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セルフコーチングとは?メリットや実践手順、注意したいポイントなどを解説
セルフコーチングは、従業員1人ひとりが理想のキャリアを実現したり、目標を達成したりするために有効な手法です。本記事では、セルフコーチングのメリットや実践手順、ポイントなどを解説します。セルフコーチングを実践するうえでの注意点にも述べるため、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
セルフコーチングとは
まずは、セルフコーチングの概要から解説します。
自分で自分をコーチングすること
セルフコーチングとは、目標の達成に向けて自分自身をコーチングすることです。自問自答を通じて自分の内面に向き合い、自分がやりたいことや根本的な問題などを発見して改善策を考えます。
一般的なコーチングとの違い
一般的なコーチングでは、コーチが1人つき、対象者への問いかけを通じて成長をサポートします。一方、セルフコーチングには、コーチとなる人がいません。自分自身がコーチの役割を担います。専門的な知識も必要なく、継続しやすい点が特徴です。
セルフコーチングを実践するメリット
セルフコーチングを実践すると、次のようなメリットを期待できます。
目標をスピーディに達成できる
セルフコーチングには、一般的なコーチングと同様に、対象者の目標達成をアシストする効果があります。自問自答を繰り返すなかで、目標達成のための具体的な行動計画を立て、目標に到達するための行動を素早く選択できるようになるでしょう。
費用をかけず、時間や場所も選ばずに取り組めるため、一般的なコーチングよりも短期間で、効果を実感できる可能性があります。
客観的な視点を持てる
セルフコーチングでは自分自身がコーチの役割を担うため、主観に囚われず、自分を客観的に評価することが必要です。他者の視点から自分を見ると、それまで気づけていなかった課題や問題を発見しやすいため、さらなる自己成長につながります。
自律性が養われる
自ら課題を発見し、改善策を打ち出して行動するというプロセスを繰り返していくことで、自律性が養われます。持続的な成長を実現でき、自分が日々成長しているという実感も掴めるでしょう。
良好な人間関係の構築につながる
自分が相手に抱いた感情を客観的に分析することで、自分と他者を深く理解できるようになります。たとえば、相手にネガティブな感情を抱いたときには、自分自身に「なぜそう思うのか」と問いかければ、自分のなかにある真の思いに気づき、対策を立てることも可能です。
また、「相手はなぜそのような行動をするのか」と問いかければ、相手の立場に立って考えられます。これにより他者への理解も深まり、よりよい人間関係を築けるようになるでしょう。
セルフコーチングにデメリットはある?
セルフコーチングにはメリットも多い一方、次のようなデメリットもあるので注意が必要です。
自分の思考を超える発想を得にくい
セルフコーチングでは自分で自分をコーチングするので、どうしても思考の枠から抜け出しにくい側面があります。コーチングにおいて重要な「問いかけ」での質問も、自分が思いつく範囲に限られてしまうことがデメリットです。
強制力が働きにくい
セルフコーチングは、一般的なコーチングとは異なり、他人(コーチ)との約束がありません。強制力が働きにくいという点はデメリットといえます。よくも悪くも自分のペースでできてしまうので、なかなか行動に移せず、習慣化に苦戦する人もいるでしょう。
セルフコーチングに向いている人
セルフコーチングに向いている人の特徴は次の2つです。
モヤモヤを抱えている人
原因はわからないけどなんとなくモヤモヤする、という人にはセルフコーチングがおすすめです。自分自身に向き合うことでモヤモヤが整理され、問題解決の道筋を立てやすくなります。
他人の目を気にしすぎてしまう人
セルフコーチングは自分に深く向き合う作業なので、自分の軸をつくることにつながります。他人の評価を気にしすぎてしまう人や、自分がなにを大切にしたいかわからず行動できない人は、セルフコーチングを実践することで「自分軸」をつくるとよいでしょう。
セルフコーチングを実践する手順
ここからは、セルフコーチングを実践する手順を解説します。
目標を設定する
まずは、自分が達成したい目標を設定するところから始めます。目標設定の際には、具体的な数値目標を定めるとよいでしょう。
自分の現状を分析する
目標の設定後は、自問自答をしながら現状を把握します。自分がすでに持っている能力や、不足していること、目標達成の障害になるものなどを分析しましょう。
行動計画を立てる
現状を分析したら、目標を達成するための計画を立てます。このとき、目標達成までの具体的な期限を決めることが大切です。長期な計画は立てず、短期〜中期に区切ってマイルストーンを設定しましょう。
PDCAサイクルを回す
行動を振り返り、進捗状況を確認します。達成できたこと・できなかったことを確認し、できなかったことについては、その理由も分析しましょう。ここまでの一連のサイクルを繰り返し、目標達成に向けて自分自身をコーチングします。
セルフコーチングにおける質問例
セルフコーチングでは、さまざまな場面において自分自身への問いかけを繰り返すことが重要です。ここからは、セルフコーチングにおける質問例を紹介します。
目標を設定するときの質問例
・どのような自分になりたい?
