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グロースマインドセットとは?身につけるメリットやマインドの変換方法を解説
人材育成の領域では、「グロースマインドセット」が注目されています。従業員のグロースマインドセットを育てることは、企業にとって重要な課題の1つといえるでしょう。
本記事では、グロースマインドセットの概要や身につけるメリットなどを解説します。グロースマインドセットを育む方法も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
グロースマインドセットの概要
まずは、グロースマインドセットとはどのようなものなのか解説します。
マインドセットとは
マインドセットとは、その人の先天的な性質に加えて、後天的な経験や教育などにより形作られた思考や、ものの見方の癖のようなものです。
マインドセットは、その人の価値観や判断基準にもなります。また、マインドセットの変化はその人の行動だけでなく、周囲にまで影響を及ぼします。
グロースマインドセットとは
グロースマインドセットとは、「人の才能や能力は生まれつき決まっているものではなく、努力次第で伸ばすことができる」という考え方です。成長マインドセットや、しなやかなマインドセットといわれることもあります。
心理学者であり、スタンフォード大学教授のキャロル・ドゥエック氏が提唱したグロースマインドセットは、ビジネスシーンを中心に大きな注目を浴びました。
グロースマインドセットによって生まれる肯定的思考
グロースマインドセットは、以下のような肯定的思考を生み出します。
挑戦 |
前向きに受け入れ、積極的にチャレンジする |
障害 |
障害を乗り越えられるまで、思考と努力を継続する |
努力 |
努力は裏切らないと考え、努力の過程における痛みも受容する |
批評 |
批評は受け止め、自分を客観的に振り返る |
他社の成功 |
よい刺激と捉え、成長への糧にする |
フィックスマインドセットとは?
フィックスマインドセットとは、「人の才能や能力は生まれつき決まっており、努力によって変わるものではない」とする考え方です。硬直マインドセットとも呼ばれ、グロースマインドセットとは真逆の思考を指します。
フィックスマインドセットを持つ人は、他責思考が強く、困難な状況から逃げがちです。
フィックスマインドセットによって生まれる思考
グロースマインドセットと真逆の考え方であるフィックスマインドセットは、挑戦や努力などについて、以下のような否定的思考を生み出します。
挑戦 |
挑戦を避ける |
障害 |
障害はどうにもならないことだと諦める |
努力 |
努力しても意味がない |
批評 |
自分に対する批評は耳に入れたくな |
他社の成功 |
他者の成功は脅威だ |
グロースマインドセットが注目される背景
グロースマインドセットはもともと教育現場で用いられてきた概念ですが、マイクロソフト(Microsoft)が人材育成戦略に取り入れたことで、ビジネスシーンでも注目されるようになりました。
近年は消費者のニーズや価値観が多様化し、市場を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。そのような環境で勝ち抜くためには、固定概念や先入観にとらわれない、新しいチャレンジが求められます。
そこで重要となる考え方が、グロースマインドセットです。グロースマインドセットを備えた人材の育成は、企業の成長の鍵を握っているといっても過言ではありません。
グロースマインドセットを身につけるメリット
グロースマインドセットを身につけると、次のようなメリットを期待できます。
チャレンジを楽しめるようになる
挑戦に対する前向きな思考により、チャレンジすること自体を楽しめるようになります。チャレンジ自体が楽しいと試行回数が増え、成功体験を積み重ねることで、さらに挑戦したくなるという好循環が生まれるでしょう。
努力を継続できるようになる
グロースマインドセットを持っていれば、失敗しても「頑張ればいつかできるようになる」と、気持ちを切り替えられます。その結果、努力を継続できるようになり、スキルアップやキャリアアップによい効果を期待できるでしょう。
フィードバックを適切に受け取れる
グロースマインドセットが備わっていれば、他者からの評価に対してむやみに反発せず、自分の成長に生かそうとする思考が生まれます。他者からフィードバックを適切に受け取り、次のアクションにつなげることが可能です。
また、反対に自分が評価者になる場合も、適切なフィードバックを実現できます。
グロースマインドセットを持つ人の特徴
グロースマインドセットを持つ人には、次のような特徴があります。
学習意欲が高い
グロースマインドセットを持つ人は、新しい知識やスキルを得ることに意欲的で、努力を惜しみません。日々の業務においても、さらに改善できないか、新しいやり方はないかと考え、仕事の質を向上させようとします。
失敗を生かして成長しようとする
グロースマインドセットを持つ人は、失敗を「成長するために必要なステップ」とみなし、失敗から学んで次に生かそうとします。こうした姿勢は、壁が立ちはだかっても諦めず、前向きに取り組む力を育むでしょう。
グロースマインドセットを育てる方法
ここからは、グロースマインドセットを育てる方法を解説します。
結果よりも過程に目を向ける
成功した場合も失敗した場合も、結果より過程に目を向けることが大切です。失敗した場合は原因を分析し、次に向けた改善策を考えます。悪かった点だけでなく、よかった点にも目を向けて、それを継続しましょう。
成功か失敗かに一喜一憂するのではなく、「努力を続ければ結果はついてくる」という感覚を持てるようにすることが重要です。企業から従業員への働きかけとしては、結果ではなく過程を重視した目標設定を心がけるとよいでしょう。
小さな成功体験を積み重ねる
小さな成功体験を積み重ねると、少しずつ自信が持てるようになり、失敗を恐れずに挑戦するメンタルが育まれます。
また、自信をつけてもらうためには、周りの人が小さな成功を認め、褒めることも重要です。上司から部下への称賛だけでなく、従業員同士が互いの成功をたたえ合うような称賛文化を醸成することも大切です。
マインドセットの傾向を把握する
人間は誰しも、グロースマインドセットとフィックスマインドセットの両方を兼ね備えているものです。基本的に、その人の得意分野にはグロースマインドセットを、不得意分野にはフィックスマインドセットを持ちやすい傾向があります。
そのため、従業員にグロースマインドセットを持ちながら働いてもらうためには、個々の得意・不得意を把握することも重要です。
また、従業員自身が自分のマインドセットの傾向を理解し、フィックスマインドセットからグロースマインドセットに変化できるような習慣を持てるよう働きかけましょう。
課題と対策を明確化する
やみくもな努力は結果に結びつきづらく、獲得したグロースマインドセットがフィックスマインドセットに変わってしまうリスクもあります。
現在の課題と今後の対策を明確化したうえで、効果的なアプローチ方法を考え、改善や努力を積み重ねることが重要です。また、従業員が自己改善の方向性を見極められるよう、フィードバックの機会を設けることも大切です。
グロースマインドセットを育てるうえで注意したいポイント
従業員のグロースマインドセットを育てる際は、次のポイントに注意しましょう。
マインドセットの変換には時間がかかる
マインドセットはそう容易く変えられるものではなく、思考の癖を再構築するためには時間がかかります。長期的なスパンで、焦らずじっくり取り組むことが重要です。
マインドセットの変換要因は役職によって異なる
マインドセットが変換する要因は役職により異なるため、それぞれ別のアプローチが必要です。たとえば、グロースマインドセットを醸成する方法として外部研修を活用する場合は、役職別に実施するとよいでしょう。
マインドセット研修ではグロースマインドセットについて学べるだけでなく、個人のマインドセットの傾向をつかむこともできます。
まとめ
グロースマインドセットを持つ人は、挑戦や努力を肯定的に捉え、目標に向けて継続的に頑張ることができます。従業員のグロースマインドセットを育むことは、本人のスキルアップやキャリアアップ、ひいては企業の成長につながるでしょう。
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