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1on1とは?効果的な進め方やテーマ例、失敗原因まで紹介

ヤフー株式会社でも導入され、注目されている「1on1ミーティング」(以下1on1)という対話方法があります。1on1は効果的に実施すれば組織にとっても個人にとってもメリットの多い施策です。

この記事では必要とされる背景から効果的な進め方、テーマ例から失敗原因まで解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.1on1とは何か?
  2. 2.1on1で得られる効果
  3. 3.1on1が必要となっている背景
  4. 4.1on1の実施に際しての組織課題とは?
  5. 5.1on1の効果的な進め方
  6. 6.1on1の具体的な内容例
  7. 7.1on1が失敗する原因
  8. 8.1on1時に部下の本音を聞き出すポイント
  9. 9.1on1を成功させるための準備や管理のポイントは?
  10. 10.1on1で参考になる書籍
  11. 11.​​おわりに

1on1とは何か?

1on1とは、部下と上司が1対1で定期的に行う面談のことです。

マネジメントのうちの一つとしてとらえることができ、経営と現場を接続させるための重要な役割を果たします。

そのためには、経営・現場×事業・組織の軸でとらえ、経営×組織は「ビジョンマネジメント」、経営×事業は「戦略マネジメント」、現場×事業は「PDCAマネジメント」、現場×組織は 「メンバーマネジメント」(下図参照)をバランスよく訴求していく必要があります。

日常の業務では、短期的に効果を得やすい「戦略 マネジメント」や「PDCAマネジメント」が主となるため、1on1の中では「ビジョンマネジメント」や「メン バーマネジメント」を重視する傾向が強いです。

ただ し、通常業務の中で事業サイドについても⼗分に結節 できていないことはあるため、組織・事業の両⾯を 1on1のスコープに組み込んでおくことが重要です。

ペースは個人の特性や状態によって異なりますが、週に1回~月に1回程度、1回あたり30分程度で行うことが多いです。

元々は米国で盛んに行われていた手法ですが、近年ではヤフー株式会社が導入したこともあり、日本企業にも注目される手法になっています。

▼【1on1ミーティング】に関する記事はこちら
1on1ミーティングの前に確認したい「部下との関係性」

1on1を実施する目的

1on1を実施する目的は部下・上司それぞれにありますが、共通する目的は「部下がよりよく成長していくための時間」ということです。

部下にとっての1on1の目的は「ビジネスパーソンとしての成長のきっかけを得ること」です。部下が仕事上で経験した成功体験や課題、悩みなどを共有し、上司はそれに対してフィードバックすることで部下に成長のきっかけを提供します。

ここでポイントなのは、上司が提供するのはあくまで「学びのきっかけ」であり、なんでも手取り足取り教えてあげることではありません。部下が受け身状態にならないよう気を付けましょう。

上司にとっての1on1の目的は「部下の成長と会社の成長を『結節』すること」にあります。

部下が会社に対してエンゲージメント高く、意味を感じながら働けるように、部下の成長と会社の成長を結び付ける必要があります。この時に、自社で働く意味を伝えようとしすぎて会社の方針や戦略を伝えるだけの場になってしまわないように注意が必要です。

一方、逆に部下に寄り添うだけの場になってしまっても、会社と部下自身の成長を結びつけられなくなってしまい結果的に部下のためにならない、ということも起こる可能性があるので注意してください。

評価面談との違い

評価面談も1on1と同じく「上司と部下が1対1で話す機会」ではありますが、目的が大きく異なっています。1on1はあくまで「成長」にフォーカスしたもので、上司と部下が対等に話すことが多く、評価の対象になることもありません。

一方、評価面談は部下の人事評価を決定したり、通知することを目的としているので、対話方法も「上司から部下へ」という形式になりがちです。

また、実施頻度にも違いがあります。1on1は成長を目的としているので週に1回~月に1回のペースで行いますが、
評価面談は期末など人事評価が決定されるタイミングのみの実施になります。

1on1で得られる効果

1on1を実施すると、具体的にはどんな効果があるのでしょうか。主に得られる効果を以下にまとめました。

部下や職場の状況把握

1on1を定期的に行うことで、部下が今どんな状況なのかを把握することができます。職場で起こっていることや、現在取り組んでいること、困っていることや発生している問題を把握することで、部下の課題だけでなく組織全体の課題が見えてくるきっかけにもなります。

