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従業員のロジカルシンキングの鍛え方とは?おすすめのフレームワークなどを解説
本記事では、現在の職場で従業員向けに、ロジカルシンキングの訓練に役立つ鍛え方や、その基本的な考え方について解説します。また、ロジカルシンキングに役立つフレームワークについても解説するため、社内でロジカルシンキングを鍛えたり研修をしたりする際には、ぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.ロジカルシンキングとは
- 2.従業員のロジカルシンキングを鍛えるメリット
- 3.従業員のロジカルシンキングの鍛え方
- 4.従業員のロジカルシンキングを鍛えるには研修の実施が有効
- 5.ロジカルシンキングの基本的な考え方
- 6.ロジカルシンキングの習得にはフレームワークの活用が欠かせない
- 7.MECEは課題をシンプルにするフレームワーク
- 8.ロジックツリーは情報整理のフレームワーク
- 9.ピラミッドストラクチャーは相手に分かりやすく情報を伝えられるフレームワーク
- 10.SCAMPERはアイデア出しに役立つフレームワーク
- 11.SWOT分析は戦略策定に役立つフレームワーク
- 12.SMARTの法則は目標設定に役立つフレームワーク
- 13.PDCAは業務改善に役立つフレームワーク
- 14.まとめ
ロジカルシンキングとは
ロジカルシンキングとは、論理的思考を指す言葉です。直感や感覚で物事を考えるのではなく、物事を論理的に考えて結論を出す方法を指します。なお、「ロジカル」は「論理的な」、「シンキング」には「思考や判断」という意味があります。
従業員のロジカルシンキングを鍛えるメリット
従業員のロジカルシンキングを鍛えると、従業員それぞれにメリットがあるだけでなく、企業の利益にもつながります。
分析力が向上する
ロジカルシンキングを鍛えると、情報を感覚ではなく論理的に考えられるようになるため、物事を客観的に評価できるようになります。また、物事の重要な部分を見極める分析力も身につくでしょう。
問題解決能力が身につく
問題解決能力は、ビジネスでは必須となる重要なスキルです。ロジカルシンキングを鍛えることで、物事の目的を明確にして解決策を考えられるようになります。解決策の実行手順や方法を具体的に定められるようになれば、結果として、従業員の問題解決能力が向上します。
物事を客観視できるようになる
ロジカルシンキングを鍛えると、物事を客観視する能力が身につきます。物事を客観視できるようになると、合理的な意思決定やリスク管理も可能になるでしょう。
コミュニケーション能力が向上する
ロジカルシンキングを鍛えることは、コミュニケーション能力の向上にも効果的です。他者に自身の考えや意見を筋道立てて話せるようになると同時に、他者の話を論理的に聞けるようになります。
相手の考えや意見を正確に理解できるようになれば、より円滑なコミュニケーションが図れるでしょう。
生産性が向上する
ロジカルシンキングが身につくと、円滑なコミュニケーションや業務の効率的な遂行が実現します。また、意思決定も素早く行えるため、業務のスピードが上がり、結果として組織全体の生産性も向上するでしょう。
従業員のロジカルシンキングの鍛え方
ロジカルシンキングを鍛えることには、多くのメリットがありますが、実際にはどのようにして鍛えればよいのでしょうか。
考えを言葉にさせる
まずは従業員に、自身の考えを言葉にする習慣をつけさせましょう。考えていることを言語化すことで、自身の思考をまとめて他者に分かりやすく話す力が身につき、ロジカルシンキングも鍛えられます。
仮説を立てさせる
業務を進める仮定でなにか考える際は、毎回仮説を立てるよう習慣づけましょう。仮説を立てて検証する一連の流れで、ロジカルシンキングが鍛えられます。
具体的な言葉を使うようにさせる
考えを伝えたり仮説を立てたりする際には、曖昧な表現は使わず、具体的な言葉を使うようにすると、ロジカルシンキングが鍛えられます。誰に対しても同じように誤解なく伝わるようにするためにも、具体的な言葉を使うようにしましょう。
従業員のロジカルシンキングを鍛えるには研修の実施が有効
従業員のロジカルシンキングを鍛えるには、日々の業務のなかで従業員に伝えるのではなく、研修を実施するのも有効な手段です。研修では、ロジカルシンキングを体系的に学び、短期間で従業員にロジカルシンキングを身につけてもらえるでしょう。
社内にロジカルシンキングについて教えられる人材がいない場合は、外部の研修企業を利用するという手法もあるため、検討してみてください。
