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オンボーディングとは?意味と事例を紹介

 新入社員の早期離職を防止し、定着率を高めるために「オンボーディング」に注力する企業が増えています。オンボーディングは新入社員の定着・戦力化を促進するための取り組みのことですが、従来の新入社員研修やOJTと何が違うのでしょうか? 今回はオンボーディングの意味や目的、メリットのほか、実施する際のポイントなどについて解説していきます。

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目次[非表示]

  1. 1.オンボーディングとは?
  2. 2.オンボーディングの目的
  3. 3.これまでの新入社員研修やOJTとオンボーディングの違い
  4. 4.オンボーディングのメリット
  5. 5.オンボーディングを実施する際のポイント
  6. 6.オンボーディングのプロセス
  7. 7.オンボーディングの事例紹介
  8. 8.まとめ
  9. 9.オンボーディングに関するよくある質問

オンボーディングとは?

オンボーディングとは、一般的に新入社員の定着・活躍を促進するための取り組みのことを指します。オンボーディングが注目されるようになった背景として、学生のファーストキャリア意識や、企業のwell-beingの考え方が広まっていることが挙げられます。

近年は少子高齢化による労働人口の減少から、あらゆるビジネスにおいて人材不足が深刻な課題になっています。また、特に若い世代は転職をポジティブに捉えており、より良い環境やより自分らしいキャリアを求めて転職を繰り返すのが当たり前になっています。

しかしながら、企業からすると、苦労して採用した人材が早期に離職してしまったら大きな損失になります。重要なのは「新入社員をいかに会社に定着させ、活躍してもらうか」ということであり、そのための手法として注目されているのがオンボーディングなのです。

▼図1:労働市場における変化(オンボーディングが注目されている背景)

図1:労働市場における変化

オンボーディングの意味


 オンボーディングという言葉は、乗り物に乗っているという意味を持つ英語の「on board」が由来になっています。もともとは、船や飛行機の新しい乗務員が現場に慣れることをオンボーディングと呼んでいました。

現在はそこから転じて、人事領域においても、新入社員に早く職場に慣れてもらい、戦力として活躍してもらうための取り組みやプロセスのことをオンボーディングと呼ぶようになっています。また、人事以外の領域では、クラウドサービスを提供する企業がカスタマーサクセスの一環として、サービスの利用支援をすることをオンボーディングと言うケースもあります。


オンボーディングの目的

オンボーディングの目的としてよく言われるのが以下の3点です。

新入社員の活躍を促すため

 どんなに優秀な人材でも、企業独自のルールや環境、風土に慣れるまでは十分なパフォーマンスを発揮することはできません。1日でも早く組織に馴染み、あるべき基準でパフォーマンスを発揮してもらうために効果的なのがオンボーディングです。オンボーディングによってスムーズに職場や仕事に慣れてもらうことで、新入社員の活躍が見込めるはずです。

早期離職を防止するため

 新入社員が入社したときに「イメージしていた風土・仕事と違う」と感じると、そのギャップが早期離職の原因になることがあります。これを避けるためには、入社前からオンボーディングをおこなうことが重要です。入社前の新入社員に企業の価値観や社風・仕事内容などを知ってもらうことで、入社後のギャップをなくすことができ、早い段階で会社に馴染んでもらうことができます。

部署間の理解・連携が深まる

 オンボーディングでは通常、部署の垣根を越えて新入社員をサポートしていきます。オンボーディングを通して部署間のコミュニケーションが促進されるため、相互理解が深まり、組織の結束力が向上します。オンボーディングを受けた新入社員は、早い段階で横のつながりを構築できるため、現場に出てからも連携して仕事を進めやすくなるでしょう。


これまでの新入社員研修やOJTとオンボーディングの違い

 新入社員研修は通常、人事部が主体となっておこなうもので、企業の理念やビジョン、組織風土や業務内容、就業規則など、業務を遂行するうえで不可欠なことを教えていきます。一方、オンボーディングは人事部や配属先の部署だけでなく、組織全体で新入社員をサポートしていく点に特徴があります。

 また、新入社員研修は比較的短期間でおこなわれますが、オンボーディングは長期継続的におこなわれる取り組みです。オンボーディングを実施している間は、定期的に1on1ミーティングで新入社員の状況を確認する・360度サーベイを用いて成長度合いを測るなど、モニタリングをしていくのが一般的です。


