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グリットとは?グリットが高い人の特徴や、グリットを伸ばす6つの方法を解説

近年、ビジネスシーンを中心に「グリット」という概念が注目されています。しかし、言葉としては聞いたことがあっても、具体的にどのようなものを指すのか理解しきれていない人も多いでしょう。

本記事では、グリットの概要や、グリットが高い人の特徴などを解説します。グリットを高める方法も述べるため、ぜひ参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.グリットとは?
  2. 2.グリットが注目される背景
  3. 3.グリットを構成する要素
  4. 4.よいグリット・悪いグリット
  5. 5.グリットが高い人の特徴
  6. 6.グリットが高いとされている日本人
  7. 7.グリットを伸ばす6つの方法
  8. 8.グリットの測定方法
  9. 9.グリットへの理解をさらに深めたい人におすすめの本
  10. 10.まとめ

グリットとは?

グリットとは、日本語にすると「やり抜く力」のことです。社会的成功を収める人が共通して持つ特性とされ、近年は才能やIQ、学歴などよりも重要とされています。

アンジェラ・リー・ダックワース氏が提唱

グリットの提唱者は、ペンシルベニア大学教授で心理学者のアンジェラ・リー・ダックワース氏です。

教師としての経験から「成績とIQには相関がないのでは」という仮説を立てたダックワース氏は、シカゴ大学での調査で「グリットを持つ学生はIQに関係なく、大学を卒業する割合が高い」という結果を得ました。

グリットは後天的なもの

グリットは生まれつきの才能ではなく、後天的なものだとされています。つまり、先天的な資質に関係なく、誰もが努力を重ねることでグリットを伸ばすことが可能です。

グリットが注目される背景

ダックワース氏が提唱したグリット理論は、努力や継続の重要性を科学的根拠に基づき証明するものです。そして、「グリットは後天的に伸ばせるものであり、社会的成功には生まれつきの才能は重要ではない」という考え方は、多様なバックボーンを持つ人々が暮らすアメリカで広く受け入れられました。

また、努力を美徳として捉えることの多い日本人にとっても、親和性の高い考え方といえるでしょう。

グリットを構成する要素

ここからは、これらグリットを構成する4つの要素について解説します。

1.Guts(度胸)

1つ目の要素である「Guts」は、困難な状況にも逃げずに立ち向かう度胸のことです。

たとえば、ビジネスシーンにおいては、顧客からの無茶な要望を可能な限り叶えるために努力するときや、逆に毅然とした態度で交渉するときなどに発揮されます。

2.Resilience(復元力)

「Resilience」は、失敗したときや困難な状況に直面したときにも心が折れることなく、立ち直れる力のことです。

挑戦に失敗や苦悩はつきものであり、「失敗しないこと」や「ストレスを感じないこと」ではなく、その状態からいかに回復するかが重要となります。また、ストレスフルな現代社会を生き抜くためにも、復元力は必須のスキルといえるでしょう。

3.Initiative(自発性)

3つ目の要素である「Initiative」は、自ら進んで取り組む姿勢のことです。

たとえば、ビジネスシーンにおいては、上司の指示を待つのではなく自分で提案して行動したり、目標に向かって自発的に努力したりする際に発揮されます。

4.Tenaciity(執念)

最後の要素である「Tenaciity」は、諦めない粘り強さのことです。

目標達成までの道のりにおいて、どのような壁が立ち塞がっても投げ出さず、最後までやり遂げる力を指します。「やると決めたことは必ず最後までやる」という強い意志のことであり、高い目標を掲げた場合や、目標の達成に長期間を要する場合などに必要とされます。

よいグリット・悪いグリット

グリットには「よいグリット」と「悪いグリット」があります。

よいグリット

よいグリットは、以下の8つの要素で構成されます。

・情熱
・幸福感
・目標設定
・自制心
・リスクテイキング
・謙虚さ
・粘り強さ
・忍耐

よいグリットを持つ人は、困難があっても前向きな気持ちでものごとに取り組むことができます。
「きっとうまくいく」と信じて行動するため、結果的に成功を収めやすいといえるでしょう。

