キャリアブレイクとは?導入するメリット・デメリットについて解説
従業員が自らのキャリアを考え直す手段の1つとして、キャリアブレイクがあります。本記事では、キャリアブレイクの概要やメリット、デメリットなどを解説します。キャリアブレイクについて詳しく知りたい人は参考にしてください。
目次[非表示]
キャリアブレイクとは
キャリアブレイクとは、現在従事している仕事を離れて、自身のキャリアについて再考するための期間を指します。
仕事から離れることで、これからどのような人生を歩むのかをじっくりと考える余裕が生まれます。キャリアの再構築や新しいスキルの習得など、今後のキャリアをより充実させるための重要なステップです。
キャリアブランクとの違い
混同されやすい言葉にキャリアブランクがあります。キャリアブランクは、キャリアに穴が開いている期間を示す言葉です。そのため、ネガティブなイメージを持たれることもあるでしょう。
違いとしては、自分から未来について考えるかどうか、再スタートを切るための前向きな期間かどうかなどが挙げられます。
サバティカル休暇との違い
サバティカル休暇とは、企業が一定期間働いた従業員に対して提供する長期休暇制度のことです。
サバティカル休暇では、従業員が企業に籍を残したまま仕事を休めます。一方キャリアブレイクは、退職することを前提とした制度です。復職を視野に入れていたとしても、企業に籍を残さないケースが多くみられます。
キャリアブレイクが注目されている理由
ここでは、キャリアブレイクが注目されている理由について解説します。
学び直しが重要視されているため
注目されている理由の1つは、社会人になった後の学び直し・キャリア再構築が広まり始めている点です。特に、近年はリスキリングとリカレント教育が重要視されています。
リスキリングは、企業が従業員に教育を施し、現在の職業や職種とは異なる新たなスキルを習得させる取り組みです。リカレント教育は、社会人が休職・退職のうえで教育機関に戻り、新たな学びを始める取り組みを指しています。
キャリアについて考えるため
社会人が自らのキャリアについて考える機会を求めていることも、制度が注目されている理由です。
一時的に仕事から離れることで、自分の価値観や目標を新たに考え直し、これまでのキャリアとは異なるスキルや興味を発見する時間が確保できます。また、自らのキャリアを主体的に考えるキャリアオーナーシップという概念が広まっていることも、注目を後押ししています。
キャリアブレイクを導入する企業側のメリット
ここでは、キャリアブレイクを導入する企業側のメリットについて解説します。
さまざまな人材を確保できる
導入する企業側のメリットは、さまざまな人材を確保できることです。キャリアブレイクをしたことがある人材は、新卒で採用した人材とはバックグラウンドが異なります。そのため、これまで社内になかった新たな考えや価値観を提供してくれる可能性があり、社内の活性化につながります。
従業員のモチベーションを高められる
従業員のモチベーションを高められる点も、導入するメリットです。経験者の存在は、既存の従業員にとっても刺激となります。結果的に、周りの従業員が自らの可能性や持っている力を自覚するきっかけにもなり得るでしょう。今まで知らなかった概念を知ることで、今後の働き方をより深く考えることもできます。
キャリアブレイクを導入する従業員側のメリット
ここでは、キャリアブレイクを導入する従業員側のメリットについて解説します。
自分のキャリアについて考えられる
導入する従業員側のメリットは、自分のキャリアについて考え直す機会が離職によって生まれる点です。仕事から離れることで、今後進みたい方向を決めるための時間を作れます。キャリアに加え、高めるべきスキルなども明確になるでしょう。
リフレッシュできる
リフレッシュを図れる点も、導入する従業員側のメリットです。ある程度の期間、休みを取ってリフレッシュすることで、心身ともに余裕が生まれます。結果的に、今まで以上に前向きな意識で次のキャリアに進める可能性が高まるでしょう。
数日程度の休みでは、仕事のことを考えてしまいリフレッシュできない人もいるため、この点においてもキャリアブレイクは有効な手段です。
キャリアブレイクを導入する企業側のデメリット
