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課題発見力とは?求められる理由や高める方法、ポイントなどを解説
ビジネスを発展させるためには、さまざまな力が必要です。その1つとして挙げられる力が「課題発見力」です。従業員の課題発見力を高めることは、企業の成長につながります。本記事では、課題発見力が求められる理由や、課題発見力を高める方法、従業員へのアプローチで意識したいポイントなどを解説します。
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課題発見力とは
課題発見力とは、現状を分析し、自ら課題を見つける力のことです。言い換えれば、一見すると問題がないように思えても現状に満足せず、さらに改善すべき点を明らかにする力と考えられるでしょう。
経済産業省が提唱する社会人基礎力の1つに数えられており、「現状を分析し目的や課題を明らかにする力」と定義されています。
課題解決力との違い
課題発見力と混同されがちな言葉に、課題解決力があります。
課題解決力とは、顕在化している課題を解決する力のことです。これに対し、課題発見力とは、まだ発見されていない潜在的な課題を見つける力のことを指します。
望ましい水準をクリアしていない現状を変える力が課題解決力、望ましい水準はクリアしているが、現状からさらによくするために必要な力が課題発見力ともいえるでしょう。
社会人に課題発見力が求められる理由
ビジネスパーソンに課題発見力が求められる背景には、現代のビジネスを取り巻く環境があります。現代のビジネス環境は変化が激しく、これまでのビジネスモデルや価値観が瞬く間に通用しなくなる可能性があります。変化の激しい時代を生き抜くためには、現状に満足せず、絶えず変化していくことが大切です。
また、消費者ニーズの多様化が進む現代では、ビジネスにおける課題も複雑化しています。これまでの「あたり前」を疑い、少し先の未来を見越したビジネスを展開するためにも、自ら課題を発見する力は必要不可欠です。
課題発見力が高い人の特徴
課題発見力が高い人の共通点は、次のような特徴があります。
物事に「なぜ」と疑問を持てる
課題発見力が高い人は好奇心が強く、あらゆる物事に対して「なぜ」という疑問を持ちやすい人が多いでしょう。多くの人があたり前として受け入れていることでも、「本当にこのやり方が最適なのか」「もっと改善できるところはないか」と疑問を持つ傾向があります。このように目の前の物事に「なぜ」と疑問を持つことは、最適な状態を実現するために不可欠な要素です。
物事を客観的に分析できる
分析力に長けている点も、課題発見力が高い人の特徴で、事実やデータに基づいた客観的な分析を得意とします。
ビジネスを発展させるためには、現状の課題に気づくだけでなく、その課題の本質を見抜き、望ましい水準とのギャップを正しく理解することが大切です。自分のなかの「気づき」を漠然としたイメージで終わらせず、具体的な改善策を立案するところまで分析できる力を高めましょう。
改善策を前向きに考えられる
「これまで同じやり方を続けてきたから」「今のところ問題がないから」と現状に満足している人は、そもそも課題を発見しようとはしません。課題発見力が高い人は、現状をよりよい方向へ導くことに対して前向きな姿勢を持っています。安定した状態をあえて突き崩すことで、より高みに近づくための改善策を考案できるでしょう。
課題発見力を高める方法
ここからは、課題発見力を高める方法を解説します。日々の意識を変え、業務を実践するなかで課題発見力を磨きましょう。
クリティカルシンキングを身につけること
クリティカルシンキング(批判的思考)とは、主観や先入観を捨てて物事を考察する思考法です。
クリティカルシンキングが身につくと、自分のなかにある前提を捨て、物事をさまざまな方向から考察できるようになります。すると、これまで見落としていた側面にも気がつき、隠れていた課題も発見しやすくなります。また、物事の本質を捉えることで、誤った判断をするリスクも低減されるでしょう。
クリティカルシンキングを身につける方法は、次のようなやり方があります。
・自分の考えを深掘りする
・目の前の物事を鵜呑みにせず、反論を思い浮かべる
ゼロベース思考を持つこと
ゼロベース思考とは、先入観や思い込みを「ゼロ」にして思考することです。そのため、ゼロベース思考は、クリティカルシンキングとも密接な関わりがあります。
ゼロベース思考は「前提を疑うこと」「本来の目的を見失わないこと」「全体構造を捉えること」の3つで構成されます。
つまり、ゼロベース思考を実践する際には、先入観を捨てて物事を多面的に捉えつつも、もともとの論点から外れないことが重要です。また、全体を俯瞰的に捉え、要素同士のつながりを意識して思考する必要があります。
多角的な視点を持つこと
ビジネスの現場で課題発見力を発揮するためには、ただ課題を見つけるだけではなく、改善策を導き出さなければなりません。そのためには、見つけた課題をさまざまな角度から分析し、本質を見極める力が必要となります。
課題発見力で見つかる課題は潜在的で、誰が見ても明らかな課題ではないからこそ、多角的な分析により問題の核を特定することが大切です。
現状に満足しないこと
改善への道筋は、現状に満足しないことから始まります。たとえば、職場で問題なく回せているルーティン業務にも、「本当にいまのやり方が最適なのか?」という視点を持てば、改善の余地が見つかる可能性があります。安定した状態に満足せず、常により最適な状態を求める姿勢が重要です。
評論家にならないこと
現状の問題点を見つけるだけの評論家は、周囲から反感を買いかねません。課題を発見したなら、解決のために自ら行動に移さなければ課題発見力を発揮しているとはいえないでしょう。
たとえば、トラブルを予見していたのなら、問題が顕在化してから「自分は分かっていた」と主張するのではなく、事前に周囲に共有して対策を打つ必要があります。
従業員の課題発見力を高めるためのポイント
ここからは、企業の人事担当者に向けて、従業員の課題発見力を高めるためのポイントを解説します。
責任をもって取り組ませる
従業員の課題発見力を高めたいなら、課題の発見から解決まで責任をもって取り組ませることが大切です。課題を見つけて終わりではなく、解決策を立てて計画し、実行に移すところまでをセットで任せるようにしましょう。
また、解決までのプロセスの進捗を確認し、従業員の行動を振り返られるよう、定期面談を実施することも大切です。
課題発見のフレームワークを定着させる
フレームワークを活用すれば、経験の少ない従業員も課題を発見しやすくなります。また、決められた型を使用することで、課題をより迅速に見つけられるでしょう。たとえば、次のようなフレームワークを定着させることをおすすめします。
As is(現状) /To be(あるべき姿) |
その名のとおり、「現状」と「あるべき姿」のギャップを見つけるためのフレームワーク。あるべき姿を設定すると、潜在的な課題を見つけやすくなる |
MECE |
MECEとは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive(漏れなく、ダブりなく)」の頭文字をとった言葉。大きな目的を設定してから要素を洗い出し、重複するものがないよう注意しながら細分化していくトップダウンの方法と、要素を洗い出してから全体像を描いていくボトムアップのアプローチ方法とがある |
研修を実施する
課題発見力を高めるための積極的アプローチとして、研修を実施する方法もあります。たとえば、課題発見力の理解を深める講義を行ったうえで、制限時間内に課題を発見し、解決策を導き出すグループワークを実施するとよいでしょう。自社での実施が難しい場合は、外部研修の活用もおすすめです。
まとめ
価値観の多様化が進み、変化の激しい現代社会において、企業が生き残るためには課題発見力が不可欠です。従業員の課題発見力を高めるためには、まずは意識を変えさせる必要があります。現状に満足せず、疑問を持つ姿勢を身につけることが、隠れた課題を見つけるための第一歩です。
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