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成功循環モデルとは?4つの質や活用するメリット、研修の具体的な方法などを解説

人事業務では、組織の活性化や従業員のパフォーマンス向上のために何が重要かを考えることも大切です。そして、パフォーマンス向上につながる成功循環モデルを知り、自社で導入できないかを検討するために情報収集をすることがあるでしょう。

そこで本記事では、成功循環モデルの概要やそれを構成する4つの質を解説します。成功循環モデルでグッドサイクルを回すための方法や実践する際のポイント、注意点など、組織の改革やチームの改善を目指す人に役立つ情報も紹介するため、参考にしてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.成功循環モデルとは?概要を解説
  2. 2.成功循環モデルにおける4つの質
  3. 3.成功循環モデルにおけるグッドサイクルとバッドサイクル
  4. 4.成功循環モデルでグッドサイクルを回すための手順
  5. 5.成功循環モデルを実践する際のポイント
  6. 6.成功循環モデルを実践する際のリスクと注意点
  7. 7.まとめ

成功循環モデルとは?概要を解説

「成功循環モデル」とは、MIT組織学習センターの共同創始者であるダニエル・キム氏によって提唱された組織開発のフレームワークです。成功循環モデルは、組織の状況を4つの質とサイクルで定義しており、組織が成果を上げ、結果を出し続けるために活用されています。

結果至上主義の組織は、長期的な視点では成果につながっていないという課題を抱えています。しかし、成功循環モデルを活用して4つの質を高めれば、従業員に前向きな意識が生まれ、組織全体の課題も改善されるでしょう。

成功循環モデルにおける4つの質

成功循環モデルは、次の4つの質をもとに構成されています。それぞれについて詳しく解説します。

関係の質

関係の質は、従業員同士の関係性や交流の質を指すものです。成功循環モデルでは、この関係の質を高めることが成果につながるとされています。なお、関係の質が高い状態とは、従業員同士が信頼し合い、コミュニケーションが活発に取れる状態をいいます。

関係の質が低い場合では、従業員が対立し合うだけでなく、責任の押しつけ合いが起こることもあります。チームワークがない状態では、それぞれの能力が発揮されず、組織としても成果を上げられなくなるでしょう。

思考の質

思考の質は、物事の考え方や思考、意識を表すものです。思考の質が高い状態とは、従業員それぞれが自発的にアイデアを考え、積極的に意見交換ができる状態です。また、コミュニケーションが活発になれば、知識の共有もできるため、思考の質もさらに高まるでしょう。

思考の質が低い組織では、自発的に物事を考えられず、受動的な姿勢になってしまう従業員が多くなります。アイデアも生まれにくいため、組織が成長する機会も少なくなるでしょう。なお、思考の質を高めるためには、関係の質が十分に高まっていることが重要です。

行動の質

行動の質が高い状態とは、従業員が自発的に新しい行動をしている状態を指します。行動の質が高いと、意思決定もスピーディに行えるため、組織の仕組みやルールづくりが柔軟にできるでしょう。

一方で行動の質が低いと、新しい行動が生まれにくいだけでなく、変化を受け入れられない組織になってしまうため、成果を生み出すのが難しい状況に陥ってしまう可能性があります。

結果の質

結果の質とは、関係・思考・行動の3つが作用して生み出された組織全体の結果や成果を指します。成功循環モデルでは、結果の質だけを求めるのではなく、これまでの3つの質を向上させて、はじめて結果や成果が現れるとしています。

成功循環モデルにおけるグッドサイクルとバッドサイクル

成功循環モデルでは、先に解説した4つの質をうまく循環させるのが重要なポイントです。循環には、「グッドサイクル(好循環)」と「バッドサイクル(悪循環)」があり、この2つは同じ循環でも起点が異なります。

グッドサイクル

グッドサイクルは、4つの質がそれぞれによい影響をもたらす流れです。グッドサイクルにするためには、関係の質を起点として、まずは従業員同士のコミュニケーションを活発化させることが重要です。自由な意見交換ができるようになれば、仕事の気づきや面白さが生まれ、思考の質が高まります。

そして、思考の質が高まれば、自然に自発的な行動ができるようになり、行動の質も高まっていくでしょう。このよい流れにのれば、結果の質が高まり、組織や企業の業績も向上します。

バッドサイクル

グッドサイクルとは対照的に、バッドサイクルは4つの質がマイナスに作用してしまうため、成果も上がらず悪循環に陥った状態です。これは、グッドサイクルとは異なり、結果の質が起点となっていることが要因です。結果に目を向け、目先の業績にこだわりすぎると、ノルマを設けたり、命令や強制事項が増えたりします。

そのような状況下では、従業員は指示されたことだけをやる受け身の姿勢になり、組織内で責任を押しつけ合い、関係の質が低下してしまうでしょう。その結果、仕事の面白さがなくなるため思考の質が下がり、積極的な行動もなくなるため行動の質も低下していきます。

成功循環モデルでグッドサイクルを回すための手順

成功循環モデルでは、関係の質を起点としたグッドサイクルで4つの質を循環させることが重要です。具体的にどのように回していけばよいのかを詳しく解説します。

関係の質を高める

成功循環モデルをグッドサイクルで循環させるために、関係の質を高めることは重要なポイントです。なお、従業員同士が理解や信頼を深めて、活発にコミュニケーションを取れる状態を築くには、心理的安全性を確保する必要があります。