ここでは、キャリアブレイクを導入する企業側のデメリットについて解説します。
コストがかかる
導入する場合、キャリアブレイクをした経験を持った人材受け入れる際には一定のコストがかかる点はデメリットです。通常の新卒採用や中途採用とは異なるため、研修プログラムの準備などにコストがかかります。このコストも加味したうえで、対象となる人材を受け入れる準備を整えましょう。
人材が流出する恐れがある
導入する企業側のデメリットは、人材が流出する恐れがある点です。制度の導入により、キャリアブレイクを選んだ従業員は職務から外れるため、人手が不足する恐れがあります。特に、重要な役割を持っていた従業員が離職した場合は、カバーが難しいでしょう。
人材がいなくなっても他の人員でカバーできるよう、属人化しているスキルの共有やナレッジの蓄積が求められます。
キャリアブレイクを導入する従業員側のデメリット
ここでは、キャリアブレイクを導入する従業員側のデメリットについて解説します。
キャリアにとって不利になる恐れがある
導入する従業員側のデメリットは、今後のキャリアにとって不利に働く恐れがある点です。特に、転職や昇進・昇格の際に不利になる場合があるでしょう。
日本ではまだ、退職に関してネガティブな考えを持っている人も多くいます。また、スキルアップを実現したとしても、キャリアに空白期間があるため、その点が不利になることも考えられます。
収入がなくなるため一定のリスクがある
従業員側のデメリットとしては、収入が一時的になくなる点が挙げられます。キャリアブレイク中は職を離れることになるため、どのように生活を維持すべきかについては熟考しなければならないでしょう。キャリアアップを順調に進めたい人や、家族がいる人にとっては、収入面が大きなリスクとなり得ます。
キャリアブレイク経験者を採用する際に意識すべきこと
ここでは、経験者の採用時に意識すべきことについて解説します。
ポジティブな気持ちを持っているか
経験者を採用する際には、相手が仕事をしていなかった時期に対してポジティブな気持ちを持っているかを確認しましょう。「ただ無職になっていただけだった」など、ネガティブな思いではなく、獲得できたスキルや実現できたことなどをポジティブに話せる人を採用するとよいでしょう。
キャリアを具体的に考えているか
キャリアブレイクが有意義であったかどうかは、相手がキャリアをどう考えているかによって変わってきます。そのため、仕事を離れていた期間をどう活用し、今後のキャリアにどう生かそうとしているのかを確認することをおすすめします。また、話すエピソードが具体的であるか否かも重要な観点です。
キャリアブレイクを導入している国の例
ここでは、実際に制度を導入している国を紹介します。
イギリス
導入している国の1つはイギリスです。同国の大手電気通信企業であるBTグループ(旧:ブリティッシュ・テレコム)は、従業員が長期にわたって休める制度を取り入れています。なぜ休みを取るのかについては聞かれることなく、最大で2年間にわたってキャリアブレイクのための休みを取得可能です。
ベルギー
同じくヨーロッパのベルギーでは、従来実施されていたキャリアブレイク制度を改定した「タイムクレジット制度」として運用されています。この制度でも休暇の目的は問われることはなく、さらに完全休業かつ在職年数が5年以上である従業員が対象となるケースでは、1か月に526.12ユーロの補助も支給されます。
※参考:欧州における長期休暇制度 ワーク・ライフ・バランス政策の試み|前田 信彦(立命館大学教授)
まとめ
従業員の成長を促す制度の1つとして、キャリアブレイクの導入は有益な取り組みです。ぜひ自社の状況に鑑みたうえで、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
キャリアブレイクを含め、従業員のキャリアをサポートする仕組みを整えたいなら、ぜひリンクアンドモチベーションにご相談ください。
従業員ゲージメント市場シェアNo.1のクラウドサービス「モチベーションクラウド」を保有しており、アジアで初めて人的資本の国際認証規格「ISO30414」を取得しました。
世界初の「モチベーション」にフォーカスを当てた組織人事コンサルティングサービスを提供しており、累計導入社数は10,000社以上にも及んでいます。