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36協定への向き合い方~長時間労働を改善する3つの観点~

働き方改革が声高に叫ばれ、働き方を大きく変えることが企業にも個人にも求められる時代になりました。日本の労働人口減少していく中で労働生産性の向上は大きな課題であり国レベルの働き方改革が進んでいます。特に耳をするようになったのが「36協定」です。

大手企業には2019年4月から、中小企業には2020年4月より時間外労働の上限規制が行われることになりました。この法律の改正への向き合い方によって、働き方改革が働き方改”悪”にもつながりかねない状況になっています。

本記事では、36協定への正しく向き合っていくために求められる観点をご紹介します。

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目次[非表示]

  1. 1.働き方改革の真の目的とは?
  2. 2.36協定とは?
  3. 3.36協定への正しい向き合い方とは?
  4. 4.長時間労働の是正に必要な3つの観点
  5. 5.36協定への正しい向き合い方とは?まとめ


働き方改革の真の目的とは?

企業の働き方改革においては「残業時間削減」「テレワーク」「副業・兼業の解禁」など、様々な施策が生まれているものの、局所的な課題解決に陥っており本質を捉えきれていないものも目につきます。

部分的な変革を行うことで一部が改善されたとしても、組織全体にとってはマイナスになってしまうことすらあります。ここでは改めて働き方改革の真の目的について確認をしていきます。

▼働き方改革 残業に関する記事はこちら
働き方改革で残業時間の上限が変わることによるリスクと対策方法を解説

■国が考える個人レベルの働き方改革

国レベルの働き方改革の目的は先にお伝えした通り、労働人口の減少に対しての解決策です。女性やシニア、外国人など制約があって働けなかった人たちがより働きやすい環境を整えるべく、様々な施策が検討されてきました。

国が着目しているのはあくまでも「個人」です。「個人」が働きやすい環境づくりを主に検討が行われるため、「企業」視点での検討は行われているとは言い難い状況です。企業人はこの前提をふまえて各種施策を考える必要があります。

■企業が立ち戻るべき働き方改革の真の目的

では「企業」にとっての働き方改革の目的は何になるのでしょうか。それは「組織としての生産性の向上」です。

個人の欲求も満たしつつ、同時に組織の成果の追求も目指すバランスが求められています。ゆえに国の働き方改革の施策に安易に飛びつくと、「個人」に配慮をし過ぎたものが多く、「企業」における組織力の低下を招きます。

分散してしまう「個人」の欲求のベクトルに対して、組織への求心力を強める統合施策を同時に打つ必要が出てくるのです。

■働き方改革を正しく捉えるために

このようなことから「個人」と「組織」2つの視点を持って働き方改革を捉えることで、「組織としての生産性の向上」という真の目的達成に向けて着実に前進することができます。

世の中には統合の施策を行うことなく、「個人」の働きやすさのみを追求した施策ばかりに目が向いてしまい、働き方改革を進めれば進めるほど、組織力が下がり、生産性も下がっていくという負のスパイラルに陥っている企業が少なくありません。

その結果、市場においての競争力も低下し、企業としての存続の危機に陥ってしまいます。

逆に言えば、「個人」のためだけの働き方改革ではなく、「組織」の視点でも働き方改革を捉え、「個人」と「組織」の働き方改革を高次元のバランスで実現することで、働き方改革を推進することができ、業界においての影響力も発揮できるようになるのです。

36協定とは?

企業にとっての働き方改革の目的が「組織としての生産性の向上」であるものの、多くの企業がその目的を見失っているように感じるのはなぜでしょうか。

それは働き方改革が、長時間労働の是正をはじめとした、企業にとってのリスクを回避する目的で使われていることが多いからです。

■企業が陥るリスク回避の心理

社員過労自殺事件を皮切りに、長時間労働による過労死や自殺が大きな社会問題となったことから、そのような事態を防ぐために、とにかく長時間労働の是正しようと働き方改革を推し進める企業が多いように見受けられます。

長時間労働による過労死や自殺によって、社会から「ブラック企業」と言われ、企業ブランディングを大きく落とすことになりかねない事態のリスクをできる限り回避したいという心理は自然発生的なものかもしれません。

加えて昨今は、就職や転職のためのクチコミサイトも多数登場し、企業の実態がオープンにされやすい環境になりました。

会計、労務、情報管理などの企業内部の様々な問題が現役社員やOB・OGによって社外に知られるリスクもはらむようになったのです。こうした口コミサイトの評価や評判を気にして、スコアを上げるべく働き方改革を実施する企業も少なくないようです。

このようにリスク回避や評判を気にした働き方改革によって「企業」視点のみで推進されているような印象を与え、「個人」にとっては前向きなものに捉えにくい状況にもつながっています。

■長時間労働を是正するための36協定

長時間労働のニュースが取り上げられる機会が増え、近年、労働基準監督署の監督も厳しくなってきています。

長時間労働の是正の動きの中で特にキーワードとして叫ばれるようになったのが「36協定」です。そもそも「36協定」とはどのようなものなのか、前提をおさらいしていきたいと思います。

36協定とは?

厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」によれば、法定労働時間を超えて労働者を働かせる場合は、労働者の過半数を代表する者もしくは労働組合との間に「時間外労働・休日労働に関する協定」を締結した上で、労働基準監督署に届け出なければなりません。

この協定が労働基準法第36条に規定されていることから「36協定(サブロク協定)」と呼ばれています。労働時間は原則として、1日8時間・1週40時間以内とされています。 これを「法定労働時間」と言い、休日は原則として、毎週少なくとも1回与えることが義務付けられています。


参照:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」より抜粋

時間外労働の上限規制の改正

この36協定に改正が行われました。大手企業は2019年4月、中小企業は2020年4月より法改定が行われることになったのです。この改正によって、法律上、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができなくなりました。

参照:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」より抜粋

36協定への正しい向き合い方とは?

36協定の法改正の動きが、企業における長時間労働の是正の動きを加速させていることは言うまでもありません。コンプライアンスを遵守することは非常に重要です。

しかしながら、36協定による長時間労働の是正は働き方改革の一部であり、真の目的はあくまでも「組織としての生産性の向上」であることを忘れてはいけません。

■長時間労働の是正に伴う企業側が抱える悩み

長時間労働の是正の施策としてよく導入されるのが曜日を固定した“ノー残業デー”です。 「“ノー残業デー”を施策として始めたものの、業績が下がり始めている。

社員は労働時間が減った分の時間を自己研鑽ではなく飲み歩きや隠れ残業に使ってしまう。業績を回復させるためにどのようなことをすればよいのか」という悩みは多くの企業で抱えていることだと思います。

また逆に「長時間働きたい」という社員がいることも事実であり、成長を求める社員に対して、無理に規制をかけることに抵抗感を感じているという声も多く聞きます。

■立ち返るべきは「組織としての生産性の向上」

今一度、36協定改正に伴う長時間労働の是正はあくまでも手段であり、真の目的ではないことを改めて認識しなければなりません。36協定の改正を1つのきっかけに、組織の生産性をいかに向上させていくのかを考え続けることが企業に求められているのです。

長時間労働の是正に必要な3つの観点

組織においての生産性向上には何が必要なのでしょうか。企業が考える3つの観点をご紹介していきたいと思います。

■①一律のマネジメントの廃止

働き方改革が始まってから「ノー残業デー」や「プレミアムフライデー」などの施策が行われるようになりました。しかしこれらの施策は前述したとおり、生産性向上には全くつながりませんでした。なぜこのようなことになったのでしょうか。

それは業務内容によって繁忙期は異なるという前提への配慮がなかったからです。

「ノー残業デー」を水曜日に固定していた場合、水曜日が業務の山場になる社員はどのように思うのか、「プレミアムフライデー」の金曜日に非常に重要な業務のある社員はどのように思うのか、「この日に仕事をやりたい」と思う社員の声が挙がることも想定はできたはずです。

しかしながら、法律改正に適合しなければならないというあせりや強迫観念のようなものが一律での施策実施を推し進めてしまいました。何でも一律でやりたい、画一的にマネジメントしたいという深層心理が邪魔をしてしまったのです。

■②マネジメントの意識変革

では企業存続のために36協定を守ることは当然の中で、どのようなことに取り組んでいけばよいのでしょうか。

まずはマネジメントの意識変革です。マネジャーが深層心理で持っている「メンバーの時間は無限である」と思いこんでいた意識を「時間は有限である」「時間は長さではなく濃さである」という意識に変えていく必要があります。

その上で「制約を与えることで工夫を生む」風土を組織全体として醸成していく必要があります。労働時間の制限に対して、マネジャーが思考停止状態ではなく、どのように対応するべきか、いかに工夫するべきか考え続けるように促し続けるのです。

業務上の工夫や型化を推進することで標準化が進み、長期的な組織成果につながることをマネジャーが信じ、メンバーを感化していく強い意志が働き方改革の成果を大きく変えることになります。

■③マネジメント指標の改善

加えて上記のマネジャーの頑張りを評価する指標についても合わせて検討していく必要があります。労働時間の削減が求められているからといって、残業時間を「何時間削減した」だけでは生産性が上がったのか下がったのかは分かりません。

これまでのマネジャーのマネジメントの甘さや緩さに向き合い変化を促す仕掛けが必要なのです。つまり人件費一円当たりの粗利を指標化するなど、生産性の指標の導入が不可欠です。

労働時間の削減だけではなく、そこからどれくらいの利益を生み出しているのか、時間当たりの1人1人の生産性を指標化することで見えてくることは沢山あります。

企業の贅肉を落とすべく、定量的なデータで改善の進捗をモニタリングしていくことがマネジメントの意識変革にもつながるのです。

36協定への正しい向き合い方とは?まとめ

本ページで述べたように、36協定の改正を組織改革のきっかけとして捉え、より筋肉質な企業体質への変革機会にするべきです。36協定は働き方改革の一要素でしかありません。

常に真の目的である「組織としての生産性の向上」に立ち返りつつ、いかに「個人」と「組織」のバランスをふまえた施策の推進が肝になります。


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LM編集部
LM編集部
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