ロジカルシンキングの基本的な考え方
ロジカルシンキングを鍛える前に、ロジカルシンキングの基本的な考え方について理解を深めておきましょう。ここでは、ロジカルシンキングの基本となる6つの考え方を解説します。
ファクトベース
いくら論理的に考えても、事実でない内容がもとになっていれば、間違った結論が導き出されてしまいます。ファクトベースとは、実際に発生した事実に基づいて考えることです。説得力がある思考法ともいわれ、信憑性が高い結論を導き出せるようになります。
ゼロベース
ゼロベースとは、事前知識や経験などの先入観にとらわれずに思考することです。ゼロベースで思考することにより、柔軟な発想ができ、創造的なアイデアを生み出せるようになります。
演繹法
演繹法とは、3段論法とも呼ばれる数学的な考え方です。正しいことが明確である法則や一般論から出発して、複数の事実や事例から結論を導き出します。
帰納法
帰納法は、ビジネスのさまざまなシーンで活用されている考え方です。複数の事実や事例から類似点や共通点を見つけ出して、結論を導き出します。
弁証法
弁証法は、2つある意見のどちらも取り入れて、さらに優れたものをつくり出す考え方です。ビジネスでは、新しいビジネスモデルや革新的なサービスを生み出す際に、よく活用されています。
ロジカルシンキングの習得にはフレームワークの活用が欠かせない
ロジカルシンキングの習得には、フレームワークに沿った論理的思考が重要です。ロジカルシンキングのフレームワークとは、問題解決や意思決定の際に具体的な手順や方法論を指します。フレームワークを活用することで、効率的に分析したり、問題の本質を捉えたりすることができます。また、さまざまな課題に直面してもロジカルシンキングを応用することで乗り越えられるようになります。
MECEは課題をシンプルにするフレームワーク
ロジカルシンキングのフレームワークのなかでも、課題をシンプルにするのに有効なのがMECE(ミーシー)です。
MECEの概要
MECEは漏れなく重複もない状態を指す概念です。「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字をとっており、それぞれ次のような意味があります。
Mutually:お互いに
Exclusive:重複せず
Collectively:全体的に
Exhaustive:漏れがない
MECEは、分類対象全体に漏れも重複もない状態にして、課題を切り分け、効率的に解決する際に役立ちます。
MECEの使い方
MECEの使い方には2つの種類があります。1つ目はトップダウンアプローチで、2つ目はボトムアップアプローチです。
トップダウンアプローチでは、全体の大枠を決めてから、演繹的な手法で要素を分類していきます。ボトムアップアプローチでは、まず必要な要素をすべて洗い出し、それらをグルーピングしていきます。
ロジックツリーは情報整理のフレームワーク
情報整理のフレームワークは、樹木が幹から枝分かれしていくように情報を整理していくことから、ロジックツリーと呼ばれています。
ロジックツリーの概要
ロジックツリーは、問題点や課題を分解して論理的に整理し、原因や解決策を見つける手法です。ロジックツリーには、以下のような種類があり、それぞれに分けて整理していくとよいでしょう。
・WHAT(要素分解)ツリー
・WHY(原因究明)ツリー
・HOW(問題解決)ツリー
・KPI(目標計画)ツリー
ロジックツリーの使い方
まずは解決したい問題や課題などをもとに、ロジックツリーのテーマを決めましょう。また、目的に応じて使用するツリーを選びます。
次に、要素を分解していきます。要素を分解する際は、先に解説したMECEの概念を利用して進めましょう。要素が具体的な行動になるまで、分解を繰り返していきます。
ピラミッドストラクチャーは相手に分かりやすく情報を伝えられるフレームワーク
フレームワークのなかでも、相手に分かりやすく情報を伝えるために用いられるのが、ピラミッドストラクチャーです。
ピラミッドストラクチャーの概要
ピラミッドストラクチャーは、主張と根拠をピラミッド状の図にまとめ、情報を伝えるフレームワークのことを指します。
ピラミッドストラクチャーは、結論に至る流れを分かりやすく伝えられるため、プレゼンテーションや取引先との交渉の場で有効です。
ピラミッドストラクチャーの使い方
ピラミッドストラクチャーでは、まずテーマと結論を明確にします。次に、結論を裏づけるための根拠を洗い出していきましょう。
