テクニカルスキルとはどのようなもの?基本情報から種類・伸ばす方法などを解説
社会人に重要なスキルとされているテクニカルスキルとは、具体的にどのようなものでしょうか。
ビジネス環境が急速に変化する現代において、テクニカルスキルの重要性は日々高まっています。この記事では、テクニカルスキルの定義から種類、向上させるメリットまでを詳細に解説します。従業員のテクニカルスキルを高めるためにも、ぜひ参考にしてください。
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テクニカルスキルの基本情報
テクニカルスキルの概念について、ヒューマンスキルとコンセプチュアルスキルとの違いに触れつつ解説します。
テクニカルスキルとは
テクニカルスキルとは、業務を遂行するために必要とされる専門知識や技術のことです。具体的には、業界に関する深い理解、自社および競合他社の商品・サービスに関する詳細な知識、特定の職務に関連する熟達した技術などが、テクニカルスキルに含まれます。
ハーバード大学の経営学者であるロバート・カッツ氏は、1955年に発表した論文で初めて、テクニカルスキルという概念を提唱しました。管理者に不可欠なスキルの1つとしてテクニカルスキルを位置づけ、ビジネスシーンでの重要性を強調した内容です。
ヒューマンスキルとの違い
テクニカルスキルと同じタイミングでロバート・カッツ氏が提唱した言葉に「ヒューマンスキル」と「コンセプチュアルスキル」があります。
ヒューマンスキルとは、個々が持つ知識や経験を基に、他者と良好な人間関係を構築し、コミュニケーションを円滑にする能力のことです。テクニカルスキルは学習や訓練を通じて「保有するスキル」であるのに対し、ヒューマンスキルは人間関係のなかで「遂行するスキル」といえます。
コンセプチュアルスキルとの違い
コンセプチュアルスキルとは、複雑な状況下で物事の本質を的確に捉えて、個人や組織のパフォーマンスを最大化するための能力のことです。経営陣や管理職をはじめ、的確な判断を下し、組織やチームを導く立場にある従業員にとって、コンセプチュアルスキルは欠かせないものです。
テクニカルスキルが求められる人材とは
組織内の階層によって、必要とされるスキルの重要度は異なります。
テクニカルスキルは、現場で直接業務を遂行する監督者(ロワーマネジメント)層で、より重視されます。コンセプチュアルスキルは、組織全体の方向性を決定する経営陣(トップマネジメント)に、より必要とされる能力です。ヒューマンスキルは、組織のすべての階層が身につけるべき能力です。
テクニカルスキルの種類
テクニカルスキルは、汎用スキル・専門スキル・特化スキルの3種類に分類されます。それぞれの特徴を解説します。
汎用スキル
部署や職種を問わずに役立つ基礎的なスキルは、汎用スキルといわれます。主な汎用スキルには、以下が挙げられます。
・業界関連の知識
・自社の商品・サービスの知識
・コンピューターやシステムに関する知識や操作スキル
・文書作成スキル
・語学力
真面目さや几帳面さ、積極性などの個人の特性も汎用スキルに含まれる場合があります。
専門スキル
専門スキルは、特定の職務や業界に特化した知識や技術を指し、限られた領域の業務で発揮されます。
専門スキルは現場で働く従業員全員に必要とされます。幅広い従業員が一定レベルの専門スキルを身につけている職場は、急な業務量の増加や欠員発生時にも柔軟に対処可能です。さらに、業務の効率と品質が向上し、予期せぬトラブルが発生した際も迅速に解決できます。
特化スキル
特化スキルは、一部の人のみに求められる高度な知識や技術のことです。特化スキルの習得には時間がかかります。そのため、特化スキルが備わった人材は重宝され、組織内で重要な役割を任される傾向です。特化スキルは希少性が高く、組織が継続的に発展するためには、計画的な後継者育成が必要になります。
テクニカルスキルを向上させるリット
テクニカルスキルを向上させるメリットを解説します。テクニカルスキルの向上は、組織と個人の両方に大きなメリットをもたらします。
顧客満足度が向上する
テクニカルスキルの向上により業務の質が向上すると、顧客満足度を高められます。専門知識や技術が向上すると、顧客に丁寧かつ迅速に対応でき、商品・サービスの質が高まるためです。顧客満足度が高まると取引が継続されやすく、自社の業績向上も期待できます。
円滑なコミュニケーションが期待できる
テクニカルスキルを向上させると、円滑なコミュニケーションが期待できます。特定の職種や業界では、コミュニケーション能力がテクニカルスキルの一部とみなされるためです。専門知識や技術の向上に伴い、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
ただし、業務を円滑に進めるには、バランスの取れたスキル開発が重要です。幅広い範囲のテクニカルスキルを磨いた従業員には、総合的な業務遂行能力が身につきます。
業務に意欲的に取り組める
テクニカルスキルを向上させた従業員は、業務に対する自信と意欲が高まり、より積極的に仕事に取り組むようになります。業務への理解が深まり、職場に貢献できる技術を習得すると、意思決定の裁量が大きくなるためです。自分の意見や考えを業務に反映させられると、やりがいを感じられます。
テクニカルスキルを向上させる際の注意点
テクニカルスキルを向上させる際の注意点を解説します。バランスの取れたスキル開発を心がけ、業務効率を考慮した育成計画を立てましょう。
スキルが偏りやすい
テクニカルスキルの育成に過度に注力すると、従業員のスキルバランスが崩れる恐れがあります。効果的な人材育成のためには、テクニカルスキルだけでなく、コンセプチュアルスキルやヒューマンスキルも向上させるよう試みましょう。多様なスキルをバランスよく磨くと、さまざまな状況に柔軟に対応できる人材を育成できます。
研修参加によって業務に支障が出る
従業員のテクニカルスキル向上のために研修を実施する際は、業務への影響を慎重に検討しましょう。
テクニカルスキルの向上には時間がかかるため、多くの企業は研修を実施します。しかし、研修期間中は現場の人員が減少するため、業務に支障をきたす可能性があります。比較的余裕のある時期に研修を計画したり、研修後に提出させる課題を減らしたりして、業務への影響を抑えましょう。
テクニカルスキルを向上させる方法
テクニカルスキルを向上させる方法として、OJTや研修、eラーニングについて解説します。
OJTや研修を実施する
テクニカルスキルを向上させる効果的な方法の1つが、職場で実施する実践的な訓練であるOJTです。
OJTでは、経験豊富な先輩や上司から直接指導を受けます。業務のなかで指導を受けることで、実践的なスキルを効率的に習得できます。また、OJTを補完する目的で、体系的な知識やスキルを学ぶ研修も組み合わせるとよいでしょう。
eラーニングを活用する
eラーニングは、学習管理システム上で配信する動画教材を使い、従業員個々が学習を進めるスタイルです。
時間と場所を問わずに学習できるeラーニングを導入すると、従業員の自主的なスキル向上が捗ります。eラーニングは特に知識のインプットに適しています。業界知識や商品知識などの習得に、eラーニングを役立てましょう。
まとめ
テクニカルスキルとは、業務を遂行するために必要とされる専門知識や技術のことです。テクニカルスキルの向上は、組織と個人の両方に大きなメリットをもたらします。テクニカルスキルを向上させるには、OJTや研修、eラーニングを活用しましょう。
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