部下の課題を解決する手助けをするとともに、根本的に組織として改善できないかどうかという視点を持つと上司の成長にも繋がります。

部下の成長促進

1on1では、部下は上司に対し定期的に自分の現在の状態の報告をします。報告をするためには、自分の中で失敗経験や成功体験を言語化し、振り返る必要があります。

自分での振り返りや上司との1on1の過程の中で、自身の傾向や課題が明確になり、学びが抽象化されていった結果、新たな行動の変化に繋がり、いわゆる経験学習モデルのサイクルが回るようになります。

経験学習モデルを習得できると、部下が自走して成長していくことができるので個人にとっても組織にとっても効果的です。

部下のキャリア支援

1on1では、部下が中長期的な視点でキャリアを考えるきっかけとなります。

上司は1on1で部下の強みを把握することができるので、その情報をもとに部下に適したキャリアやどういった役職を目指していってほしいのか、どんな活躍を期待しているのかを伝えることができます。

その結果部下のキャリア支援だけでなく、適切な人材配置を考える際にも役立ちます。

部下のエンゲージメント向上による定着率改善

1on1のサポートによって部下が自走して成長できるようになると、部下自身も実感をもって成長していくことができるようになったり、自身の成長や中長期のキャリアが会社の成長と繋がっている実感を持てるようになったりします。

これらは仕事へのモチベーション向上にも繋がるので、結果的に会社に対するエンゲージメントが上がり、会社への定着率改善にも寄与するでしょう。

1on1が必要となっている背景

1on1はもともと、アメリカのシリコンバレーで積極的に行われていた施策です。それが日本で広まった背景について解説します。 

事業環境変化

2010年代に入って以降は、ビジネス環境において「VUCAの時代」が到来したといわれています。VUCA時代とは

Volatility(変動)
Uncertainty(不確実)
Complexity(複雑)
Ambiguity(曖昧)

という4つのワードの頭文字から取った言葉で、「予測不能な状態」という意味を持ちます。

新型コロナウイルスの流行を始めとして、ビジネス環境は予測不能であり、「これまでの経験やスキルが通用しない」「これまで通りにビジネスを行っても成功しない、長続きしない」という状況が生まれています。

そんな予測不能な市場の中で会社が成長していくためには、自分で考え挑戦し、自ら学び成長できる人材を輩出し、試行錯誤を繰り返して新たな勝ち筋を創出できる組織を作る必要があります。

そのためには、個人の成長も当然ながら、部下同士や上司と部下など、新たな勝ち筋を生み出すための組織内コミュニケーションが不可欠です。その手段の一環として、1on1は注目されています。

労働市場変化

現在日本では、少子高齢化に伴う労働人口の減少が著しくなっているとともに、終身雇用や年功序列の崩壊で転職活動も当たり前になっています。会社と個人の関係は、お互いを選び合う相互選択関係へと変化しました。

したがって、一度採用した優秀な人材が自社を選び続け、長く働いてもらえるかが会社自体の成長に大きく寄与します。そのためには、多様なワークモチベーションを理解した上で、会社の成長と自身の成長を結び付け続けられるようなコミュニケーションが必要です。

その有効な手段として1on1は普及しています。

社会的制約の増大

現在、コーポレートガバナンスやコンプライアンス、ハラスメントなどの問題から働き方改革の推進など、以前よりも会社として守らなければならないことが増加しています。

その一方で、そのような社会的制約の増大に適応できていない人も一定数おり、それによって悩んでいる人も多いです。

1on1という場があることで起こっている問題や悩みを察知し、解決に繋げるきっかけになります。

1on1の実施に際しての組織課題とは?

実施やクオリティにばらつきがある1on1ミーティングの仕組み化、制度化を行っていない場合には、上司のスケジュールが多忙のため、時間の確保ができず1on1を実施する人としない人のばらつきが出たり、上司によるその場の有効性にばらつきが出たりする可能性があります。

確実に有効な1on1を実施するためには、規則として業務に組み込むことが重要です。その際には、下記の要素を意識するのも良いかもしれません。

対象:誰と誰が1on1を実施するのか
役割:誰がアジェンダを設計するか。スケジュールを調整するか
基準:どんな内容で、何がクリアになったらその場が有効と言えるか
納期:週に○回1on1を実施する