洗い出した根拠を共通する内容でグルーピングし、それらが完了したら根拠と結論を結びつけて、ピラミッド状に配置していきます。最後にピラミッドストラクチャーに、論理的に矛盾がないかも確認するようにしましょう。
SCAMPERはアイデア出しに役立つフレームワーク
SCAMPER(スキャンパー)は、多くのアイデアを出すのに効果的なフレームワークです。
SCAMPERの概要
SCAMPERは、アイデアを発想するためのフレームワークです。SCAMPERは7つの質問の頭文字からできている言葉で、これらに答える形式で進めることにより、短時間でアイデアを広げられます。
SCAMPERを構成する英単語には、それぞれ次のような意味があります。
・Substitute(代用できないか)
・Combine(結合できないか)
・Adapt(応用できないか)
・Modify/Magnify(修正/拡大できないか)
・Put other uses(転用できないか)
・Eliminate/minify(削除/削減できないか)
・Reverse/Rearrange(逆転/再編集できないか)
SCAMPERの使い方
SCAMPERでは、まず議題を決めるところから始めます。そして、SCAMPERに沿った質問リストを用意し、制限時間内に回答してもらいましょう。アイデアが出そろったら、情報を整理して、具体的な施策を考えていきます。
SWOT分析は戦略策定に役立つフレームワーク
戦略策定にはSWOT分析が、有効なフレームワークとして用いられます。
SWOT分析の概要
SWOT分析は、自社の内部環境と外部環境を4つの要素に分けて分析するフレームワークです。主に経営やマーケティングの戦略策定に使用されています。
4つの要素を示す単語の頭文字からSWOTと分析呼ばれており、各要素には次の意味があります。
・Strength(強み)
・Weakness(弱み)
・Opportunity(機会)
・Threat(脅威)
SWOT分析の使い方
まずは、何のためにSWOT分析を行うのかを明確にして、目標を設定し、SWOTの各要素を箇条書きしていきましょう。書き出した要素をグルーピングして、それぞれの関係性が分かるようにします。次に、書き出した各要素を掛け合わせて具体的な戦略を文章化していきます。
SMARTの法則は目標設定に役立つフレームワーク
SMARTの法則は、明確な目標設定ができるため、目標達成に役立つフレームワークとされています。
SMARTの法則の概要
SMARTの法則は、経営者の目標設定に役立つフレームワークとして広く用いられていましたが、現在では経営者以外の目標設定にも使用されています。SMARTは、このフレームワークに重要な要素である単語の頭文字を組み合わせた言葉です。それぞれの単語には次の意味があります。
・Specific(具体性)
・Measurable(計量性)
・Achievable(達成可能性)
・Relevant(関連性)
・Time-related(期限)
SMARTの法則の使い方
まずは解消したい課題を見つけ、目標を達成するためにどのように行動すべきかを考えます。行動目標が決まりしだい、目標を具体的な数値にしましょう。
次に、定めた目標が本当に達成できるかを考えていきます。同時に、目標の達成によりどのようなメリットがあるのかも考え、目標を達成する期限も設けておきましょう。
PDCAは業務改善に役立つフレームワーク
PDCAとは、業務改善を目的としたフレームワークです。
PDCAの概要
PDCAとは、継続的に業務を改善していく際に使用されているフレームワークです。PDCAは業種を問わず、さまざまな企業で取り入れられています。
なおPDCAとは、このフレームワークのプロセスである単語の頭文字であり、それらの意味は以下の通りです。
・Plan(計画)
・Do(実行)
・Check(評価)
・Action(改善)
PDCAの使い方
まずは、5W1Hに沿って計画を立て、その計画をもとに実行しましょう。その後、計画通りに実行できたか、どのような成果が得られたかなどを確認します。最後に、見つかった課題に対して次に行う対策を練り、また計画の立案からスタートしていくことを繰り返します。
まとめ
ロジカルシンキングを鍛えると、従業員の分析力や問題解決能力などが身につき、結果として生産性が上がります。そのため、企業の利益向上にも貢献できる重要な取り組みといえるでしょう。
ロジカルシンキングの考え方や取り組み方にはさまざまな種類があるため、企業の課題や特徴に応じて選択し、実行してください。
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