たら必ず購入したり、誰に頼まれているわけでもないのに新製品レポートをブログにアップしたりしています。
一方通行の関係性ではなく、双方向でメッセージを伝え合い、よりよい関係性を築いていくコミュニケーションを取ることだとも言えます。
組織の状態を表す表現としても様々な定義があります。
例えば、「従業員がどの程度仕事に関与しているのか」「従業員の会社に対する思い入れ」などと言われています。つまり「会社」と「従業員」の関係性を表す言葉だということが分かります。
会社から従業員に対して一方通行的にメッセージを発信するだけではなく、従業員もそれを受信する、そしてその逆のやり取りが行われることが重要です。 お互いがお互いについてどのくらい理解し合い、共感し合い、信頼しあっているのか、ということを定義するのが「エンプロイーエンゲージメント」だと言えます。
組織に関してのイメージはなかなか持ちづらいですよね。もう少し詳しくお話します。
■「エンプロイーエンゲージメント」が高い状態、低い状態とはどんな状態か
組織においてエンプロイーエンゲージメントが高い状態とは、分かりやすく言えば上司と部下の関係性においてお互いがお互いの状態を把握し、信頼関係が担保されている状態です。
例えば、上司が部下の成長のために少し厳しいフィードバックをしたとしても、部下が受け止めて自分の仕事に活かせるような状態を指します。
また、日々の仕事の中でメンバーが「業務をもっとこう改善したら自部署に貢献できるのではないか」と自発的に仕事を楽しんで工夫できているような状態もエンゲージメントが高い状態ですね。
逆にエンプロイーエンゲージメントが低い状態とは、上司や会社の方向性や指示の意図・背景が伝わっておらず、ともすると言葉の真意が伝わりきらず、穿って捉えられてしまうような状態です。
例えば営業組織であれば、メンバーが会社からの戦略目標に納得感が持てず、「仕事だから」「お給料のために」というだけのモチベーションでなんとか毎日会社に来る、というような状態です。
また会社としての上司から部下に対する評価面談自体がそもそも実施されていなかったり、実施されていてもその評価の基準が曖昧で理由が明確でなかったりするような状態も指します。
■「エンプロイーエンゲージメント」が向上すると得られるメリットとは
エンプロイーエンゲージメントが高いと何につながるのか?という疑問はよくあるかと思いますが、実はエンプロイーエンゲージメントは、事業にもインパクトがある数値となっています。
会社と従業員の関係性や、上司と部下の関係性が向上し、信頼関係が担保されていると、コミュニケーションが活発になり、お互いに何を思っているのか、どう感じているのかについて伝え合うハードルが下がります。
そうすると業務連携が円滑になり何か問題が起こりそうな際に防止策をすぐに打つことも可能になります。よって仕事の出戻りが少なくなり、業務効率化や生産性の向上につながります。
また組織の状態が良くなることによって、業務の質を高めようと仕事を工夫する社員が増え、アウトプットのクオリティも自ずと上がってくるので、顧客満足度も高まる例もあります。
そうして商品のリピート率の上昇に繋がり、長期的に業績の向上に繋がる、という流れで良い循環を生み出していけるのではないでしょうか。
参考として、弊社のモチベーションクラウドではかることができる「エンゲージメントスコア」は、営業利益率や生産性の伸長性との連関があることが認められています。
参照:慶應義塾大学との研究結果を公開~エンゲージメントスコアの向上は営業利益率・労働生産性にプラスの影響~
■「エンプロイーエンゲージメント」が必要な時代
エンプロイーエンゲージメントの必要性をお話するにあたりなぜ今それが世の中的に求められているのか、ということをお伝えします。
企業は大きく3つの市場での活動を求められます。それは商品市場、資本市場、労働市場です。商品市場は顧客に自社商品を選んでもらう場、資本市場は株主・投資家・金融機関から自社を選んでもらう場、労働市場は従業員、応募者から自社を選んでもらう場です。
現在、企業を取り巻く商品市場において大きな変化が起きているのです。第三次産業の比率が増え産業の「ソフト化」が高まり、企業にとっては労働市場で勝ち抜く重要性が高まってきています。
また一方で多様性の時代において人々が何を仕事に求めるかという「ワークモチベーション」が多様化しており、企業も個人の多様性を何の軸で束ねていくのかが問われる時代となりました。
つまり労働市場において、企業と個人がお互いに選択し続ける、「相互選択関係」の時代となってきているのです。多様な人材を統合する軸を束ね、労働市場において勝ち抜くことが、商品市場で顧客に選ばれていくことに繋がります。