新入社員研修については以下のページで詳しく解説しています。

>> 新入社員研修

https://solution.lmi.ne.jp/hr_development/c/newcomer


 新入社員研修が終わると新入社員は現場に配属され、上司・先輩のサポートを受けながら実務を学ぶOJTがおこなわれるのが一般的です。OJTの目的は、実務に必要な知識・スキルを習得することです。一方で、オンボーディングの目的は新入社員が職場に馴染み、能力を存分に発揮できるようにすることであり、面談や歓迎会・懇親会の実施まで、すべての受け入れプロセスがオンボーディングに含まれます。そこには当然、実務の習得も含まれるため、オンボーディングはOJTを包括する概念だと言えるでしょう。

OJTについては以下の記事で詳しく解説しています。

>> OJTとは?メリットやデメリット、意味ややり方を徹底解説

https://solution.lmi.ne.jp/column/6681


オンボーディングのメリット

 オンボーディングを実施するメリットとしては、主に以下の4点が挙げられます。


マネジメントコスト削減

 新入社員を教育するコストは、企業にとって決して少なくない額の投資になります。採用・教育を終え、戦力化してからが投資を回収する期間になるわけですが、新入社員が早期に離職してしまうと投資を回収できず、企業は大きな損失を被ることになります。オンボーディングによって従業員の早期離職を防ぎ、定着・活躍率を向上させることができれば、採用・教育コストの削減につながるはずです。


生産性の向上

 オンボーディングの大きな目的は、新入社員に職場に馴染んでもらい、早期に活躍してもらうことです。効果的なオンボーディングができれば、新入社員が戦力になるまでの期間を短縮することができます。新入社員が早い段階で活躍できるようになれば、結果として組織の生産性も向上するはずです。

従業員エンゲージメントの向上

 充実したオンボーディングがおこなわれている会社では、新入社員は「仲間」として受け入れられていることを実感できますし、不安が解消され、安心して働くことができます。加えて、会社の価値観や自分に期待されていることを理解できるため、高いモチベーションを持って仕事に取り組むことができます。結果として、従業員満足度やエンゲージメント(会社に対する愛着)の向上が期待できるでしょう。特に、新入社員は、金銭報酬(経済的利得)でモチベーションを下げることは考えにくいため、感情報酬(下記図2参考)を周囲から与えることによって、効果的にエンゲージメント向上を図ることが出来ます。

▼図2:新入社員エンゲージメントを高めるポイント

▼図2:新入社員エンゲージメントを高めるポイント


組織風土の改善

 オンボーディングでは、新入社員に会社の理念やビジョン、行動指針などを伝えていきます。これにより、新入社員の理解が深まるのはもちろん、それを伝える既存社員にとっても、あらためて自社で働くことの意義や大切にすべきことを認識する機会になるため、組織風土の改善につながります。また、部署を越えたコミュニケーションが促進されることで、部署間の一体感が醸成され、組織の風通しが良くなることも期待できます。


オンボーディングを実施する際のポイント

 オンボーディングを実施する際に重要な4つのポイントについてご説明します。

期待役割を擦り合わせる

 オンボーディングをおこなう際は、新入社員に求める役割や期待することを擦り合わせることが大切です。期待役割が低すぎても高すぎてもモチベーションが低下する原因となり、早期離職につながる可能性が高くなります。期待役割にズレがあれば修正し、認識を擦り合わせたうえでオンボーディングを進めていきましょう。リンクアンドモチベーションでは、半年に1度のペースで360度サーベイを実施し、自身の現状と周囲からの役割期待のすり合わせを行っています。新入社員におけるスタンスを下記頭文字をとって「STAR」とし、サーベイを実施しています。

▼図3:新入社員に必要な4つのスタンス

▼図3:新入社員に必要な4つのスタンス

入社前からオンボーディングをおこなう

 株式会社リクルートキャリアがおこなった「中途入社後活躍調査(第2弾)」では、以下のような結果が出ています。

・「人事とのコミュニケーション」について、時期について比較したところ、入社前に行っている人の方が、入社後と比較してパフォーマンスを発揮している人が多い傾向が見られる