双方の心理的負担となる

1on1の施策は、得られる効果も多い分、一定の時間がかかる施策でもあります。上司は、日々の業務やマネジメントに加え、部下一人に対して30分~1時間ほどの時間を要するため、部下の人数が多い場合は全体の業務時間が大きくひっ迫する可能性があります。

部下側も、定期的に1対1で上司とコミュニケーションをとるため、期待に応えなくてはならないという圧迫感を感じる場合もあるといいます。

上司の時間のひっ迫を解消するためには、上司は適切にマネジメントラインを分割し、1on1の役割を移譲することも大切でしょう。

また、部下の心理的負荷を解消するためには、業務に関する論理的なコミュニケーションだけでなく、部下の心理面を理解した情理的コミュニケーションを大切にする必要があります。

上司部下のお互いの心理的ひっ迫を低減させ、より良い場にしていくためにはコミュニケーションをとり、より良い場になるように改善していく必要があります。

部下からの本音がでてこない

上司と部下の間で心理的安全性が築かれていない場合、部下から現在の悩みや、課題、心理的状況等が1on1では露出されにくい場合があります。

表面的なコミュニケーションだけではなく、より効果的な1on1を実施するためには、まずはお互いの心理的安全性を構築するために、上司側から自己の情報や、葛藤を積極的に提供すると良いでしょう。上司から積極的に情報を開示することで、部下も情報を開示しやすくなっていきます。

部下のためにならない1on1

そもそもの目的を見失っている場合、1on1が有益な時間になっていない場合が多くあります。実際、「何を話したら良いかわからない」「無意味な時間となっているがどうしたらよいか」といった質問はクライアントの皆様からよくいただきます。

原因は、先にあげた4つの領域を正しくマネジメントできていないことです。下記に1on1でよく聞かれるメンバーの悩みとそれぞれに該当するマネジメント領域をまとめました。

上司は1on1の際に、4つの領域 を正しくマネジメント出来ているのか意識し、部下と目的をすり合わせつつ⾯談をしていくことが⼤切です。

1on1の効果的な進め方

ここでは、1on1を効果的に実施するために、具体的な方法を4つのステップに分けて解説します。

①目的を設定し、共有する

突然1on1を実施する、とだけ伝えても、部下は「何を話したらいいのだろう」「自身の人事評価には影響しないだろうか」など不安を感じてしまいます。

そのため、まずは1on1は「部下がよりよく成長していくための時間であり、人事評価には関係ない」という旨を伝えましょう。しかし部下の中には1on1に積極的な部下もいれば、短期的に見れば業務を行う時間がとられるので消極的な部下もいます。

そのような消極的な部下にはキャリアや成長について話すことを伝え、中長期的に意味があると理解してもらえるようにしましょう。

②日程を設定する

1on1の日程は、都度設定にしてしまうとどうしても優先順位が下がってしまいます。
そのため、定期的な予定として組み込み、どちらかに予定が入ってしまった場合は必ず変更するように徹底しましょう。

頻度は間隔が空きすぎると内容を忘れてしまったり、報告やフィードバックのタイミングが遅れてしまったりするため、できれば週に1回、最低でも1か月に1回は実施するように予定を組みましょう。

曜日や時間帯はお互いの都合が一番つきやすい時間に設定できるのであればいつでも良いですが、休日の前後は決めたアクションをすぐに実行できなかったり、話した内容を忘れてしまったりする可能性があるので避けるようにしましょう。

③当日の流れを考える

1on1の時間をより有意義に使えるように、当日の流れを事前に考えておくことが大切です。まずはどんな内容を話すのか、大まかなテーマを上司が部下に合わせて考えて決めるのが一般的です。

具体的な内容については、次の項を参考にしてください。しかし、もし部下が他に話したいことがあれば、1on1の目的である「部下のよりよい成長」と照らし合わせてそちらもアジェンダに組み込みましょう。

当日の流れは、話すテーマを冒頭で確認し、部下の所感を共有してもらいます。そのあとに上司からフィードバックを行い、最後に二人で成長のための次のアクションを決め、その他必要なサポートを確認して終えるという流れが理想的です。

④内容をまとめ、次回に向けて準備する

次回の1on1との連続性を保てるように、必ず内容をメモなどしてまとめておきましょう。

上司のみ自分用にメモをとる、でも良いですが、上司と部下のお互い見ることができる形で記録するほうが、認識のズレが発生しないので効果的です。前回の1on1の内容を踏まえて、次回の1on1のテーマ設定等に臨みましょう。