このように、企業と個人がお互いに選び、選ばれる関係性だからこそ、「エンプロイーエンゲージメント」を高め、同じ軸で束なることが必要なのです。
エンプロイーエンゲージメント向上が進まない3つの理由
このようにエンプロイーエンゲージメント向上はどの企業にとっても必要となる時代であり、企業の至上命題である業績向上のためには欠かせない要素となってきていると思いますが、なかなかエンゲージメント向上施策が推進できていない企業様・部署・チームも多いのではないでしょうか。
エンプロイーエンゲージメント向上において、ボトルネックになりうる要因を3つにまとめました。
■①組織課題が不明確~何をすればよいのか分からない~
組織全体、または部署全体の中で課題というのは、大きな方針に関わるものもあれば、日々のタスクレベルの小さなものもあります。
また、課題の領域も多岐にわたります。そのため総合的に見ることはなかなか難しく、現状が把握できない状況になりがちです。総合的に見てどこに最も注力して取り組むべきなのか、課題が一覧化されている必要があります。
■②改善施策が不適切~施策は行ってはいるが効果がでない
次に、施策を様々行っているものの、その効果を定量的にはかることができておらず、なんとなく毎年やっているからやる、というパターンです。本来は現状の組織に合った適切な打ち手を打っていき、効果を見える化し、施策の妥当性を示していく必要があります。
■③施策実行が未完遂~施策が途中で頓挫してしまう
最後に、会社として行う施策に対して現場の方々から「これ、そもそもなんでやってるんだっけ?」「意味あるんだっけ?」と施策自体の意義・目的に懐疑的な声が出たのがきっかけで、施策が途中でなくなってしまう、という状況です。
どんな施策でも継続することで良かったのか、悪かったのかを振り返り、次の打ち手に向けた改善をする方が効果的です。
もちろん、これだけの理由とは限らないこともあると思いますが、上記3つの理由はかなりよくあるパターンとしてあると思います。
まさに、弊社CMではないですが、残業を減らし、副業も認め、飲み会までやっても、「打つ手なし!」となってしまっている状態ですね。では、これらのボトルネックを解決するために、何があるとよいのでしょうか。
エンプロイーエンゲージメントを向上させるために企業が取るべき最初の第一歩
■①現状をはかる「ものさし」を入れる
「組織改善」と聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、例えば卑近な例だと体重をはからずにダイエットを始める人がいないように、また事業活動においてもPLやBSを明らかにせずに次年度の「目標」や「計画」を立てる企業がいないように、「改善」するにあたっては必ず何かしらの「ものさし」「指標」があります。
ただ、組織活動においてはその「ものさし」がなかなかはかりづらかったのです。 何を基準に改善を進めていけばいいのか、組織活動を行ったらどの値をどれだけ参照すれば良いのか。それが分かる指標を開発したのがこのモチベーションクラウドです。
■②「ものさし」を用いた改善の方向性を決める
モチベーションクラウドというものさしを用いて組織のどこに一番問題があるのか、という要因をまず明らかにします。
例えば皆さんが定期的に健康診断を行うように、組織においても定期的に診断を行います。そしてその結果をもとに、どの部署・階層に課題があるのか(例えば身体の中で胃が悪いのか、肝臓が悪いのかをMRIなどではかるようなイメージです)を診断したり、具体的に打ち手として何を行っていくか(薬の投与だけで様子を見るのか、はたまた手術が必要なのか)を見ていきます。
これらに関して「属人的な勘」や「経験」に頼らず、定量的な数値として出すことが可能なため、改善に関わる方々の共通言語として使うことができます。
エンプロイーエンゲージメント向上まとめ
本ページで述べたように、労働市場の多様化するニーズへの対応といった背景から、エンプロイーエンゲージメント向上というテーマは各企業の至上命題である業績向上のためにも欠かせない要素となってきているのではないでしょうか。
ただ、エンプロイーエンゲージメント向上と一言で言っても、何が課題になるのか、どう改善していくのかについては各社各様です。改善の主体も、経営陣の方々なのか、人事の方々か、現場のリーダーという場合もあります。
組織としてエンプロイーエンゲージメントを向上させるためのファーストステップとして、「現在どのような状態なのか」を診断し、改善すべき課題を特定し、実行していくことが重要です。
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