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ECRSの原則とは?メリットや具体的な実践例などを解説

現在の職場で業務改善を検討する際、「ECRSの原則」という言葉を耳にした人も多いのではないでしょうか。

本記事では、業務改善策を考えるのに役立つ「ECRSの原則」の考え方や、そのメリットを解説します。ECRSの原則の具体的な実践例、実践する際の注意点についても解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.ECRSの原則とは
  2. 2.ECRSの原則の4つの考え方
  3. 3.ECRSの原則に沿って業務改善するメリット
  4. 4.ECRSの原則に沿った業務改善の具体的な実践例
  5. 5.ECRSの原則に沿って業務改善する際の注意点
  6. 6.ECRSの原則に沿って効果的に業務改善するためのポイント
  7. 7.まとめ

ECRSの原則とは

ECRSの原則とは、業務改善や課題抽出のための考え方のことで、元々は製造業で使用されていたものです。しかし、現在はさまざまな業種の業務改善に使用されています。なお、ECRSの原則の「ECRS」とは、この考え方のキーワードとなる4つの単語の頭文字です。

E:Eliminate
C:Combine
R:Rearrange
S:Simplify

一般的にECRSの原則は、その頭文字の並び順に実践されます。E・C・R・Sの順に実践すると、適切な改善効果を得られるため、トラブルの発生も抑えられるでしょう。

ECRSの原則の4つの考え方

ECRSの原則の「ECRS」は、この原則に必要な単語の頭文字を取ったものです。それぞれの意味について、詳しく解説します。

Eliminate

Eliminateとは、不要なものを排除するという意味です。まずは、各業務の実施目的や理由を明確にします。明確な理由や目的がない業務となったものは、無駄な業務である可能性が高いでしょう。そのような無駄な業務を排除して、空いた時間を重要な業務に注力できるようにします。

Combine

Combineは、類似する業務の統合を意味します。作業の複雑さを解消して、業務の迅速化を目指すアプローチをしましょう。なお、業務によっては、無理に統合しない方が効率的な場合もあるため、どの業務もまとめていくことを第一に考えるのではなく、柔軟な思考を持って検討することが重要です。

Rearrange

Rearrangeとは、作業工程の順序や設備の配置を入れ替えたり代替したりして、業務改善を目指すアプローチです。進め方は、まず業務全体をフローチャートに書き起こします。そして業務の流れをシミュレーションして、業務を最適化していきましょう。

Simplify

Simplifyは、業務をより単純な方法に変えて、業務改善を目指すアプローチです。先にEliminate・Combine・Rearrangeを実施して最適化された業務をこの段階でさらに簡素化できないか見直します。

ECRSの原則に沿って業務改善するメリット

ECRSの原則を用いた業務改善には、どのようなメリットがあるのでしょうか。3つのメリットを詳しく解説します。

コスト削減

EliminateやCombineを実施すると、不要な業務に割いていた費用や設備を削減できるようになります。また、不要な業務を減らせば、従業員の業務負担を減らすことにもつながり、省人化も可能になります。その結果、人件費や設備費などのコストの削減もできるでしょう。

生産性向上

生産性とは、産出量を投入した経営資源量で割った数値です。ECRSの原則に沿って業務を改善していくと、リソースを削減でき、従来以上の産出量を確保できるようになるため、結果として生産性向上につながります。

また、削減したリソースをより重要な業務や新規事業に割り振れるようになれば、さらなる生産性向上が期待できるでしょう。

属人化の解消と防止

属人化とは、特定の担当者のみが対象の業務を担い、詳細や進め方を把握している状態を指します。

全員が業務を把握できておらず、その人独自のやり方になってしまっているものを、ECRSの原則のSimplifyの実践により、業務が簡素化されるようになります。その結果、属人化の解消・防止にもなるでしょう。属人化が解消できれば、担当者の不在や離職によって業務が停滞するリスクを回避できます。

ECRSの原則に沿った業務改善の具体的な実践例

ECRSの原則を理解したところで、実際に職場で業務を改善するにはどのように進めていけばよいのかを、それぞれのキーワードごとに紹介します。

Eliminateの例

Eliminateの実践例としては、まず日報や報告書の作成を見直しましょう。

毎日書いていたものを、週1や月1の作成にするだけでも業務削減になります。また、報告書の記入頻度を減らすだけでなく、記入項目の見直しもして、業務に必要な内容などの重要な項目以外は削除しましょう。