1on1の具体的な内容例

1on1は「部下がよりよく成長していくための時間」なので、その目的に沿っていれば基本的に何を話しても問題ないですが、何を話したらよくわからない方向けに1on1で話すと良い具体的な内容例をお伝えします。

部下の意欲状態の把握・向上

1on1に入る以前に、まずは部下の仕事に対する意欲状態や特性を知っておくことが必要です。部下の部下意欲状態を把握し向上させるためには、「モチベーション特性」を知っておくことが重要です。

部下のモチベーション特性を理解し、コミュニケーションを行うことでより献身的な話し合いをすることができ、その場で部下が成長するためのエネルギーを創出させることができるでしょう。

モチベーション特性を把握せずに、良かれと思いとった行動が逆に部下のモチベーションを下げてしまったという例はよくある話なので気をつけましょう。

今後のキャリアについて

1on1の場では、普段なかなか話す時間の取れない中長期のキャリアの話をすることがお勧めです。部下の考える中朝的なキャリアと現在の仕事や自社の方針が結びつけば、部下が今ここを頑張る意味と繋がり、モチベーションもアップします。

キャリアに関して漠然と不安を抱える部下も多いので、この結びつきが弱いとモチベーションダウンだけでなく離職にも繋がってしまいますので、1on1でフォローしましょう。

話す際は、最初から「将来やってみたいことは?」「望んでいるキャリアパスは?」など漠然と聞くのではなく、部下の状況に合わせて強み弱み、最近一番力を入れた業務、今の業務のやりがいなどから深堀りしていきましょう。

意識するポイントは、本人のWII(やりたいこと)、CAN(できること)、MUST(やらなければならないこと)の3つの要素の重なりを意識することです。個人のモチベーションを意識しつつも、会社の成果創出も意識できるようなキャリア設定を行う得るようにバランスを心がけましょう。

仕事に関するGood/Moreや困っていること

業務を進める中では、様々なGood/Moreが発生します。

その経験をただの事実として終わらせるのではなく、「何故うまくいったのか?」「何故うまくいかなかったのか?」というGood/Moreの背景や、その経験から学んだことを部下に問うことで、経験学習サイクルが回り部下の成長に繋がります。

その際には、表面上の「何故」を問うのではなく、深層に抱えている事象を引き起こしてしまった「価値観」「考え方」を深堀することを意識しましょう。その深層を抽象化させることで、再発防止やほかの事象に転用させることができるようになります。

Good/Moreを伝える際には。部下の能力とセットで部下に伝えることも意識しましょう。

①上司できる×部下できる:⾃由と責任を与えて任せるマネジメント
②上司できる×部下できない:対話を意識して励ますマネジメント
③上司できない×部下できる:間違いを指摘して正すマネジメント
④上司できない×部下できない:具体的に⼿順を教えるマネジメント

のように部下の能力と認識をすり合わせるコミュニケーションをとりましょう。


また、緊急度が高い困りごとは上司に相談し、解決に向かいやすいですが、緊急度は低いが重要な困りごとというのは後回しになりがちです。1on1ではそのような困りごとについて対話し、部下自身で解決できるよう問いかけ、ヒントを与えましょう。

ビジネスマンとしての立ち振る舞いや、個人のキャリアやについては特に重要度は高いが、緊急度は低いととらえがちな議題ではあるので意識していく必要があります。

職場環境の現状

部下本人だけでなく、部下の周りのメンバーを含めてどんな様子なのか、何か問題が起こっていないかなどを確認すると良いでしょう。

周囲の様子を聞くことで、本人から問題や相談ごとが上がってこなかったとしても起こっている事実を把握し、適切に質問を投げかけ気づかせたり、アドバイスをすることが可能になります。

本人だけの認知ではなく、第三者から見た状況も加味することでより網羅的に部下の情報を把握することも可能となります。

また、会社の業績や職場の組織状態は、密接に個人の状態と結びついています。特に、会社の業績が振るわない時には、職場全体が疲弊していることも多く、部下のコンディションも上下することが多く注意が必要です。

部下の状態が、組織全体の状態が関係するものなのか、部下本人の課題や個別の状況から来ているものなのかを正しく判断し、対応する必要があります。

尚、会社や組織状態について、共有する際は、「メンバーに事業戦略を共有し、戦略や方針に共感させることが大切です。その際に有効なフレームワークが「3C(Company ‒ Competitor – Customer) 分析」です。

