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試用期間とは?注意したいトラブルと対処法について解説!

新たに従業員を雇うとき、試用期間を設ける企業は少なくありません。実際の業務のなかでスキルや能力を見極めることができるのは試用期間を設ける利点ですが、試用期間を設けることによるデメリットや注意点も把握しておく必要があります。

今回は、試用期間のメリット・デメリットやよくあるQ&Aなどについて解説していきます。

目次[非表示]

  1. 1.試用期間とは?
  2. 2.試用期間を設定するメリット
  3. 3.試用期間を設定するデメリット
  4. 4.試用期間の注意点
  5. 5.試用期間の延長は可能?
  6. 6.試用期間中の解雇は可能?
  7. 7.試用期間中の退職は可能?
  8. 8.試用期間に関するよくあるQ&A
  9. 9.まとめ

試用期間とは?

試用期間とは、企業が従業員を雇う際に「期待する能力・スキルを備えているか?」「業務遂行上、問題のない人物か?」といったことを見極めるために設ける期間です。試用期間中に、実際の業務のなかでスキルや働きぶりなどを確認し、企業側と従業員側、双方に問題がなければ本採用へと進みます。

試用期間と研修期間の違い

試用期間と混同してはいけないのが「研修期間」です。研修期間とは、スムーズに業務を遂行するための知識・技術を習得するために設けられる期間です。試用期間が本採用するかどうかを見極めるための期間であるのに対し、研修期間は本採用した従業員に基本的な知識・スキルを習得させるための期間です。

試用期間を経て本採用に至る場合、結果的に、試用期間が研修期間のような役割を果たすこともありますが、実際には目的・位置付けが異なる制度です。

試用期間を設定するメリット

企業が試用期間を設ける最大のメリットは、新たに雇用しようとしている人材の実務能力やスキルレベルを確認できることです。

面接などの選考過程でもスキルは確認しますが、「実務に就いてみたら、スキルレベルが著しく不足していた」という事例も少なくありません。このようなリスクを回避できるのは、試用期間を設けるメリットです。

試用期間中に、業務を遂行する能力がないことが分かれば、「本採用をしない」というジャッジをすることもできます。

また、試用期間があることで、人事担当者も業務担当者も注意深くその従業員を観察するため、万が一「本採用をしない」となった際の正当な理由づけも事実ベースで行うことができます。

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試用期間を設定するデメリット

従業員からすると、試用期間中は不安定な立場になります。そのため、他社と天秤にかけている従業員は、他社への入社を決めてしまう可能性もあります。

また、試用期間は従業員側からしても、その会社を見極める期間となります。試用期間中に「社風に合わない」「思っていた仕事内容と違う」「イメージしていた職場とギャップがある」といった印象を持っても不思議ではありません。そうなると、仮に企業側が本採用を希望しても、従業員側に拒否されるケースもあります。

試用期間の注意点

労働関係法令を遵守する

試用期間中の給与は、本採用後の給与より低く設定することができますが、最低賃金は保証する必要があります。また、試用期間中であっても、残業代の支払いや社会保険・労働保険への加入手続きは必要です。当然のことですが、労働関係法令はきちんと遵守しなければいけません。

すぐに見切りをつけず、改善の機会を与える

試用期間において、従業員のスキル不足を感じたり、従業員の勤務態度が悪かったりしても、すぐに「適性がない」と見切りをつけてはいけません。定期的に従業員の仕事を評価する機会を設けたり指導をしたりして、改善の機会を与えることが大切です。改善の機会を与えないまま一方的に解雇すると、不当解雇とみなされるリスクもあります。

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試用期間の延長は可能?

試用期間の長さについては、法律による規定がありません。多くの企業は試用期間を3~6ヶ月程度にしているため、特段の事情がなければ、3~6ヶ月の間で設定するのが良いでしょう。

試用期間中に何らかの事情があったために、当初定めていた試用期間を延長したいケースもあると思います。その場合、以下のような正当な理由があれば、試用期間を延長することができます。

著しくスキルが不足している場合

試用期間中、従業員のスキルが著しく不足していることが明らかになるケースもあるでしょう。このような場合、教育によってどの程度の伸びしろがあるのかを確認したうえで本採用の判断をするために、試用期間を延長することが認められます。

看過できない勤怠不良がある場合

試用期間中、従業員が遅刻を繰り返したり、無断欠勤をしたりする場合があります。それでも本採用をしたいと考える場合は、試用期間を延長して様子を見ることができます。

勤務態度が悪い場合

試用期間中、上司の指示に不満な態度を示したり、他の従業員と良好なコミュニケーションができなかったりする従業員もいるかもしれません。それでも本人に改善の意思があり、企業側もできれば本採用したいと考えているような場合は、試用期間を延長して改善の意思を見極めることができます。

経歴詐称が発覚した場合

試用期間中に、履歴書や職務経歴書などの経歴詐称が発覚するケースもあります。重大な経歴詐称が発覚した場合、企業はその従業員を解雇することができますが、経歴詐称を許容したうえで本採用したいと考える場合は、試用期間を延長することができます。

試用期間中の解雇は可能?