また、前向きな姿勢で努力を続ける人は、周囲からの信頼を得られやすいです。その結果、協力者や資源を確保しやすくなり、さらなる成功を後押ししてくれます。

悪いグリット

悪いグリットは、よいグリットが持つ要素のうちのいずれか、またはすべてが欠けているもののことです。

たとえば、悪いグリットの持ち主は目標の達成が困難という状況に立たされたときに、その現状をどう隠すかに頭を使ったり、「周りから無理難題を押しつけられた」と解釈してネガティブな気持ちのまま取り組んだりしてしまいます。

周囲のアドバイスに耳を傾けずに自ら悪い方向へと進んでしまい、結果として本人も望んでいないような状況に陥ってしまうことがあります。

グリットが高い人の特徴

グリットが高い人には次のような共通点があります。

関心を持ち続け、努力を継続できる

大きな目標を達成するためには、主体的かつ継続的な努力が不可欠です。グリットが高い人は、目標に対する関心と、目標を達成するための努力を長期間にわたって維持することができます。自分が掲げた目標を常に見据え、高水準の努力を維持することが可能です。

心身ともに健康

数多くの調査で、グリットが高い人は健康面も良好であることが示唆されています。グリットを持つ人は継続的な努力により、人生におけるさまざまなシーンにおいて「達成」を積み重ねることが可能です。その達成感や自己肯定感は、心の健康にプラスの影響を与えていると推察されます。

また、メンタルヘルスを良好に保つ行動を維持することが、結果的に身体的な健康にもつながっているとも考えられるでしょう。

周囲に対する貢献意識が高い

グリットが高い人は貢献意識が高く、自分の活動や仕事に使命感を持って取り組む傾向があります。自分自身を幸福にするだけでなく、「誰かの役に立つため」「社会をよりよくするため」という意識を持つことが、継続力やモチベーションの強化につながっているといえるでしょう。

グリットが高いとされている日本人

ここからは、グリットが高いとされている2人の日本人を紹介します。

イチロー(鈴木 一朗)

野球選手として世界的に活躍していたイチローは、「努力の人」として知られています。

子ども時代からコツコツと努力を積み重ね、「特別なことをするために特別なことをするのではない、特別なことをするために普段どおりの当たり前のことをする」「結果が出ないとき、どういう自分でいられるか。決して諦めない姿勢が何かを生み出すきっかけを作る」など数々の名言を残しています。

淡々と努力を積み重ね、困難な状況にあっても決して諦めない姿勢は、グリットを持つ人に共通するものであるといえるでしょう。

山中 伸弥

iPS細胞の研究によりノーベル生理学・医学賞を受賞した、京都大学の山中伸弥教授も、グリットが高い人物の1人とされています。

iPS細胞という未知の領域の研究にはさまざまな壁が立ちはだかったものの、山中教授は「9回失敗しないと、なかなか1回の成功が手に入らない」という考えのもと、粘り強く研究に取り組みました。その結果、世の中を大きく変えるような研究成果を発表するに至りました。

グリットを伸ばす6つの方法

ここからは、グリットを高める6つの方法を紹介します。

少しだけ難しいことにチャレンジする

もうすでにできていることや、いつもどおりのことを続けるだけでは、グリットは育まれません。

グリットを高めるためには、今よりも少し難易度の高いこと、あまり慣れていないことに挑戦することが大切です。また、本人が安心してチャレンジできるように、周囲が適切なサポートを提供することも重要です。

小さな成功体験を積み重ねる

いきなり高い目標を設定すると、チャレンジに失敗して挫折してしまう可能性が高まります。まずはハードルが低い目標に挑戦し、スモールステップで小さな成功体験の積み重ねが大切です。たとえ小さくても、さまざまな成功体験が、健全な自己肯定感や自己効力感を育みます。