・パフォーマンス発揮者の8割は、入社前に人事とコミュニケーションを図っている。コミュニケーションの内容では特に、「入社を検討する上で十分な情報を得たか確認してもらった」「入社後に想定される疑問や不安を解消する情報を、隠すことなく開示してもらった」割合がパフォーマンス不十分者と比べて相対的に高い

※参考:「中途入社後活躍調査」第2弾 | プレスリリース | リクルートキャリア - Recruit Career

https://www.recruit.co.jp/newsroom/recruitcareer/news/pressrelease/2019/190424-01/

 この調査結果からは、入社前からオンボーディングをおこない、新入社員とコミュニケーションを図ることによって疑問や不安を解消しておくことが、入社後のパフォーマンスアップにつながることが分かります。

目標を細かく設定する

 私たちは成功体験を積むことで自信をつけていきますが、新入社員が現場に出て、成功体験を得るまでには一定の時間がかかるものです。そこで、オンボーディングによって小さな成功体験を積ませることがポイントになってきます。1ヶ月、2ヶ月といった短いスパンで達成できる細かい目標を立ててオンボーディングを進めることにより、新入社員のモチベーションを維持しつつ、効率的に成長を促すことができます。

メンター制度の導入を検討する

 メンター制度とは、豊富な知識や経験を持った先輩(メンター)が相談役となり、新入社員(メンティ)のキャリア形成や精神面に関するサポートをする制度のことです。通常は、直属の上司ではない先輩社員がメンターとなります。人事評価を気にすることなく、人間関係やプライベートのことなど、業務以外のことも含めて相談できるのがメンター制度の良いところです。

 新入社員が早期離職する一つの原因として、「悩みを相談できる人がいない」というものがあります。また、メンターが若手の頃は「まずはやってみよう」という上司からの指示が当たり前で会ったため、新入社員からすると「放置されている」ように感じてしまう場合もあります。このような問題を解消するため、オンボーディングの一環としてメンター制度を導入する企業は少なくありません。


オンボーディングのプロセス

 オンボーディングのプロセスを3段階に分けて解説していきます。

入社前のオンボーディング

 いわゆる「内定ブルー」に陥って、内定辞退をする人も一定数います。内定辞退を防ぐためには、入社前のオンボーディングが重要です。入社前から人事が新入社員と十分なコミュニケーションを図り、疑問や不安を取り除き、信頼関係を構築しておくことで入社意欲を強固なものにしてもらえるはずです。

 入社前のオンボーディングでは、業務内容や就業ルールだけでなく、職場の雰囲気や先輩社員に関することを伝えるのがポイントです。役員や先輩社員と懇親会をしたり、社内報を送ったりするのも良いでしょう。

入社直後のオンボーディング

 職場に馴染んでいない入社直後の時期に、十分なフォローを受けられないという状況は早期離職に直結するため、どんなに忙しくても新入社員を放置してはいけません。歓迎ムードを高めて、オンボーディングに力を入れていきましょう。

 入社直後のオンボーディングでは、会社の理念やビジョン、組織風土や社内規則、業務内容や期待する役割などを伝えていくのが一般的です。会社の価値観や存在意義をしっかり伝えることで、目的意識を持って仕事に臨んでもらうことができます。また、スタンス開発に関しても、「厳しく叱る」「一から教える」ではなく、「なぜ必要か・自分は十分にできているのかを自ら気付き実践する」研修が効果的です。

入社3ヶ月~6ヶ月後のオンボーディング

 入社3ヶ月~6ヶ月後は、職場にも慣れ、会社や仕事のことをひと通り把握し終わる時期であると同時に、配属先への不満や自身のキャリアとのギャップなどから離職の可能性が高まる時期でもあります。この時期のオンボーディングでは、キャリア面談や人事面談、フォローアップ研修などが有効です。

 フォローアップ研修は、新入社員研修から一定期間が経過した後におこなう研修のことで、再学習によって知識の定着が促されるだけでなく、モチベーションが下がっている新入社員をフォローする機会にもなります。また、現場に出て自信を失いがちな時期におこなうため、自信回復の機会にもなり得ます。