心理的安全性とは、従業員が組織内で他の従業員から拒否されることなく、自由に発言したり提案したりできる環境のことです。このような環境をつくるには、日ごろからあいさつや会話をする機会を増やし、感謝の言葉を伝え合うようにするとよいでしょう。

思考の質を高める

思考の質が高い状態とは、メンバーが自分の頭で考え、アイデアや意見を出し合い、問題解決に向けて協力できる状態です。

思考の質を高めて問題解決をする際は、次の流れを参考にしてみましょう。

1.問題を明確に定義する
2.問題の原因を分析する
3.解決策を考える
4.解決策を実行する
5.解決策の効果を評価する

このステップで進めた際の効果を振り返り、改善が必要と判断した場合は、新たな策を考えて実行していきます。

行動の質を高める

次に、従業員が主体性を持って積極的な行動をしたり、新しいことに挑戦したり、学び続ける姿勢を持つ行動の質が高い状態を目指します。行動の質を高めるには、目標設定やフィードバックが重要となり、以下のような方法で実施するとよいでしょう。

目標設定は、SMARTの法則という基準に沿って行い、具体的かつ達成可能な目標にすると効果的です。またフィードバックでは、従業員が立てた目標の行動進捗や成果を定期的にチェックして、必要に応じて評価したり改善策の提案をしたりします。よい行動と課題をバランスよく伝えるのが重要なポイントです。

結果の質を高める

結果の質が高い状態とは、従業員や組織が目標を達成し、成果や業績を上げられる状態です。

結果の質を高めるには、これまでの3つの質を高めることに加えて、評価と改善をすることが重要なポイントになります。評価とは、当初の目標と実際の結果を比較して、効果検証をすることです。また、改善は評価で導き出した結果から問題点を明確にして、改善策を検討することです。

さらに改善には、目標達成のためだけでなく、従業員や組織のパフォーマンス向上や新しい目標に取り組む目的が含まれています。

成功循環モデルを実践する際のポイント

成功循環モデルを実践する際には、次のポイントを押さえながら進めていくようにしましょう。

まずは計画を立てる

成功循環モデルの実践では、はじめに目標設定や目標達成のための戦略を立てます。目標設定では、達成可能な目標を長期的な視点と短期的な視点の両方から、できるだけ具体的に設定しましょう。目標を定めることによって、共通認識が持てるようになり、的確な行動を取れるようになります。

コーチングやフィードバックを実施する

行動の質を高めるには、コーチングやフィードバックの実施もおすすめです。従業員それぞれの状況を上司が把握して評価したり、行動計画や計画の修正をしたりして、ゴールへと導きましょう。なお、適切なコーチングには、マネジメントをするリーダーのコーチングスキルの育成も重要です。

従業員同士で感謝を伝え合う組織の仕組みを構築する

従業員同士が感謝の言葉を伝え合う習慣は、関係の質に関わる心理的安全性の向上に役立ちます。助けてもらった分、次は自分も力になろうという意識が芽生え、相互扶助の関係を構築できます。

感謝の伝え方は、直接伝える以外にサンクスカードやピアボーナスなどを導入することもよいでしょう。サンクスカードとは、感謝をカードにして渡す方法です。ピアボーナスは、感謝を送るだけでなく、インセンティブを付与する制度です。

管理職に対して研修を実施する

心理的安全性の高さに影響するのは、職場をまとめる管理職の対応とされており、管理職の資質には、次のような要素が関係しています。

・透明性の高さ:隠し事のないオープンな関係性を築く
・利己的でない:チームの利益を優先して行動する
・話をよく聞く:メンバーが考えを伝えられるよう傾聴の姿勢を持つ

管理職自身がこれらの要素を身につけるには、日々の業務で意識を持って行動するだけでなく、企業も管理職向けに研修を実施するとよいでしょう。

コミュニケーションの機会を増やす

成功循環モデルをうまく循環させるためには、コミュニケーションが効果的に取れているかどうかも重要なポイントです。組織内で適切な情報共有がなされ、全員が情報を得られている状態であれば、誤解が生まれてミスや無駄な業務が増えることを避けられるため、効率のよい業務進行が可能になるでしょう。

組織の目標やビジョンを従業員に共有する

組織の目標やビジョンを従業員にも的確に伝えることは、それぞれが当事者意識を持って考えながら行動することにもつながるため、思考の質を高めるのに効果的です。

目標の共有方法として、SMARTの法則を用いると、組織の目標と個人の目標の関係性を意識できるようになります。また、1on1ミーティングを実施して、定期的に目標を再確認することも重要です。

成功循環モデルを実践する際のリスクと注意点

成功循環モデルを実践する際は、チームのリーダーである管理職関係の質を高めることも重要です。

リーダーは、「部下に負担をかけないようにしよう」「部下を傷つけないような接し方をしよう」という意識になりがちです。しかし、気遣いと甘やかすことは別であり、言いづらい内容を伝えることを避けるのは、適切なコミュニケーションが取れている関係とはいえません。リーダーと部下は友人のように仲がよいのではなく、業務をともに遂行する仲間でなければなりません。

部下の行動や言動が間違っているのであれば、的確に指導し、行動指針に則ったチームづくりを行いましょう。

まとめ

成果を上げ、結果を出し続ける組織づくりには、成功循環モデルの4つの質をうまく循環させることが重要なポイントです。結果にこだわりすぎた業務の進め方をすると、4つの質を悪循環させる要因になるため、関係の質の向上から取り組むようにしましょう。

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LM編集部
LM編集部
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