「Customer (顧客・関連部署)」・「Competitor(競合)」・「Company (⾃社・⾃組織)」の三者の関係性を整理し、三者の関係性の中で競争優位性を考えます。

⾃社・⾃組織の継続的な発展・成⻑のために、「顧客(関連部署) から選ばれる理由」や「提供すべき商品・サービス」を明確にし、継続的に提供することが重要です。

1on1が失敗する原因

様々な効果のある1on1ですが、うまく実施できなかったり部下の成長に繋げられない場合もあります。ここでは、1on1が失敗する要因と対策について紹介します。

部下との信頼関係が構築できていない

1on1は部下の本音を聞き出し、成長につながるよう促す時間です。しかし、人は信頼関係を築けていない相手には本音を話したり自己開示することはありません。

そのため、最低限の信頼を得ていなければ1on1はうまくいかないでしょう。普段から積極的なコミュニケーションを心がけ、信頼関係を築いておくことが重要です。

また、1on1の最中でも部下の話を最後まで聞かなかったり、話の途中で別の質問をするなど、聞き方や話し方によっては会話がうまくいかず、信頼関係を失ってしまう場合があります。

そのような姿勢だと、部下も本音を話しにくくなってしまい、1on1で信頼関係が崩れてしまう可能性もあります。部下が本音を言いやすくなるような聞き方を心掛けることが大切です。

具体的には、一方的な上司の満足ではなく、部下の「期待」と「満足」をすり合わせることです。部下はその場に何を期待していて、現状どれくらい満足しているのかをヒアリングをし、満たしていくことが大切です。

テーマが定まっておらず、効果が得られない

1on1のテーマが定まっていなければ、実施しても十分な効果が得られません。テーマが定まらないまま実施しても、雑談だけの時間になってしまったり、業務の進捗確認するだけの場になってしまいます。

1on1の目的は「部下がよりよく成長すること」です。この目的に沿ったテーマを事前にお互いが認識し、事前準備を行うことが大切です。

部下の成長に繋がらない

1on1を実施すると、色々な部下の悩みや困りごとを聞くと思います。せっかくの機会だからと、自分の経験してきたことや、成功した方法を色々教えたくなる上司も多いでしょう。

ただ、指示ばかりしていると部下が自分の力で考えようとしなくなり、結果的に部下の成長が遅れてしまう恐れがあります。

1on1は部下に「成長するために自分が行動するためのヒント」を与える場であると理解し、基本的には部下主体で話を進めて上司が話しすぎないように気を付けましょう。

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1on1時に部下の本音を聞き出すポイント

1on1をより効果的なものにできるか否かは、コミュニケーションの中で相手の本音を引き出せるかどうかで決まってきます。部下の本音を引き出すためには、①自己開示②傾聴姿勢が大切です。

コツ①自己開示

相手から情報を引き出すためには、まずは自分から情報を開示する必要があります。自己開示のポイントは、業務や役割に縛られない自分自身のパーソナルな情報を開示することです。

具体的には、自分の幼少時代の経験や、失敗経験、趣味や入社してからのキャリア等、プライベートな情報と会社での情報をバランスよく盛り込みつつ、情理を意識したコミュニケーションを図るとよいでしょう。

「相手が個人的な情報を隠さずここまで話してくれた」と感じると、人は「同じように自分も情報を開示しなくてはならない」という「返報性の法則」の心理が働きます。すると、事故情報を開示された側も、開示した情報と同じ基準感で情報を開示しやすくなります。

この際の注意点は、自己満足の情報発信を避けることです。上司の自慢話や社内の愚痴などは、部下からの信頼を遠ざけることにもなりかねません。

コツ②傾聴姿勢

相手から情報を引き出すためには、「聞き手の姿勢」も重要となります。「傾聴」とは相手の話す事柄に対して、深く耳を傾け、内容に興味を持ちつつ、理解を示すためのコミュニケーションをとることです。

具体的には、相手の話を受け止めること→相手の話を繰り返したり、要約すること→相手の話に応じて質問を投げかけたり、深堀りをすることです。

傾聴のポイントは、まずは相手の立場を理解し、共感しようという気持ちを持つことです。通常の業務では、部下の育成のためにフィードバック頻繁に行う方も多いと思いますが、否定や改善から入るのではなく、まずは相手の話した内容に共感することを第一に行いましょう。

そして、傾聴の技法も大事な要素です。「アイコンタクト」「相槌」は、相手に「自分の話をしっかり聞いてくれているという安心感をもたらし、心理的安全性を形成します。

聞いている側は、共感や理解していることでも、相手からは目に見える反応でしか、それらを判断することはできません。

簡単なテクニックですが、動作や言葉で相手に「聞いている」という姿勢を示しましょう。

1on1を成功させるための準備や管理のポイントは?