本採用した後と違い、試用期間中であれば簡単に解雇できると考えている企業もあります。しかし、この認識は誤りであり、試用期間中だからと言って自由に解雇できるわけではありません。試用期間中の従業員も企業と雇用契約を締結しているわけであり、解雇する場合は、就業規則で定めている解雇事由に基づいていなければいけません。

試用期間中の解雇が認められるケース

基本的に、従業員側に重大な落ち度がなければ試用期間中の解雇は認められません。試用期間中の解雇が認められるのは、以下のような正当な理由がある場合に限られます。

  • 業務を遂行する能力がなく、指導をしても改善がみられない
  • 遅刻や欠勤を繰り返すなど勤務態度が極めて悪く、指導をしても改善がみられない
  • 他の社員と協調できず、指導をしても改善がみられない
  • 解雇相当の不正行為があった
  • 重大な経歴詐称が発覚した

なお、試用期間の満了時に「本採用をしない」というジャッジをする場合も、法的には解雇と同様の取り扱いになります。そのため、上記のような正当な理由が必要になります。

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試用期間中の退職は可能?

試用期間は従業員の立場からもメリットのある制度であり、従業員は試用期間中にその会社を見極めることができます。人によっては、思い描いていたイメージとのギャップを感じ、「退職したい」と考えるケースもあるでしょう。果たして、試用期間中に退職することはできるのでしょうか?

結論としては、試用期間中でも退職することは可能です。ただし、退職の意思表示は早めにおこなう必要があります。労働基準法は、退職希望日の2週間前までに企業に退職の意思を伝える必要があると定めていますし、多くの企業は「退職希望日の◯日前までに退職願を提出すること」などと就業規則に定めています。

企業のルールを守らないことでトラブルに発展するケースもあるため、試用期間中の退職を考えている従業員の方は就業規則に則って、できるだけ早めに行動する必要があります。

試用期間中に退職したい場合の理由例

組織の雰囲気に合わない

Webサイトや会社説明会、面接の際の様子だけでは、企業の雰囲気を把握するのは難しいでしょう。そのため、試用期間に働いてみて初めて「この会社の雰囲気に合わない」と感じる人も少なくありません。組織に馴染むのが難しいと感じるのであれば、上司に正直に退職したい旨を伝えるのが良いでしょう。

イメージしていた仕事と違う

仕事内容は募集要項に記載がありますし、面接時に話を聞くこともできます。しかし、試用期間に実務を経験して、ギャップを感じる人も多いようです。このような場合も、正直に上司に伝えるべきです。配置換えなどを検討してもらえることもありますが、それでもギャップを解消できそうになければ、退職を選択したほうが良いでしょう。

試用期間に関するよくあるQ&A

試用期間中に解雇するには具体的にどうしたらいい?

先述した通り、従業員側に重大な落ち度がある場合などは、試用期間中に解雇することも可能です。ただし、試用期間開始から15日以降の場合と、試用期間開始から14日以内の場合では対応が変わってくるため注意が必要です。

試用期間開始から15日以降に解雇する場合

通常の解雇の場合と同じように、解雇予告制度が適用されます。そのため、少なくとも30日前に解雇予告をする必要があります。予告なしに即日解雇する場合は、解雇予告手当として30日分以上の平均賃金を支払わなければいけません。

試用期間開始から14日以内に解雇する場合

試用期間開始から14日以内に解雇する場合、会社側は解雇予告や解雇予告手当などの義務を果たす必要はなく、即日解雇が可能です(労働基準法第21条)。もちろん、14日以内だからと言って自由に解雇できるわけではなく、上述したような正当な理由が必要です。

試用期間中の賞与や有給休暇はどうすればいい?

試用期間中の従業員に賞与を支給するかどうかは、企業の裁量で決定することができます。賞与の支給条件や試用期間中の扱いについては、就業規則に記載しておく必要があります。

年次有給休暇は、労働基準法によって義務付けられている制度なので、「6ヶ月間の継続勤務」と「全労働日の8割以上の出勤」という条件を満たす従業員には必ず付与しなければいけません。試用期間も継続勤務期間としてカウントされるため、試用期間が6ヶ月間以上に及ぶ場合は、有給休暇が発生する可能性があります。

まとめ

試用期間は労使双方にとってメリットのある制度ですが、きちんと法令を守っていないとトラブルの原因になってしまいます。試用期間に関するルールは複雑で認識違いをしている方も多いので、採用担当のみなさまは正しい知識を身に付けておきましょう。

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木藤 綾佳
木藤 綾佳
【プロフィール】 リンクアンドモチベーション入社。以降、大手企業向けのコンサルティング部隊に所属。 営業企画として人材育成サービスに関するマーケティング施策に携わる。

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