・どうしてそうなりたいと思う?
・何でも叶うなら、自分は何がしたい?
・生活するために十分なお金があるなら、どのような仕事がしたい?
具体的なアクションを決めるときの質問例
・今の目標を達成するために必要なスキルは?
・家族や友人、会社の人のなかに、自分の力になってくれそうな人はいる?
・理想の自分から見て、今の自分には何が足りない?
・目標達成において壁になっているものは?
行動を振り返るときの質問例
・なぜ失敗してしまったのか?
・よりよい結果を得るためには、どのような行動が必要だった?
・その行動から学んだことはなに?
・次に同じ作業を担当するときは、どのように取り組む?
壁が立ちはだかったときの質問例
・行き詰まっている原因はどこにある?
・自分が尊敬する人なら、この壁をどのように乗り越えると思う?
・その壁は本当に乗り越えなければならないもの?
・壁を乗り越えたとき、自分はどのような気持ちになっている?
セルフコーチングを実践する際のポイント
セルフコーチングを実践する際は、次の3つのポイントに注意しましょう。
十分な時間・期間を設ける
セルフコーチングには自分と深く向き合い、考えを巡らせる作業が不可欠です。そのため、ある程度まとまった時間を確保する必要があります。また、習慣化させることも重要なので、日々の生活のなかで意識的にセルフコーチングの時間を設けましょう。
ネガティブな感情や思考パターンも受け止める
セルフコーチングでは、自分のなかのネガティブな感情や思考パターンと向き合わなければならない場面もあります。気持ちのよい作業とはいえませんが、それらに蓋をせず、そのまま受け止めることが重要です。
ネガティブな面も自分の一部として受け入れ、前向きに改善策を考えましょう。
考えをノートに書く
自分と向き合う過程で感じたことや行動したことは、記録しておくとよいでしょう。
時間が経ってもそのときの考えを思い出せるため、振り返りに役立ちます。セルフコーチングノートをつくり、そこに目標や行動、そのときの感情などを書き込む方法がおすすめです。また、ノートのなかで問いかけを繰り返し、答えに至るまでの思考の過程も記録しましょう。
セルフコーチングを実践する際の注意点
セルフコーチングを実践する際に注意したいポイントは次の2点です。
自分以外に原因を求めない
上司や職場環境などの外的要因に原因を求めても、現状を変えることはできません。問題となっている外的要因に対して、自分がどう捉えるか、どう対処するかを建設的に考えることが大切です。
緊急度が高いタスクや問題は扱わない
セルフコーチングには時間がかかるので、緊急度が高いタスクや問題には不向きです。セルフコーチングを実践する際は、緊急度が低く、重要なことにフォーカスするとよいでしょう。
セルフコーチングに関するおすすめの本
ここからは、セルフコーチングへの理解を深めたい人におすすめの本を紹介します。
セルフコーチング~あなた自身を「最高の自分」へと導くために~
心理コンサルタントとして活躍する著者が、体を鍛えるように、セルフコーチングで心を鍛える実践的な方法を解説してくれています。セルフコーチングに関する基本的な内容が網羅されており、入門書としてもぴったりです。
・著者名:八巻理恵
・出版社:文芸社
・発行年月日:2009年1月15日
セルフ・コーチング入門
「価値観リスト」や「やる気グラフ」、「習慣化リスト」など、自分への問いかけに使えるワークシートが充実した1冊です。新書サイズなので持ち運びしやすく、電車内などの移動中にも気軽に学習できます。
・著者名:本間正人、松瀬理保
・出版社:日本経済新聞出版
・発行年月日:2016年2月17日
人生を変える!「コーチング脳」のつくり方
プロコーチ養成スクールの講師が教える、コーチングの基礎をまとめた1冊です。約300ページの本書は内容が充実しており、コーチングそのものへの理解を深めたい人におすすめです。
・著者名:宮越大樹
・出版社:ぱる出版
・発行年月日:2021年4月21日
まとめ
セルフコーチングとは、自分自身がコーチとなって、自分の成長や目標達成をサポートする取り組みです。従業員がセルフコーチングを身につければ、自らを客観的に分析し、自律的に成長できるようになります。よりよい人間関係の構築にもつながるため、人材育成の一環としてぜひ取り入れてみてください。
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