「自分ならできる」という自信を持てれば、さらに大きな目標にもチャレンジしやすくなり、困難なことがあっても諦めにくくなるでしょう。

グリットが高い人のそばに身を置く

人は、周囲の人々や環境の影響を受けやすいものです。そのため、グリットが高い人のそばに身を置けば、自分自身のグリットも高めることができます。

具体的な人材戦略としては、「グリットが高い指導者を呼ぶ」「グリットが高い人材を採用する」などの方法が考えられるでしょう。

グリットを持つ人を褒める

日本では「謙虚さ」が美徳とされるところがあり、グリットを持つ人が努力や成功体験をアピールしにくい場合が多いでしょう。

そこで、上司や経営者は、従業員のグリットに基づく行動を積極的に褒めるようにしましょう。そうすることで、褒められた本人にも周囲にも「これはよいことなのだ」と伝わり、グリットを根づかせることにつながります。

中長期的な目標を設定する

グリットは、ある程度まとまった期間、目標達成に向けて努力を継続することにより育まれます。そのため、目の前の目標に取り組むだけでは、グリットはなかなか身につきにくいです。

グリットを高めるためには、日々の短期的な目標に取り組みつつも、中長期的な目標を設定して継続的に取り組めるようにすることが重要となります。企業においては、上司や経営者が従業員に対して、中長期的な目標や方針を示すことも大切です。

チャレンジする内容は柔軟に変更する

グリットを育てるためには1つのことに粘り強く取り組むことも重要となるものの、目標は常に一定にする必要はありません。期限を設けて達成できなかった場合は、目標を柔軟に変更することも大切です。

あらかじめ決めた期限までは挑戦を続けることで、たとえ目標を達成できなくても、やり抜く力が育まれます。また、目標は本人の適性に合わせて設定することも重要です。

グリットの測定方法

グリットの提唱者であるダックワース氏は、グリットを測定するために「グリット・スケール」という方法を開発しました。10個の項目を5段階で評価することで、その人のグリットを測定できます。


まったく当てはまらない

あまり当てはまらない

ある程度当てはまる

ほとんど当てはまる

まったく当てはまる

1.新しいアイデアを思いつくと、そちらに気を取られてしまう

5
4
3
2
1

2.挫折してもめげず、

簡単には諦めない

1
2
3
4

5


3.目標を設定しても、

間を置かずに別の目標に

乗り換えることが多い

5
4
3
2
1

4.自分は努力家だと思う

1
2
3
4
5

5.達成までに数か月かかるような長期のタスクに、

継続的に取り組み続けることができない

5
4
3
2
1

6.一度やり始めたことは、

最後までやり遂げる

1
2
3
4
5

7.興味の対象が

毎年のように変わる

5
4
3
2
1

8.自分は勤勉だと思う

1
2
3
4
5

9.なにかに夢中になっても、間を置かずに興味を失ってしまったことがある

5
4
3
2
1

10.自分にとって重要な目標を、挫折しても乗り越えて達成したことがある

1
2
3
4
5

グリットへの理解をさらに深めたい人におすすめの本

ここからは、グリットへの理解をさらに深めたい人におすすめの本を紹介します。

やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

グリットの提唱者であるダックワース氏の書籍です。グリットに関する研究結果の詳細や、グリットを伸ばす具体的なステップについて知ることができます。

・著者名:アンジェラ・ダックワース 著、神崎朗子 訳
・出版社:ダイヤモンド社
・発行年月日:2016年9月

実践版GRIT(グリット)やり抜く力を手に入れる

人気パフォーマンス・コーチが、グリットを伸ばす実践的なエクササイズを紹介。本記事でも紹介した「よいグリット」を構成する8つの要素について、それぞれの要素を鍛える方法を解説しています。

・著者名:キャロライン・アダムス・ミラー 著、宇野カオリ 監、藤原弘美 訳
・出版社:総合出版すばる舎
・発行年月日:2018年2月26日

まとめ

グリットとは、目標達成に向けて努力を継続し、困難に直面しても諦めずにやり抜く力のことです。社会的成功を収めている人に共通する資質であるとされ、ビジネスシーンでも注目を浴びています。グリットを伸ばすためには本人の頑張りも必要ですが、周囲が適切にサポートすることも大切です。

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LM編集部
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