コツ①全社的に1on1に取り組む

前項にも述べましたが、1on1は仕組化させることが重要です。上司のスケジュール問題や、事業面の優先等、様々な要因で1on1の時間は削減されることが多いです。

しかし、個人のモチベーションの維持や、キャリア形成にとって、1on1は有効な施策の一つです。

まずは、1on1が優先すべき業務の一つであるという認識を、会社全体で共通認識をとること。

そして、上司部下ともに重要性や目的を設定したうえで時間をブロックすることで、1on1の機会を喪失しないように心がけましょう。とにかく、仕組みや規則に組み入れることが重要です。

コツ②1on1実施前に、部下の情報を知っておく

部下の情報を事前に収集しておくことは、1on1を成功に導くための大きなポイントです。

上司は部下のタイプの違いや、価値観を知っておくことで、より深い情報を引き出し、適切に良い方向へと導くことができるでしょう。前述したメンバーのモチベーションタイプを把握しておき、それぞれのタイプに応じたコミュニケーションとっていくことが重要です。

また、当日への準備として、距離感の近い部下に関しては日頃の行動を把握する、距離感の遠い部下に関しては、周囲を通して、現在の悩みや状態を把握しておくと効果的な場となるでしょう。

③適切な頻度で実施し、記録を残す

1on1の適正実施回数は組織によって様々です。部下と上司のスケジュールを鑑みつつ過度な負担にならないように設定することと、部下の状態が適切に把握できるスケジュールのバランスをとって期間の設定をすることが重要です。

また、1on1でやり取りした内容は必ず記録に残しましょう。

部下の悩みや、現在の状況を記録に残しておくことで、その場限りの単発なアドバイスではなく、中長期的な経過を見ることにより「変化」「成長」「課題」等の部下自身が気付きにくい新たな観点で1on1を実施することが可能となります。

1on1で参考になる書籍

ここでは1on1の導入を検討する際や、実際に部下と1on1を行う際に参考にしていただける書籍をまとめています。

『ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』本間浩輔

この本ではヤフー株式会社がどのように1on1を導入し、社内に定着させたのかを解説しています。実際に1on1をどうやって進めたらいいのか、意識すべきことは何かというのが具体的に説明されています。

1on1の導入を検討している企業の方にお勧めの1冊です。

『ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』本間浩輔

『シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―』世古詞一

1on1の必要性から、1on1で何を話すべきかまでがわかりやすく整理された書籍です。1on1を体系的に理解し、何故必要なのか?どのような質問や話題を振れば良いのか?を学べる書籍です。

自社で導入されて実際に1on1を実施しようとしている方にお勧めです。

『シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―』世古詞一

『1on1マネジメント』松丘 啓司

1on1で部下のパフォーマンスを最大限引き出すには?という手法が解説されています。1on1ですぐに活用できるチェックリストがついており、これから1on1を実施しようとしている方にとってはかなり実践的な手法を学べる書籍です。

『1on1マネジメント』松丘 啓司

『フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術』中原淳

1on1で部下とコミュニケーションをする際に必要なフィードバックの仕方が分かりやすく解説された書籍です。1on1を実施する方にはもちろんですが、普段から部下へのフィードバックの仕方やコミュニケーションの取り方に悩まれている方にもお勧めです。

『フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術』中原淳

​​おわりに

VUCA時代の今、1on1は社員1人1人がより角度高く成長していくために効果的な手段の一つです。中長期的に見ると、部下にとっても上司にとっても有効な成長の機会でもありますので、ポイントを押さえてぜひ実践してみてください。


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木藤 綾佳
木藤 綾佳
【プロフィール】 リンクアンドモチベーション入社。以降、大手企業向けのコンサルティング部隊に所属。 営業企画として人材育成サービスに関するマーケティング施策に携わる。

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