オンボーディングの事例紹介

 オンボーディングに力を入れている企業の事例をご紹介します。

メルカリ

 メルカリのEngineering Officeチームでは、エンジニア向けのオンボーディングをおこなっています。組織体制や現状の課題、将来の展望について理解を深めてもらうためのオリエンテーションをおこなうほか、新人エンジニアに必要な情報をオンボーディングポータルに集約・公開しています。また、技術領域ごとに独自のKPIを設定し、オンボーディングの達成度合いを図るサーベイも実施しています。

※参考:「すべての新入社員に素晴らしいオンボーディング体験を」リモートオンボーディングを成功させる施策 #メルカリの日々

https://mercan.mercari.com/articles/25122/

サイボウズ

 サイボウズでは、「新卒オンボーディング」と「キャリアオンボーディング」を実施しています。キャリアオンボーディングでは、社内で頻出する言葉の解説や、独自のメソッドの解説など、サイボウズの文化や価値観を伝えていきます。また、実際に働いてみて、もやもやしていることや疑問をkintone(業務アプリ開発ツール)で共有し、メンバーからアドバイスをもらったり、情報を整理して解決策を考えたりする「もやもや共有ワークショップ」をおこなっています。

※参考:オンボーディングと学習制度 | 採用情報 | サイボウズ株式会社

https://cybozu.co.jp/recruit/workplace/onboarding/

GMOペパポ

GMOペパポでは、入社したエンジニアの帰属意識の醸成と、同社のエンジニアとして活躍できる土台を作ることを目的にオンボーディングプログラム「ペパボカクテル」を実施しています。「CTO、VPoEとの1on1」や、組織内でリーダーシップを発揮してもらうための「やっていきシートの作成とふりかえり会」、部署を越えたつながりのきっかけを作る「エンジニアミーティングでの自己紹介」などのプログラムがあります。

※参考:エンジニア組織と制度 - Pepabo Tech Portal

https://tech.pepabo.com/engineers/

Kaizen Platform

Kaizen PlatformのEngineering GroupとSRE Groupがおこなっているオンボーディングは、新入社員が自ら「Onboarding Plan」を作成する点に大きな特徴があります。作成したOnboarding Planは全社員に公開され、定期的にCTOやメンターと期待値の調整や振り返りをおこなっています。

※参考:Kaizen Platformで行っているOnboardingプロセス - Kaizen Platform 開発者ブログ

https://developer.kaizenplatform.com/entry/glidenote/2018-04-11

エムスリーキャリア

エムスリーキャリアでは、「1st 90days プログラム」と題したオンボーディングを実施しています。1st 90days プログラムは、新入社員がどのような状況のグループに配属になっても、うまく組織に馴染み、成果を出して活躍することを目指すオンボーディングです。入社後90日で周囲から協力してもらえる関係性を構築するため、自己理解と相手(会社・組織・チーム)の理解を重点的におこないます。

※参考:オンボーディング|エムスリーキャリア採用サイト

https://career.m3career.com/onboarding


まとめ

 近年はテレワークを導入する企業が増え、新入社員もオンラインで働く会社が増えています。そのため、オンボーディングも、オンラインをベースにした方法・内容に変えていく必要があります。時代に合わせたオンボーディングによって、新入社員の戦力化・定着を図っていきましょう。


オンボーディングに関するよくある質問

Q:オンボーディングとOJTの違いとは?

 OJTは、実務に必要な知識・スキルの習得にフォーカスした人材育成手法のことです。一方で、オンボーディングは、OJTを含む「新入社員の受け入れプロセス全般」を指すのが一般的です。OJTだけでは、部署を越えた人間関係を構築したり、精神面のサポートを受けたりすることはできませんが、このような部分もカバーできるのがオンボーディングだと言えます。


Q:オンボーディングを実施する期間は?

 オンボーディングの期間は企業の考え方次第であり、職種やポジション、新卒社員か中途社員かによっても変わってくるでしょう。基本的にオンボーディングは長期継続的な取り組みであり、1年程度の期間を設けている会社が多いようです。入社後3ヶ月程度は手厚いプログラムでフォローをおこない、その後は、OJTをベースにしながら、定期的に面談などをおこない精神面のサポートをしていくのが一般的です。

LM編集部
LM編集部
理念・採用・風土・制度など組織人事のトレンドを発信しています。 基本的な用語解説から、多くの企業で陥っている実態、 弊社が培ってきた組織変革技術の知見を踏まえたポイント解説まで 皆様のお役に立ち情報をお届けします。

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