加えて、職場によっては決裁フローを見直して承認者の人数を減らす、会議の頻度を減らすなどの取り組みもおすすめです。その他にも、Web会議システムの導入で移動時間や交通費を削減する、業務の一部をアウトソーシングする、なども検討してみてください。

Combineの例

Combineの実践例として、個々人への連絡は、連絡人数が多いと時間がかかるため廃止し、代わりに掲示板を利用してみましょう。また、案件の担当者が請求書を発行している場合は、請求業務を経理部署に集約するのも効率化や業務削減になります。

また、社内で使用するITシステムを統一したり、各部署がそれぞれに実施している市場調査を、共同プロジェクトにしたりする取り組みもおすすめです。報告書を部署別に提出している場合は、代表者がまとめて提出するのも業務改善に有効です。

Rearrangeの例

Rearrangeの実践例として、使用頻度が高い部品や工具を取り出しやすい位置に配置するようにします。また、従業員の適性に合わせた配置換えも検討してみましょう。

さらに、作業する従業員の動線に合わせた作業機器の並べ替えや、単純作業の実施をロボットに置き換えることによって、より優先度の高い作業に従業員を割り充てるのも効果的です。営業担当は、従業員の外回りのルートを整理して、無駄を減らしましょう。

Simplifyの例

Simplifyでは、ここまでに実践したものをさらにブラッシュアップします。たとえば、AIの導入による検品や監視作業の自動化は、業務の効率化に有効です。

また、マクロを使用したデータ入力、報告書のテンプレートや業務マニュアルの作成、生産管理システムや経費ソフトを導入し、入力・管理・計算などの作業を簡略化するのもよいでしょう。

ECRSの原則に沿って業務改善する際の注意点

業務改善でECRSの原則を取り入れる際には、次の2点に注意して進めましょう。

従業員の理解が必要

業務改善を実践し、成功させるためには、上層部だけで進めるのではなく、現場の従業員への周知が重要です。周知を怠ったまま新たな取り組みを始めたり、業務の仕分けをしたりすると、社内の雰囲気が悪くなる恐れがあります。

特に、社歴の長い従業員はこれまでやってきた業務の手順や方法に愛着があり、業務改善へ非協力的な場合も多いとされているため、事前に十分な理解を求めることが重要です。

長期的な視点と取り組みが必要

ECRSの原則に沿って業務を徹底的に見直すには、業務の分析が必要です。また、実施し始めたあとも試行錯誤が必要なため、時間がかかります。加えて、従業員の意識改革にも時間を要すため、新しい流れの定着は、根気強く行う必要があります。

また、ECRSの原則は長期的な改善を目指す手法であるため、業務改善の効果は即座に現れるわけではありません。そのため、実践には長期的な視点と取り組みが必要です。

ECRSの原則に沿って効果的に業務改善するためのポイント

ECRSの原則を効果的に取り入れた業務改善のポイントを3つ紹介します。

実践目的を明確にする

まず業務改善に取りかかる前に目的を明確にしましょう。具体的な目的があれば、方針が定まりやすく、より精度の高い計画を立てられるようになります。

また、業務改善を進めていくと、途中で手段が目的にすり替わってしまう場合もあります。そうなると業務が改善されない可能性があるため、目的を明確にし、ブレないようにしておくことが重要です。

各部署との協力体制を構築する

業務改善による改善効果を最大限に引き出すには、一部の部署やチームではなく、全社規模で取り組む必要があります。また、特定の部署のみで実践するのは、他の部署との連携不足が起きたり、企業にとって有害な業務改善になったりする恐れがあるため、業務改善には部署間の協力が必須です。

定期的に効果検証と見直しを実施する

業務改善は、長期的に取り組むことで効果を得られることが多いため、実施中の定期的な見直しと効果検証が重要です。定期的に現場の意見や要望も聞きながら、進捗・目標の達成具合を確認しながら改善しましょう。

まとめ

ECRSの原則を取り入れた業務改善は、コスト削減や生産性の向上に効果的です。各業務の実施目的や理由を明確にすることから始めていき、実施後も定期的な見直しをしながら、目的達成まで根気よく進めていきましょう。

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LM編集部
LM編集部
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